生命の唄~Beast Roar~ 作:一本歯下駄
二人とも、何処へ行ったの?
お願いだから、一人にしないで。
何処? 二人は何処?
何処にやったの? 何処に隠したの? 何処に連れて行ったの?
知らないなんて、嘘っ八。
オマエ達は絶対に知っている。
教えろ、二人の居場所を……
教えろ、何故皆を殺したのか……
答えろ、
ダンジョン十二階層、罠の細道が繋がっているルームは、細道に通じる道とは別に二か所、別の通路へと通じる道が存在する。
「チッ、塞がってんじゃねぇか」
その一つ手前のルームにて、ベートは眉を顰めてインファントドラゴンが居たと思わしきルームへと通じる通路を見据えて舌打ちをした。
天井が不自然に崩れて通路を完全に塞いでしまっている光景がソコに在った。
既にルームの中から音は聞こえない。インファントドラゴンが身動ぎする動きすら聞こえない為、もしかしたら倒されているのかもしれない。
逆に冒険者を倒し終わったインファントドラゴンが休息しているのか……。
不自然に崩れた通路を見て直ぐに解った。普通に崩れたわけでは無く誰かが意図的に崩したらしい。
崩れた天井付近、剣でスッパリ岩盤を切り分けて天井を落とす事で通路を塞いでいるらしい。
普通の方法なら、だが。
音が聞こえない以上もう生存も絶望的だろう。とは言え一応ルームの中に大声で呼びかけるもこの岩盤越しで聞こえていないのか……それとも……
「……ぶち抜くか」
普通の方法、ツルハシ等で地道に岩盤を削って開通を目指す? そんな面倒な事をする積りは無い。
助走をつける為に崩れた岩盤から距離をとる。濃霧の所為で岩盤が見えなくなるがこの程度であれば何の問題も無い。蹴る位置をしっかりと見据えて一気に駆けだす。
冒険者としての身体能力に合わさり、習得しているスキルの効果で少しの助走で一気に最大速度へと移行したベートはそのまま岩盤を蹴り抜く。
ベートの使用している
「っ……ひでぇ臭いだな。雑魚が調子に乗るから……」
血と臓物の臭い。それに焼け焦げた肉の臭いを足せばこんな臭いになるだろう。
濃霧の中、飛び散った岩片とは別に、足元に赤黒い何かが転がっているのが見えた為にベートは思いっきり眉を顰めた。
多分、ドワーフの男だろう。腰から下が踏み潰されているらしく、上半身だけになったエルフから何かを探していたらしいが……周りにポーションの小瓶が転がっている辺り。死体からポーションを剥ごうとして踏み潰されたのだろう。
胸糞悪い光景に眉を顰めていると、微かに金属が転がる音が聞こえ。ベートの耳がピクリと反応した。
「おい、誰か生きてんのか?」
声を出してみるも反応は無い。だが耳を澄ますと微かに途絶え途絶えの吐息が聞こえる。
その吐息に向かって小走りで近付こうとして――――目の前にインファントドラゴンの後ろ姿が現れ咄嗟に構える。
構えて直ぐに気が着いた。ピクリとも動かず。冒険者、人々に対する憎悪の感情を振り撒く事も無く、呼吸の音も聞こえない。既に屍になっているらしい。
倒されている? こんだけ
疑問を覚えつつもその死体を回り込んで途切れかけの吐息に近づく。
見えたのはまず頭部。インファントドラゴンが力尽きた亡骸の頭部。霧の中でもはっきりとわかる程度には頭から剣の刃が突き出ており、頭部を破壊された事による致命傷だと思える傷。
そして、その直ぐ近くに倒れたカエデの姿にベートは目を見開いて直ぐにカエデに近づく。
「おいっ!! しっかりしろっ!!」
咄嗟に近づいて声をかけるが、弱々しい途切れ途切れの吐息でベートに反応する事も無い。
既に意識は無い様子で全身血塗れでなおかつインファントドラゴンの臭いが染みついている。そんな感想を抱くより前にポーチから
よく見れば腹の部分に穴が開いているのが見え、致命傷を負い瀕死の状態であるのが確認できたが
「おい、傷に触るんじゃねぇ……チッ、聞こえてねぇか」
反射的なのだろう。違和感を感じたのか意識が途絶えていても手が動いて塞がりゆく腹の傷に触れようとしたのでその手を掴んで止めつつ、もう一本
意識が無い人物に液体を飲ませるのは相応に難易度は高いが。強引に捻じ込むぐらいでも効果を発揮する。
咽る動作をしたカエデを見て、一瞬眉を顰め。それから傷口を見てみるが既に塞がっている。
傷があったと言う形跡はカエデの防具である緋色の水干の腹の部分に開いた穴以外に確認はできない。
先程まで弱々しかった呼吸も安定したのをみて安堵の吐息を漏らす。
顔色は若干青褪めているが単純に血が足りていないのだろう。カエデを地上まで運ぶか迷ってから、カエデが身動ぎしたのを見て、もう直ぐ目覚めるだろうと寝かせて立ち上がった。
ベートは直ぐ近くに転がっているインファントドラゴンの骸を見て眉を顰める。
「……コイツがやったのか?」
そのインファントドラゴン。頭部から生えた刃はベートの記憶の中にある物と同一である事に驚きの表情を浮かべてそれから辺りの音を探ってから、モンスターが居ない事を確認してカエデを寝かせてからインファントドラゴンの頭の部分に近づく。
口の内側の口蓋を粉砕し、顔の横部分から脳髄に至るまでがウィンドパイプで無造作に破壊されている。それを見て、ベートは睨む様に傷口、その断面から覗く
カエデがインファントドラゴンを倒した? あり得ない。
カエデは確かに強い。ベートも雑魚にしてはやる方だと認めるし、その意思の強さも認めている。
だが、カエデは所詮
ましてはいくら
カエデも同じ狼人であるなら多少の差はあれど、同じ様な状態だろう。
これで筋力Bあったと言われても、所詮
だが……他に生存者は一人も居ない。耳を澄ませてもカエデの吐息以外にこのルーム内で聞こえる音は一切ない。
もしほかの冒険者が倒しておきながら、カエデを放置して逃げたのなら……其れはありえない。
インファントドラゴンの討伐なんてベートの様な
それに
少し迷ってから、ベートはナイフを取り出してインファントドラゴンの魔石を剥ぎ取り始める。
他の冒険者の獲物の横取りになるのだろうが。そもそも死体を放置した時点で取得権を放棄したも同然である。
ナイフで適当に腹を裂いて魔石を無造作に抉り出せば、上層所か中層下部のミノタウロスの魔石よりも少し大きいぐらいの魔石が出て来たのを見て、ベートは鼻を鳴らした。
下層程ではないが、上層最大級のモンスターであるインファントドラゴンの魔石だ。これ一つで数万ヴァリスは下らないだろう。
そんな様子を見ながらもインファントドラゴンの体が一気に色を失い。多量の灰になったのを見て濃霧の中でベートは溜息を吐いた。
ドロップ品は『インファントドラゴンの大牙』と『インファントドラゴンの鱗』らしい。
適当に拾ってポーチに放り込んでから、頭部が消えた事で残されたウィンドパイプを見てベートは引き攣った笑みを浮かべた。
「マジかよ……どんな力でブチこみゃこうなるんだよ……」
転がっていたウィンドパイプは刃の部分が無残にへしゃげており、どれほどの衝撃があればこうなるのかと思わず疑問を覚える程度に破損している。既に剣として使う事は出来なくなっている。だが剣の軸は歪んでいないらしい。刃だけが無残な事になっているのを除けば鈍器として利用できなくはないだろう……
そんな事を思いながらベートがウィンドパイプに手を伸ばそうとすると。呻き声と共にカエデが身を起こしたらしい声が聞こえてベートは霧の中からカエデを見る。
「っ……うぅ……ここ……ッ!? インファントドラゴンっ!!」
バッと一気に立ち上がったらしい音を捕え、ベートは溜息を吐いた。
血が足りておらず青褪めていたカエデが、一気に立ち上がればどうなるかなんて知れた事。頭に血が足りず一気にブラックアウトしたらしく、そのまま膝を突いたらしい音を聞いてベートは一瞬天井を仰いでからウィンドパイプを掴んでカエデの近くに立ち、声をかける。
「おい、んな所で寝てんじゃねぇよ……死にてぇのか?」
「うぅっ……? ……ベート……さん? なんでここに……」
「はんっ。ここは近道だろうが。んな雑魚しか出ねェ様な所なんてわざわざ遠回りする理由なんてねェよ」
言葉通り、この細道は最も最短ルートで下層へと下りるのに利用される場所であり、
ソレを見てベートは眉を顰めて半壊したウィンドパイプをカエデの前に差し出す。
「テメェの剣だろ」
「ありが……ありがとうございます」
カエデはふらつきながらも立ち上がり。ベートからウィンドパイプを受け取って、その刃が無残にもへしゃげているのをみて若干涙目になってから鞘に納めようとして、へしゃげた刃が噛んでしまい鞘に納まらないらしく引っ掛けて首を傾げて、出来ないと判断して悲しそうに耳を伏せていた。
それを見つつもベートは気になっている事を聞く事にした。
「オマエがインファントドラゴンを倒したのか?」
「……? えっと……多分?」
「……多分?」
何で本人が不思議そうに首を傾げるのか理解できず、コイツが倒したと思ったのは気の所為だったのか? 等と思案しているとおどおどとした様子のカエデが口を開いた。
「倒した……はずなんですけど……えっと、インファントドラゴンの死体が何処にも無いですね……夢だった?」
「…………」
死体が無い事に首を傾げて夢だったのかと首を傾げるカエデを見て思わず口を閉ざす。
ベートは無言のまま魔石とドロップアイテムをポーチから取り出して放り投げれば、慌てて受け取ったカエデはソレをみて首を傾げる。
「魔石? と……牙と鱗?」
不思議そうに首を傾げてソレを見てからベートを見上げたカエデは口を開いた。
「これは?」
「はぁ……ここに転がってたインファントドラゴンの魔石とドロップ品だ」
「おぉー……ベートさんが倒してくれたんですか?」
すっとぼけているのか。もしくは天然か……どちらにせよ真面目に相手してると面倒そうだ。
カエデは自分が倒したらしき事を言っているが能力からして無理が過ぎる。
そんな風に思っていれば何度も不思議そうに首を傾げていたカエデが急に辺りを見回して。ピンッと耳を立ててベートに掴みかかってきた。
「ベートさんっ!!」
「っ!? ンだよっ!!」
「【ハデス・ファミリア】が襲撃してきてっ!! ワタシが罪人で、団長が【
ベートの服にしがみ付いて捲し立ててくるカエデに眉を顰めてから。ベートは状況を思い出して舌打ちをした。
「そういや【ハデス・ファミリア】が喧嘩吹っ掛けてきてやがったか……」
インファントドラゴンをカエデが倒したのかどうかが気になっていて忘れていたが。【ハデス・ファミリア】が襲撃を仕掛けて来ていたのだった。
フィンの奴が【
ラウルなんてかなりしぶとい奴である。ジョゼットも伊達に二十年近く冒険者をやってない。
そもそも【
他の奴らも、小細工しかできない【
真正面から戦うと糞面倒な装備魔法を持つ【魔弓の射手】ジョゼット・ミザンナと、どんな状況でも凡庸な活躍が出来る【
要するにベートが意識する必要も無い程度の雑魚しかいないファミリアである。
ましてやフィンが【
後残っているのは数ばっか多い
「はんっ、あんな奴等の心配なんてしてねぇでテメェは自分の心配でもしてろよ」
カエデが気にするまでも無く大丈夫であるし、むしろこの状況で最も危険な立ち位置に居るのは狙われているカエデ自身である。わざわざフィン達を気にするより前に自身の安全を確保すべきだろう。
まぁ、
「とりあえず上に行くぞ……テメェ歩けんのか?」
先程から刃のへしゃげたウィンドパイプを手にふらふらとしているカエデに声をかければカエデは頷いて口を開いた。
「問題ないです……あっ……あの……」
「アァ?」
「えっと……大きな人が逃げたら殺すって……」
「…………」
カエデの言葉を聞いて、【ハデス・ファミリア】の雑魚二人が言っていた事を思い出した。
【
「はんっ、何が来てもぶっ飛ばしてやる。テメェは自分の身でも守ってろ」
「……わかりました」
「行くぞ」
「あっ……そっちは……」
それだけ言って細道の方に足を向けると、カエデが再度声をかけてきてベートは胡乱気に振り返る。
「んだよ、言いたい事があんならさっさとしろ……んな血生ぐせぇ所に長居したかねぇんだよ」
霧の中、臭いだけでも分るが十人以上の冒険者の血の臭いが溜まって淀んだ臭いになっているこのルームからは一刻も早く抜けたいし。もっと言うなれば血塗れになってるカエデもさっさとシャワールームにでも突っ込んでおきたい。
「えっと……他の冒険者が……」
「言ったろ、
それだけ言ってベートは細道の方へ歩き出す。
細道の方からは音は何も聞こえてこない。
入って直ぐの所で一度後ろを振り返れば、カエデの姿が見えず眉を顰めていると、霧の中からウィンドパイプを杖代わりにしてよたよたと歩いてくるのが見えて軽く溜息を吐いた。
この調子だと日が暮れそうである。
そんな事を思っていると細道の奥の方から足音が聞こえ、ベートが其方の方に視線をやれば。遅れてカエデも気付いたのか刃がへしゃげたウィンドパイプを其方に向かって構えた。
切っ先はぶれっぶれだし、重心もふらふらで真面に構えと言えるかも怪しいが戦意だけはある様子でベートはまた溜息を吐いた。
倒してやるっつってんだろ……
そんな風に考えている間に凄い勢いで霧の中から何かが近づいてくる。
足音からして小柄な奴と女男一人ずつ。計3人の人物だが……男は重い荷物でも持ってるのか足音が少し重めの感じがする。
小柄な奴は十中八九フィンだろうし、女の足音も聞き覚えがある。ジョゼットだろう。最後の一人は他の雑多な足音に隠れそうになるがラウルのモノだろうと予測して霧の中を見据える。
「カエデさんっ!!」
「ジョゼットさん?」
細道から走ってきて
「カエデは居たかい?」
「こっちです団長、ベートさんも居るみたいです」
「ベートさん? 何でこんな所に居るッスか?」
霧の中からフィンとジョゼット、ラウルの声が聞こえて、カエデが構えを解いた。
走ってきたフィン達が若干息を切らしつつも片手をあげて挨拶してきた。
「やぁ……無事……かは微妙だけど。なんとか生きてるみたいだね。大丈夫だったかい?」
血塗れのカエデの様子に驚いたジョゼットが慌ててカエデに近づいて顔に着いた血を拭ったりし始めた。
それを横目にベートは鼻を鳴らした。
「『次は失敗しません』だとか抜かした奴が、失敗しといてよく顔見せられたもんだよなぁ」
ジョゼットに、牙を剥く様に笑みを浮かべて嘲笑う。
ジョゼットが反省した様に俯いたのを見て、カエデがおろおろとし始めた。
「テメェ、良くもまぁ二度も失敗しやがってよぉ……フィンも何やってんだテメェ?」
「……成程、ベートがカエデを助けてくれたんだね」
「ウッセェ、別に助けた積りなんかねェよ。此処は最短ルート上だろうが。偶然見かけたから拾っただけだ。つか、テメェら護衛がどうとかほざいておきながらなんだよその体たらくはよ」
苛立ちをぶつけんとフィンに詰め寄ろうとしてベートは足を止めて。舌打ちをかました。
霧の所為で気付かなかったが。フィンは血塗れになっていた。肩の辺りに良い一撃を貰ったらしく、服の肩の辺りが大きく抉れている。傷は
「あぁ、これかい。気にする事は無いよ。結構良い一撃貰っちゃったけど……代わりに片目と片腕を貰っておいたからね。
ウィンクしつつも余裕ぶっているフィンに眉を顰めてからラウルの方を見て……ラウルが肩に縛り上げられたキャットピープルの男を担いでいるのを見てベートはソイツを睨む。
【
どうやら捕縛したらしい。
「カエデさん、すいませんでした……」
「いえ、ワタシも……すいません……でし…………た……」
霧の中でカエデに頭を下げているらしいジョゼットに対しておろおろとしていたカエデが不意に膝を突き――そのまま倒れた。
「っ!? カエデさんっ!!」
倒れるカエデを抱きとめたジョゼットが何度もカエデに声をかけるも反応が無い。
その様子に気付いたフィンがカエデを抱えたジョゼットに近づき、カエデの様子を確かめてから肩を竦めた。
「疲労で気絶したらしいね……これは……『烈火の呼氣』かな……」
既に
とは言え疲労だけは消えないので溜まっていた疲労から、フィン達と合流して気が抜けたのか気絶してしまったらしい。
フィンの呟きから『烈火の呼氣』と言う言葉を聞いてベートは思案する。
聞いた事が無い
間違いなく偉業の証を得ているだろう。
「……はんっ」
カエデは強い。だが弱い。
所詮
今朝、ベートはカエデの挨拶を無視した。
此処最近、カエデは顔を合わせる度に挨拶をしてくるが、ベートは全て無視している。
カエデは確かに強い。認めてもいる。
だが所詮
気を抜けばすぐ死んでしまう程度の存在でしかない。
一年と言う寿命があり。一年以内に
だから無視した。
もし挨拶を返して欲しいのなら、せめて
そう思っていた。
だが……もし今回のインファントドラゴンを本当にカエデが倒していたのなら……
俄かには信じがたいが……
もし、
挨拶ぐらい返してやっても良い。そう思えた。
本作の二次創作(だんまちの三次創作に当たる作品)を書きたいと言う変わった方がいましたので一応他にも居るかもですので少しお伝えします。
『生命の唄』二次創作(ダンまち三次創作に当たる作品)につきまして。
読者様から募ったキャラ・ファミリア等も含まれており私個人では許可出来ない為、基本禁止となります。
読者様から募ったキャラ・ファミリアを除外しての創作であればご自由にどうぞ。
【ミューズ・ファミリア】の主神・眷属&付随してペコラ・カルネイロ
※カエデ・ハバリの【
【トート・ファミリア】の主神・眷属
【ナイアル・ファミリア】の一部眷属 ※神ナイアルにつきましては本作にあらかじめ登場予定だった為、可とする。
以上のキャラ・ファミリアを除外して『生命の唄』二次創作を行う分にはご自由にどうぞ。
その他、本作におけるオリキャラを自作品に登場させたいと言う作者様へ。
メッセージにてご一報頂ければ可とします。
登場させる作品タイトル&登場させたいキャラ。
投稿時に匿名投稿する・している場合は匿名を記載してください。
なおキャラステイタス等の情報も希望すれば公開しますのでメッセージにてお送りください。
『酒乱の盃』
冒険者【
酒が溢れる盃を作り出す。
使用者がイメージした液体を入れておく事が出来る容器の形状をした
込められた
詠唱『盃をその手に、零れる酒は湯水の如く、溺れたまえよ』
普段ホオヅキが好んで作り出すのは朱色の酒杯。
他には酒瓶の形をしていたりと、見た目はそこらの酒瓶や酒杯と同じモノであり、混ざると解らなくなる。
中身の酒はホオヅキが最後に口にした酒と同じモノになる。
二種類の
追加詠唱『酒は百薬の長』
盃から溢れる酒が
飲むだけで持続的な回復効果も得られ、飲んでいる間はほぼ不死身状態になれる。
しかし致命的欠陥として耐異常にて防げない『酩酊』状態を引き起こすと言うペナルティも発生する。
追加詠唱『酒は万病の元』
盃から溢れる酒を一滴でも口にするとランダムで毒効果を発揮する様にする。
毒効果の内容は選ぶことは出来ないが、対異常で防げない様な猛毒から、対異常がなくても問題ない程度の軽度の毒であったりと、効果がランダムで扱いづらい。
体の末端部位から徐々に腐って落ちたり。体中に赤黒い斑点が現れて激痛に見舞われたりと恐ろしい効力もあれば、少し熱っぽくなったり、眩暈がしたり程度と軽い効果の場合もある。
ちなみに最も恐ろしいのは触れた端から体がドロドロに溶けると言うモノであったりする……。
主な利用法は『百薬の長』の回復効果中に口に含んで相手に吹きかけると言う使い方をする。自身への猛毒効果は『百薬の長』の回復効果で打ち消しつつ、吹きかけた相手に猛毒効果を発揮すると言う恐ろしい使い方をしている。