『美少女とイチャイチャしたい人生だった』   作:ましろうどん

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注意:条河麻耶とはご注文はうさぎですか?のキャラです。知らない方はググって下されば概要が分かると思われます。





条河麻耶

僕にはよく出来た兄が居た。品行方正で頭脳明晰で運動神経抜群の完璧超人で、将来を嘱望されていた。僕はいつもそんな兄と比べられてばかりだった。唯一そんな兄だけは僕の小説家になるという夢を買ってくれていたが、両親は僕には見向きもしていない。

 

ここで気付いた人も居るだろうが、ここまでの文末の大部分は「だった」。つまりは過去形である。そう、僕の兄は不幸な事故で若くしてこの世を去ったのだ。その為家の雰囲気は最悪といっていいモノで、僕は常々肩身の狭い思いをしている。

 

今日も暗い気持ちのまま学校へ行く。辛いや面倒臭いなどの感情もあるが、退屈な授業をテキトウに誤魔化して過ごすだけなので大した負担ではない。そんなことをしているからか友人や恋人は0だ。自分では兄には及ばないもののなかなか高スペックだと思っているのだが、まあそれはどうでもいい。

 

学校に着いて僕が日直だったことに気が付く。日直の仕事といえば授業毎の黒板消しと号令、日直日誌を書くことくらいなので大した仕事ではない。同じく日直である僕の隣の女の子は誰だったか、特に興味がないので覚えていないがまあ何とかなるだろう。

 

大した仕事でなくとも面倒臭いモノは面倒臭いので、憂鬱な気持ちを隠そうともせず自席で小説をこっそり書いていると、隣の席から元気で明るい声が掛けられたのに気が付く。

 

「小説書いてるの?あっ、知ってるかもしれないけどあたしは条河麻耶っていうんだ!よろしく!」

 

チラリと横を見ると、たははと笑いながら質問と自己紹介を2つ纏めてしてきた女の子。そうか、僕の隣の女の子はそんな名前だったのかと今更ながら思いつつ、手短に答える。

 

「ごめん今まで君のこと知らなかったよ、覚えておくね。それと確かに僕は小説を書いていたけどこのことは秘密にしてくれ」

「なんで?」

「あんまり知られたくないからだよ」

「ふーん、私なら知られた方が嬉しいけどなー」

 

せっかく教室でぼっちに興じていた僕に話しかけてくれたのだから最低限の礼儀は尽くそうと思い、とりあえず会話を続けてみる。

 

「話を変えるけど今日は僕達が日直だよね、よろしく条河さん」

「あー!そういえばそうだったね!よろしくね〇〇君、因みに私は君のこと知ってたよ!」

「特に知られるようなことした覚えはないんだが」

「隣の席の男の子が沈鬱な表情でいるんだもん、気になっちゃって」

 

どうやら僕の憂鬱な気持ちは外に漏れまくっていたようだ。そのことにショックを覚えていると、僕とは対照的な明るい元気な声で

 

「あっそれと私のことは麻耶でいいよ!そっちの方がすぐに仲良くなれると思うし」

「いきなり下の名前呼び捨ては抵抗あるけど、君がそれを望むならそうするよ麻耶」

「うん!」

 

そう言ってまたしてもたははと笑う麻耶。そうこうしている内に始業を知らせるチャイムが鳴り、僕達の会話は終了となった。

 

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根暗な僕と明るく元気な彼女とではあまりにも接点が無さすぎるため、正直彼女ー麻耶と話すのも今日の朝だけだと思っていた。しかし現実は違うようで、麻耶は昼休みにも懲りずに僕に話しかけてきた。

 

「朝はチャイムのせいで会話が終わっちゃったから聞けなかったんだけど、〇〇君の書いてるのって小説だよね?読んでみてもいい?」

「いいけど大して面白くないと思うぞ……」

「いやいや、それでもいいからさー!もしかして〇〇君って小説家になるのが夢だったりするの?」

「まあね…向いてないかもだけど」

「いちいち暗いなー、もっと明るく行こうぜ!」

 

元気だなーと根暗なりに思っていると麻耶はすでに僕の書いた小説を読んでいるようだ。それから待つこと十数分、一通り読み終わった麻耶は手を震わせながら開口一番こう言い放った。てっきり微妙な反応で終わるとばかり思っていたのだが

 

「これ……面白いよ!〇〇君は天才かも!」

 

意外にも麻耶は高評価だった。褒められて悪い気はしない、むしろ初めて兄さん以外に褒められて僕はとても嬉しかった。その後は麻耶とこの小説のことについて話したりしてお昼休みを過ごしていた。その時の時間は久しぶりに心から楽しいと思えるものだった。

 

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席が隣ということもあり、僕達の仲は意外にも良好で色々なことを話したりした。この頃からだろうか、明るく元気で一緒に居ると笑顔になれる麻耶のことに心惹かれていったのは。麻耶が僕のことをどう思ってくれているのかは知らないがいつかこの思いを伝えたい。そう漠然と思っていた。

 

ある日のことだった、いつもの通り他愛もない話をしていると急に真面目な顔になった麻耶はこう切り出した。

 

「前よりはマシになったけど〇〇ってふとした時に思い詰めた表情することあるよな、大丈夫か?もしアレなら私が相談に乗るよ?」

「いやいやそんなこと……あるか」

「あるって!」

 

真面目な顔で突然そう言う麻耶に僕も吸い寄せられたのだろうか。普段なら絶対に話さないし誰にも話したことはなかったが、麻耶にならという思いが先行して僕の身の上話を麻耶にした。すると麻耶は

 

「私が言うことじゃないのかもしれないけど〇〇の両親は全然分かってない!でも安心してよ、私は〇〇のこと好きだしこれからも〇〇と話したりするしさ!」

 

麻耶らしい返答に柄にもなく笑みがこぼれる僕。それを見て笑顔を返してくれる麻耶がたまらなく愛おしかった。ただ1つ気になることがあったのでイタズラ心を発揮して聞いてみる。

 

「好きってそういう好きなのか?」

「へ……?なっ、何馬鹿なこと言ってんだよ!もう……〇〇のヘンタイ男!女の敵!」

 

一緒に話す機会が多くなって気が付いたのだが、麻耶は恋愛に関しては疎くて純粋で純情で夢見る乙女な節がある。その為恋愛に関することで麻耶をからかったりすると面白い反応が見られるのだ。ただ単にからかっているわけでなく、僕は麻耶とそういう好きの関係になりたいがそれは口が裂けても言えないだろう。

 

こうして時は過ぎていった。

 

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1年が過ぎた。昔は根暗で人を寄せ付けない人間だったが、麻耶と出会ったあの日から僕のそんな部分は改善され、今では友人もそれなりに居るし、学校も以前よりも楽しい場所になっていた。麻耶とも相変わらず仲が良いが唯一心残りがある。

 

それは恋人が未だに居ないということ。僕の好きな女の子は1年間変わらずに麻耶一筋だ。麻耶は僕のことをどう思っているのだろうか、そう思うと不安になり告白には至っていない。だが、そんな微妙な距離の関係も今日で終わらせる。友人達の後押しもあり、今日この日に麻耶に告白することにした。

 

だがただ告白するのもどうかと思った僕は少し凝ったことをしてみることにした。その内容はといえば麻耶への思いを綴った恋文をいつも通りただの小説だと言って読んでもらう、麻耶が一通り読み終わった後で言葉で思いを伝える。これが一連の流れだ。

 

時刻は放課後場所は誰も居なくなった教室。しばらくすると時間より早く麻耶はやって来て

 

「改まって呼び出しなんて……〇〇らしくないじゃん、どんな用事の呼び出しなの?」

「新しく小説を書いたから読んで欲しくて。ジャンルはラブコメ」

「ラブコメかー……私恋愛って疎いけどそれでも良いなら読むよ!」

 

そう言って小説改め恋文を読み始める麻耶。その顔は読み進めるに従ってどんどん赤くなる。あわあわしている麻耶を尻目に本題に入る。

 

「それが僕の気持ち。僕みたいな根暗に声を掛けてくれて、仲良くしてくれて、それでいて励ましてくれて、いつも僕に元気をくれる麻耶が大好きです。もし良かったら付き合って下さい」

 

沈黙が続く。依然麻耶は顔を赤くするだけで返答はない。ダメだったかと諦めかけたその時、意を決したように、それでいて持ち前の明るく元気な笑顔で麻耶がこう言ってくれた。

 

「私も〇〇が好き!これから恋人としてよろしく!」




私事で大変恐縮なのですが、実は作者は麻耶ちゃんがキャラの中で1番好きなのです。

例のごとく続くかは作者のやる気と皆様の評価次第です。

これは小ネタなのですが、この話の主人公は『スタンド・バイ・ミー』のあの子を元ネタにしています。最近再び見る機会があったので
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