機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 暗鉛《アンエン》   作:amber world

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参 ゴエティア

ヤマトは自分の状況が整理出来ずにいた。

 

「ようやく、目が覚めたようね。」

 

そう言って、目の前のドアが勝手に開き、人が入ってきた。

 

「あなたは、一体……」

 

「私の名前は、ミラージュ・セネカ。この船の船医よ。」

 

「この船?」

 

「そうよ。ここは、ゴエティアのヒーリングルーム。重傷者の休憩室よ。あなた、覚えてないの?」

 

「機体に乗ってからは…………機体?そうだ!あの野郎はどうなった!っ!」

 

「安静にしてなさい。あなたがここに運ばれてきた時大変だったのよ?頭から血は流してるし……ともかく、アグニカを呼んでくるから、そこで大人しくしてなさい。」

 

そう言って、ミラージュは部屋から出て行った。ヤマトは仕方なく、待つことにした。

数分後、ミラージュは男と一緒に部屋に入ってきた。

 

「……お前が、グラシャラボラスのパイロットか。」

 

「なんだよ?アンタ誰?グラシャラボラスって何?」

 

「随分多い質問だな。一つずつ答えてやる。まず、俺の名はアグニカ・カイエル。この船の艦長兼パイロット。歳は置いておくとして、好きなのは……」

 

「…いや、そこまで聞いてない。」

 

「それもそうだったな。戻すがグラシャラボラスはお前が乗っていたガンダムフレームのことだ。」

 

「ガンダム、フレーム……」

 

そう言って、ヤマトは黙る。自分が乗ったのモビルスーツがまさかガンダムフレームとは気づいてなかったからだ。アグニカは、ヤマトに詰め寄り、質問を続けた。

 

「なぜ、あれに乗った?」

 

「…………」

 

「あのバラバラになっていた機体はお前がやったのか?」

 

「…………」

 

質問するがヤマトは答えなかった。アグニカは頭を掻いて、

 

「……まぁ、言いたくないなら、別にいい。ともかく、暫くは安静にしておくんだぞ。」

 

そう言って、ミラージュ後は頼む、と言って部屋から出ようとした時にヤマトはやっと口を開けた。

 

「……友達が……目の前で、モビルスーツに殺されたんだ。……それで、たまたま…見つけた穴の……先であの機体を見つけて、乗った……」

 

アグニカは振り返り、話を聞いて目を細める。そして、口を開けた。

 

「なるほど、仇討ち、って訳か。だけど、お前はもう逃げれない。お前は、あの機体で戦わないといけない。」

 

そう言って、部屋を去ろうとする。

 

「戦わないといけないってどういう事?」

 

「……ともかく、その傷が癒えてからだ。話はその後だ。」

 

そう言って、アグニカは部屋から出た。すると、さっきの話を壁越しに聞いていた、男にアグニカが尋ねた。

 

「アレックス、さっきの話どう思う?」

 

「さっきの話は恐らくは本当だ。調べてみたら、彼、ヤマト以外にもう1名が無断欠席してるらしい。恐らくは、そいつの事だろう。実際にあの場所にあった、血液を調べたら、破壊されたパイロットの血液ともう1人別の血液が採取されたらしい。」

 

アレックスと名乗る男の言ったことにアグニカは立ち止まり、答えた。

 

「目の前で殺された、か……あいつの気持ちはわからないでもないな。だからこそ、俺達があんな奴を出さないために、早くモビルアーマーを駆逐して、この馬鹿げた戦いを終わらせないとな。」

 

そう言って、また歩き始める。すると、次はメガネをかけた女性が、アグニカの後ろを歩きながらアグニカに話しかけてきた。

 

「あの機体の回収近くの探索しましたが、ソロモン氏とゲーティア氏はやはり、いませんでした。」

 

「あの機体の設計図はどうだ?」

 

「それが……バルバトスの機体の強化案の図はあったのですが、グラシャラボラスは無かったんです。」

 

「グラシャラボラスの中には?」

 

「それが……」

 

「どうした?」

 

「開かないんです。コックピットが。」

 

「開かない?無理やりでもか?」

 

「無理やり開けようとしたら、機体からメッセージが……それがこちらです。」

 

そう言って、彼女はアグニカにタブレット端末を渡した。それを見たアグニカは怪訝そうな顔で言った。

 

「本当か?」

 

「ええ。」

 

「……全ては…彼が握っている訳か…」

 

そう言って、タブレット端末を彼女に返し、艦長室にアグニカは戻った。

一方ヤマトは、ベッドでうなされていた。

 

目の前でトーマスが殺された。

 

ガンダムに乗り込み、トーマスを殺したあの機体を見た時、ヤマト中では一定の言葉が頭の中をループしていた。

 

……壊す。ひたすら……壊す。バラバラにして、容赦なく壊して!壊して……刻んで、刻んで……!…………………

 

やがて、ボロボロになった機体からパイロットが出てきた。

 

……トーマスを殺した奴だ。どうやって壊してやろうか。微塵切りでも良し、踏み潰すでも良し、それとも、焼いてしまおうか……

 

そんなことがいつの間にか頭の中を完全に支配する。そしてメインパネルに言葉が浮かぶ。

 

ーーもっと深淵を……

 

ヤマトはひたすらガンダムの腕を動かし、パイロットとあの機体を粉々にしていく。

 

ひたすら、殺して壊して殺して壊して殺して壊して殺して壊して殺して壊して殺して壊して殺して壊して殺して壊して殺して壊して殺して壊して殺して壊して殺して壊して殺して壊して殺して壊して殺して壊して殺して壊して殺て……………………………………………………………………………………………………

そんなことがひたすら頭の中をループする。

 

ーーもっと…だ……もっと、深淵を覗け!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわァァァ!」

 

そう言って、ヤマトはベッドから飛び起き、目覚める。汗で全身が濡れている。どれ程の時間魘されていたのだろう。夢の中で殺した感触が何故か手にまだ残っている。あの悪夢は一体何だったのだろ……

 

「……大丈夫?」

 

隣から、か細い女性の声が聞こえた。声は仕切りを挟んで向こうのベッドから話しかけていた。

 

「……大丈夫?」

 

「……大丈夫、だと思う。」

 

「…よかったね。」

 

「……君は一体…」

 

「……私、サユ。サユ・ブレイナー。あなたは?」

 

「俺は……」

 

そう言って、口を開けて、自己紹介をしようとした時だった。ヒーリングルームの扉が開き、白衣を着た男性が入ってくる。

 

「おいっーす!……アレ?サユさん?どこッスかー?」

 

 

男性は、ヤマトの休んでるベッドのカーテンを押し入ってきて、ヤマトを見てそのまま無視し、サユを探す。

 

「今こちらを見ていましたよね!?」

 

「勘違いスッよ。それより、貴方ぐらいの女の子見かけませんでしたぁ?」

 

カーテン越しに言われ、一応答える。

 

「それなら隣……」

 

そう言おうとして、誰かから裾を引かれる。そちらを見ると、隣のベッドに休んでいた筈のサユがベッドの下にいるではないか。

 

「……何も、言わないで、欲しい…」

 

ヤマトは彼女に小さな声でそう言われて、黙って頷き、白衣の男に嘘を言う。

 

「……さっきまでベッドに居たんですけど、何かを食べに行くって言って、食堂の方に行きましたよ。」

 

「……食堂スっか?……わかりました。ありがとうッス!」

 

そう言って彼は、部屋から出て食堂?の方に向かって走り出した。白衣の人物が走り去って行く音が聞こえ、ヤマトはため息を吐いて、ベッドに倒れ天井を見ようとする。

 

「……ありがとう。」

 

「うわぁ!」

 

そんな声をあげ、ヤマトは顔を瞬時に赤らめる。なんと、さっきまでベッドの下にいたはずのサユがヤマトの上に馬乗りしていたのだ。思わず目をそらしてしまう。しかし、彼女は気にしてないようだった。

 

「……ありが、とう。」

 

「…うん。」

 

そう言いつつも、顔が赤くなるのがわかる。ヤマトは身体を起こし、点滴を外す。外す際に少しだけ血が出るが気にしない。サユはキョトンとしている。

 

「……何を」

 

「俺、この船のこと知らないから案内して欲しい。」

 

そう言って、彼女の手をさっきの仕返しと言わんかの如く取り、立ち上がる。サユは少し、頬を赤らめてからコクン、と頷いた。

やがて、二人はひっそり部屋を抜け出し、艦内を練り歩いた。サユは道中でここが機関室、あっちが個室、それでこれが……と言う感じであちこちを案内してくれた。

 

「……それでね、艦長が…」

 

そう言って部屋に戻ってき、扉が開くと

 

「……二人共ちょっと、いいかしら……!」

 

そう言って、船医のセネカが仁王立ちしていた。

 

 

 

「「ごめんなさいぃぃぃぃ!」」

 

そう言って、二人は逃走を決意。速やかにその場を退避しようとしたが、セネカに首根っこを掴まれ、部屋に戻されようとした時だった。

 

艦内に警報が鳴り響く。

 

続いて放送が入った。

 

『モビルアーマーを探知!パイロットはブリッジに集合せよ!繰り返す!モビルアーマーを探知!パイロットは……』

 

セネカは二人を掴んでいた手を離した。

 

「ヤマトだったかしら……君は、ブリッジに行きなさい。彼女は私が見ておくから。」

 

「何でブリッジに僕が……」

 

「それは……あなたがパイロットだからよ。」

 

「パイ、ロット……」

 

ヤマトはその言葉を噛み締める。確かに、パイロットだ。俺は、彼の仇討ちのために乗った。逃げることは出来ない。パイロットだから。死の女神様に取り憑かれたから。

 

「……彼女をお願いします。」

 

セネカはヤマトのその言葉に無言で頷き、ヒーリング・ルームに戻ろうとする。サユはこっちを、心配そうに見ていた。

 

「……戻ってきたらさ、また案内してよ。まだ見たい所いっぱいあるし。」

 

「……うん、約束。」

 

「約束だ。」

 

そう言って、指切りをした。そしてヤマトはブリッジに向かった。




次回からモビルアーマー登場です!今回はハシュマルを参考に鳥類を模したモビルアーマーを予定してます。文章力は無いですが全力で書くので読んでみてください!
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