無色の世界   作:Hiramii

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藤木コウタ

極東支部第一部隊隊長、兼クレイドル臨時隊員。
シアンとはアリサ同様仲が良く、オペレーターをやっていた時期もよく一緒に食事をしたり外部居住区の商店を見て回ったり、コウタの方から誘って出かけることがあった。
隊員のエミールとエリナがよく喧嘩をするのが悩みの種。
コウタがかつての第一部隊の活躍を話したためか、シアンは第一部隊やクレイドルに憧れを持っている。

エリナ・デア・フォーゲルヴァイデ

第一部隊の新人神機使い。
エミール同様貴族で幼いが、歳の割にしっかりしている。
実兄のエリックとエミールは友人で、それを理由に自分を妹扱いしてくるエミールがウザくてたまらない。

ペイラー・榊

極東支部支部長で研究者。
入隊したばかりのシアンに暇を縫って勉強を教えていた。



第十八話 アナグラ

ようやくフライアが極東支部…通称「アナグラ」に到着した。

シアンにとっては久々の極東だ。

 

神機保管庫からアナグラのエントランスに入ると、正面に早速見知った顔があった。

 

「ヒバリさん!」

「あ、シアンさん!お久しぶりです」

 

カウンターに駆け寄るシアン。

 

「シアンさん、相変わらずお元気そうですね」

「ヒバリさんこそ元気そうで何よりです。やっぱりアナグラの雰囲気はいいですねぇ…温かいし、堅苦しくないし…」

「シアン、仕事で来たということを忘れるなよ?」

「分かってますよ隊長」

 

シアンの隣に並んだジュリウスに、ヒバリがお辞儀する。

 

「ブラッド隊の皆さんですね。支部長室でサカキ支部長がお待ちです、ご案内しますので…」

「ヒバリさん、私がやりますよ。支部長室の場所なら覚えてますし」

「そうか、シアンは極東から来たんだっけ」

「そういえばそうだったな。シアン、頼めるか」

「了解」

 

こっちだよ、とジュリウス達を案内するシアン。

支部長室の前まで来ると、ジュリウスがインターホンを鳴らした。

 

「ブラッド隊隊長、ジュリウス・ヴィスコンティ以下隊員各位、到着いたしました」

「ああ、待っていたよ。入りたまえ」

「失礼します」

 

支部長室に入ると、サカキ支部長がデスクチェアに座っていた。

 

「シアン君!久しぶりだね。こんな形で再会する事になるとは思いもしていなかったよ」

「お久しぶりです、サカキ支部長。お元気そうで何よりです」

「君に会えるのを楽しみにしていたんだよ。アリサ君から聞いた話では、思ったよりもうまくやっているようだからね。それにエミールを助けてくれた件、礼を言うよ」

「私1人で追い返したわけでは…。ロミオ先輩やナナ、ギルが助けてくれたおかげですよ。…それより支部長、そろそろ本題に」

「ああ、そうだった。どうにも歳をとると忘れっぽくなってね…。

改めてようこそ、極東支部へ!私は支部長のペイラー・サカキだ。早速君たちには任務に行ってもらいたいところだけど…まずはここ極東がおかれている状況について改めて説明するよ?

今極東支部は、いくつかの大きな問題に直面している。一つは"黒蛛病"…赤い雨に当たることで発病する、未知の病だね。そしてもう一つが…」

「感応種、ですね」

 

ジュリウスの返答にサカキは頷いた。

 

「感応種は偏食場…つまり、強力な感応波を用いて周囲のアラガミを従わせる、いわゆる接触禁忌種と呼ばれる新種のアラガミだ。

神機もアラガミの一種、普通なら動かなくなるところを、君たちは偏食場を押しのけ、これを撃退した…実に素晴らしい」

 

サカキ支部長に褒められて喜ぶナナ、ロミオ。ジュリウスは静かにお辞儀をした。

 

「君たちにはこの二つの件に協力してもらいたいんだが、どうかな?」

「ええ、承りました。最善を尽くしましょう」

「ありがとう。こちらも惜しみなく支援するよ。君たちのための区画も用意しておいた、遠慮なくくつろいでほしい」

「ありがとうございます」

「さて、話が長くなってしまったね…」

「サカキ博士ー!歓迎会のスケジュール、みんなに聞いてきましたよ…」

 

急に扉が開いて、背後を振り返る。

彼もこちらを見て驚いている様子だ。

 

「…あれ、もしかしてブラッドの人たち?」

「ありがとう、コウタ君。そうだよ、彼らがブラッドだ」

「お久しぶりです、コウタさん」

 

コウタはシアンを見てさらに驚いた。

 

「あれ、シアンじゃん!なんでお前がここにいんの?」

「なんで、って…私もブラッドだからですよ。話聞いてないんですか?」

「あー、そういえばアリサがそんなこと言ってたかも…いやー悪い悪い」

「相変わらずだなぁコウタさんは…アリサさんが聞いたらきっと呆れちゃいますよ」

「シアン、彼は?」

 

ジュリウスが問う。

 

「あ、彼はこの極東支部の第一部隊隊長、藤木コウタさんです。コウタさん、こちらブラッド隊隊長のジュリウス・ヴィスコンティ大尉です」

「ジュリウス・ヴィスコンティです、よろしくお願いします」

「こちらこそよろしく!」

「ねえねえコウタさん、歓迎会ってもしかして私たちの!?どんなご馳走が出るんですか!?」

「おいナナ、図々しいぞ」

 

ナナに注意するロミオも、その表情は緩んでいる。

 

「お、期待してていいぜ。極東のメシは美味いぞー!」

「ホントですか!?」

「やったぁ!!」

「副隊長、皆と一緒に行っててくれ。オレはまだ支部長と話すことがある」

「了解しました」

 

シアン達はコウタと共に支部長室を後にした。

 

「…彼女とは仲良くしてくれているようだね、ジュリウス隊長」

「ええ。とても頼りになる仲間です」

「それはよかった。サテライトの人々は我々に好意的とは言い難いからね…君達と彼女がうまくやれるか心配していたんだよ。"外"から来たばかりの彼女は、とりわけ我々に対する不信感をあらわにしていたし…」

「決して彼女を見捨てはしません、ご安心ください」

「ああ、信じてるよ」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

一方シアン達は、コウタと共にエントランスにいた。

 

「いや〜、あのシアンが本部の特殊部隊のエリートの副隊長かぁ!びっくりだよ、オレ」

「とは言っても本格的に活動を始めたのは最近ですし、そんなに大したこともしてませんよ?」

「いや充分だよ、充分すぎる」

 

その時遠くから「おーい!」とシアンの名を呼ぶ声がした。

その声の方を向くと、エミールが少女と一緒にこちらに近寄ってきた。

 

「やぁシアン君、また会えたな。僕は君がここに来ると聞いた時からずっと楽しみにしていたんだ…ライバルとして、また互いに切磋琢磨しあえることを!」

「え、エミールさん…どうも…」

 

シアンはエミールの横に立っている少女が気になった。

 

「君は?私がここにいた時は見かけなかったけど…」

「…人に名前を尋ねる時はまず自分から名乗るもんでしょ」

 

見た目の可愛さに反して、結構態度が冷たい。

 

「こらエリナ、初対面でそれはないだろ?」

「いいですよコウタさん」

 

少女を叱るコウタを止め、シアンは自己紹介した。

 

「私は神河シアン、フェンリル極致化技術開発局ブラッド隊の副隊長です。少しの間だけど、ここでオペレーターをしてたことがあります、よろしくね」

「私はエリナ。エリナ・デア・フォーゲルヴァイデ。アンタがコウタ隊長の言ってたシアンさんね。…ねぇ、ブラッドって本部の部隊なんでしょ?」

「そうだよ」

「ふうん…その中でもアンタは結構強いほうなんでしょ?」

「うーんどうかなぁ…私含めて半数は1年目だし…」

「ふうん…」

 

エリナは明らかに"本部"の部隊であることに対する警戒心があるようだ。

 

「エリナ、そんなに警戒しなくてもシアンは大丈夫だって。オレが保証する」

「…ふんっ」

「エリナよ、我がライバルに向かってその態度はなんだ、失礼ではないか。聞いているのか、エリナ?」

 

エリナは踵を返すとエミールを無視してエレベーターに消えた。

コウタは苦笑いでシアンに謝る。

 

「ごめんな〜、根はいい子なんだけど」

「謝らないでください、気持ちは分かりますから。本部の人間に対して警戒心を抱くのは私も同じでした」

「全く…礼節に欠ける。兄として礼儀というものを叩き込んでやらねば」

「頼むからケンカはすんなよ?」

 

エミールもエリナを追ってエレベーターに消えた。

 

「大丈夫か…?まぁ何はともかく、これからは一緒に現場で戦う仲間ってわけだ。公式な交流は上に任せて、こっちも現場レベルで仲良くしてくれよな、シアン副隊長」

「‪改めてよろしくお願いします、コウタ隊長」

「…あー、その、なんだ?」

「どうかしました?」

「その…ホラ、現場でっつーことはさ、やっぱお互い連携取り合わないといけねーじゃん?息合わせたりとかさ…だから敬語とか、さん付けとかしないで、ここは"オレとお前"ってことでどうかなー、なんて…」

 

コウタは余程照れるのか、顔が赤い。

 

「つまりタメ口呼び捨て、って事なんだけど…どう?あ、いや無理にとは言わないけど、なんかオレの感覚的に敬語とかさん付けとかは距離あるっつーか」

「…ふふ、わかったよコウタ」

「ホント?よかった…なんかさぁ、お前に敬語使われると違和感あってさ…なんでだろう?」

 

一連のやり取りを見ていたナナ、シエル、ロミオ。

 

「…シアン、私達といる時より楽しそうじゃない?」

「それ思ってた」

「極東支部の人々と話すのは副隊長にとって気が楽なのでしょうね」

 

横でそれを聞いていたギルバート。

 

「当たり前だろ、あいつは元々極東支部にいたんだぜ」

「なんかジェラシー…」

 

ナナは納得いっていないようすだ。

 

4人、もとい3人でそんなこそこそ話をしていると、コウタと話し終えたらしいシアンがやってきた。

 

「…何してんの?」

「ねえシアン、私たち仲間で友達だよね!?」

「えっ何の話、ナナ?」

「どうなんですか、シアン。ハッキリさせてください」

「ええ、シエル??」

「さぁ!!」

 

2人にすごい剣幕で言い寄られて困惑するシアン。

 

「ま、まぁ…それは…当たり前…じゃない?」

「本当にそう思っていますか」

「もう、何があったんだか知らないけど嘘なんかつくわけないでしょ?」

 

それを聞いたナナとシエルは、ホッとした表情を浮かべた。

 

「そうだよね、やっぱり大丈夫だよね」

「よかったです」

「一体何があったの?」

 

ナナとシエルが理由を話した。

するとシアンは面白そうに笑い出した。

 

「なんだ焼きもちかぁ…!」

「これは深刻な問題なんだよ!笑い事じゃないよ!」

「そーだぜ、コウタさんと話してる時の方がオレ達と話す時より楽しそうにしてるからいけないんだぞ」

「そうですよ、私とシアンは親友だったハズです…」

「ごめんごめん。差別してるつもりは無いよ」

 

文句を言うナナ達に、ギルバートは苦言を呈する。

 

「お前ら、他人の交友に文句つけるもんじゃねえぞ」

「なんだよ、ギルは何とも思わないのか?」

「ほらそこまで。コウタが歓迎会の準備にはまだ時間がかかるって言ってたから、一つ任務をこなしてこようよ。極東のアラガミは強いから、早めに慣らしておかないとね」

「よーし、みんなで行こう!」




やっと書けた…。
久々に前書きで人物紹介しました。
まぁ公式の説明なんてみんな知ってるだろうからその辺はだいたい割愛で。
はやくハルさん出したい。
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