織斑一夏になったがオリ兄がいたので丸投げしたい 作:XYZ+
IS学園に通うまでの事を語ろうと思う。
僕の名前は織斑一夏………と言う事になっている転生者だ。
転生なのか憑依なのかよく分からないが、あんまり大差ないので転生者と言う事にしておこう。
ちなみに、真っ白い空間で老人や幼女や女神の姿を借りた自称神様とは出会っていない。
僕の考えでは神なんていない。
仮に存在するとすれば厄病神と貧乏神と死神に精々後は邪神がいるくらいじゃなかろうか。
もしもいたとしても、全知全能であるが故に何もわからず何もできず見てるだけなのが「神」だ。
ニーチェだって「神は死んだ」と言っている。
全く関係ないが。
ともかく、気が付けば5歳児で織斑一夏だったのだ。
そう、IS‐インフィニット・ストラトス‐の。
原作はハイスピードハイスクールラブコメディだっけ?なんか違うな。
ともかく、ISと言う女性しか装着できないはずの現代兵器よりはやーい、もとい強い兵器を
<何故か>装着できた男性、織斑一夏と彼を取り巻く女性たちの笑いあり涙あり戦いありの
そんな学生生活を中心にした話である。勿論学校は女子校の中に男が一人状態。
用務員は除く。
ちなみに原作は小説を読んだくらい。
アニメ?漫画?見てませんよ。
二次創作なら読んだ。
特にチートらしいチートはなし(確認できた範囲では)。
まぁ、神様に出会ってやり取りもしていない上に死に方が死に方である。
原作主人公に転生できただけでも御の字?ではなかろうかと思ったのだが………。
世の中はそんなに甘くなかったのだ。
双子の兄、織斑一秋(かずあき)が存在している!
誰だよお前! 原作にいなかっただろう!!
そしてこの兄、大変に凄い。
別に空を飛んだり気を放ったり魔法を使ったりライダーに変身する訳でもないが、
(見てない所でミラーワールドでライダーバトルしてる可能性は捨てきれない)
剣を振らせれば小1の時点で千冬姉さんと互角の腕を見せ、
頭脳は小学校のクラスで常に5番以内と言うくらいには天才児なのだ。
まぁ、何を言いたいかと言うと兄も間違いなく転生者だという事だ。
向こうも僕が転生者では?と疑っていた節はあるのだが、生憎とチートではない僕。
どのジャンルにおいても何をどう足掻いても勝てないのでその線は「一先ず」捨てたようである。
僕が「今は雌伏の時期だ! 猫被ってないと大変な事になる!!」と判断しているとも考えられるけども。
「出来る姉と兄、出来ない弟」となると苛めの対象と言うか俗に言う「この出来損ないめ!」
とコミュニティ全体から村八分にされる勢いで周囲から白眼視されると言う展開が
この手の話のお約束であるが、案の定そう言う心無い人はそれなりにいるわけであったりする。
流石に「歩いてたら石を投げられた」とか「『お前に売るものはねぇ』と購入を拒否された」
とかはなかったが。
ただ、姉である織斑千冬は誰が見ても兄弟公平に接しているし、その友人である篠ノ之束さん
にしても僕を蔑ろにするわけでもなく、兄と同じ程度には(ちゃんとした意味で)可愛がって
くれてるんではないかなぁと自負してもいいくらいの自信はある。
生憎、束さんの妹である篠ノ之箒さんからすれば僕は「軟弱者」らしく下に見られている
節がある。
比較対象が千冬姉さんと互角の戦いを繰り広げることのできる一秋兄さんである。
それに比べて………と言うのは若干ハードルが高すぎるのではなかろうか。
実力出し切っても無理な物は無理だから!!
ヤムチャはどう足掻いてもベジータに勝てないわけで。
一秋兄さん?いい意味でも悪い意味でも自分から動かない人。
定番ともいえる俺苛めの首謀者になるわけでもなければ、僕を庇って弁護する訳でもない。
「あいつはオレと出来が違うからな」って言うくらいが精々と言った所か。
まぁこれくらいならば想定の範囲内と言うか妥当なラインだろう。
何せ、僕の前世と来たら文武両道を絵に描いたようなイケメン兄と、才色兼備を絵に描いたような
美人妹がいてそれはもうただのパンピーで(よくて)凡人でしかなかった僕を見下す事見下す事。
「お前が弟なのが世間様に恥ずかしい」「アンタが兄とか絶対許せない」とか当人眼の前で
言い放つレベル。
親は親で「何でアンタみたいなのが生まれたのかしらね?」って聞いてくるんだぞ?
産んだのはアンタらだっつーの!!
最終的には僕なんて家族にはいなかった、みたいな扱いだったからなー。
周りは周りで「このロクデナシ、死ね!」ってノリだったし。
そんなこんなで肩身が狭すぎて世を儚んで自殺。
逃げたと嘲笑えば嘲笑え。
他に道はなかったんだ。
この手の転生モノによくありがちな前世不幸自慢はこの辺にしておいて話を元に戻そう。
何が言いたいかと言うと、それに比べれば何と恵まれた環境か!という事だ。
分け隔てなく接してくれる姉に不干渉を貫く兄、それだけでも存分に恵まれている。
故にその手の悪意ある罵詈雑言に対しても鷹揚に受け止め真摯に対応できるだけの心の余裕が
あったのである。
即ち、「姉さんや兄さんは僕と違って凄い人だから」と。
後は「あんな凄い人に僕もなれるといいなぁ」と内心すっとぼけつつ外面よく言っておけば
大体の奴は相手にしてるのが馬鹿らしくなるのか、それ以上は何も言わなくなるのである。
前世でもこうしておきゃよかった、と思うのは未練なのか。
そんな感じで織斑一夏としての人生をのんべんだらりとやって来たのである。
あんまり目立って、兄に不審がられても困るので控えめに目立たないように出来ない子路線で。
または「兄より優れた弟はいない」を実践する形で。
まぁ、そもそも努力しても追いつけないスペック差なんで目立ちようがないんだけど。
結果として凰鈴音からの印象も「やる気のないヘタレ」扱いになったのだが仕方ない話。
もう、原作は一秋兄さんに譲ると決めたのだ。
実際問題、彼は原作やる気満々みたいだし。
何せ、ドイツに千冬姉さんの試合の応援に行くって時も凄い気合い入れて行ったからなぁ。
誘拐されたらやっぱり怖い思いするから気合い入れてたんだろうか?
僕?出発前々日辺りから頑張って風邪ひいて日本で留守番してたよ!
兄に間違われて誘拐された挙句、「こいつ出来損ないの方じゃん、死ね」とか
言われてズドンとかマジ勘弁だし!!
あるいはそこから異世界に飛んだり何か凄い人が助けに来て養子にしてくれる可能性も
もしかしたらあるかもしれないが、それを願って虎穴に飛び込む度胸はない。
あ、少なくとも千冬姉さんが僕だけ助けないって選択肢だけは間違いなくないと断言できる
………うん、きっと多分断言する。
ただやっぱりドイツ軍が独自に救出に動いて僕だけ見捨てられる可能性もあるしなぁ。
とかそう言うのを考えるとやっぱり留守番最強じゃんと言う結論に至ったわけで。
誘拐実行犯の<亡国機業>さんが留守中の僕を襲撃する可能性について全く考慮してなかった事に
気が付いたのはドイツから千冬姉さんの安否確認の電話が入ったのと警察から人が来てから。
国家レベルで重要人物だもんなぁ、千冬姉さん。
多分、国が気を効かせて人を寄越したんだろうね。
(これが実は偽警官だったと言う事もなかった。マンガじゃあるまいしそんなわけがない)
まぁともかく、兄と一緒に予定以上にドイツで過ごした千冬姉さんは兄さんを日本に送り返すと
とんぼ返りでドイツへ。
兄が世話になったので原作通りドイツ軍に教官役として赴任して現在進行形で負け犬(負け兎?)
のラウラさんを戦闘のプロに仕立て上げるのだろう。
あぁ、原作忠実にやっておかないとラウラさん終了の可能性があったのかと気づいたのもここ。
もう自分は関係ないや、のスタンスでいるのでそんな認識である。
この辺りで一秋兄さんも僕が転生者じゃないのか?と言う可能性はほぼ捨てたっぽい。
まぁ、僕がラウラアンチ転生者でお前だけは死ねとあえて原作を吹っ飛ばそうとした可能性だって
捨てきれないだろうけど、流石にそれは転生者のレアリティ高すぎるだろうという事で。
成績が良すぎたあまり、藍越学園なんて進学校じゃない学校に受験する訳にも(体面的に)行かず
どうしたものだろうかとばかり顔色を青くしたっぽい一秋兄さんだったが、<なぜか>受験会場で
道に迷い<なぜか>置いてあったIS(IS学園の試験会場の一つだったらしい。受験者人数的に
一か所で開催するよりも複数個所で開催してるんだとか)に触ってしまって起動してしまい、
無事?に兄さんはIS学園に入学する事になったのである。
僕?
学校の成績もそんなにいいわけじゃなかったし、家計への負担も考えて前世宜しく中卒
(高校に行ってムダ金使わせるなら働いて家に今まで育ててやった恩を返せと言う親兄妹親戚筋の
大変ありがたいお言葉による強制)で働こうかとも思ったんだけど千冬姉さんの
「せめて高校は卒業しろ」と言うお言葉で原作通り就職関係に強い藍越学園を受けたんだけど、
原作通りにIS触ってしまって俺も目出度く(?)「2番目の男性操縦者」として
IS学園入学決定ですよ。
「間違いって事にしてください」
「ここで起こった事は無かったことにしましょう、お互いの為に」
「僕の人生を壊さないで下さい」
「お願いしますなんでもしますから!」
って必死で訴えたのに受け入れて貰えなかった………。
自分的には一生に一度の頑張りと食い下がりを見せたつもりで誠意を形にまでしたのに………。
具体的には土下座だけど。
無理だと分かって五体投地まで披露したのにダメだった。
解せぬ。
なお、兄さんと僕の受験日は同一日。
なので、1日2人の男性操縦者それも兄弟と言う流れに胃がストレスでマッハだったのは
間違いなく千冬姉さんなんだろうなぁ。
ごめん。
何で原作通りISを触ったんだって?
これがきっと俗に言う<世界の修正力>って奴なんだろうと思う。
あるいは<ご都合主義の極み>。
書いた当初のタイトルは「踏み台一夏」だったんですが、
書いてたら「どっちかと言うと負け犬だよなコレ」と言う結論に至り、
「負け犬一夏」でもいいんじゃねーのとも思ったんですが、あんまりにアレだったんで
このタイトルにしてみました。
Q:そんな家庭境遇で過ごしてた前世でラノベとか漫画読む余裕と暇あったの?
A:ご都合主義のたまものです。本当に申し訳ない。