注意:乙倉悠貴とはデレマスのキャラです。知らない方はググって下されば概要が分かると思われます。
「やーいノッポノッポ!」
「このデカブツが!」
場所はとある小学校の教室、僕が教室に入ると休み時間だろうか男子達のはやし立てる声が聞こえる。どうやらその内容はある女子ー乙倉悠貴をからかうことらしい。直接からかいに参加していない者でも笑っている者も多い。当の乙倉さんはといえば、何も言い返さず悲しそうな雰囲気を漂わせながら暗い顔をしている。
時々乙倉さんがからかわれているのは知っていたが、今日は特に酷かった。僕は我慢ならずに男子達に発言を止めるように言う
「おい、それ以上言うのはよせよ。乙倉さんが悲しんでるだろ」
それにポカンとする男子達、しかし状況を理解するとこれは傑作だとばかりに笑い出した。乙倉さんをからかっていた男子達は今度は僕の方を向きながら
「なんだよ〇〇、ヒーロー気取りか?」
「それともこのノッポのことが好きなんじゃねえの!」
口々にはやし立てる。この状況に教室は男子達に加勢する者達と傍観する者達と2つに分かれた。乙倉さんはどうしたら良いのだろうかとオロオロしながらも、もう大丈夫だからと目線で僕に伝えて来る。しかし止まれるはずもなく
「乙倉さんを傷付けて楽しいのかよ、兎に角こんな最低なこと2度とするんじゃないぞ」
さらに男子達に注意する。これには男子達も興が削がれたと言わんばかりに静かになり、文句を言いながらも解散。この場は終了となった。ほっと一安心していると今までオロオロしながら沈黙を保っていた乙倉さんが声を掛けてきた。
「あの…〇〇君だよね?さっきは助けてくれてありがとう」
「そんな大したことないよ。それにしても今まで男子達を注意しなくてごめんね、こんな酷くなってるなんて…」
「そっそんな!気にしてないよ。それに、無理に私に構わなくても良いんだよ?私のせいで〇〇君まで傷ついちゃったら…」
「そんなこと気にしなくていいよ。これからも僕が乙倉さんのこと助けるから!」
勢い余ってそんな発言をする僕。内心プロポーズみたいだなと1人恥ずかしがっていると乙倉さんはプッと吹き出し
「〇〇君にプロポーズされちゃったみたい」
と可愛らしい笑みを浮かべながら僕にそう言う。「同じことを考えていた」と言いながら僕もプッと吹き出す。2人してひとしきり笑うと真面目な顔をした乙倉さんが
「今日は本当にありがとう。もし良かったら私の家でお礼をしたいやだけど今日の予定って大丈夫かな?一緒に帰りたいなー…なんて」
「予定なら大丈夫、でもそんな気を使ってもらわなくても…だけど乙倉さんともっと話がしたいし、有難くその誘いを受けさせてらおうかな」
「やった!じゃあ放課後待ってるね!」
満面のといった形容がぴったりと当てはまる素敵な笑顔でニコッとそう言う乙倉さんに、少し見惚れてしまいながら返事をして休み時間が終わった。時刻は放課後に移る。
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「それでね!それでね!ーがーで」
時刻は放課後、学校から乙倉さんの家までの帰り道。普段話す人があまり居ないからだろうか、楽しそうに話し続ける乙倉さんの話に耳を傾けながら僕は久しぶりに楽しい帰りの時間についつい笑みが零れる。そうこうしている内に目の前にそれなりに大きい一軒家が現れた。どうやらここが乙倉さんの家らしい。
家の前でしばし待つ。先に家に入って母親に僕が来ている旨を伝えたのだろうか「さあさあ遠慮しないで入って!」と言ってくれたので「お邪魔します」と一言添えながら家に入る。
その後は乙倉さんのお母さんに挨拶をして現在地は乙倉さんの部屋だ。因みにお母さんは乙倉さんに似てスラッとした優しそうな大人の女性だった。
「急な誘いなのに来てくれてありがとうね〇〇君、それにしても私の部屋に男の人が入るなんて初めてでドキドキするっ」
「僕だって女の子の部屋に入ったのは初めてだよ」
「えー本当に?風の噂で〇〇君はブイブイ言わせてるとか何とか」
「何だよその噂…」
急な誘いだったため特に何をするかお互いに考えておらず、とりあえず帰り道の延長で他愛もない話をして笑い合う。心なしか乙倉さんも楽しそうだ。そこで僕は先程から何となく気になっていたことを聞いてみることにした。
「それにしても乙倉さんの部屋って凄く可愛らしい部屋だよね」
「私背が高いし意外かもだけど女の子らしいモノの方が好きなんだっ!も、もしかして変かな?」
一瞬にして乙倉さんの顔が曇ってしまう。よくよく考えたら僕の呟きは乙倉さんが気にしていることだったのだろう。慌てて訂正すると
「いやそんな事ないって!乙倉さんみたいな可愛い女の子らしい部屋で凄く素敵だと思うよ」
「か、可愛いって…。〇〇君はずるいよ…。」
「照れてる乙倉さんも可愛いよ」
「もう…からかわないでっ!恥ずかしい…」
頬を赤らめながら照れる乙倉さん。だが満更でもないのかどこか嬉しそうな雰囲気が漂う。これだけで照れるなんてチョ…否そこも乙倉さんの可愛いところなんだろう。機嫌の回復した乙倉さんとこの後も続けてお喋りをしたり宿題を見てあげたりと楽しい時間を過ごして1日が終わった。
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その後のことを話そう。あれから乙倉さんへのからかいも次第に減っていった。乙倉さんはというと、元々持っていた明るさを糧に今ではすっかり人気者の地位を確立している。そして僕と悠貴の関係だが、あの日以来僕達の仲は深まり、単なる友達以上の関係になっていた。呼び方も下の名前を呼び合っている。
だけどお互いに今の関係が崩れるかもしれないのが怖いからか、面と向かって気持ちを伝えることはしていない。
そうこうしている内に小学校を卒業して中学1年になった僕達。現在の時節は秋で詳しくいうと10月6日。そう、悠貴の誕生日だ。そして僕は今日悠貴に告白することに決めている。方法はベタもベタだが放課後に校舎裏に呼び出して想いを伝える。
時刻は放課後になった。校舎裏に行くと先に悠貴が待っていた。綺麗な夕日の光が照らし出す光景は何とも幻想的だ。
「ごめん悠貴、待たせちゃって」
「私も今来たところだから大丈夫だよっ!それで大事な用って?」
「今日って悠貴の誕生日だろ?プレゼントを渡そうかなって」
「そんな気を使わなくても良いのに…でもありがとう」
満面の笑みで喜ぶ悠貴を尻目に僕は本題に入る。
「悠貴にまだ伝えないといけないことがあるんだ」
「ほえっ?何?」
「僕は悠貴のことが大好きだ。友達以上恋人未満の今の関係からもっと深い関係になりたい。僕と付き合って下さい」
一瞬ポカンとするが、何を言われたのか理解すると直ぐに顔を赤らめて俯きながらモジモジする。しばらくそうしていると、意を決したのか僕の方に向いてこう答えた。
「私でよければ喜んでっ!」
その時の悠貴の顔は一生忘れられないだろう。今まで見てきた笑顔の中でも間違いなく最上級の可愛らしい笑顔だった。
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夕日の照らす帰り道。晴れてカップルとなった僕達は手を繋ぎながら歩いていた。お互いに照れくさくて話したいことは沢山あったが無言だった。すると悠貴がこう呟く。
「昔は私の方が断然背が高かったのに、今は並ばれちゃった。やっぱり△△君も男の子なんだね」
「いつまでも身長が負けたままではいられないからね」
「あの日ー△△君が助けてくれた日に言ってくれた言葉覚えてる?」
「勿論。確か「これからも僕が乙倉さんを助けるから」だったっけ」
「そう!覚えててくれたんだ…。じゃあ改めて言うね」
今まで見てきた中でも最高の笑顔で
「これからも私のことを守ってねっ!愛しい王子様!」
続くかどうかは作者のやる気と皆様の評価次第です。