毎ターン連続で青眼の白龍を召喚する圧倒的なデュエルに戸惑い苦戦する遊星だったが、ついにスターダスト・ドラゴンの召喚に成功するのだった。
遊星
LP4000/
《スターダスト・ドラゴン》(☆8/ATK 2500)
伏せ2
カイバーマン
LP4000/Sp5/手札3
《
《青眼の白龍》(☆8/ATK 3000)
《青眼の白龍》(☆8/ATK 3000)
「シンクロ召喚成功時、ハイパー・シンクロンの効果発動!このカードを素材にしたシンクロモンスターの攻撃力を800ポイントアップする!!」
スターダストが闘気を纏い、翼を力強く羽ばたかせる。万能チューナーモンスター《ハイパー・シンクロン》の熱き魂は、シンクロ先を強化する効果を持つ。
《スターダスト・ドラゴン》
ATK 2500→3300
「ほう、攻撃力3000を上回ったか!」
「さらに戦闘では破壊されない!その代償として、スターダストは2ターン後のスタンバイフェイズにゲームから除外される」
「リスクを背負って攻めに来るか……お前の目に、
「ああ、もう目が離せないさ……!バトルだ!スターダスト・ドラゴンで、青眼の白龍に攻撃!響け!シューティング・ソニック!!」
「迎え撃て青眼!!」
シューティング・ソニックとバースト・ストリーム、2体のドラゴンのブレスが激突する。サーキットに衝撃が走り、観客席の精霊たちの顔がひきつる。プチテンシとハッピー・ラヴァーは飛ばされないようお互いの身を寄せ合う。
やがて《スターダスト・ドラゴン》の攻撃が押し切り、青眼の白龍を撃破する。
「この代償は高くつくぞ……!」
カイバーマン
LP4000→3700
「望むところだ!カードを1枚伏せ、ターンエンド!」
残る青眼は2体。遊星のヘルメットが光を反射しキラリと輝く。
遊星
LP4000/Sp5/手札2
《スターダスト・ドラゴン》(☆8/ATK 3300)
伏せ2
「俺の操る青眼を破壊したことは褒めてやる!だが本番はここからだ!俺のタァーン!」
カイバーマン
Sp5→6
遊星
Sp5→6
「俺は青き眼の乙女を召喚!」
清廉な光。召喚されたのはこれまでのモンスター達とは一風変わった、人間の女性のモンスター。その名の通りの青き眼と、長く伸びた白銀の髪の美しさが見るものを魅了する。
《青き眼の乙女》(☆1/ATK 0)
「先に教えてやろう。青き眼の乙女は、攻撃および効果の対象となったとき、手札・デッキ・墓地いずれかから青眼の白龍を特殊召喚する効果を発動することができる!」
「どこからでも青眼を呼べるモンスターか!」
「そして俺は青き眼の乙女と、貴様のスターダスト・ドラゴンを対象に
《Sp-ハイスピード・クラッシュ》は、スピードカウンターが2つ以上あるとき、自分の場から1枚と、全ての場から1枚選んで破壊する強力なカード。
「くっ……そうは行かない!スターダスト・ドラゴンの効果発動!自身をリリースすることで、破壊効果を無効にし、破壊する!ヴィクティム・サンクチュアリ!」
破壊を嫌うスターダスト・ドラゴンの効果が発動する。スターダスト・ドラゴンが霧散しエネルギーが解き放たれる。《Sp-ハイスピード・クラッシュ》の効果は無効となり、破壊された。
「そして、この割り込みによって青き眼の乙女も効果を発動できない!」
「お見通しというわけか……だが、これで貴様を守るモンスターはいない!青眼の白龍で不動遊星に
カイバーマンは攻撃の手を緩めない。
「ぐあああああああああ!」
遊星
LP4000→1000
「とどめだァ!3体目の青眼で直接攻撃!!!滅びのバースト・ストリーム!!!」
高らかに宣言された攻撃名。青眼の白龍の口から放たれる光の一撃が遊星に迫る。遊星は攻撃をしっかりと見据え――そのブレスは着弾とともに派手な爆風を上げた。
「粉砕!玉砕!!大喝采!!!ゥワハハハハハハ!!」
「……それはどうかな?」
「……ふぅん、そう来なくてはな」
消えない遊星号のホイール音。爆風の中から、オーラを纏った遊星が現れる。そして場には、発動した1枚の罠カード。
「俺は罠カード、スピリット・フォースを発動していた!戦闘ダメージを一度だけ無効にし、墓地から戦士族チューナーを手札に戻す!」
その手には1ターン目に使用した《ジャンク・シンクロン》が握られていた。
「エンドフェイズに、効果発動のためにリリースしたスターダスト・ドラゴンが戻ってくる。ハイパー・シンクロンによって得た攻撃力と破壊耐性は失われるが、ゲームから除外するリスクもリセットされる!」
「フ……俺はバトルを終了するが、ターンはまだ終了しない」
「何?」
「貴様に青眼の新たな可能性を見せてやろう。俺はレベル8の青眼の白龍に、レベル1の青き眼の乙女をチューニング!!」
「な……青き眼の乙女はチューナーモンスターだったのか!?」
カイバーマンの場にも、青き眼の乙女が変化した輪が現れ、《青眼の白龍》に纏う。
「無垢なる聖者に宿りし
シンクロ召喚の光が強く輝く。青眼の白龍によく似た、しかし、より透き通った白き体表の龍がフィールドに降臨する。
《青眼の精霊龍》(☆9/ATK 2500)
「シンクロ召喚によって、進化した青眼だと……!」
「美しい……。青眼の内にある無限の可能性!デュエルモンスターズはデュエリストと共にさらなる高みへと上っていく!こいつに秘められた効果は今にわかる……カードを2枚伏せ、ターンエンド!」
「この瞬間墓地のスターダスト・ドラゴンが……復活しない!?効果が無効にされている!」
「フハハハハ!青眼の精霊龍は1ターンに1度、墓地のカード効果の発動を無効にすることができる!この効果によってスターダスト・ドラゴンは墓地に送られたままだ!さらに青眼の精霊龍が存在する限り、複数のモンスターを同時に特殊召喚することができない!さあ、ここからどこまでやれるか、貴様の力を示せ!」
カイバーマン
LP4000/Sp6/手札0
《青眼の白龍》(☆8/ATK 3000)
《青眼の精霊龍》(☆9/ATK 2500)
伏せ2
遊星にじわりと汗が浮かぶ。最初は自分の悩みに気を取られ、眼前の敵に集中していなかった。だが今は違う。かつてない強敵を前に、一分も油断していない。前のターンに布石は打ってある。あとは自分のドロー次第。だが何を引けばいいのかのビジョンは見えていなかった。それでも。
「……俺は諦めない!俺のターン!」
カイバーマン
Sp6→7
遊星
Sp6→7
ドローカードを確認し、遊星ははっと気付く。カイバーマンのセリフが蘇る。
――『何のために力をつけ、戦う!』――
ドローカードはかつて遊星号を共に作ったサテライトの仲間、ラリーに託されたカードだった。
そうだ、さっき俺を守ってくれた《トーテム・ポール》も矢薙の爺さんから預かったカード。
デッキは答えを教えてくれていた……なぜ俺は気が付かなかったんだ!
そして遊星は頭の中で無数に広がる自分のカードの組み合わせをシミュレーションし、複数のルートを想定する。多くのカードを繋げることに関して、遊星の右に出るものはそういない。
「まずは……相手フィールドにのみシンクロモンスターがいるとき、手札のリード・バタフライを特殊召喚できる!来い!」
遊星の声に応えるかのように羽ばたく美しき蝶。遊星の展開がスタートする。
《リード・バタフライ》(☆1/ATK 300)
「ジャンク・シンクロンを召喚!そして効果発動!このカードが召喚に成功したとき、墓地からレベル2以下のモンスターを、効果を無効にして特殊召喚することができる!出でよ!スピード・ウォリアー!」
《ジャンク・シンクロン》が身に纏う機械を稼働させ、召喚のゲートを開く。ゲートから《スピード・ウォリアー》が現れ、守備の体制をとる。彼らは遊星の主力の2体だが、今は通過点にすぎない。
Dホイールの動力源、次世代エネルギー「モーメント」が人の感情に呼応し、その速度を上げていく。
《ジャンク・シンクロン》(☆3/ATK 1300)
《スピード・ウォリアー》(☆2/DEF 400)
「さらにスピード・ウォリアーをゲームから除外することにより、異次元の精霊を特殊召喚する!」
別に開かれた次元の扉から《スピード・ウォリアー》とタッチして現れたのは小さな妖精のようなチューナーモンスター。
《異次元の精霊》(☆1/ATK 0)
現在、場には3体のモンスターが展開され、遊星の手札は残り1枚。一見息切れしたように見えるが、ここまでが下準備だ。
二台のDホイールの差が縮まりはじめる。
「レベル1のリード・バタフライに、レベル1の異次元の精霊をチューニング!集いし願いが、新たな速度の地平へ誘う。光指す道となれ!シンクロ召喚!希望の力、シンクロチューナー、フォーミュラ・シンクロン!」
シンクロ召喚されたのは、レーシングカーが変形したロボットのようなモンスター。タイヤが回転し火花を散らす。特性はシンクロモンスターであり、チューナーモンスターであること。遊星の新たな戦術、そのキーとなるカードだ。
《フォーミュラ・シンクロン》(☆2/ATK 200)
「走りに迷いが消えていく……。答えを見つけたようだな、不動遊星!」
「フォーミュラ・シンクロンの効果発動!1ターンに1度、カードをドローできる!」
遊星は勢いよくカードをドロー、引いたカードを確認し、ルートを絞る。これならば必要なのはあと1枚!
「スピード・ワールド2の効果発動!スピードカウンターを7つ取り除き、カードを1枚!ドローする!!」
遊星
Sp7→0
このターン3回目のドロー。ほんの一瞬、時が止まる。
「来た!手札のモンスターカード1枚墓地へ送り、クイック・シンクロンを特殊召喚!」
テンガロンハットと赤いスカーフが特徴的な小さいガンマンが特殊召喚される。
《クイック・シンクロン》(☆5/ATK 700)
「そして墓地に送ったレベル・スティーラーの効果発動!自分のレベル5以上のモンスターのレベルをひとつ下げ、特殊召喚する!」
《クイック・シンクロン》
レベル5→4
「青眼の精霊龍の効果を忘れたかァ!1ターンに1度、墓地のカードの効果を無効にする!」
《クイック・シンクロン》から現れた星を食べ、召喚のゲートから出ようとするテントウ虫。しかし、《青眼の精霊龍》から放たれた白の粒子が、《レベル・スティーラー》をゲートごと消滅させていく。
「甘かったな!これで貴様の場にはチューナーのみが3体!残念だったな」
カイバーマンの言葉に遊星はニヤリと笑う。
「いや、これでいい!俺は手札のワンショット・ブースターを特殊召喚!こいつはモンスターの通常召喚に成功したターン、特殊召喚することができる!」
「ほう……」
まるでカタパルトから発進されたがごとく登場する黄色いブースター。ラリーのフェイバリットカードは、これまでも幾度となく遊星を支えてきた。
《ワンショット・ブースター》(☆1/ATK 0)
「仲間のカードが気付かせてくれた。俺の決闘を!レベル1のワンショット・ブースターに、レベル4となったクイック・シンクロンをチューニング!」
クイック・シンクロンの眼前に全ての「シンクロン」カードで作られたルーレットが回転する。クイック・シンクロンは銃で一枚のカードを撃ち抜く。弾がヒットしたのはフィールドにいるのとは別の、《ジャンク・シンクロン》。
「集いし星が、新たな力を呼び覚ます!光指す道となれ!シンクロ召喚!出でよ、ジャンク・ウォリアー!!」
マフラーをたなびかせ、鋼鉄のナックルを振るう。その拳と青紫のボディには数々の強敵と戦った記憶が刻まれている。《ジャンク・ウォリアー》は遊星が最も信頼する戦士だ。
《ジャンク・ウォリアー》(☆5/ATK 2300)
「デュエルモンスターズにおける効果を無効にするカードは、無効にした効果発動のためのコストをなかったことにすることはできない。クイック・シンクロンのレベルを下げることで目的は果たしたというわけか……だが、その布陣では青眼を突破することはできない!」
「ジャンク・ウォリアーはシンクロ召喚成功時に自分の場のレベル2以下のモンスターの攻撃力分、攻撃力をアップする。パワー・オブ・フェローズ!」
《ジャンク・ウォリアー》
ATK 2300→2500
「だが当然これでは届かない。俺はさらに先に行く!」
遊星の加速は止まらない。
「これが俺の切札!罠カード発動、レイジ・リシンクロ!シンクロ素材となるモンスターをフィールドから墓地へ送ることで、墓地のシンクロモンスターを復活させることができる!」
「墓地のシンクロモンスターを疑似的にシンクロ召喚するだと!?」
「俺はジャンク・シンクロンとジャンク・ウォリアーを墓地に送る!再び飛翔せよ!スターダスト・ドラゴン!」
《スターダスト・ドラゴン》(☆8/ATK 2500)
「レイジ・リシンクロで特殊召喚したモンスターの攻撃力は500ポイントアップする」
《スターダスト・ドラゴン》
ATK 2500→3000
二台のDホイールはついに横並びとなり、遊星号はさらに前に出る。
「俺がここまで来られたのは、ひとえに絆の力だ!仲間が俺を強くしてくれる……俺が戦うのは、大切な仲間を守るため!俺は守るもののために戦っているんだ!」
「そうだ、人は守るもののために戦う。俺達は誇り高きデュエリストだ!守るものが違えば、デュエルで戦うことができる!!」
「そうなれば……そのとき、俺はイリアステルに負けるわけにはいかない!既にやるべきことは決まっている、迷っている時間などないんだ!これが俺の答え!クリアマインド!!」
今の遊星の心には一点の曇りもない。加速する世界に見つける、揺るがなき境地。
「レベル8、スターダスト・ドラゴンに、レベル2、シンクロチューナー、フォーミュラ・シンクロンをチューニング!集いし夢の結晶が、新たな進化の扉を開く!アクセルシンクロオオオオオオ!!!!!!」
カイバーマンのDホイールを抜かしきらんというところで、突如遊星号が姿を消す。
「消えた……!!」
「招来せよ、シューティング・スター・ドラゴン!!」
カイバーマンの前で消えたはずの遊星が、後ろから現れる。引き連れるは、遊星の新たな力。光の粒子を散らせながら宙に舞うドラゴン。その姿はどこか幻想的にも見える。
《シューティング・スター・ドラゴン》(☆10/ATK 3300)
「シューティング・スター・ドラゴンの効果発動!デッキの上から5枚めくり、その中のチューナーモンスターの数まで攻撃することができる!」
遊星の思いにデッキが応える。
「1枚目、チューナーモンスター、ニトロ・シンクロン!2枚目、チューナーモンスター、スチーム・シンクロン!3枚目、チューナーモンスター、デブリ・ドラゴン!4枚目、チューナーモンスター、チェンジ・シンクロン!そして5枚目、チューナーモンスター、エフェクト・ヴェーラー!」
「ふぅん、やってくれる……!」
「これによりシューティング・スター・ドラゴンは5回の攻撃が可能。バトルだ!シューティング・スター・ドラゴンで、青眼の白龍を攻撃!スターダスト・ミラージュ!!」
シューティング・スター・ドラゴンが5体に分裂し、攻撃体制に入る。だが攻撃する遊星が全力であれば、それを受け止めるカイバーマンもまた全力であった。
「見事だ、不動遊星!だが、その前に俺は青眼の精霊龍の最後の効果を発動する!このカードをリリースし、エクストラデッキから光属性・ドラゴン族のシンクロモンスターを特殊召喚する!白き魂を昇華し、より強靭に輝け!現れろ、蒼眼の銀龍!!」
「ここに来て、青眼が姿を変えた……!?」
光の中から現れる、白銀に輝く龍。この龍も青眼の白龍によく似ているが、より鱗が重厚になり、一回り大きな体が強い威圧感を放つ。
《蒼眼の銀龍》(☆9/DEF 3000)
「蒼眼の銀龍が特殊召喚に成功した時、俺のドラゴン族は次のターンのエンドフェイズまで効果の対象にならず、効果で破壊されない!!」
「くっ……だが攻撃は続行する!シューティング・スター・ドラゴン!」
遊星の呼び掛けに応え、《シューティング・スター・ドラゴン》が《青眼の白龍》に突撃する。
「罠発動!攻撃誘導バリア!自分の守備表示のモンスター1体の守備力を600ポイントアップし、攻撃対象をそのモンスターに移す!!」
《蒼眼の銀龍》
DEF 3000→3600
《蒼眼の銀龍》目掛けて、《シューティング・スター・ドラゴン》が突撃する。バリアによって強化された銀龍を相手に、《シューティング・スター・ドラゴン》は再びその姿を1体に集約する。空気を震わせるほどの激突の末、蒼い瞳は闘志を燃やしたまま、遊星の前に立ちはだかっていた。
遊星
LP1000→700
「攻撃誘導バリアは適用されたバトルと共にバトルフェイズを強制終了する」
「この攻撃でも防がれるか……だが、これで効果を無効にする青眼の精霊龍はいない。シューティング・スター・ドラゴンのレベルをひとつ下げ、レベル・スティーラーを特殊召喚する!」
先ほど召喚に失敗したテントウ虫が星を食べて現れる。
《レベル・スティーラー》(☆1/DEF 0)
「ターンエンド!」
遊星
LP700/Sp0/手札0
《シューティング・スター・ドラゴン》(☆10/ATK 3300)
《レベル・スティーラー》(☆1/DEF 0)
長い遊星のターンが終わり、カイバーマンにターンが移る。デュエルはクライマックスを迎えていた。
「俺のターン!」
カイバーマン
Sp7→8
遊星
Sp0→1
「ふぅん、アクセルシンクロ、しかと見届けたぞ。不動遊星、お前の魂に敬意を表し、究極のデュエルを見せてやる。その身に刻むが良い!スタンバイフェイズ、蒼眼の銀龍の第二の効果発動!墓地の通常モンスターを特殊召喚する!出でよ!青眼の白龍!!」
響き渡る銀龍の咆哮。シンクロ素材となった《青眼の白龍》がフィールドに舞い戻る。
《青眼の白龍》(☆8/ATK 3000)
「まだだ!墓地の
「そんな効果まで備えていたのか!これで墓地の青眼が全て回収された……!」
「手札からSp-スピード・フュージョンを発動!スピードカウンターが4つ以上あるとき、融合モンスターを融合召喚する!」
「なんだと!?スピード・ワールド2を完全に無視するというのか!」
スピードカウンターが8つあるカイバーマンがスピード・ワールド2の効果を使えば、遊星のように1枚ドローすることはおろか、スピードスペルを見せることで800の効果ダメージを与え遊星のライフを0にすることも――。この男はそのどちらも使わず、たった今ドローした1枚だけで究極のモンスターを呼び出そうとしている。
「スピードの世界を無視するわけではない。俺のデュエルが世界を超越するのだ」
カイバーマンがギアを上げる。
「手札とフィールド、合わせて3体の青眼を融合!ゥワハハハハハハ!融合召喚!現れよ!
高笑いの中、召喚されるのは三つ首の巨大な竜。それぞれの首一つ一つが《青眼の白龍》。溢れんばかりの究極の力が、頭部にあらわれた模様からも感じ取れる。
《青眼の究極竜》(☆12/ATK 4500)
「攻撃力、4500……!?」
遊星もカードを駆使し、それより高い攻撃力のモンスターで戦ったこともある。だが、何のサポートも効果もなく、単体でシンプルに4500の攻撃力を持つモンスターなど見たことがなかった。
再びカイバーマンが前に出る。
「蒼眼の銀龍を攻撃表示に変更!バトルだ!まずは邪魔な虫ケラに消えてもらう!蒼眼の銀龍で、レベル・スティーラーに攻撃!エクストリーム・ブラストォ!!」
「くっ!」
銀龍の放ったブレスでレベル・スティーラーが吹き飛ぶ。息つく間もなく、究極竜の3つの口にはエネルギーが溜まる。
「青眼の究極竜で、シューティング・スター・ドラゴンを攻撃!アルティメット・バァースト!!!」
「シューティング・スター・ドラゴンの効果発動!このカードを除外し、攻撃を無効にする!!」
膨大なエネルギーを1つに纏め、放たれた一撃。シューティング・スター・ドラゴンは異空間への扉を開き、波動砲のようなブレスを防ぐ。2体のぶつかり合いが、強烈な光を放つ。並のDホイーラーは、迫力だけでクラッシュしかねない。
そして、その光の先に。
「リバースカード、オープン」
カイバーマンの声。そして何度も感じた、龍の鼓動。
《青眼の白龍》(☆8/ATK 3000)
「青眼の白龍……!?なぜ……!」
「罠カード、竜の転生。このカードにより青眼の究極竜を除外し、青眼の白龍を特殊召喚させてもらった!」
もはや遊星に打つ手はない。が、全力でぶつかった遊星の口元には笑みがこぼれていた。激闘に終止符を打つ一撃が放たれる。
「フ……俺の負けか……」
「これで終わりだ!滅びのバースト・ストリィーーーム!!!」
不動遊星
LP700→0
WINNER:カイバーマン
――――――――――
カイバーマンの勝利に、観客席の精霊が沸く。再びサーキットのスタート地点に戻ってきた二人が、Dホイールを降りる。
「完敗だ。凄いデュエルだった。」
「当然だ。お前ごときには負けん」
「フ、言ってくれるな」
「だが、俺と青眼をここまで追い込むヤツはそういない。不動遊星、貴様も誇り高きデュエリストだった」
「……!」
遊星の背後から足音が近付く。四足で駆けるその音の主、白き獅子のモンスターがサーキットに入ってくる。
「遊星殿!!」
「お前は、レグルス!精霊としてのお前に会うのは初めてだな」
レグルス。
「そうですね。遊星殿が精霊界に迷いこんだことを察知したエンシェント・フェアリー様の命を受け、お迎えに上がりました。」
「そうか。ここからシティまで帰れるのか?」
「この場所さえわかれば、我々の力で戻ることができます。観客席の精霊達も力を貸してくれるようです」
「わかった。クロウたちも心配するし早く帰らないとな。カイバーマン!礼を……」
遊星が振り返ると、既にカイバーマンと青眼型のDホイールは消えていた。一体いつの間に……。最後まで謎の多い男だ。
それでも遊星は、虚空に向かって言わずにはいられない。
「ありがとう、カイバーマン……!」
ふぅん、と鼻で笑う声がどこからか聞こえたような気がした。
さあ、帰ろう。仲間の待つ街へ。
遊星を迎えるネオドミノシティの空から雲は消え、夕焼けに紅く染まっていた。
END
おかげさまで前編だけで、予想以上のUA数に驚いています。
あとがき・解説を活動報告に投稿しましたので、もし時間があればそちらも読んでくださると嬉しいです!
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!