アンドロイドはエンディングの夢を見るか?   作:灰色平行線

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しばらく投稿してなかったのはネタが思いつかなかったのと、
「な●う」に浮気して書いてたからです。


i don't know about you(起)

 司令官に呼び出されたそのアンドロイドは司令部に着くと、司令官に向かって敬礼した。

「14S、ただいま到着しました」

 14S。髪を黒く染めている以外は他のS型アンドロイドと見た目に大きな差はない。髪を染めている理由もすぐに見分けがつくようにというものだ。

「ああ、来たか。起動したばかりですまないが、まず1つ尋ねたい。君に前回までの作戦の記憶データは残っているか?」

「いえ、ウィルスが侵食していたため、記憶は放棄したと聞いています。自分に前回の作戦の記憶データはありません」

「そうか・・・分かった。君に任務を与える」

14Sの報告に司令官は一瞬複雑そうな顔をしたように見えたが、すぐにいつもの顔に戻った。

「廃墟都市方面にて機械生命体のウィルスの影響で暴走したアンドロイド、37Bの討伐を君に命じる」

「討伐任務ですか?」

「そうだ。何か疑問があるなら聞こう」

「あの、僕スキャナータイプですよ?討伐任務には向いてないと思うんですが」

 14Sは名前にSとつく通りのスキャナータイプ。情報収集を主な目的として作られたアンドロイドだ。戦えないことはないが戦闘用に作られた訳ではない。さらに14SはS型の中でも特に戦闘を苦手としていた。それに対して討伐目標となっている37Bはバトラータイプ。戦闘用に作られたアンドロイドだ。本来ならば14Sが行うような任務ではない。相手と同じB型か、噂に聞くE型に任せるのが正しい選択と言えるだろう。

「戦力に心配があるなら現地のアンドロイドに協力を頼んでもいい。既に何人かのヨルハ部隊が先行していることだしな。それに、この任務は君にしかこなせないと私は思っている」

 しかし、司令官は14Sに任務を命じた。信頼されているのか、それとも捨て駒とでも思われているのか、14Sには分からなかった。

 

 ◇◇◇

 

 廃墟都市。

「ポッド、目標の位置は分かる?」

「スキャン中・・・37Bのブラックボックス信号をキャッチ。マップにマーク」

 マップに37Bがいるであろう場所が大まかに映し出される。

「これは・・・ビルの中かな?」

 ポッドの導きによって14Sはビルからビルへと渡って行く。ポッドのサポートのおかげで戦闘用でない14Sでもなんとか襲い来る機械生命体達を倒しながら進むことができた。

 そして、マップに示された37Bのいるというビルに近づいた時、すさまじい爆発音と共にビルの壁が一部壊れて大きな穴が開いた。

 穴の開いたビルの中には目を赤く光らせるアンドロイドと、その足元に転がる黒いモノ。アンドロイドの義体だ。

「目標の37Bを発見。推奨、破壊」

 ポッドが告げる。37Bはビルの中から14Bをじっと見つめている。片手に大剣を握り、ゆらゆら揺れながら立っている。ウィルスの影響だろうか。

「今の爆発、足元に転がるアンドロイドの義体・・・まさか!?」

 嫌な予感がする。

「そのアンドロイド、貴方が殺したんですか!?」

「・・・」

「答えてください!」

「・・・」

 14Sは大きな声で問いかける。だが、37Bは何も答えない。ただ黙ってその赤い目を14Sに向けるだけだ。

「言葉が通じないのか?そこまでウィルスに侵食されている?なら、もう何も聞きません。ここで貴方を殺します!!」

 槍を片手に37Bがあけた穴に向かって飛び込む。

 その瞬間。

 

「がああああアアアアアァァァァァッ!!!」

 

 37Bが叫んだ。獣が遠吠えするような芯の通ったものではない。感情をごちゃまぜにしたような絶叫だ。

 槍を向けて突っ込んでくる14Sに叫び声をあげながら片手に握った大剣を振るう。次の瞬間、強い衝撃と共に14Sはあっさりと意識を刈り取られた。

 

 ◇◇◇

 

「う、うう・・・?」

「あ、目が覚めましたか?」

 14Sが目を覚ますと自分に似た男性型アンドロイドともう1人、別の女性型アンドロイドがこちらを見ていた。

「ここは・・・」

「ここは廃墟都市のレジスタンスキャンプです。貴方のポッドからの信号を偶然キャッチして、行ってみたら貴方が倒れていたんです」

 起き上がって周りを見回す14Sに男性型アンドロイドは説明する。

「僕は9S。こっちは2B。貴方の事はポッドから聞きました」

 9S。そう名乗った男性型アンドロイドにそう言われて横を見ると、自分のポッドがフワフワと浮いている。

「37Bって、どんな人なの?」

「え?」

 2Bと紹介されたアンドロイドの言葉に14Sは戸惑う。さっきから話がどんどん進み過ぎている。

「言ったはず。貴方の事はポッドから聞いてる。貴方の状況も聞いてる」

「司令官の話だと、現地のアンドロイドに協力してもらってもいいんですよね?なら、僕達が協力します」

 やけに協力的な2人のアンドロイドに14Sは戸惑うばかりだった。

 だが、協力者がいてくれることは素直に嬉しい。何が起こったのかも分からぬまま気絶させられるような力の差だ。元々B型相手に戦える自信など無かったが、1人ではもう無理だと思っていた。これで何かが変わればいいが。

 

 ◇◇◇

 

 マップにマークされた37Bのブラックボックス信号はさっきと同じ場所を示していた。

 14Sは2Bと9Sを連れて再び37Bの元へと向かう。

「ところで、その37Bはどうして14Sを殺さなかったんでしょう?」

「確かに・・・」

「そういえば・・・なんで・・・」

 9Sの発した疑問に、14Sは37Bという存在に違和感を覚える。考えても分かる事ではないが、気になってしまう。

 ビルからビルへと跳び、走っていると、穴のあいたビルの中に人影が見えた。

「37B・・・!」

 間違いない。大剣を握りしめ、目を赤く光らせたアンドロイドがこちらを見ていた。そして相変わらず、その足元にはアンドロイドの義体が転がっていた。

「行きますッ!!」

 14Sは槍を構える。今度は不用意に突っ込んだりしない。

「ポッド!」

「了解」

 14Sの声で彼のポッドが37Bに向かってレーザーを発射する。

 その瞬間。

「がああああアアアアアァァァァァッ!!!」

 37Bは叫び声をあげ、義体を抱えて後ろに跳んだ。

 その隙を突き、2Bと9Sがそれぞれ刀を構えて37Bに向かって行く。

 戦いが始まった。




とりあえずこの話をおまけの最終章にしようと思います。

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