2074年フェンリル極東支部入隊。
同年フェンリル極致化技術開発局転属。
出生:4月10日 身長:165cm
特殊部隊「ブラッド」副隊長。サテライト拠点出身の神機使い。
感応種の初討伐を機に、他隊員との関係性は良好になりつつある。
感応種討伐の際の、とある理由で現在ブラッドアーツの使用を禁止されているが、以降の任務には特に支障は出ていない模様。
ブラッドアーツ、および血の力の使用禁止を言い渡されてから1週間。
シアンは普段より一層、訓練に力を入れていた。
“ブラッドアーツに頼らない”戦い方を徹底して身体に叩き込むためだ。
ラケル博士にブラッドアーツの禁止を言い渡された事は他の皆にも伝えたが、死んでいたかもしれない事は伏せた。
過ぎた事だし、自分自身どうやって神機を暴走させたのか覚えていないのだ、無駄な心配をかけることはない。
口止めをお願いしたジュリウスは、今日はラケル博士の付き添いで本部に出向いている。
仮説に過ぎなかったブラッド隊による感応種の討伐が、例の一件で立証されたのを受け詳しい報告をしに行ったのだ。
あれだけ検査をしたにも関わらず、シアンの血の力がどんなものなのかは相変わらず解明されていない。
ブラッドアーツを禁止された事で、それはさらに先延ばしになることだろう。
今日はシアン、ナナ、ギル、ロミオの4人で連携訓練を行った。
シエルは別室から4人の様子をモニタリングしている。
シエル曰く、例の任務でシアンとジュリウス以外の4人は連携を取るというよりも、個々に、作戦もなく場当たり的な戦いに終始していたらしい。
それでなんとかなっていたのが理解出来なかったと言う。
2時間ほど訓練をして、モニタリングしていたシエルから「規律のない連携」だと指摘が飛んだ。
やはりというか、それに不服を示したのはギルだった。
反省会のあと、庭園にいたシアンの下に来るなり言った。
「やっぱりあいつとはやっていけそうにねぇ。お前が前に言ってた"理解"っつーのも全然してないみたいだしな」
『…それで?』
「俺は俺で、やりたい様にやらせてもらう」
『それは少し自分勝手では?こちらからのアプローチも必要だと言ったはずです』
「僅かな意識のズレが死を招くこともある…あいつが理解するまでなんて、待ってられるか」
『シエルだって努力してます。それを、認めないとは言わせません』
「………」
『………』
しばらくの沈黙。
それを先に破ったのはギルだった。
「あいつだけで無理なら俺たちで支えて、助けてやればいい、か…正論だな。そりゃ、"仕事だから"か?」
『"仲間だから"です』
「………そうか…。すっかり副隊長らしくなっちまって。お前は"こっち側"だと思ってたのによ」
『……』
「この部隊にいるのは単に"仕事だから"、自分の目標を達成する為の道具だから…お前はそういう風に考えてると思ってた。そもそも神機使いなんて、望んでなるモンでもない」
『…ブラッドのメンバーと仲良くするって事は、サテライト拠点にいる仲間達を裏切る事だと思ってましたから。知ってるでしょ、サテライト拠点の人達がフェンリルをどう思ってるのか…。
でも、ハルト達がそれを払拭してくれました。私がブラッドにいることを受け入れてくれた…だからもうやめました。自分の気持ちを偽るのを』
ギルは黙って話を聞いている。
『"これは仕事だ"って、自分に言い聞かせてただけです。それに、あんなに必死な顔で助けに来られたら、演じ続けられなくなっちゃいました。
だからギルさんのことも"仲間"だと思ってます。今なら、皆"仲間だ"って断言出来る。同じ思いをあなたに無理矢理求めはしませんけど、皆で仲良く出来たらいいなと思います』
「…悪いが俺は、副隊長のその理想に付き合うことは出来ねえな」
『…そう、ですか。ギルさんが協力してくれたら心強いんですけどね。シエルを支えてあげることは、出来ませんか』
「あいにく俺は仲良しごっこをしに来たわけじゃない。他を当たってくれ」
じゃあな、とギルは帽子を被りなおしながら踵を返し、エレベーターに消えた。
『…ついこの間まで、ここで普通に話をしてたのに』
ブラッドの中でも一匹狼のギルは、同様に他のメンバーと深く関わらなかったシアンの隣がいつもの定位置だった。
それが、サテライト拠点の一件でシアンがナナやロミオと一緒にいる時間が増えると一転してそれがなくなった。
深く関わらなかったからこその定位置だったから、当たり前と言えばそうなのだが…。
『ちょっと、寂しいな』
東屋のベンチの、誰もいない隣を見つめる。
〔副隊長、アラガミの討伐要請です。至急ロビーまでお願いします〕
感傷に浸っていたシアンを、フランからの通信が現実に引き戻した。
『了解、他のメンバーの招集お願いします』
ロビーに出向いて、討伐対象と討伐フィールドを確認する。
その間にロミオ、ナナ、シエルがやって来た。
「あれ、ギルは?」
「いつもならシアンと一緒にいるのに…」
「まだ来ないのも変ですね」
『…いいんだ、彼は。討伐対象はシユウ2体、フルメンバーで行く事もないと思うけど…』
「みんなで行って、さっさと終わらせようぜシアン。早く終わった方がいいだろ?」
『そうだね。じゃあ至急戦闘準備、5分後にはフライアを発って現地に向かいます』
「了解!」
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ギルside
シアン…いや副隊長と別れて部屋に戻った俺は、気晴らしついでにグラスゴーから持って来たギターのチューニングをしていた。
弾く機会は滅多にないが、メンテナンスは欠かせない。
フランからの副隊長名義の招集をかける通信に思わずロビーへ向かいそうになって、足を止めた。
さっきの今で、副隊長と顔を合わせる気になどならなかった。
副隊長の実力はよく知っているし、ロミオやナナ達だっていつまでも素人じゃない。俺1人いないくらいで悲鳴をあげるような奴等じゃないだろうと、俺はチューニングを再開した。
俺の中で、「副隊長に裏切られた」という思いが渦巻いていた。
…裏切られた?
俺は一体、彼女に何を期待していたんだ。
…違う。期待してたんじゃない。
脳裏にある人物が浮かび、それが副隊長と重なる。
ああそうだ。あの柔らかい感じ…あの人とよく似ている。
裏切られたと感じたのは、素直になったあいつがあの人と似てしまっていたからか。
「…完全にワガママだな」
そう自嘲してみる。
副隊長が素直になれたのはいいことだ。
それは心からそう思っている。
日々の話し相手が隊長と年上だけってのは可哀想だしな。
だが、俺にはもうあいつの隣にいれる自信はない。
…あいつも、いなくなってしまうのだろうか。
そう考えたらいてもたってもいられず、遅いだろうがロビーにむかった。
「…あ、ギルバートさん」
案の定、カウンターに副隊長の姿はない。
フランが心配そうにこちらを見る。
「皆さん、もう行かれましたよ。どうなさったんですか?珍しい…」
「…いや……」
「副隊長から伝言です。"ゆっくりしていてください"と」
「…そうか。わかった、サンキュ」
どうやら俺が来ないだろうことは、副隊長は分かっていたらしい。
だてに一緒にいたわけではないって事か。
ロビーの自販機でそこまで美味くないコーヒーを買うと、モニター前のソファに座って、缶を開けた。
安っぽいコーヒーの香りが漂う。
時折通り過ぎる他の神機使い達が、俺の姿を見てヒソヒソと話していく。
そんな光景を横目に、俺は副隊長達の帰りを待った。
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「いやー、楽勝楽勝!!やっぱ俺の実力だよね〜」
「ロミオ先輩の実力っていうか、シアンがサポートしてくれたおかげでしょ〜?」
「い、今それを言おうと思ってたんだよ!」
『あはは…』
「副隊長、任務報告書は私が提出しておきます」
『わかった、よろしくねシエル』
任務から帰ってきて、カウンターに向かうシエルを見送ると、視界の端に人影が映った。
ロミオがその影に気づき声を上げる。
「あ〜!!ギルお前!!何で呼び出されたのに来なかったんだよ!?サボりか!?」
「ギルってばずる〜い!」
ギルは詰め寄る2人を無視してシアンに無言で歩み寄った。
『…何か、ありました?』
「………」
『ギルさん?』
「…いや、なにも問題はなかった。悪かったな、招集されたのに」
『…いいですよ、別に…』
ギルから視線をそらすシアン。
「…ちゃんと、帰ってきたな」
『え?』
「こっちの話だ」
ギルは疑問符を浮かべて立ち尽くすシアンに背を向けると、先程より少し軽い足取りでエレベーターに消えた。
「何だよアイツ…俺達を無視しやがって」
「ギル、なんか言ってた?」
『…おかえり、って』
「え〜それだけ〜?」
「つーかシアンもさ、副隊長なんだし招集に応じなかったギルをもっとガツンと叱った方がいいぜ!?いくらアイツがゴリラだからって…」
『いや、今回はいいんだ…本当に。だから気にしないで』
あと、コレ隊長には内緒ね、とシアンは言った。
主人公の帰宅&生存確認をするギルが書きたかった人生だった。←
でもこうなるまでに二、三回書き直してて、あーでもないこーでもないってやってました。
んで、ここまでで公式ストーリー以外の普段の描写が少ないなと思ったので、後々「幕間」と称して、10話までの間に何か話を挿入しようと思ってます。(ネタが思いつき次第)
今後はちゃんと日常回は日常回として話数に数える形で書く…ように…心がけ…ます…(自信ない)。
そしてシエル編、いっきまーす!