なにもみえない   作:百花 蓮

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 遅れてすみません。


策略

「うちはの嬢ちゃん。ちょっといいか?」

 

 今は基地の中だ。

 そこに着いて一日目の夜。小日向の隊長さんに呼び出される。

 

「なに?」

 

 タバコ臭いし酒臭い。

 酔ってるんじゃないか、これは。

 よく真面目な演習だというのに、そんなに気楽でいられる。

 

「ああ、今日のことで少し確認しておきたいことがある」

 

 腐っても隊長だからか。

 さすがに役割は果たすのだろう。そうでなければ、上忍になれるわけもないか。

 

「いいけど……。私、だけ?」

 

 必要はないが、周囲を見回す素振りをする。

 秘密の特訓、ということで、(なま)った身体を動かしていた。

 

 これでも忍者学校(アカデミー)ではそれなりの方だったんだ。もともと体術もできないわけではない。

 そしてそう、意外にも、身体能力はあまり衰えていないようにも思えた。

 家事の成果かな。

 

「ああ、嬢ちゃんだけだな……」

 

「…………」

 

 一歩、下がり、少しだけ距離を取る。

 相手は上忍。私は下忍もどきだ。

 たぶん逃げ切れはしないけど、抵抗は全力でさせてもらう。

 

「いや、なんで退く……っ!?」

 

「こ、怖いこと、しない……?」

 

「そんなことしねェよッ!!」

 

 顔を赤くして……。

 酔っ払いは信用ならないんだ。知ってる。そう教わった。

 

「あー、あれだ。なにか聞かれちゃまずいこと、あるんじゃないかと思ってな……」

 

 その考えを修正すべく、隊長は補足を加える。

 聞かれちゃまずいって、ことは少し思い浮かばない。強いて言えば、シスイのやつに頼まれたことだ。

 

 ()()()のため。延いては里のためになることらしいが、本当にシスイの予測通りになるとは私には思えない。

 もし、それが的中してしまったなら……。

 あの時のシスイの声色は真剣そのものだった。

 

「ないわ」

 

 そう答えておく。

 隊長さんが、そこまで不躾に尋ねてくるとは思えなかった。そもそも、うちは情勢にでも詳しくなければ、そんな話にはならないはずだし。

 

「ない、なら、いいんだぜ? ほら、オレんとこも、それなりには複雑だからな……。ああ」

 

 ――小日向……か。

 

 日向一族とは縁があると聞いた。

 宗家や分家のシステムで人を縛り付け、血継限界を徹底的に管理している一族だ。

 その血継限界である(びゃく)(がん)開眼条件は写輪眼よりも比較的緩く、個の実力が際立つ()()()に対しては、数で勝り、力が並んでいる現状だ。

 

 得意技は柔拳。

 正確に写輪眼でも見ることのできない点穴を突き、チャクラの流れ止めるのがお得意の戦法だ。

 あと、視野が広い。その()()()にはない索敵能力は、脅威と言えよう。

 

 だが、身内贔屓ではなく、世間一般の認識としては()()()の方が警戒すべきとみなされている。

 ゆえに、その厳格な管理体制も相まってか、日向一族は里とは折り合いよくやって行ってる。

 

 だからこそか、今までうまくやってきたからか、その仕組みの崩壊を恐れている輩がいるということだ。

 

「そう。残念ね」

 

「ああ、この血筋(しゅくめい)だけはどこに行っても付いて回る……。難儀なもんだ……」

 

 憔悴したようにしてそう溢す。

 懐からボトルを取り出す。蓋を開け、一気に呷った。

 漂ってくる芳香に、それがアルコールの類いだということがわかる。

 

「身体に悪い……」

 

「オレたちは忍だぜ? もとより、長くは生きれない。……と、嬢ちゃんには、自覚がないか……?」

 

 ボトルをしまい、次いでタバコとライターを取り出す。

 タバコを咥え、ライターの口を風から守るように手で覆うと、火打石をこする。

 

「少なくとも、今は……」

 

「まあ、いいんじゃねェか? 今の時代、少しはまともだからな……」

 

 せせら笑うような台詞だ。

 なんどか、乾いた石をこする音がした。

 しかし、火はつかない。オイルがないのか、石がダメになったのか。理由はいろいろ考えられる。

 

 軽く舌打ちをし、ライターをしまう。

 おもむろにタバコを指で挟み、口から離した。

 

「なあ、嬢ちゃん。確か、うちはって火遁が得意――( )

 

「燃やす」

 

 印を結ぶ動作を見せると、彼は〝冗談だ〟と肩をすくめ、タバコをしまった。

 解消されない苛立ちからか、彼は一つため息をつく。

 

「それで、本題だが……」

 

「なに?」

 

「なんで見つかった?」

 

 今日のあの潜入でのことだ。

 私ほどの感知能力があってなぜ、危機を避けられなかったのか、そう彼は尋ねている。

 

「面倒なのがいたから」

 

 ただ、それだけだ。

 それだけの理由だ。

 

「そうか……。相手にも感知タイプがいたってことか……?」

 

「…………」

 

 ただ単に下手をして見つかっただけだ。

 だが、それを言いたくはない。

 気まずく顔を背けておく。

 

「それで、なんで戦おうとした? 敵がきてることくらい、わかってたんだろ?」

 

「別に……。そうするしかなかったから」

 

 私に他の選択肢はなかった。

 それだけの話だ。

 話に夢中だったわけでは決してない。むしろ終わるタイミングを探していたくらいだ。

 

「はぁ……。まあ、いいが……仲間を危険にさらすような真似は絶対にするなよ? 二度ともとには戻れない。オレからの忠告だ」

 

 私の返答を待たずに、また、酒を(あお)る。

 そのまま、空になったのだろう。置かれたボトルは、ただ軽そうな高い音だけを立てる。ただ虚しく響いていく。

 

「大事に飲まなきゃ……。お酒も、食べ物も……戦争には重要だから……」

 

 皮肉を込めて。

 これは平和な訓練だ。この戦争かぶれをからかってやる。

 

「ん? ああ、そうだな……いや、そうか……」

 

 何か、意味ありげに頷いている。

 勝手になにを納得しているのだろう。

 

「じゃあ、またな?」

 

 そのまま手を上げて、私には目もくれずにどこかに行ってしまった。

 余計なことを言っちゃったかな……。

 

 まあ、それはともかく。

 

「これ、片付けなきゃかな?」

 

 彼の置いて行ったものだ。

 使い道も特に思いつかない。唯一思いつくものといえば、手紙を入れて川に流すくらいだ。

 

 やっぱり、不法投棄を見逃す勇気は私にはない。

 勘違いされないことを祈ろう。飲んだのは私ではない。

 

 

 ***

 

 

 酔っ払いに絡まれてから三日が経った。

 初日以来、特に私たちにはお呼びかがかからず、待機状態が続いている。

 なんでも警戒体制が強く、決め手にかいているかららしい。相手側では砂の由良と言う名前の若い上忍が、辣腕をふるい陣頭指揮を執っているそうだ。

 

 初日に手に入れた情報で、敵から得たアドバンテージも効果が少なくなりつつある。

 

 この訓練の攻略法は思いつくだけでも二つ。

 

 一つは単純に全面攻勢による制圧。ただ、人数的にこれはほぼ不可能。同数では、籠城されたときの勝ち目が全くない。

 

 もう一つは、少数精鋭における侵入。そして、目当ての情報の奪取だろう。

 だか、まあ、無論のこと、敵が何を狙うかわかっていれば、守ることはたやすい。

 

 正直なところ、どちらも難易度は非常に高い。

 

 だからだろう。

 だれが言ったのか、第一の標的がその情報の書かれた巻物ではなく、食糧へと変わった。

 私たちが持ち帰った地図情報から割り出したらしい。

 

 結果は大成功。

 警戒を巻物に集中させていたせいだろう。敵の食糧は焦げ付いてしまった。

 いやらしい戦法をしているものだね。全く。

 

 まあ、そういうわけで、互いにジリ貧。

 もともと、籠城をしている方が有利ということを鑑みて。ようやく五分五分に持って行けたというところだろう。

 

 ここまでくれば、敵の次の動きは大方、予想がつく。

 だから、私はここでのんびりしていればいい。

 

 そういうわけで、基地からは少し離れた岩場の上で寝転んでいる。

 

「なにをしているんだい?」

 

 そしたら、どこかからやって来た同じ班のインテリ君が話しかけてきた。

 

「釣り」

 

 眉を潜めながら、起き上がる。

 この人、嫌い。

 

「なにか釣れるのかい?」

 

「ガラクタが釣れた……」

 

「…………」

 

「…………」

 

 訝しげに見つめられるが、私は憮然とした態度を保ちつつ顔を背ける。

 とても気まずい。

 まあ、でも、話だけでも聞いてあげよう。

 

「なんで、ここに?」

 

「ああ、君に君がここにいると言われたんだ」

 

「…………」

 

 少し意味がわからないかな。

 真面目な顔でおかしなことを言わないでほしい。

 

 一瞬だけ、そう思ったが、よく考えたらその意味がわかる。

 

「何の用?」

 

「ああ、手合わせを願いにね。あのエリートの、うちは一族の腕前を見せてもらおうと思って……」

 

 厄介なのに目をつけられてしまった。

 まあ、こういうことだ。現在秘密の特訓中の分身の私のせいだ。が なにを考えてのことかは、分身を解除しなくてもわかる。私だから。

 

「わかった」

 

 立ち上がって、服にまとわりついた砂を払う。

 少し、予定を変更しなければならなくなったが、まあ、問題ないだろう。

 

「話が早くて助か……」

 

「忍術はなし、武器もなし、幻術はだめ、降参したら負け」

 

 拳をふる。

 適当にルールを言って、殴りにかかる。

 とりあえず、みぞおち狙いだ。

 

「やれやれ……」

 

 インテリメガネ君は済ました顔のままだった。

 

 まず、私の拳を手で受け止める。

 次に足払いをかけられる。

 流れるように、バランスを崩した私の腕を捻り上げてくれる。

 

「はうっ」

 

 うつ伏せに倒れ、手足をジタバタさせる。

 だめだ。この状態だと勝機はない。

 

「このルールで勝てるとでも……!」

 

「痛いっ! 痛いっ! やめて……っ! 折れちゃうぅ!!」

 

「……なっ!?」

 

 驚愕に染まるインテリくんだ。

 少し厳しい姿勢だけども、見えるように、下まぶたに指をあて、舌を出す。

 べぇー、だ。

 

「て、ひゃえ……っ。あ……? ちょっとっ!?」

 

 気づけば、身体が宙に浮いていた。

 放り投げられたんだ。多分。

 私の空間認識能力がそう言っている。

 

 あまりに予想外の事態に受身が間に合わない。

 さすがに、この仕打ちはないんじゃないかな。

 

 砂の上をころころところがる。

 ざらざらとした砂が、服や下着の中にも入ってくる感覚がある。

 最悪だ。

 

「……痛っつぅ……」

 

 あちこちが擦り剥けてしまったのは間違いない。ヒリヒリと痛む。

 起き上がろうとするが、頭がくらくらして、手足が言うことをきかない。

 

「どうやら、やる気がないみたいだね」

 

 立ち上がれない私へと、インテリくんは近づいてくる。

 なんとか手を打とうとするが、遅い。

 

 

 容赦なく、腹部に蹴りが入れられる。

 

 

「うぐ……っ」

 

 軽く数メートルは転がされる。

 さすがにここまでくると、反撃はできない。

 私は()()()()()印を組もうとする。

 

「おっと、それはダメだ……」

 

「きゃっ……」

 

 彼は即座に私の手を踏みにじる。

 鋭敏な観察力と、的確な判断力だ。

 

「酷い! 鬼! 外道! 根暗メガネ!」

 

 彼は、中指でクイっとメガネのブリッジを押し上げていた。

 

「……そこまで言うかい……?」

 

「……うぐ……っ」

 

 口汚く罵ってみたのが、いけなかった。

 

「……おっと、そうだね。……なんで君みたいなのが、忍を名乗っているんだい? 目が見えない……。しかも、ガキで、女だ。忍者学校(アカデミー)を卒業できたから? うちは一族たからか? それだけだ。たった、それだけで……任務の経験もない! それなのに、一人前に忍気取りだ……ッ! そういうのが一番ムカつくんだよ!!」

 

「あ……、がぁ……っ」

 

 そこからは何度も、何度も蹴り続けられる。

 徹底的に痛めつけるように。

 逆らう気力がなくなるくらい……何度も、何度も。

 

「も、もう……止めてぇ……! お……お願い……」

 

 ここまできたら、恥も外聞もなく助けを求めなければならない。

 わきまえてるのかどうなのか、ちょうど私の意識が途切れないくらいの攻撃ばかりだ。

 

「ゆ……許して……? わ、私が……いけなかった……から……」

 

「…………」

 

「う……っ、へぐぅ……っ」

 

 無言で蹴りは続けられる。

 どうやら、これではいけないようだ。

 もう一度、私のことを蹴ろうとする――( )

 

「ま、()()()()……。これ以上、()()()……っ」

 

 ――その足は、ピタリと止まった。

 

 メガネブリッジに手を当てたまま、動きをとめる。

 その仕草は、なにかを考えているようだった。

 

 そして――。

 

「今日のところは、ここまでにしておこうじゃないか。明日を楽しみにしてるんだよ?」

 

 それだけ言うと、興味を失ったかのように、私に背を向けた。

 もちろんのこと、私にはその背中に手裏剣を投げつける余力はない。

 

「お、お願い……。明日は……っ。まだ傷が治らない……」

 

 振り返った視線があった。

 混じっていたのは困惑。

 だが、それも一瞬。また、前を向き、すぐにそこから去ってしまう。

 

 ああ、もはや私はなにもできない。

 思った以上に酷い仕打ちだ。

 砂漠の夜は冷えると言う。少し、まずいかもしれない。

 

 

 ***

 

 

 あれから数日が経った。

 私は今、医務室にいる。

 心優しい木ノ葉の少年に連れられて、ここまでやって来たわけだが、現在、ここから出られない、いわゆる軟禁状態にあった。

 

 ちなみに、怪我はまだ治りきっていない。

 

 外がどういう情勢にあるか、全く知らされていない私であったが、今はどこか騒がしい様子だった。

 

「うちはの嬢ちゃん。久しぶりだな? 大丈夫か?」

 

 ひっそりとやってきて、ベッドのわきの椅子に座った男だ。軽薄そうな笑みを浮かべて、戦争かぶれが私に話しかけてくる。

 

「まあ、ちゃんと傷の治療はしてもらえたから」

 

「ん……。そうか、なら、良かった」

 

 言葉とは裏腹に、その表情は全く思いやりや労りの欠片も感じられないものだ。

 そんな無粋な男に辟易としてしまう。

 

「はぁ……。それで、今、どうなってる?」

 

「今……?」

 

「とぼけないで……。さっきまで、騒がしかった」

 

「ああ、そうだな――」

 

 そこまで言うと笑みを消し、どこか剣呑とした雰囲気を纏わせる。

 悪ふざけはもう一切なし。言葉でなくとも、肌で感じるものがある。

 

「――結果から言えば、大勝だ。うちはの嬢ちゃん、よくやってくれた……」

 

「別に……。私はここにいただけ」

 

「あ、ああ……」

 

 勝った……。

 そのはずなのに、反応がどこか著しくない。

 そんな違和感につい、眉を潜めてしまう。

 

「浮かないわね」

 

「いや……。あ、いや、そうだな……確かにそうだ」

 

 気まずげにボソボソと喋り、最後に自分で納得する。

 そういうのは、やっぱり、気にくわない。

 

「説明して、最初から……」

 

 追及をすれば、どこか改まったように向き直り、顎に手を当て話し始めた。

 

「まあ、食糧を焼いた話は知ってるよな?」

 

「ええ……」

 

 悪辣な作戦だったのはわかる。

 まさか相手もそんな本気の嫌がらせをされるとは思ってもみなかったのだろう。

 

「そこからだ。まあ、相手も焦ったんだろう。こっちに攻め込んできたんだ」

 

「食糧を奪いに?」

 

「いや……総力を挙げてな……。決着をつけにだ」

 

 攻める側と攻められる側が入れ替わってる。

 まさか、籠城するべき側から攻めてこないだろうという隙をついた、賭けにも近い作戦か。

 

 情報を最後まで奪われなければ、籠城側は勝ちになる。

 敵を全員無力化して、捕縛して、時間まで待ってもなにも問題はない。干上がる前に決着が付けたければ、そうするしかなかったわけだろう。

 

 だが――

 

「よほどの自信があったのね」

 

「はは……。内通者でも居たんじゃないか?」

 

「ええっ……、そんな……っ! まさか」

 

「ああ……」

 

 信じられないと反応を見せた私を、戦争かぶれは呆れた顔で見つめていた。

 いや、だって、普通、訓練で裏切り者とか……よっぽど仲間に恨みをもってないと、ね。

 

「それで……負けちゃったの? ねえ、負けちゃったの?」

 

 やや食い気味になってしまったか、身を乗り出してその結果をゆする。

 

「勝ったって、言ったろ? 罠にかかって敵はほぼ壊滅。残りもほとんどは投降済みだ」

 

「そう……」

 

 わかっていたことではある。

 だが、そう言われると、いまいち判然としないものがある。

 勝って()()()()

 ()()()()()()()()()()

 

「まあ、そういうわけだが、これを見ろ」

 

 私の前になにかが放り出される。

 巻物……だ。

 

「これが……?」

 

「今回のターゲットだ」

 

 つまり、この中の情報を手に入れたら勝ちだ。この中の情報を。この中の情報……あっ。

 

「あけられない?」

 

「まあ、そうだな……」

 

 浮かない顔の理由がわかった。

 トラップかなにかがかかっているのだろう。手の中にあるというのに、肝心の中身はお預け。誰だってあんな顔にはなる。

 

「無理だから……」

 

「いや、ここはお前の感知能力で……」

 

「文字は無理だから……」

 

「こう、紙のヨレとかを感知して……」

 

「無理なものは無理」

 

 ここで頷く道理はない。

 ヤケにしつこく頼み込んでくるが、そんな無茶ぶりを全力で突っぱねていく。

 

「いや、だからだな……」

 

「もう! 自分でなんとかできるでしょっ!」

 

 あまりのしつこさに限界が来た。

 つい、叫んでしまった。

 

「な……っ」

 

「あ……、これは……」

 

「俺は血が薄いからな……。まあ、隔世遺伝か、稀に……稀にだ。宿す者が出てくる」

 

 遺伝子学には明るくはないし、その理屈はわからない。

 ただ、脈々と血が受け継がれていっている。それだけだろう。

 簡単に、それは逃してはくれない。

 

「まあ、この話はこれで終いだ」

 

 互いに都合が悪くなったのは違いない。

 これ以上の詮索は身を滅ぼすことになる。

 そこらへんは、上忍としてわきまえているのだろう。

 

「それとだ。言い忘れていたが――( )

 

 立ちあがりざまに、思い出したように戦争かぶれは私に声をかける。

 

「うちはの嬢ちゃん、助けに来たぜ?」

 

「そう。遅かったわね」

 

「任務完了だ。敵地は大変だっただろう……」

 

「別に、至れり尽くせりだったわ」




 筆が進まなかったので、あっさり終わらせました。
 本当に遅くなってすみませんでした。

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