アンドロイドはエンディングの夢を見るか?   作:灰色平行線

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最初はゆるいギャグ小説にでもしようと思いながら始め、行き当たりばったりで話を書き、どんどんシリアスな方向へ向かって行き「あれぇ?」と思いながらも話を書き続け、そして現在なんだかとんでもない所へ着地しようとしている自分の小説に対してなんとかちゃんとした終わり方にしようと作者が見苦しく足掻く姿をお楽しみください。


the [E]nd of YoRHa

 ノイズの走ったデータ世界。

〈これより、データのサルベージを行う〉

 ポッドはハッキングを開始する。

 

 ◇◇◇

 

 NieR:Automata

 the [E]nd of YoRHa

 

 ◇◇◇

 

 廃墟都市にて、2Bと9S、A2の3人は眠っていた。ポッドのデータサルベージによって同一個体として復活した3人。何時目覚めるかも分からないが、これで不確定な未来へと繋がった。

 3人が眠っている中で、ポッド達は廃墟都市とは別の場所にいた。ポッド達の前にはとあるアンドロイドが所持していた武器が地面に刺さっている。

「ハッキングを開始する」

 誰もいない場所で、ポッド042とポッド153は武器のデータ内へと入る。

 

 アンドロイドの持つ武器は記憶データを保存しておくことができる。武器にハッキングするということは、その武器の持ち主が武器に保存しておいた記憶データを見るということだ。

 データ世界でポッドは問いかける。

〈君の命令通り全てのエンディングを集めてきた。そろそろ説明を求めたい・・・2B〉

「久しぶり・・・と言った方がいいのかな」

 ポッドの言葉に空間がブレて、そこには黒い服のアンドロイド・・・2Bが現れる。いや、正確には2Bの形をしたデータである。目隠しのような戦闘用ゴーグルはつけていない。

 武器の持ち主とは2Bのことだ。彼女の記憶データによって形成された2Bの人格データ。それが今、ポッド042とポッド153の前に現れていた。

〈君に疑問を提示する。君の目的を聞かせてほしい〉

 ポッド042の質問に、2Bのデータは笑う。

「私の目的は、この世界に巣食う『物語』を終わらせることだよ」

 

 ◇◇◇

 

 それは、物語の最初。2Bが敵大型兵器を破壊するために廃工場に突入する際、ある記憶を思い出した時。ポッドもまた、記憶を思い出した。

 それは、自分が2B、9S、A2のパーソナルデータをサルベージした記憶。自分は既に1度、物語を未来に繋げた記憶。

 だが、3人が再び目覚めることはなかった。2Bも、9Sも、A2も、目を覚ます前に、世界は突然真っ暗になり、気がつけば、ポッド042は2Bの随行支援ユニットとして敵大型兵器破壊のため、廃工場に突入する2Bについていた。

 そして、2Bは廃工場内部に着く前に機械生命体に殺された。世界は再び真っ暗になり、そしてまた、廃工場に突入する2Bについていた。

 ここまでの記憶をポッドは思い出した。そして、今度は無事、廃工場の内部に入ることが出来たのだ。

 

 その後、ブラックボックスを使った自爆によって敵大型兵器を破壊し、バンカーで復活した2Bは9Sがセットアップに来る前にポッドに命令を下した。

「これからエンディングを集めるために私は普通なら絶対しないであろう行動を起こす。だけど、それについては何も言わず、黙っていてほしい。そして、エンディング取得数が26になった時、私は新たな命令を下す」

 それから、2Bは奇行を繰り返した。バンカーでの自爆、OSチップ取り外し、殺害、任務離脱、アジ。そして、彼女が奇行を繰り返す度、エンディング取得数は増えていった。2Bに関わったせいか、9SとA2も奇行を繰り返すようになった。だが、ポッドは何も言わなかった。2Bが言う、「26のエンディング」を集め終わるまでは。だからポッドは以前と全く同じように振る舞った。ただの随行支援システムとして。

 情報共有によって、ポッド153にも同じように記憶があることが分かった。ポッド達は3人のアンドロイドの奇行を眺めつつ、遠回りを繰り返しながら再びEエンディングを迎えるのを待った。

 

 ◇◇◇

 

 そして、現在。ポッド達は2Bの人格データと対峙していた。

〈全てのエンディングを集め終えた時、2Bは自身の武器の中に人格データを入れておいたと言っていた。その後の命令は全て彼女に伝えてあると。それが君なのだろう〉

「そう。私は2Bによって作られた人格データ。2Bそのものだと言ってもいい」

【・・・物語を終わらせるとは、どういう意味か?】

「それを説明する前に、この世界について説明しておかないと」

 

 2Bのデータによると、この世界は終わりと始まりを繰り返している。特定のエンディングを迎えればまた特定の地点から始まるのだという。

廃工場突入前に死ねばまた廃工場突入から始まり、パスカルの村の機械生命体を皆殺しにすればパスカルの村に案内されるところから始まる。そして、Eエンディングまでたどり着けば、物語はまた廃工場に突入するところから始まる。2B、9S、A2の3人が目覚めることは決してない。目覚める前に物語の始まりの地点へと巻き戻るのだから。

 ここはそういう世界なのだ。物語という枠組みの中に捕らわれた、生も死もない世界。何度繰り返しても死ぬ者は死に、狂う者は狂い、絶望する者は絶望する。少し過程を変えた所で未来は変えられず、未来を変えようとすれば予め用意されたエンディングを迎えることになる。そうして物語はまた繰り返す。大抵の者は繰り返していることすら知らずに。特定の登場人物に違和感を残しながら。

 

〈それでは、このまま物語を終わらせてもまた同じ事を繰り返すだけなのでは?〉

 そうポッド042が尋ねる。

「そうさせないために私はここにいる。それに、物語を終わらせるというのはそういう意味じゃない。本当の意味はこの世界から物語というシステムを消すこと」

【2Bに具体的な説明を求める】

「そうだね。聞きたいよね。もう貴方達は命令を遂行するだけのシステムではなく、心を持った『個』だもの。それじゃあ、少し長くなるけど、聞いてもらおうかな」

 

 そして、2Bは語る。彼女が経験してきたことの全てを。




もうちょっとだけ続くんだ(白目)

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