生命の唄~Beast Roar~ 作:一本歯下駄
『これかい? オラリオでは有名な携行食糧だよ』
『……食えるのか?』
『不味いけどね』
『ふぅん。うぶっ……不っ味いなこれ』
『だろうね。あたしは慣れたけど』
『よくこんなん食えるな……冒険者は皆こんなの食ってんのか?』
『非常時にしか食わないよこんなもん。犬の餌の方がマシだってぐらい酷い味だからね』
ダンジョン十七階層、ごつごつとした岩肌が、上下左右、視界の全面を占領しており、光源が心もとなく薄暗く、でこぼこした石の通路は歩きにくい。洞窟、炭鉱、坑道を連想させる岩盤の洞窟となっている。
そして十八階層へ通じる階段に行く為に、必ず通らねばならぬ大広間にある17階層最後の障壁。中層の
本来なら
「はぁ……やり過ぎて十八階層に運び込む事になるなんてねぇ。時間は……まだ10分残ってるか」
遠征合宿の【ロキ・ファミリア】の
懐中時計を確認し、襲撃間隔の時間が過ぎていない事を確認して吐息を零しつつ今回撃破したパーティを指折り数えていく。
「えっと、三つは潰したけど……どれも点数低いのよね。ここでどかんとラウル班辺りが潰せれば逆転もあるけど……運が良いのはベートが撃破済みって所かしら」
今回の遠征合宿にて撃破したパーティに対し決められた点数が割り振られており、ラウルの班はかなりの高得点に設定されていた。他にもジョゼット班も高得点だが、先程十八階層にパーティを送り届けた時には既にキャンプを張っているさ中なのを確認したので、残るはラウル班ぐらいしか高得点は残っていないだろう。
「ま、今来られても襲撃できないんだけど」
懐中時計を眺めながら大広間から十七階層の迷宮に通じる通路に足を向けていたティオネは、通路の奥にて複数の足音が聞こえるのに気付き、通路の奥を見据えて溜息を零した。
「噂をすれば。ラウル班ね。他にも二つくっついてるけど」
目の前の通路の先から全力疾走してくるラウル班、その左右に別の班を伴っているのを見て溜息を零すティオネは、目の前を素通りさせないといけない事に気付いて頭に手を当ててから、道を譲る様に横に退いた。
ラウル班の様子をぼんやり眺めれば、怒声を上げて怒っている様子のグレースが見える。カエデが耳を伏せながら涙目で此方を見据えているし、ラウルが離れたティオネに向かって両手を合わせている。
ラウルのおかしな行動に気付いたティオネが首を傾げる。
「何? 何で謝って……」
彼我の距離が縮まり、カエデが何かをティオネに向かって投擲した。
飛来した投げナイフを指で挟みとり、ティオネは声を上げる。
「今、私は襲撃できないから先に進んで――」
良いよまで言い切る前に、矢が三本飛来する。それを左手の指先で挟む様に受け止めて溜息を零す。
「ちょっと、今私攻撃できな――」
声を張り上げて自分を素通り出来る事をしらせようとしたティオネだが、声が聞こえていないのか無視されてしまう。三パーティ、合計十五人の
石、石、石。投擲されたのは大量の石ころ。後ろに下がってやり過ごそうと無視された事に若干苛立ちつつも後退したティオネ。そんな選択のさ中、ティオネの耳にはラウルの「ごめんなさいッス」と言う言葉が妙に耳に残った。
先程から何なのだとラウルの方を見れば、ラウル以外にも二人の
「一体なんなの――」
言葉を放ちきるより前に、石ころの中に交じっていたらしい
次の瞬間には足元に転がった
流れる様な連鎖に対応が遅れたティオネを待ち受けていたのは、白煙に包まれて視界を塞がれた中で起こる連撃であった。
最初に目を開いた時に見えたのは、カエデの物らしい大刀の一撃。鞘に納めたままぶっ叩く事で打撃を重視して意識を刈り取ろうとしたのだろうそれ。
反応が遅れもろに顔面の中心を穿たれ、大きく仰け反る。それだけに留まらず腹に直撃したのはバトルハンマーによる重打。背中に突き抜けていく衝撃に息が漏れるが、二撃目は踏ん張りきる事に成功する。
しかし足元を走り抜けるグレイブによって足払いを掛けられ体勢が崩れ、矢が数本ティオネの肌に当たる。そして、とどめと言わんばかりの両足を揃えたドロップキックがティオネの胸に突き刺さった。
ティオネを撃破し、走り抜けているカエデが首を傾げて口を開く。
「あの、ティオネさんなんか言ってませんでしたか?」
「あぁ? なんか言った?」
大声で聞き返すグレース。互いに声が届いていないのか顔を見合わせて首を傾げあっている。その様子を眺めていたラウルは遠い目をして呟いた。
「いやぁ……酷いッスねぇ」
つい先ほど、他のパーティが警戒し過ぎて出会い頭に
残り時間も少なくなっており焦った三つの班は纏まって十八階層に雪崩込む作戦を立てた。と言うよりそれしかないので耳が聞こえず意思疎通が出来ずとも、意思統一を図ってメンバー十五人+補助役三人で走り抜けていたさ中であった。
後ろを振り返ったラウルの視線の先。
「絶対怒るッスよあれ……」
残り時間僅かと言う事で慌てて、襲撃間隔の事等頭から抜け落ちる程に慌てた三つのパーティによる凄まじい連撃がティオネを襲ったのだ。
中で何が起きたのかあえて言うなれば――無抵抗な人間に対する過剰攻撃だろうか。
攻撃してこなかったと言う事はつまり襲撃間隔のさ中だったと言う事なのだが。
「気付いてないッスよねぇ」
「やっぱティオネさんなんか言ってた様な気がします」
「とりあえず走れ」
意思疎通ができているのか居ないのか、三つの班が一塊になって十八階層へ通じる階段へと走り抜けて行った。
無言で起き上がったティオネは周囲を包み込む
鬼の様な形相を浮かべ、震える拳を握りしめたティオネは服に引っ掛かっていた矢を握りつぶして宣言した。
「あいつ等潰す……ん?」
宣言の後、違和感に気付いて十七階層の迷宮に通じる通路へと視線をやったティオネは顔を引き攣らせて呟いた。
「ちょ……
ティオネは知らぬ話だが、十六階層階段部分で出会い頭に
向かってくる大量のモンスター、少ない残り時間。互いに声が通じずに困り果てた三つの班が出した結論は一つ。十八階層へ走り込むと言うものだった。
無論、問題点も存在する。モンスターが大量に後からついてきていると言う事だ。これに関しては二通りの方法で解決しようとしていた。音が聞こえない状況で戦うのは自殺行為も良い所。
せめて聴覚が回復してから戦闘すべきであると言う所から、十七階層最後の大部屋の所で迎え撃つと言うのが第一の方法。そしてもう一つが途中、妨害役を見つけたらモンスターを擦り付ける、と言うものだった。
つまりティオネは
十八階層の
その視線の先、ギリギリのタイミングで十八階層へ走り込んでくる三つの班が見えて吐息を零し、ガレスは近くで待機していた団員に指示を出して最後の班の居る地点へと足を向けた。
「今回は五つか。なかなか良い感じだな」
前回や前々回、あまりにも難易度が高すぎて難しいとの指摘が多かった遠征合宿。フィンが頭を悩ませてどうにか難易度調整が出来ないかと考えていたのを覚えていたガレスは一つ頷いた。
他の二つの班と別れ、ラウル班は指定された区域内にて野営地の設営準備と、夕食の準備を同時進行しているさ中であった。
テント作成のヴェネディクトスとグレース、夕食の準備のアリソン、焚火を起こすべく枯れ木を集めに行ったカエデ。そして木の上で周辺警戒と言う名目でサボっているアレックス。ラウルだけはそれを眺めて水晶に腰かけていた。
「よし、テントの準備完了っと……アリソン、そっちは?」
「……えっと簡易かまどは出来ました。後はカエデちゃんが枯れ枝を持ってきてくれるのを待つだけですかね」
「持ってきました」
噂をすれば。両手にある程度の枯れ木を抱えたカエデが走って戻ってきて、簡易かまどの横に枯れ木を置いて周囲を見回した。
「……アレックスさんは?」
「そこの木の上。寝てんじゃない?」
「枯れ木集め、手伝ってくれてもいいのに」
「文句言っても仕方ないわよ、とりあえずアリソン水は?」
「あ、忘れてました」
舌を出しておどけた表情をしたアリソンに対し、ヴェネディクトスが溜息を零した。
「……暗くなるまで十分も無いんだけど」
「あぁもうっ! 水汲んでくるわ! 容器はっ!?」
置かれたバックパックに駆け寄り、水を入れる容器を引っ張り出したグレースが駆けていくのを見てラウルは笑みを零した。
「いやぁ、忙しそうッスねぇ……」
残り十分を切った状態での十八階層到達。天井の照明が消えるまで三十分の猶予しかない時間設定なのでギリギリでの到着はつまり、野営地の準備時間がかなり削れる事を意味する。
他の班の話ではジョゼット班が最速であり、残り一時間半で到着。次点がアリシアの班であり残り一時間で到着。ラウル班と他二つの班が残り十分での到着で以後の到着者は無し。
ガレスが用意した野営地には複数の全滅パーティが運び込まれており、あの場だけは中規模の遠征規模の野営地になっているが、他の班は一つの班ごとに野営地を築いているので規模が小さい。
ラウル班が野営地として選んだのは猫の額程の広さの森の中にできた広間である。到着した時点で光源が失われるまで残り30分を切っており、大急ぎで準備しているさ中。
良い動きをしているのはテントを最速で組み上げたヴェネディクトスと文句一つ言わずに枯れ枝集めを終えたカエデ。アリソンも食事の準備と光源の確保の為に色々としているが慌て過ぎている。
グレースは最悪テント無しで良いんじゃないとテントの組み立てを面倒臭がっていたし。
アレックスに関してはもはや指摘する点は無い。
そんな中、大慌てで水を汲んできたグレースが容器を地面に置き、カエデが焚き木の為に枯れ木を組み上げ。アリソンが簡易かまどに火を入れて鍋を片手にバックパックの中を漁っている。
そんなアリソンがバックパックの中を眺めて口を開いた。
「あれ? ……おかしいです」
「どうしたのよアリソン」
異変に気付いたグレースがアリソンに駆け寄り、いきなり視界が暗くなり始め、全員が天井を見上げた。
「夜ッスね」
「襲撃まで一時間でしたっけ? それまでに夕食を終えないと」
ラウルの言葉に反応したカエデは暗くなった手元で小さな火種を起こす事に成功し、なんとか焚火に火を移して息を吹きかけて火を大きくしようとしている。
そんな中、アリソンが悲鳴の様な声を上げた。
「やっぱおかしいですよっ!」
「何がよ」
「食べ物が何処にも無いんですっ!」
「え?」
アリソンの声に反応したカエデが顔を上げ、手元の火種が消えかけて慌てて火種の保護に回る。グレースがアリソンの首根っこを掴んでどけ、バックパックの中を漁り始めた。
「何寝ぼけてんのよ。行きに確認したでしょ……」
ごそごそとバックパックを漁るグレースだが、次第に表情が苦くなっていく。
「……嘘でしょ……携帯食糧しか入ってないんだけど」
「え? マシュマロは?」
「入ってないわね」
驚いたカエデが固まり、火種が消えかけ。慌ててヴェネディクトスが火種を消さない様にカエデに代わって火種を育て始める。
そんな中、アリソンがラウルに詰め寄った。
「ラウルさんっ! 夕食の素材が何処にも無いんですけどっ! と言うか塩すら無いんですけどぉっ!?」
「そりゃぁペコラさんに持っていかれたッスからね」
「何ですかそれっ!? 聞いてないんですけどっ!?」
「説明する時間無かったッスから」
ペコラ襲撃後。目覚めて直ぐに時間ギリギリなので走り出したラウル班は、失格になってないと知った時点で大急ぎで行動を開始した為、他になんのペナルティがあるのかを聞いていなかったのだ。
ラウルも説明すべきかと思ったのだが、時間ギリギリで説明する時間も勿体ないかもしれないのでその場での説明は控えた。後に残ったのは食料品を根こそぎ奪われ、ついでに調味料まで持ち去られ軽くなったバックパックのみ。
「まぁ、携行食糧は残ってるッスから」
一応、携行食糧は残っているのだが。皆の反応はいまいち所かヴェネディクトスが頭を抱えて呻きだす。
「嘘だろ……嘘だって言ってくれよ……」
「ヴェトス?」
「マシュマロ……」
「カエデ、アンタは黙ってなさい」
阿鼻叫喚の地獄絵図の様な光景にラウルは内心笑みを零した。過去にラウルが遠征合宿の参加組だった頃に起きた悲劇がまた、この班に起きているのだ。正直言えば少し楽しい。
「いやぁ残念ッスねぇ」
「全然残念そうに聞こえないんですけどっ!?」
「アンタ良い性格してるわねっ!?」
「なんでペコラさんのペナルティを事前に知らせなかったっ!?」
グレースが怒鳴るのはいつも通りだが、珍しく声を荒げるアリソンやヴェネディクトスを横目に完全に意気消沈したカエデがバックパックに近づいて袋を取り出した。
「とりあえず夕食にしませんか」
「……そうですね。携行食糧だけは残ってて助かりましたよ」
カエデの言葉に賛同したアリソンがナイフで袋に切れ込みを入れ、袋を開ける。
カエデが手に持つ袋。携行食糧の納められた袋を見た瞬間、ヴェネディクトスが青褪め、グレースが口を押えた。その様子を見てカエデとアリソンが首を傾げた。
「どうしたんですか?」
「ん?」
「アンタ達それ食う気?」
「他に食べる物無いんですよね? だったらこれ食べないと」
「あるだけマシですよ。それに食べないと減点ですよね?」
「そうッスね。夕食抜きは減点になるッス」
夕食を食べなかった場合、または食べられなかった場合は班の点数を下げると事前に伝えた事もあり、食べる選択をしたカエデに対し、ヴェネディクトスとグレースが苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ渋り始める。
「いや、森に入って食材を探そう」
「ダメッス。暗くなったッスからそんな事したら危ないッスから」
「私白湯だけで良いわ」
「無論ダメッスからね? ちゃんと全員食べないと」
恨みがましいグレースの視線に対し笑みを零しラウルは否定の言葉を積み上げる。少し楽しくなってきた辺りでカエデが口を開いた。
「あの、食べないんですか?」
袋から銀紙に包まれた携行食糧を取り出して手にしたカエデを見て、ヴェネディクトスとグレースが震える声で尋ねた。
「アンタ達……食べた事無い訳?」
「はい」
「そうですね。不味い不味いとは聞いてますけど……実食は初めてです。そんなに不味いんですか?」
素直に頷くカエデと首を傾げるアリソンの二人を見てグレースとヴェネディクトスは頭を抱えた。
このパーティ内で携行食糧の存在を知ってはいても食べた事が無いのはこの二人ぐらいだろう。他の班でもこんな阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられている事は察するのは容易過ぎるが、この班ではより酷くなる事が確定した。
初めて携行食糧を口にするカエデとアリソンの二人が無事に済むのか、そんな悩みを抱えたグレースとヴェネディクトス。そんな四人の上からアレックスの声が響いた。
「お前ら何してんだよ……飯はまだか?」
「アンタ何もしてないのに飯が出てくるなんて思わないでよ……いや待てよ」
「……グレース、君が何を考えているのか察しはつくよ」
グレースとヴェネディクトスが顔を見合わせてほくそ笑み始め、カエデとアリソンが首を傾げる。木の上から顔を見せたアレックスが訝し気な表情を浮かべ、木から降りてきた。
「何だよ、とりあえず飯は」
「アレックス、これあげるわ」
カエデの手にあった袋から銀紙に包まれた携行食糧を三つ取り出してアレックスに差し出すグレース。アレックスが目を細めて受け取り、匂いを嗅いで首を傾げた。
「なんだこりゃ」
「よし、やっぱコイツ知らないみたいね」
「あん? なんか言ったか?」
「なんでもないわ。それ食ってさっさと寝なさい」
アレックスにも聞き取れない声量で「寝れるならね」と付け加えてからグレースは袋の中を確認した。
一袋に十五個の携行食糧が納められており、一人当たり三個ずつの携行食糧が与えられる。アリソンはグレースとヴェネディクトスの反応に何かヤバイ物なのかとビビり始め、カエデは銀紙を剥して匂いを嗅いでいる。
「……特に変な匂いはしませんけど」
「みたいですね……何が不味いんでしょうか?」
「あぁ、二人とも……それ食べたら寝れないかもだから注意しなさいよ」
「「?」」
首を傾げる二人を余所に、グレースは袋から三つの携行食糧を取り出し数を均等に分け始め、手を止めてラウルを窺った。
「ラウルは?」
「俺は遠慮するッス……と言うのは冗談で食事抜きッスよ。あぁ、明日の朝の分もあるッスから一応今夜は一つだけ食べてくださいッス」
途中、グレースが本気で拳を握りしめたのを確認してラウルが冗談だと言えば拳を納めた。あのまま遠慮するとだけ言っていたら殴られていただろう。
カエデとアリソンが完全に臆病風に吹かれてグレースとヴェネディクトスの様子を窺い始め、アレックスだけは適当に二つをポーチに仕舞い、一つを銀紙を引っぺがして齧った。
一口齧り、咀嚼しはじめたアレックスを眺める五人。アレックスの表情は最初は訝しげに五人を見回していたが、次の瞬間には青褪めはじめ、咽びこんで口の中の物を吐き出した。
「げほっ!? ごほっ!? っ!? 不味っ!? なんだコレっ!?」
「ぷっ……あ、失礼ッス」「ふふっ……」「馬鹿みたい」
「何笑ってんだテメェ等っ!」
余りの反応にラウルは吹き出し、グレースとヴェネディクトスも笑い出した。その様子に怒りの形相を浮かべたアレックス。
その様子を見ていたカエデとアリソンは顔を見合わせた。
「そんなに不味いんですかね?」
「匂いはしないですよね?」
「むしろ何の匂いもしないんですけど……」
見た目は固パンの様であり、保存性に優れた携帯用食料品として開発された物。手にしたそれの匂いは一切なく、パン特有の小麦の香りもしないと言う不思議なそれ。
恐る恐る二人で少しだけ齧り、咀嚼しはじめ――二人同時に吐き出した。
ティオネさんは犠牲になったんや……。アイズさん? あの人は今後登場するから(震え声)
次回話では夜襲の話になるかな。ティオネさんとアイズさんの夢のコラボレーション……なおカエデちゃん達にとっては悪夢な模様。
軍用の携行糧食なんかで「美味であると非常時に必要になる前につい食べてしまい、本当に必要な時には食べてしまった後である」という事態を防ぐ為にあえて不味く作ると言った事をしてたらしいので。神々が何処まで不味くできるかを極めた代物。
『携行食糧』
複数の医療系ファミリアの主神がが集まって作り上げたダンジョン内における非常食。栄養価に優れ、携行性・保存性に優れたダンジョン内で食べるべき食糧No.1な代物。
しかも非常に安価で取引されており一枚当たり10ヴァリス前後の値段で取引されている。なんと物価がぶっ飛んでいるリヴィラの街においても地上と変わらぬ価格で取引されているぐらいの代物である。
見た目は固パン。トランプサイズの分厚いビスケットを想像すればそんな感じ。匂いは一切しない。むしろ不気味な方に無臭。
味は最悪の一言。冒険者の間ではこれを食べるぐらいなら犬の餌の方がマシだとか言われる程。
安価、携行性、保存性、栄養価のどれも優れていると言うダンジョン内で持ち歩く分には素晴らしい代物ではあるが、味だけは保障できない。