あまり進展はないかもしれないので悪しからず
「うわあぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!」
午前8:15頃。
とある少年が大きな叫び声を上げながら待ちを駆け抜けていく。それを後ろから大きな犬が怒ったように吠えながら追いかけていく。そしてそれを全力で追いかけていく3~40代に見える女性。なぜ一体このような奇特な状況が生まれているのかというと、時はおおよそ5分ほど遡る。
ふと目が覚める。春の陽気にあてられて重くなるまぶたに耐えながらぬくもりの宿る布団の中でモゴモゴと動き始める。覚醒しきれない意識の中で、時計を確認する。
時計の針は数字の2を指し示していた。
(…まだ、7:10か。もう少し寝れそうだな…)
そう考えながら意識を手放そうとする。その時、何気なく時計の短針を見る。その時計が指し示していた数字は…
【8】
その瞬間、ツナの中で世界が、時が止まる。既に意識は覚醒してしまい、目の前を時計をこれでもかと言わんばかりに目を見開いて確認する。
【8:10】
目の前には示されてはいけない時間が示されていた。そう、本来ならば既に学校に着いていてもおかしくない、最低でも家を出て学校へと向かっていなければならない時間なのである。思考が停止してから数秒、いきなり沢田綱吉は布団から跳ね起きて制服へと着替え始める。
「なっ!なんでリボーン起こしてくれなかったのさ!!?」
人に起こして貰うというののが当たり前のような考えの時点でダメなのは言うまでもなく、理不尽な逆ギレがリボーンに襲いかかる。
「…?」
はずなのだが何故かリボーンは一切反応を示さない。それに疑問を抱いて辺りを見回すとそこは見覚えのない場所だった。少し考えてから今の状況を思い出す。
(そっか…俺今、10年後のよく分からない場所に来てるんだった。ここに来て数日がたつのに、たまに忘れちゃうな…それにしても…)
そう思いながら部屋を見回す。別に何か深い意味があって見回しているわけでは無い。無意識に、特に深い意味も無く無意識の内にみまわしているだけだ。
(ランボは平和その物だって言ってたのに、また10年後の世界にとどまることになるなんて。また白蘭なのか?それとも、別の何かなのかな?)
以前にも10年後の世界に連れてこられ、そのまま5分過ごすのでは無く長い間滞在していたことがある。しかしそれは入江や10年後の沢田綱吉、ボンゴレ全体がとあるファミリーとの戦いのために計算し尽くされた計画だった。が、今回はこの世界にきてからツナは誰にも出会っていない。ツナの知る人とは誰一人として出会っていないのだ。そのため以前とは違いこちらの状況がほとんど把握できていないまま過ごしてしまっている。
「それもそうだけど…ほむらさんがいるならせめて家を出るときに教えてくれたら良いじゃ無いか!なんで何も言わずに出て行っちゃうんだよ!鬼か!」
と、理不尽な怒りの矛先を今度はほむらにあてて発散するツナ。果たしてこんなことをしていてこの先大丈夫なのだろうか?そう叫びながらもすぐに制服へと着替えてから急いで家を飛び出す。鍵はほむらから受け取っているためしっかりと施錠をしてから学校へと向かっていく。全速力で学校へと向かうツナだがその速さは普通の中学生にしてはいささか速いように見える。
…学校に遅刻しそうな(ほぼ遅刻確定の)プレッシャーによる火事場の馬鹿力による物かもしれないが…
細道を曲がろうとしたとき、ツナは【何か】を思い切り踏みつけてしまう。その【何か】を踏んづけてしまったせいでツナは顔から思いっきり転んでしまう。顔の痛みを涙を浮かべながら何を踏んでしまったのかを確認する。するとまず視界に入るのは3~40代くらいの女性。そしてその人の手には手綱のような物があり、それをおっていくとその先には何とか恐ろしいくらいに睨みを効かせた踏んづけてしまった【何か】がいた。その【何か】は恐ろしい咆哮を上げたかと思うと飼い主であろう女性の手から脱出し、自身の自慢のしっぽを踏みつけたツナを喰らわんと全力で駆け抜けてきた。
「あっ、ポチ助!」
(あ、名前はかわいいかも…。)
そんなことを考えている暇はないのにずいぶんと余裕のある中学生である。
「だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」
全力で学校に向かいながらいぬから逃げていくツナを誰も助けられるものはいなかった。
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一方もうすぐ遅刻となる時刻の教室内。
もちろんほとんどの生徒は着席している状況であるが一人だけまだついていない生徒がいた。
「もしかしてツナくん、今日休みなのかな?」
まどかは心配そうにツナの席を見つめる。そう、先程のバカツナである。みれば分かるかもしれないが未だに席に着いていないのは先程のわけであるがそんなことを回りは知るよしもない。
「もしかしたら遅刻かもよ?ツナって結構どんくさいところもあるし。」
といたずらな笑みを浮かべながら返答をするさやか。
本人は冗談半分くらいで言っているかもしれないがこれが真実なのである。2人は時計をみながらツナを待つ。
残り数秒でチャイムが鳴るというすんでのタイミングで教室のドアがまるで叩きつけられるかのように開かれる。もちろん教室内にいる全員は驚いてドアを開いた犯人を確認する。それは、髪の毛に木の枝を指したり葉っぱを着けたツナの姿があった。
「はぁ…はぁ……お……おはよう…ございます…。」
「…え?あっ…お、おはよう。」
先生もあまりの状況に唖然とするしかなかった。
遅刻はしてない。犬に追われた効果か予定よりも早く学校にたどり着くことができたようだ。
「あっはははははははは!!!!朝からそんな目に遭ってたの!?い~~~っひっひっひっひっ!!!」
「さ、さやかちゃん…笑いすぎだよ…。」
「いやっ、だってさぁ…遅刻確定の時間に起きたはずなのに全力で走ってたら犬の尻尾踏んで、公園の草木とかに激突しながら学校に間に合うとか…ツナらしいというかアホらしいというか…あははははははははははは!!!」
話を聞いてからずっと笑い転げるさやかに優しく注意するまどか、そしてそんなさやかにバカにされまくり恥ずかしさに顔を真っ赤に染め上げるツナがいた。そんなさやかの大きな笑い声にクラスメートは思わず苦笑い。だがまぁ、こんなボケの塊のような出来事を見せられては笑ってしまうのも分かる。幾人かのクラスメートはクスクスと笑っているのがツナにも分かる。
(クッソォ…なんでこうもうまくいかないんだ…!)
そんな気鬱を抱えながら1限、2限と過ごしていく。最近のツナは授業内容が分からないとさやかやまどか、仁美に質問をしていたりした。そのお陰もあってかこっちではなんとか授業について行くことができていた。元の世界では学校の後にリボーンによる復習(スパルタ)によって学校の授業はなんとか追い付いていた。この世界ではリボーンのになっていた教育係をまどか達(主に仁美)によって代わりとなっていた。他の男子生徒とも比較的に良好な仲を築けているようで、休み時間や授業中などに時折喋っている所を良く注意される。そして、
「沢田さん。」
「あっ、ほむらさん!」
放課後になるとツナとほむらは毎度一緒に帰っている。そのためクラスメートの一部の間では2人はもう付き合っているのではないかという噂が立ち始めていた。
それも無理はない。
なんせここ最近ずっとほむらとツナは一緒に帰っている。
勘違いされても仕方がないだろう。
だが、本人達からすればそんなつもりは一切ない。
むしろ、そんな甘い日常生活を送ってはいないからだ。
「ここよ、沢田綱吉。」
「う、うん!」
魔女の結界の入り口を見つけると、ほむらは魔法少女へと変身し、ツナは死ぬ気丸を飲み込み超モードへと変身する。
そして結界内へと入るとほむらの案内で最速で魔女の結界の最新部へとたどり着く。
するとほむらはツナから少し離れて、
「あとは任せるわよ。」
そう告げる。
どうやらほむらはこの戦闘には参加しないらしい。
「…あぁ。」
ツナは両手から炎を灯しながら一瞬だけほむらの方へと振り返り返事をする。
【アデラダヘアモ!!!】
魔女がツナに気づいたようで奇声をあげながら、大量の使い魔たちをツナへと送り出す。
ツナは左手で炎を逆噴射し、加速しながら敵のなかに突っ込んでいく。
敵に衝突する寸前で右手を前に突き出し、炎の盾を展開する。
その炎の出力と彼のスピードによって使い魔達はあっという間に吹き飛ばされる。
魔女がツナに対して拳を振り下ろすがそれを難なく躱し、懐へと潜り込む。
右手に大きな炎を灯しながら魔女の腹部へと叩き込む。が、魔女はそれを意に介さずに攻撃を続けようとする。
どうやら今の攻撃はあまりダメージになっていないようだった。
(効いていないのか?なら次はもっと炎圧をあげて…!)
ツナは魔女の攻撃範囲から逃れるために一度急上昇をして魔女の頭上より高くへと飛び上がる。
魔女が目で追いかけようと目線を上にするが、ツナは既に魔女の目の前まで迫っていた。
ツナは右手に先程よりも大きな炎を滾らせながら、それを魔女に向かって振り下ろした。
凄まじい一撃が魔女を貫く。
炎が魔女の顔で炸裂し辺りを明るく染め上げる。
ツナは倒したと確信して、拳を下げる。
そしてほむらのもとへと戻ろうとした瞬間、ツナの頭になにかが過る。
ツナは直感した、魔女は生きていると。
その証拠にまだ魔女の結界が崩れる様子はない。
ツナが魔女のいた場所に視線を戻すと魔女がスゴい勢いでツナに襲いかかろうとしていた。
「くっ!」
ツナはすぐさま両手に炎を灯すと空中へと高速で飛び上がり攻撃を回避する。
先程までツナがいた場所は魔女の攻撃によって押し潰されてクレーターのような痕ができていた。
(魔女って言うのは相変わらず、スゴい攻撃力だな。当たったら一溜りもなさそうだ。それよりも…)
先程まで魔女のいた場所、そして魔女をもう一度見つめる。
(確かに倒した手応えがあった。なのに
再び同じ攻撃を魔女に叩きつけるツナ。
その速度に反応できない魔女は同じ攻撃にも関わらずにまともにうけ、同じ現象が起こる。
しかし先と違うのはツナ自身である。
勝利を確信せずに相手を観察する。
何故さっきの攻撃が効かなかったのかを確かめるために。
眼を凝らしてみるとその理由が良く分かった。
再生していたのだ。
ツナはそれならば、と高速で移動しながら魔女のあらゆる箇所に向かって拳を連続で突き立てる。
しかも一発一発がとてつもなく重い拳と、先の一撃に匹敵するほどの大きさの炎だ。
(再生して治るなら、それをさせない速度で畳み掛ける!)
使い魔は主である魔女を守ろうと
魔女が徐々に機能を停止していき、完全に沈黙する。
そこでツナは攻撃をやめる。
2度目の勝利の確信。
しかし、そんな油断をするほどツナは愚かではない。
【…ググッ…。】
「!!」
ゆっくりと魔女が活動を再開し始める。
先の攻撃ですら魔女を停止することはできないらしい。
(…となれば、あとは…
ツナは【ある技】の構えを取ろうとする。
そんな時不意に肩を叩かれる。
そちらを振り返るとほむらがいた。
「協力しなさい。あの魔女を倒すために。」
「ほむら?なにか手があるのか?」
ツナは構えるのを中断してほむらへと向き直る。
幸いにも魔女は再生にまだ時間を有するようで攻撃される心配はなかった。
「あの魔女に対して両方向から同時に攻撃をぶつけるわ。そうすればきっと倒せる。」
「…分かった。」
「納得するのが早いわね。」
「ほむらの方がこの世界に、魔女に詳しい。ならそれに従った方が確実だ。」
「そう、ならあなたは反対側に回って。互いに聞こえるように3カウントを言って。0のタイミングで攻撃が当たるようにしなさい。」
「分かった。」
お互いの会話が済むと、ツナはすぐにほむらとは正反対の方向へと回り込む。
そしてほむらの方から3と言うカウントが聞こえてくる。
ツナは両手から炎を放出して攻撃に備える。
次に2と言うカウントが聞こえてくる。
テンポは分かった。
次のカウントはツナも声を出すことが出来る。
しかしひとつ気がかりなことがあった。
(ほむらはまだ攻撃の準備を始めない…それで本当に間に合うのか?)
「「1!!!」」
お互いの声がぶつかり合う。
ツナは左手から炎を逆噴射して超高速で魔女との距離を詰める。
右拳を握りしめながらそこに溢れんばかりの巨大な炎を灯す。
(0!!!)
ツナが思いきり拳を叩きつけると同時に反対側では大きな爆発音が鳴り響く。
その瞬間魔女の声にならない悲鳴が響き渡り、少ししてから力なく倒れ込んだ。
倒れ込んだ魔女の体は再生すること無くだんだんと崩れ去っていく。
魔女の結界が崩壊していき、最後に残ったのはグリーフシードだけだった。
「ほむらさん、よくあの魔女の倒し方が分かったね!」
超モードを解いたツナがほむらにそういうと、
「あなたの連続攻撃がヒントになったのよ。」
そういわれたツナは少し照れたように頬を掻く。
「あの魔女はきっとそういう性質だったのよ。」
「性質?」
聞きなれない言葉にツナは聞き返す。
この世界に来て魔女の性質など初めて聞かされた。
「そう、魔女を倒すためにはその性質が分からないと倒せない。そういうこともあるのよ。」
次回はもう少し話を進めます。