アンドロイドはエンディングの夢を見るか?   作:灰色平行線

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司令官「お気に入り登録してくれた人?感想を書いてくれた人?
    そんな優しい人はいない!
    全ては作者のモチベーションを上げるための偽装工作だ!」
9S「な、なんだってー!?」
そんな夢を見ました。


aji wo [K]utta

 廃墟都市での大型兵器との戦闘。大型兵器が最後の力で起こした爆発は、大型兵器のいた所に大きな穴を開けた。

 そして、穴の中からは何百年もの間姿を見せなかったエイリアンの反応が確認された。

 穴の中へ、地下へと進んで行く2Bと9S。2人が地下で見たのはエイリアンの死体だった。

 そこへアンドロイドとほとんど同じ外見をしたあの時の機械生命体、「アダム」と「イヴ」が現れる。

 アダムが言うには、エイリアンはずっと昔に機械生命体が滅ぼしたとのこと。彼は人間に興味を持っていた。生きたままは解剖して観察したい。アンドロイド達にはその手伝いをしてほしいと言うが、当然、そんなことに手を貸すつもりなんて毛頭ない。

 交渉が決裂したと分かると、アダムとイヴはどこかへ行ってしまった。

 2人が地下から帰るその途中、オペレーターからの通信が入り、転送装置の配備と稼働を確認したらしい。地下から地上に戻った2人に声をかける者がいた。

「やあ、元気?」

「貴方は・・・」

 ジャッカス。砂漠にいたレジスタンスの1人だ。

「君達のところの司令官に言われたんで、新しくアクセスポイントを作っておいたよ。転送装置も動かせるようにしておいたから」

「あ、ありがとうございます」

 お礼を言う9Sにジャッカスは「いいさ」と軽く返す。

「司令官は昔なじみなんだけど、アイツ、人に仕事させすぎだよね~。今度会ったら文句言っといてよ」

 そう言ってジャッカスは笑う。おそらくは冗談だろう。アンドロイドだって冗談くらいは言うのだ。

 

 ◇◇◇

 

 件の司令官は、司令部で満足そうに頷いていた。新しいアクセスポイントに、転送装置の配備。仕事が完了するというのは気持ちの良いものだ。

 ここ最近は妙な記憶が増えるせいでなかなか心の休まる時がなかった。バンカーで爆死する2B、地上に行った途端に死ぬ2B、命令を無視して遊園地で遊ぶ2B。実際にそんな事があった訳ではないのに記憶として鮮明に残っている。2Bに関する記憶ばかりなのは気のせいだと思いたい。

 だからこそ、転送装置が配備されたのは司令官にとっても嬉しい事だった。これでアンドロイドが死んだとしても、復活させた後にわざわざ飛行ユニットで地上に向かわせる必要もなくなる。転送装置ならば飛行ユニットよりも手軽で素早く、何より費用がかからない。これで2Bが仮にバカをやらかしても、スムーズに再出撃ができるというものだ。

 自分が既に2Bをそういう目で見ているという事実に若干の悲しさを覚えつつも、司令官は顔には出さないが喜んでいた。

「あっ・・・」

 そんなタイミングでオペレーターの6Oが声をあげる。正直、嫌な予感しかしなかった。

「2Bさんのブラックボックス反応が途絶えました!」

「なん・・・だと・・・?」

 またか。また彼女か。司令官は頭に手をやる。別に転送装置が配備されたからといって、死んでいいという訳ではないのだが。

「それで、死因は?」

「はい、アジです!」

「・・・何て?」

「アジです!」

「えー・・・」

 もはや何て言えばいいのか分からない。司令官はがっくりと項垂れた。

 

 ◇◇◇

 

「ところで、ヨルハ機体にオススメしたいというか、食べてもらいたい魚があるんだよね。この『アジ』って魚なんだけど」

 2Bが死ぬ少し前、アクセスポイントと転送装置について説明したジャッカスは、どこから取り出したのか、1匹のアジを2Bに手渡した。

「この魚の油がヨルハ機体にどんな効能があるか実験してみたくて。もしかしたら死ぬかもしれないけど是非食べてみてほしい」

「えー・・・」

 魚を渡された2Bはあからさまに嫌な顔をする。誰だって死ぬかもなんて言われて素直に食べたりなんてしない。例えアンドロイドが死んでも復活できるとしてもだ。

「生のままはちょっと・・・」

「そういう問題ですか!?」

 9Sは未だに2Bのおかしな言動には慣れない。

「ま、まあ、アジの油が消えないなら調理しても構わないよ」

 ジャッカスは努めて軽い感じに言うが、若干2Bに対して引いてるのが9Sには分かった。

「そういうことなら」

 そう言うと、2Bはアジを木の棒に刺し、ポッドのレーザーを出力を弱めて使って焼いていく。そうやって出来たアジの焼き魚に2Bはかぶりついた。

 

 ◇◇◇

 

 興味を抑えられずアジを食べてしまった。

 直ちに体液の凝固が始まり、全身の筋肉が硬直し始めたのが分かる。

 ・・・確かに旨い。人類が食用にしていたのも頷ける。

 薄れゆく意識の中、アンドロイドはそんなことを思っていた。

 

 NieR:Automata

 aji wo [K]utta

 

 ◇◇◇

 

「・・・以上がエイリアンシップの報告です」

「そうか・・・既にエイリアンは・・・」

 転送装置でバンカーに戻った2Bと9Sは、司令官にエイリアンのこと、今までのことを報告していた。

「・・・この情報は、人類会議で結論が出るまでは、最高機密として扱う事にする。くれぐれも他言のないように」

「はい」

 その後、司令官は機械生命体「パスカル」の情報収集を2人に命じた。司令部を出ようとする2Bに司令官は声をかける。

「2B」

「はい」

「アジを・・・食べたことはあるか?」

「・・・いえ、ありませんが」

「・・・そうか」

 司令官が何を言いたいのか2Bにはよく分からなかった。

「司令官、疲れた時はゆっくり休んでくださいね?」

 そう言って、2Bは司令部を出る。

「・・・お前のせいなんだがなぁ・・・」

 2人が司令部から出た後で、司令官は誰にも聞こえないようにそう呟いた。

 とりあえず、この記憶は酒でも飲んで忘れよう。司令官という立場上、簡単に記憶消去をするわけにもいかないため、効果はなさそうだが酒に頼ることにした。

 

「アジ、美味しかったなあ・・・」

「2B、何か言いました?」

「何でもない」

 


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