織斑一夏になったがオリ兄がいたので丸投げしたい   作:XYZ+

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そのご

「織斑、どういうつもりだ?」

 

試合終了直後。

よいこらせ、とピット・ゲートに戻って来た僕を待ち構えていたのはややお怒りぎみの

千冬姉さんだった。

うん、知ってた。

 

「質問の意味が分かりません、先生。」

「何故戦わなかった?」

 

仁王立ちの千冬姉さんからは返答次第ではただではおかん、と言ったオーラが見える。

見えると言うか視える?まぁどっちでもいいや。

 

「勝ち目がないので降伏しました。」

 

これは事実だ。

最低でも300時間以上の稼働実績がある上に国家代表候補と言うご立派な肩書まで持つ

相手に稼働実績など無いに等しい上にISを満足に動かした事のない人間が勝てる方がおかしい。

仮にここでまかり間違って彼女相手に善戦した所でその後で試合をする一秋兄さんが華麗に

素敵に見事なまでのパーフェクトゲームで勝ちを収めて、

 

「それに比べて弟さんと来たら無様な試合だったわね(失笑)」

 

と周囲から指差されて蔑まれるのがオチだ。

僕にはそんな未来予想図が見える。

見えると言うか視える?まぁどっちでもいいや。

 

「それだけか?」

「はい。」

 

実際には「クラス代表なんてする気もないし、できるわけないし、そもそも一秋兄さんが

クラス代表したらいいじゃないか」と考えているのだが口にも表情にも出さない。

思った事を隠し通すのは前世からの処世術と言う奴だ。

たまに千冬姉さんには通用しないけど。

 

「………わかった。だが、二度とこんな真似は許さん。

試合を放棄するという事は、相手に対する最大の侮辱でもある。それを理解しろ。」

「はい、申し訳ありませんでした。」

 

謝罪の言葉と共に頭を下げる。

それで済むなら幾らでも頭なんて下げられる。

減る物でも無いし。

これほど誠意のない謝罪をする人間を僕は知らない。

 

「ともかく、その機体は一次移行も終わっていないのだろう。

明日からは訓練に励め。ISを動かすのに必要なのは稼働時間だ。」

「はい、わかりました。」

 

そんな感じでIS起動に関する規則集などを受け取りながらその場を辞したのである。

待機状態?原作通りガントレットだったよ。

後、そんな話をしている間に一秋兄さんとオルコットさんの試合が始まって終わってた。

速すぎだろう兄さん………。

 

なお、兄さんの専用機はラフトクランズ………よりにもよって。

戦ってる所は見てないんだけど、やっぱり時間止めるのかな?

 

「この世界の月は巨大な宇宙船」とか止めてよ本当に。

 

 

時間は一気に進んで数日後。

ISを使った授業での一コマである。

まずはISを展開してみろ、との事で呼び出す事になったのだが。

一秋兄さん、オルコットさん、(それにずっと遅れて)僕と言う順番で展開したのだけれど。

 

「織斑弟、どうして一次移行が終わっていない?」

「申し訳ありません。」

 

ISの訓練なんて全くやってもいない僕の<白式>が一次移行を終わらせているはずもなく。

横では「マジかよ………」と言う声と共にため息をついている一秋兄さんと、

ノーリアクションどころかこっちすら見ないオルコットさん。

彼女の中では僕はもういないもの扱いらしい。

 

「ISを動かすのに必要なのは稼働時間だと前に言ったな? 今まで貴様は何をしていた?」

「申し訳ありませんでした。」

 

何もしてませんでした!とも言えないので頭を下げる。

正直、動かす練習をしに行った所で(自分のやった事とは言え)

「どの面下げて練習に来たの?」だの「貴方に練習なんて必要ないでしょうこの負け犬」

「貴方に使わせるアリーナなんて無いわ、とっとと荷物まとめて家に帰ったら?(嘲笑)」と

言われるのがオチだし、そもそも動かす必然性を感じない。

大体の事は一秋兄さんがやってくれるだろうから。

 

「まぁいい、その話は後だ。」

 

と言う訳で飛行訓練である。

難しい事を要求されるわけでは無く、文字通り空へ飛ぶだけなのだが。

 

「自分の前方に角錐を展開するように………」

 

原作では意味分からんと言ってたが、ようは進みたい方向に矢印を思い浮かべればいいのだ。

上昇する時は頭の上に矢印を、殴りあいなんかの時に前に出ようと思ったら体の正面に

矢印を思い浮かべ、後は進むイメージを思い浮かべるだけだ。

この際「何故飛んでるのか?」などと言うのは考えるだけ野暮である。

 

シールドバリアのお陰で風圧をそれほど感じる事もなくただただ真っ直ぐに飛ぶ。

そうしながらもこれまでの事を思い返す。

大層な話はないけども。

無事(と言うか危なげもなく)、オルコットさんを倒した一秋兄さんがクラス代表に決定した。

試合翌日にはオルコットさんも自分の過ちを認めて(まぁ、あの時点で認めてただろうけど

謝るきっかけがなかっただけだろう、多分)クラスに謝罪したことだし、実にいい流れである。

僕を除けば。

 

『………!』

 

まぁ、戦う前に負けを認めたとかIS戦闘史の中でも前代未聞と言うより恐らくは

初の出来事ではある。

お陰で(自業自得とは言え)周りの僕を見る目が冷たい事冷たい事。

これ見よがしに「この負け犬」とか「何でアンタみたいなのが専用機持ちなの」と言ってくる

人間も決して少なくなく。

その辺は予想済みなので気にもしてないけどね。

 

『………!!』

 

オルコットさんはと言えば、自分をコテンパンに打ち負かした一秋兄さんに惚れたらしく

(もしかして彼女はドMなんだろうか?)、篠ノ之さんと鎬を削りあっているらしい。

と言うか、一秋兄さんはその辺どうするつもりでいるんだろうか?

まさかハーレムルート建設を目指して原作ヒロインコンプするつもりなんだろうか?

本命がいるって話を聞いた事もないし、尋ねた事もないけれども………。

 

ただ、個人的な意見を言わせて貰えればヒロインはとっとと一人に決めてしまうべきで

何人もの女性をヤキモキさせていると言うのは、彼女たちにとっても失礼だと思う。

少なくとも、一秋兄さんは鈍感とは縁の遠い人間だと思っているのでその辺しっかりして

貰いたいと兄想いでは全くない一家の面汚しでもある不肖の弟としては思ったりするのだ。

 

『聞こえるか織斑っ!返事をしろっ!!』

『え、あ、はい?』

 

突然耳に入って来た千冬姉さんの声で我に返る。

………どこだここ。

一面の蒼穹の世界、と言うか見下ろせば雲が広がっている状況。

音もない、静謐な空間と言うか。

この光景の為だけに飛んだ価値はあると誰もが思う、そんな世界。

 

『どうもすみません、ボーっとしてました。』

『いいから早く降りて来い。他の二人は既に降りてきているぞ。』

 

あれか、急降下しろ10センチ以内でと言う奴か。

と言ってもこの距離から落下するとか確定で大惨事なのでそっと降りる事にする。

もしかしたら大丈夫かもしれないけど、試そうとは思わない。

降下のイメージ的にはパラシュートと言うかパラグライダーと言うか。

ともかくふわっとした感じで。

 

『もっと早く降りて来い。どれだけ待たせるつもりだ。』

 

雲を抜けた辺りでそんな声が聞こえて来る。

ハイパーセンサーのお陰で地面までばっちり見える。

どうやら、降りて来る自分は置いておいて先に話は進んでるらしい。

まぁ、この辺までくれば急降下に失敗しても死なないだろう。

 

案の定失敗して、でかいクレーターを作ったけどね。

その落下ついでに一次移行が完了したという事も報告しておこう。




Q:本当に月が巨大な宇宙船で時間を止めて来る軍勢が………と言うオチはないの?
A:ないです。兄が求めたのは「専用機」だけなので機体がアレだったのは
いわば神様がテキトーに決めた結果なので、そこにまで<修正力>を適応させるのは
幾らなんでも神様鬼畜過ぎて笑えてくるw

そう言う事にしておいてください。
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