少し昔話をしよう。
━━魔法……。
それは無から有を生み出す現象と昔では語られ、魔法を操れる者は数が少なく神秘的な現象であり、魔法を使用できるものは神の如く称えられ国に繁栄をもたらした。
ここ、バルバット国やその他の国にも魔法使いは存在し、雨が降らず大地が枯れている地域では魔法使いが雨を降らし作物を実らせることや、病や呪いの類などにも魔法使いがひとたび杖を振るえば治癒されるなど国に多くの富を与えてきた。
しかし、その反面、その強すぎる力をあまり心良く思わない人間も存在し、ある地域では何かが起こったときは全て魔法使いに責任を負わせ、解決することができなければ拷問,迫害,処刑、女の魔法使いであれば無理やり犯され、孕まされ、暴力により下ろされていた。
魔法使いたちはすぐに国に抗議をすると、国からは反逆者とみなされ、その場で処刑されており、最後には反抗するものはおらず、魔法使いたちは戦争へと駆り出されていった
その戦争に生き残った魔法使いがどのような手段を用いたのかは知らされていないが、とある国で魔法学校を設立することに成功した。魔法使いが安心した人権を確保できるように、また、魔法使いの素質があるものに安全を提供するために、だが、過去の過ちを繰り返させないように魔法が使えない人間を決して見下さないように、そういった理念のもとに学校は設立された。
はじめは魔法生徒の数が少なかったが、1期生が卒業していき世界で活躍することにより学校に入学希望をする学生が多く増えた。中には魔法が全く使えない者も入学希望をしたが、見事魔法を獲得し世界に羽ばたいていった。
そういった功績により、世界中の国が魔法学校を設立しだした。ある国では生活用品の向上を目的に、ある国では戦争の道具にするために。様々な目的があったが、魔法学校を設立した者にとっては”やっと世界に認められたのだ”と大きく感動した。
魔法学校で獲得した知識は世界で役に立ち、多くの者に幸せを与えた。時が流れて行く内に、例外は存在したが”魔法を扱えない者はいない”そんな世の中になっていった。
だが、ほぼ全ての人間が魔法を扱えるようになったことで、魔法使いへの迫害は終わることにならなかった。魔法を使えることにより、魔法に対して”平均的な魔法”が人間に表れて行った。それは当然だろう、なにせほぼ全ての人間が魔法を扱えるのだから……。”強すぎる力を持った”魔法使いはその平均的な魔法使いたちから迫害されるということが始まった。
魔法学校側もその”強すぎる力”を持った人間を保護しようとしたが、周囲の人間から反対され、保護ができなかった。そのため、あるものは誰もいない、もしくは小さな村で魔法とは無縁な生活をしているものや、国に捉えられ、戦争の道具にされたものもいた。
━━ん?話が長い?もう少し短く簡潔にしろ?やれやれ、君はせっかちだな。簡単に言うとだな。魔法使いたちは大変大変であったが、まぁなんとか人権を取り戻し国に繁栄をもたらした。けど、強すぎる力を持つも者への迫害はやまずに現在も続いているってこと。そう”現在にも”だ。
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「紹介しよう!お前の新しい母親と妹だ!」
朝早くからシロウの大声が家中に響く。現在ソラは一体なんのことかさっぱりわからない状態であった。
昨日の返答からすぐにソラは寝て、朝目を覚まし、顔を洗おうと居間に向かったところ、そこには若い女性と自分よりか少し年下に見える女の子が椅子に座っており、いきなりシロウが”お前の母親と妹だ”と紹介してきたため、さっきもいったが困惑し、言葉を発することができなかった。
「どうしたソラ?嬉しすぎて言葉を出すこともできないってか?安心しろ!俺も嬉しいんだ!」
……と、勝手に喋っているシロウであった。
だが、それにより我に返ることができたため、シロウに説明を要求した。
「ああ、紹介がまだだったな。こちら、お前の新しい母親の”カグヤ”だ。」
カグヤと紹介された女性は、シロウより少し身長は小さく、肩までまっすぐ伸びた黒色の髪の毛にスラリとした体形でそれに似合わないほどの豊満な乳袋と殿部であり、その顔には力強い眼差しで……美人であった。
シロウに紹介されたカグヤはソラに対して軽くお辞儀をした。
「で、こっちがカグヤの子供でお前の妹となる”ハヤテ”だ」
次に紹介されたのはカグヤの子供の”ハヤテ”だ。ハヤテは紹介されるとびっくりしたように椅子から飛びおりカグヤの後ろに隠れ、少しだけ顔を出しこちらを見ていた。
ハヤテの容姿は、背は小さく、小さな顔にクリっとした大きな目に首の付け根まで伸びた髪型に、カグヤと同じ黒色の髪の毛であった。スタイルは幼いせいか”まだ”未発達である。だが、思わず天使と呼んでしまいそうな可愛さを持っており、ソラは顔を赤くする。
だが、シロウは”説明”ではなく”紹介”をしたことに気づいたソラはすぐに顔を戻し、シロウを睨みつけた。
「お、怒んなって。ちゃんと説明するから……」
ソラの睨みに気づいたシロウは咳を2回ほどしてから話始めた
先日酒場で飲んでいるときに、フードを被った若い女性カグヤに話しかけられたところ、気が合い酒を飲みながらつい話こみ、その勢いで宿屋で一発したところ……。そちらの方でも気が合い、シロウがカグヤたちを我が家に誘い家族になろうと提案し、カグヤは承諾し今に至るらしい。
子供がいる前で如何わしい単語があったがソラは気にしなかった。
「どうして俺に相談してくれなかったんだ?」
ハヤテはソラの低い声にビックリした。
ソラは怒っていた。新しく母親を取ることは良い、ソラ自身、母親の愛情に餓えていたからだ。しかし、相談も何もないことに腹が立っていた。━━自分は父親に頼られてはいないんだ……と
シロウは「驚かそうとした」と言いそうになったがそれだけではソラの怒りを鎮めることはできないと察した。すると、カグヤが口を開けた。
「あなたのお父さんは優しい方です。いきなり話しかけた身寄りのない私たちに親切にし、それだけでなく家族になろうと言ってくださりました。優しいお父さんが今の今まで隠していたのはあなたを驚かそうと、びっくりさせて喜ばそうとしていたのではないでしょうか?」
カグヤの優しい声に怒っていたソラは安らぎを感じていた。義理ではあるが”これが優しい母親の声”なのだと。
「怒って悪かった親父。だが次からはちゃんと相談してくれよな」
「あぁ、ちゃんと話す。」
シロウからは”助かった”と言わんばかりの顔で返答をした。それをソラは見逃さなかったが笑顔で返答した。その後ソラはカグヤの後ろに隠れているハヤテの側まで近づき、目線を合わせるために腰をかがめ、優しい声で
「こんにちは。俺はソラ。ソラ=キサラギ。君の新しいお兄ちゃんだ。さっき親父から名前を聞いたけどもう一度名前を聞いてもいいかな?」
ハヤテは、先ほどのソラの低い声にビックリし怖がっているのか、ソラと目線を合わすことができず目が泳がせていた。それに気づいたカグヤが優しくハヤテの頭に手をかざし微笑みながら撫でると安心したのかソラと目を合わし口を開いた。
「私はハヤテ……。性はないの……。」
名乗ってくれたことに嬉しく感じたソラは右手を指し伸ばした。
「じゃあこれからは、君の名前は”ハヤテ=キサラギ”だ!」
そのことに嬉しさを感じハヤテからは笑顔が生まれ……
「うん!よろしく、お兄ちゃん!」
手を取った。
晴れて二人は兄弟となることができ、新しく幸せな生活を送ることになる。
そう……。束の間の”幸せをね”
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