この素晴らしい悪魔に鉄の華を   作:ドゥー・ドゥル・ドゥー

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話があまり進まない上にダラダラと駄文が続きます。
申し訳ありません。

次回あたりにめぐみんとダクネスは登場させたいですね。


第2話 この素晴らしい出会いに飴と鞭を

行商人に逃げられた後にはいくつかの荷物が散乱していた。

中身は干し肉やパンの様な食べ物がほとんどだった。

 

持ち主は逃げたわけだしこのまま放っておいてもモンスターに食べられるか、腐るしかないわけだから貰ってしまおう。このまま街が見つからなかったら最悪餓死するからね。それだけは避けたい。

しかし、どこに保管しようか?

 

…しばらく付近を散策すると、手頃な洞窟を発見した。自然に出来たものか、モンスターの巣かわからないが、たとえモンスターの巣だとしても今のオレなら問題はない。容易に退治出来る。

……出来てしまう。今のオレはヒトでは無く、悪魔でしかないのだから……。

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

この世界に来て2週間経った……。

2週間もの間、街を探し、ついでに食べられそうな物を探し、モンスターに襲われたら返り討ちにする。そんな生活を続けていた。おかげで、モンスターとの戦闘には慣れたし、最初は抵抗もあった野宿にも慣れた。

……思春期真っ只中の女の子がそんな物に慣れてはダメな気がするけど、生きるためだから仕方がない。

しかし、未だに街が見つからない……。

あれ?オレって方向音痴だったっけ?2週間も街を探して手がかり一つなしっておかしくないかな?

 

2週間も独りで生きてこれたのは単純に『死にたくなかった』からだ。

日本にいた頃のオレは右半身が動かない状況で、意味なく生きてきて、そして、意味なく死んだ。だからこそ、こっちの世界で何か『生きる意味』が欲しかった。

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

今日も今日とて街探しだ。ついでに食べ物も底を尽きそうなので、行商人の落し物でもないか探してみよう。

1時間もせずに横転した荷車を発見した。荷車の中には野菜がたくさん入っていた。

これは幸先のいいスタートだ。だけど、都合が良すぎるような?

 

「よし、モンスターが餌に食いついた。かかるぞ!」

 

4人組の男女に見つかった。男が3人、女が1人。女は杖を持っていて、男達はそれぞれ剣、斧、槍で武装していた。どうやらこの荷車は

モンスターをおびき寄せるための餌らしい。

 

「獣人の子供か⁉︎」

 

「でも、腕が妙に大きいし、背中から尻尾が生えているなんておかしいわ」

 

「この姿…まるで悪魔だ……」

 

「悪魔だと⁉︎アクシズ教徒として、悪魔を見逃すわけにはいかん‼︎」

 

「「「「悪魔殺すべし!魔王しばくべし!」」」」

 

なんだか面倒な奴らに見つかった。とにかく誤解を解かないと…。

 

「まってよ。オレは敵じゃない。ここに来たのもお腹が空いてただけなんだ」

 

「問答無用‼︎女神アクアの名の下に、滅びよ悪魔ぁ‼︎」

 

「悪魔殺すべし!魔王しばくべし!」

 

剣持の男が突撃して来た。

ああもう面倒臭い‼︎適当に反撃して追い払ってしまおう。

振り下ろされた剣を避け、男の胸ぐらを掴み投げ飛ばす。

続いて斧持ちの男に飛び蹴りをかまし、最後に槍持ちの男にタックルを決めた。

 

「なんだあのパワーは⁉︎」

 

「…くそっ!ガキだからって容赦しねぇぞ!」

 

今度は3人が連携して襲いかかって来たが、全ての攻撃を回避し、蹴散らした。

流石はバルバトス。この程度の敵は余裕か……。けど、もう諦めてくれないかなぁ。殺さないようにするの難しいんだけど……。

 

「くっ……強すぎる……。まるで歯が立たないぞ」

 

「じゃあ、さっさと帰ってよ。オレは敵じゃないって言ってるんだしさ」

 

ようやく諦めてくれるか…。あ、そうだ。逃げるこいつらを尾行すれば街が見つかるかなーーー

 

「アイスブラスト!」

 

「ぐぅぅっ⁉︎」

 

突如、死角から放たれた氷塊がオレの脇腹に直撃し、荷台に叩きつけられた。

 

「今だ!撤退するぞ!」

 

ドジった。女の事をすっかり忘れていた。けどまあ、帰ってくれるのはありがたいや。

…って、あれ?脇腹の痛みが引かないな…それどころか、痛すぎて一歩も動けないんだけど…。もしかして内臓とかやられちゃったかな……。

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

4人組が去った後、オレは荷台のそばでうずくまっていた。

痛みのあまり動けないし、意識も朦朧としていた。

今、モンスターが来ればオレは殺される。来なくても動けないからいずれ飢えて死ぬ。絶体絶命なんてもんじゃない。今のオレは死んでいるようなものだった。

諦めと痛みで気を失いそうになったその時、

 

「おい、君大丈夫か⁉︎……って、大怪我じゃないか⁉︎お、おいアクア、泣いてないで早く来い‼︎」

 

あれ…?おかしいな……。今まで出会った人はみんな怯えて逃げるか、モンスターと勘違いして襲いかかって来る奴しかいなかったのに……。

 

「待ってろ。今、街に連れてってやるからな!」

 

この人はオレを……、化物みたいな、悪魔みたいなオレを助けてくれた……。

ああでも、この感じお兄ちゃんみたいにあったかいや……。

そう思いながらオレは意識を失った。

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

気がつくと小屋の中にいた。家具とかは一切なく、藁の上に布を敷いただけの簡素なベッド(?)の上で眠っていたようだった。

 

「……お⁉︎気がついたみたいだな」

 

「………………誰?」

 

「俺の名前は佐藤 和真。このアクセルの街で冒険者をやってるんだ。…で、君は?」

 

「望月 桜花……。佐藤…さんはもしかして日本人?……です、か?」

 

「無理に敬語使わなくていいし、カズマでいいよ。そうだな…、何から説明しようか」

 

話を要約すると、カズマは2週間くらい前からこの世界にやって来た日本人で、クエスト帰りにオレを発見し救助してくれたらしい。そして、今オレ達がいる場所はアクセルの街にある馬小屋で、カズマが宿屋がわりに寝泊まりしてるらしい。

 

「ねえ、カズマ。これは何?なんてある書いてるの?」

 

「ああ、これはギルドカードで、スキルとかステータスとかが書いてあるんだけど……、読めないのか?」

 

全く読めない。当然文字も書けない。カズマが言うにはこの世界に転生した人は最初から読み書きができるとのことだった。一部の例外を除いて……。でも、読み書きができないところは『鉄血のオルフェンズ』の世界観にあってていいかも。いや、良くない。全然良くない。

 

「じゃあ街の外に転生したのもアクアのせいかもしれないな」

 

「ただまー。あ、この子目を覚ましたんだ。…ねえカズマ、ギルドにパーティ募集の貼り紙貼るついでに興味深い話を聞いてね。私のかわいいアクシズ教徒のパーティが変わった人型のモンスターに手こずってるらしいの。だから、明日そのパーティと協力してモンスターを退治してやるわ」

 

……4人組ってオレを襲った奴だよな?じゃあアクシズ教ってもしかしてアクアを信仰する宗教か?

 

「もしかしてアクアって本物の女神……?」

 

「そうよ!(元)日本担当にして、水を司るアクシズ教の女神アクアとは、私のことよ!」

 

……ってことは、オレが街から離れたところに転生したのも、化物扱いされたのも、あの4人組も、読み書きができないのも全部コイツのせい?

……コイツが適当な仕事をしたせいでオレは死にかけたってわけ?

それなのにコイツは詫びも無し…?

 

「……望月 桜花を覚えていますか?」

 

「覚えてないわ。……と言うかーーー」

 

怒りに身を任せ殴りかかった。……がギリギリのところで躱わされた。

 

「えぇ⁉︎…なっ……何⁉︎…何⁉︎⁉︎」

 

「…………女神アクア、オレはお前を許さない。オレはお前を逃がしはしない。」

 

アクアは脇目も振らず一目散に逃げ出した。

この女は殺すって決めたんだ。

 

「……逃がすわけないだろ」

 

その命を持って落とし前をつけさせてやる‼︎




お願い死なないでアクア!あんたが今ここで倒れたら、カズマやみんなとの約束はどうなっちゃうの? ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、オーカに許してもらえるんだから!
次回「アクア死す」。デュエルスタンバイ!

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