彼を思う   作:お餅さんです

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二話 「謳歌した雨の夢」

 夢の中でも、俺は変わらず刀――時雨金時――を握っていた。そんでもって、夢の俺は着流し姿。そして両手に俺の刀を握りしめ、右足を一歩その場から前へ出す。同時に振り下ろされた刀はなんもねえ宙を切って、そのあと一つだけ呼吸をおいて残心。それをたまに形を変えながら、何度もまた刀を振り直す。

 見てる夢の場所は見覚えのある、リング争奪戦の時によく使ってた俺ん()の道場。でもって、そんな場所で修行してんのはいつも俺ひとり。時雨蒼燕流を教えてくれた親父も、気絶させて何度もこの夢を見させるスクアーロのやつもいねえ。修行で気絶するたび、休憩ってことで仮眠をとるたび。俺は昼も夜もひたすらここで、時雨蒼燕流の剣を飽きもしねえで振っていた。

 

 少なくとも現実の未来の世界から、ツナ達みんなで過去へ戻るまでの間。俺は期間限定で野球を止めて、剣一本でやってくことをスクアーロと決めてる。だからなのかは分かんねえけど、最近の俺が見る夢は全部こんな感じ。夢だから自分の好きなように動けねえってのは分かんだけど、それにしたっておかしな夢だとは思わずにいられねえ。

 ただそんな現実だけじゃなく、夢ですらまともにキャッチボールの一つも出来ねえ毎日。俺はそれを悪いとも、ましてや辛いとも思わなかった。何でかって、そう思ったのは入江やスクアーロの話から。白蘭や(リアル)6弔花達と戦うのに、修行はいくらしても足りやしねえ。むしろ寝てる間もできるっつうんなら、それこそ四六時中ってわけなのな。

 まあ、多分獄寺のやつには言ったら馬鹿にされそうではある。実際俺がやりたい修行はできねえし、感覚もねえからいまいちどう動いてんのか分かりづれえ。

 

「時雨蒼燕流 攻式八の型――篠突く雨」

 

 ただそれでも、無駄になってねえことは分かる。

 

 夢の中で振るった俺の、その周りに用意してたいくつかの的。それは俺が刀を鞘の中に収めるころ、その時にはもう縦に幾筋も割かれて断面が見える。その後も、地面に落ちるかどうかってぐらいの瞬間。切られた的はおが屑みてえになりながら、そのまま粉になって宙に散っていった。

 

 俺は十年後の世界に来てから、ラルミルチや小僧にスクアーロ。色んなやつらから修行を受けて来た。だから間違いなく、俺はリング争奪戦の時以上に強くなってる。それは自信をもって言えた。

 だけど夢の中の俺は、そんな俺と比べもんにならねえぐらいに強い。もっと言うんならメローネ基地で俺が負けた幻騎士、その幻騎士と戦ったことのあるスクアーロ。そんな十年後の世界でも強い剣士たちですら、もしかしたら相手にならねえんじゃって思うぐらいに強く感じた。

 

 ただこれは夢なんだし、現実じゃねえからなんでもありなのかもしれねえ――初めて見た時はそう思ってた。だけど夢の中の俺が振るう剣や、その体の動かし方。何度も続けてこの夢を見てる、実際に体を動かしてる俺だからこそ分かる。これは夢によくある無茶苦茶な動きなんかじゃねえ。覚えさえすれば、もしかしたら俺にだって出来るんじゃねえか――そう考えさせるぐらいには有り得そうなもの。

 まあ、現実でやってみたけどそう上手くはいかねえ。なんならスクアーロにだって、お前にはまだ早えって怒られちまったりもした。そういうわけだから、無駄にはならねえけど参考にするぐらい。足(さば)きなんかは見てっけど、まんま真似るってことは流石にやめた。すげえことには違いねえけど、なんとなく違和感もあったから。

 

 そんなことを考えていると、また刀を振るってた夢の俺が勝手に動き出す。ただ今度は、また修行のために振るったわけじゃなかった。むしろ舞踊かなんかの手本みてえに、綺麗に無駄なく刀を鞘へ納めた俺は無手。息を吐いて体を完全に脱力させた後、ゆっくりと何も持たない右腕を真横に突き出した。

 刀を抜く素振りが一切ないそれは、どうも剣術を使おうとしてるようには見えねえ。かと言って、先輩がやってるようなボクシングをやろうとしてるようにも見えやしねえ。だけど俺はその見覚えのある動きに、これから起こることに少しだけワクワクしてるのが分かった。

 

 ――風切音が鳴った。

 

 次に、道場中に乾いた音が広がった。速い何かを受け止めたみてえな、その大きな音は俺の右手から。きっとこれが現実なら、一緒に覚えのある衝撃が腕にきてたように思う。ただこれはやっぱり夢でしかねえから、流石にそこまで分からねえ。それに内心苦笑いしながら、右手の中に納まってるものを見た。

 握る右手の隙間から見えるのは、白い玉に幾つもの縫い目の跡。似たような間隔で、よく見たら変わった形に縫われてるそれ。それは今までの人生で、散々に受け止め投げて来たものに間違いねえ。この道場にこそ合わねえが――硬式の野球ボールに違いなかった。

 

「ナイスキャッチ!」

 

 聞こえて来た嬉しそうな声。それは野球ボールが投げ込まれて来た、夢の俺から見て右側の出入り口から。見たらいつからそこにいたのか、声をかけて来たやつがそこにはいた。

 そいつの向こうは暗がり。夢の見はじめは昼だったはずだけど、いつの間にか日も落ちてたらしい。ただ道場の明かりで暗がりの中、むしろそいつが際立ってるみてえに照らされてた。だからか俺は、全身真っ白のそいつが誰なのか分かった。現実じゃありえねえぐらいに純粋な笑顔のそいつが――白蘭だと分かった。

 

「……何しに来やがった」

 

 それは当たり前だろうけど、夢の俺も同じ。声をかけて来たやつが白蘭だと分かった俺は、少しだけ間を置いて聞いた。修行を邪魔されたからか、話し方は本当に俺かってぐらいにおっかねえ。ただ繰り返してるみてえに何度もこれを見てる俺は、初めて見た時みてえにそこまで焦ることはなかった。

 それは初めて見た時と同じで、そんなに時間も経たず直ぐに分かる。目の前にいる俺が尋ねた白蘭が、その白蘭の答えから感じる俺の反応ですぐに分かった。

 

「野球、するでしょ?」

 

 夢の俺は、ただ呆れてただけ。それが簡単にわかるぐらいに、あからさまにでっけえため息を吐いた。ただそれも分からなくはねえな――なんて、きょとんとした顔の白蘭を見て思う。

 

 夢の俺は、同じように夢のこの白蘭と仲が良い。毎回一人黙々と修行している俺に、決まって途中からキャッチボールなんかに誘ってくる白蘭。はじめは機嫌の悪そうな俺に、毎回気にせずよく何度も誘えるな――そんな風に、夢の中の白蘭は良いやつなんだなぐらいにしか思ってなかった。

 だけど、ただそれだけじゃない。ため息を吐きながらではある。けど今みてえに白蘭の持ってきたグローブを受け取って、自分から進んでキャッチボールの準備をし始める夢の俺。呆れながらでも俺が見た今まで、夢の俺は白蘭からの誘いを断ったことがねえ。それに気づいたのは何度目の夢を見た時だったか、なんでか二人が年の近い兄弟みてえに見えだした。こんなこと、夢だろうとツナ達には言えねえんだけどな。

 

 そう考えてる内に、夢の俺たちが道場の外に出てキャッチボールを始める。外でも修行できるよう、現実と同じで本当に開けただけの場所。そこでお互いに距離を取って、先にボールをそのまま持ってた俺から投げ出そうとする。

 軸足の左足を白蘭に向けて、ボールを持ってる右腕は逆に引いてく。そのあと腰を鞭みてえに捻らせながら、勢いよく振り下ろされた俺の右腕。腕が体の前に出る頃には、もう手首も利かせて投げたボールが手から離れてく。そしてそのボールは真っすぐ――構えてた白蘭の真上に向かって突き進んだ。

 

「と――ったぁぁああ!!」

 

 白蘭はそのボールを()った。ただ、やっぱそれは簡単にじゃねえ。体のバネを使いながら勢いよく跳んで、グローブを付けた腕を限界ギリギリまで伸ばす。見間違いでもなけりゃ、足元から一瞬噴き出したオレンジ色の炎。それだけしてようやく届くぐらいに、夢の俺がしたのはどう見ても大暴投(だいぼうとう)

 その後何もなかったみてえに、それでも白蘭は額に汗を浮かべながらボールを投げ返してきた。それに俺は落としこそしなかったけど、それでも危なっかしくオロオロと受け止める。責めこそしねえけど苦笑いな白蘭。それに夢の俺は、バツが悪そうに視線を背けた。

 

 その後もキャッチボールは続いた。だけどその俺が投げた大体が、一回目みてえなお世辞にも良くはねえもの。ただ俺はそれを、やっぱりいまさら驚きはしねえ。それはなんでって、この夢を見始めた一度目の白蘭とのキャッチボール。その時にはもう、夢の俺が野球が下手だって分かってたから。

 ただ何も俺自身が滅茶苦茶上手いとは言わねえし、言えるわけがねえよ。まだ校内ならともかく、他校には俺より野球が上手いやつなんてそりゃ何人もいる。それに当たり前ではあんだけど、野球をやり始めた時は俺だってこんぐらい下手だった。ただそんなことを、夢の俺は思ってなかったらしい。何度か言いづらそうに口を開きかけた後、小さく何とか聞こえるぐらいに呟いた。

 

「……なあ、いつまでやるんだ」

 

 また白蘭から何とかボールを受け取ったと思えば、投げ返さずに夢の俺がそう呟く。それは呆れてるというよりは、どこか気落ちしてるみてえな声。それに白蘭は何に対してか分からなかったのか、投げ返さない俺に無言で首を傾げる。

 それに理解してねえと分かって、今度はもう少し大きな声で俺が話す。白蘭に届くように、何とか理解してもらえるように。自分の気持ちをゆっくりと話し出した。

 

「別にこうしてるのは構わねえよ。どうせここに来るやつなんて、今じゃもう俺とお前の二人だけだ。だからこうしていくら恥をかこうが、俺は別になにも構わねえ。何よりお前は、俺にそれができるんだからな」

 

「だけど、だからこそ分からねえ。何でこうも毎日来る。何でこうも毎日こんなことをさせる。何でお前は、俺に――」

 

 それは俺が夢を見はじめて、夢の俺が初めて溢したような言葉。弱音と言っていいのかもしれねえ、だけど心からそう思ってるだろう言葉。野球が下手だからやりたくない、少しだけ考えてたようなそういうわけでじゃない。夢の中の俺の言葉通りなら、それは恥とは思ってもそこまで。大本の理由じゃねえことが分かる。

 だからきっとこんなことを言い出した理由は、もっと俺の知らないような深いもの。夢の中の俺と白蘭しか知らない、俺が見始めたこの夢の時期からもっと前にあったらしいこと。

 

「嬉しいからだよ」

 

 気になりはしたけど、それは白蘭に遮られた。

 

「山本君、僕は今とても嬉しいんだ。君とこうしてキャッチボールが出来るなんて、正直思っても見なかったからね」

 

「君はどうだろう。楽しいかな、面倒くさいかな。やっぱり言ってる通り、辛かったりするのかな。だけど僕はさ、こうしてる君も悪くはないと思うんだ」

 

「刀を握る君も、僕とキャッチボールをしてくれる君も。どっちも変わらない、僕がよく知ってるただ一人の君だから――」

 

 

「それが見れる僕は、今とても嬉しいんだ」

 

 

 白蘭が夢の中の俺に向けた言葉を聞いている内に、俺はこの夢をただの夢だとは思えなくなってるのが分かった。どうしてかは分からねえ。根拠なんてものは何一つねえ。ただ、なんでかそう思った。

 夢の中の俺と、白蘭しか知らないこと。二人だけが知ってる、きっとすっげえ大切なこと。それを無断で覗こうとしてるみてえで、自分でもびっくりするぐらいに嫌な気持ちになったのが分かる。

 これを獄寺辺りに話したら、きっと馬鹿にされんだろうな――そう考えながら珍しく、ムキになって言い返すんだろう自分が簡単に想像できた。そんで夢の中の二人には分からねえだろうに、少しだけ笑った。

 

 夢の中の俺の悩みなんてどうでもいい。夢の中の白蘭の考えなんてどうでもいい。この夢が本当に夢かどうかなんて、そんなことはどうでもいい。

 ただこの夢の中の二人が送ってる毎日。俺が朝から晩までひたすらに修行して、そのどこかでやってきた白蘭とあまり上手くねえキャッチボールをして終わる毎日。そんな、どうしよもねえぐらいに何でもねえ日々。

 

「お前が、飽きるまでだ」

 

 投げたボールが、真っすぐグローブに収まる。

 

 こんな二人を、俺もずっと見ていたいと思った。

 

 

 

 

 

 目の前が真っ暗になった。

 

 

 

 

 

 夢が終わったんだ――と、一瞬だけそう思った。中途半端であったけど、これ以上は俺だって見なくても分かる。きっとまたキャッチボールを続けて、どちらともなしに終わってそれぞれの家に帰るんだろうって。

 だけど、夢はまだ終わってなかった。真っ暗になって、その後直ぐに見えた光景。ある意味いつもと変わらない道場のそれが、ここがまだ夢の中だと嫌ってぐらい俺に教えてくる。

 

 なんとなく嫌な予感を感じていると、いつもより俺の視線が低いことに気づいた。現実で修行してる時と比べても半分ぐらい低いそれに、少ししてから夢の俺が刀の傍で正座してることが分かる。

 その次に、着ている服装が違うことにも気づいた。夢の中では大体着流しか、それに近いような和装の服。だけど今回に限っては、何故か夢の中では初めて着るシャツ。どこかで見たことのあるそれは、よく見れば未来に来た最近は着てない並中(なみちゅう)の学生服だった。

 

 学生服を着ながら、道場の真ん中で刀を脇に置いて正座。多分ついさっきまで見ていたのとはまた違った時期の今回の夢に、この夢の前後を知らない俺はどんな状況にいるのか分からなかった。

 ただそれも、暫くして分かることになる。俺自身だから分かる、手持無沙汰に表情を作ることもなくただその場で座り続ける夢の俺。そうして何もせず数十分経った頃。座る俺の真正面になっている道場の出口から、人の気配が現れたのを感じた。俺の修行不足か、ここが夢だからか。感じて分かるのはまだ気配だけ。ただそれでも体の端だけでも見えて来た人影に、俺は一人の男を思い浮かべていた。

 

「山本君……!!」

 

 その人影は俺自身想像していた通り。ついさっきの場面まで、夢の俺とキャッチボールをしていた筈の白蘭。ただ服装こそいつも通り真っ白な白蘭だが、その他はさっきまでと全く違って見えた。

 この道場に来るまで、もてる全力で走り抜けてきたんだろう。息は過呼吸を起こすぐらいに荒く、流れてる汗も滝みてえに止まる気配がねえ。それからなにより、白蘭の浮かべるその表情。真っすぐ俺を見つめながら名前を呼ぶそれには、普段にない鬼気迫るものを確かに感じさせた。

 

「よう、悪いな白蘭」

 

 それは俺自身、間違いなく場違いだと思わせる口調。今まで聞いて来たのとは似ても似つかないぐらい気安いその言葉は、言葉通りかなり穏やかなもの。必死の様子を見せる白蘭と見聞き比べ、明らかに態度の合わないそれ。夢の俺とは見てる光景が違うんじゃないか――と、本当に少しだけ不安に思った。

 ただ俺が聞こえたその声は幻聴何かじゃなく、間違いなく本当に聞こえたもの。それは聞こえた言葉の後、辛そうに顔を歪めた白蘭を見て確信に変わった。そしてその後、そんな俺を心配に思ったのかもしれねえ。表情を歪めたままの白蘭が、道場入り口から一歩近寄ろうとする。

 

「――止まれ」

 

 それはどう聞いても、ついさっき軽く声をかけてきたやつと同じだとは思えねえ。背筋が伸びる程冷たく、一切の有無も言わせねえようなたったの一言。それは現実で寝ているはずの俺自身、思わず息が止まったんじゃねえかと思ったほど。

 でも流石っつうんなら、それは直接投げかけられた白蘭に対して。いきなりだったからか、動きこそ一瞬止めてはいた。ただ、それだけ。動くなと、圧をもって夢の俺に言われはした。だからか出入り口その場から動きはしねえけど、それでもゆっくりと口を開いた。

 

「本気、なのかい……?」

 

 それは疑問だった。何に対しての疑問なのか、やっぱり俺には分からねえ。ただそれは、問いかけられた夢の俺に限ってはそうじゃなかった。その疑問に対して、刺さるような雰囲気を幾らか柔らかくさせた俺。けれど決意を固めたような表情を浮かべながら、白蘭に向かって一つ頷く。それを見てさらに表情を歪めた白蘭は、思わず一歩動かそうとして思い出したのかまた止めた。

 二人の、何とも言えないこの雰囲気。未だに前後の状況が分からない俺には、その理由を自信もって言うことなんてできやしねえ。だけど思い当たる節が全くない何て言うには、俺もまだ剣士として戦おうとしてない訳でもなかった。

 

 夢の俺が刀――時雨金時を掴んだ。

 

 それに俺は、まずないだろうとも思ってた一つの可能性。ただ俺も考えたことがない訳でもなかった、俺ならやってもおかしくないだろう可能性が確信に変わった。

 

(わり)いな、白蘭」

 

 やめろ――そう呟いた。

 動くな――そう叫んだ。

 止まれ――そう荒げた。

 

 少しでも、ほんの一声でも夢の中の俺に届けば。そう願って、必死に声を喉から吐き出した。

 これが夢だからか、いくら出しても喉が潰れる様子はなかった。だから俺のもてる全力で、ただひたすらに。最後の方はもう言葉にすらなってなかった。届けばそれでよかった。ただそれだけでも誰かが叶えてくれれば、俺は本当に何でも出来るような気がした。

 

「俺、神さんに見捨てられてたらしいわ」

 

 ――届く筈がなかった。

 

 鞘から抜いた俺は、時雨金時の刀身を()()()首元に当てていた。声や表情は、また人が変わったみてえに穏やかに戻る。もう何も思い残すことはねえって、全身でそう言っているような気がした。

 だから白蘭が力づくで抑えようとするには、もうあんまりにも遅すぎた。それは多分、刀を抜く前でも同じ。夢の俺の腕は、俺以上に白蘭の方が知ってるんだろう。俺から出入り口の白蘭までにある距離。それだけあれば、十分に刀を抜いて首を切れることを。そしてだからこそ、さっきの言葉一つに白蘭が動けなかったんだとようやく気づいた。

 

「なんで、どうしてこんなことを……?」

 

 ただ、白蘭は諦めねえ。ここまでくれば、夢の俺が白蘭をなんかの方法で呼び出したのが分かる。それは一つの宣言でもあるけど、それ以上に白蘭と話すことがあるってことも。

 当たり前なんだろうけど俺が気づいたみてえに、白蘭もそのことには気づいてたらしい。言葉こそ本気で、何でこんなことになっているのか分からない様子だった。それでもその視線だけは、首元に当てられた刀身を一心に見つめてる。隙があれば――そんな考えが皮肉に感じるぐらい、俺でもよく分かった。

 きっと、夢の俺もそんなことは分かってる。ただもしかすれば、それこそが白蘭に伝えたかったことなんだろうか。俺はそんな白蘭を気にした様子もなく、ただ懐かしむみてえに話し出す。

 

「小学生の頃、親父が病気でしんだ」

 

 夢の俺が語り出したのは、今度こそ俺が全く思ってもみなかったこと。

 

「死ぬ直前、親父が俺へ最後に残したのが――時雨蒼燕流。ただ、まだ歳が二桁にもなってねえ俺にだぜ? 途絶えさせたくなかったのか、その辺は聞けずじまいだったけどよ。正直、未だに殺人剣なんて教えた意味が分かんねえのな」

 

「それに、そんなの覚えてる俺がまともな生活なんざ送れるわけもねえ。自分の身を守ってただけのつもりが、それこそ二桁になる頃には立派なフリーの殺し屋(ヒットマン)だ」

 

 夢の俺の親父が、十年後の世界よりも前にもう死んでる。しかもその時に覚えた時雨蒼燕流のせいで小僧と同じ殺し屋になった。いきなりのことに頭が追い付かねえことだけが良く分かる。

 ただそれ以外にも、もう一つだけ分かったことがあった。それは、言葉自体は死んだ親父への恨み節。言葉通りならまず間違いなく、恨んでるんだろうことが分かる。だけどその口調は、変わらずにいつかの思い出を懐かしんでるみてえにも聞こえた。

 

「そんな時に会ったのが――白蘭、お前だったな」

 

 白蘭の体が、少しだけ震えた。

 

「何種類も受けて来た依頼の、その中でも特に請け負ってた暗殺の依頼。標的としてお前を狙った時が初対面だったっけか」

 

「まあ結局、余裕かました割にはあっさりやられちまったけどな。しかもどうやったのか、気づいたら俺は裏の世界から足抜けしたことになっちまってる。やることなくなって修行している俺に、毎日キャッチボールだとかで絡んでくるお前。正直な話、あの時は混乱して仕方なかったのな」

 

 聞いちゃいけねえと思ってたことが、俺の意思に関係なくどんどんありもしない耳に入ってくる。だけどそれに、元々どう思ってたかはもう何一つ関係ねえ。俺はそうして、夢の俺の話を漏らすことなく聞こうとする。

 聞いちゃいけねえと思ってた。多分聞かれたくねえことなんだろうって。柄にもなく気をつかった気でいて、だけど二人の何気ねえ日々を見れればそれでよかった。それでも気づいた。鈍い俺でも、ここを聞き逃しちゃいけねえってことは嫌でも分かった。

 

「嬉しかった」

 

 きっと、今日で終わっちまうから。

 

「あの日、お前にそう言われた日から変わった。変なやつだとは思ってたけど、まさか俺が中学に通うことになるなんてよ。まあ同い年にアルコバレーノの教え子はいるし、後からスモーキンボムも来るわで大忙しだったけどな」

 

「ただそれでも学校でツナや獄寺とつるんで、部活で野球をやって、休みの日にはお前とキャッチボール。今までの生活と比べりゃあ、悪くねえ毎日だったと思うぜ」

 

 本当に、心の底からそう言ってる。むしろ言ってる以上に楽しい日々だった。そう思ってるのが簡単に分かるぐらいには、夢の中の俺の口調は弾んでいた。

 

「なら――」

「でも……ダメなんだ」

 

 だから、白蘭もイケると思ったんだろう。説得して、こんなバカな真似を止めさせれると思ったんだろう。踏み出しこそしねえが、それは意識して堪えていた。俺が許せば、直ぐにでも傍に寄ることが良く分かる。

 だけどそれが、また人の変わった声で遮られる。今度は今までとはまた違った。穏やかでも、冷たくも、弾んでもない。夢の俺は、ただ嘆いていた。

 

「あいつらと過ごしてると、嫌でも分かっちまう。どう取り繕っても、どうしたって俺は裏の人間。それも獄寺とは違って、つま先から頭のてっぺんまでどっぷり浸かっちまってることを。どうしようもねえ、どうしようもない人間だってことを」

 

 静かで小さい、それでも感情高ぶった心情まんまの大きな声。出した俺の、その刀を握る手は震えていた。そのせいで、当てた首元から赤色が一滴だけ伝って流れる。伝って流れた赤色が白色のシャツに届いて、出来た真っ赤な染みがじんわりと広がっていく。

 だけど、夢の俺はそれを気にも留めねえ。それどころか、今度はもう語りは辞めて白蘭に話しかけた。ただそれも、話しかけたのはあくまで形だけ。全部が全部、夢の俺の中で終わってる。だからそれに返事は、きっと期待なんてしちゃいなかった。

 

「なあ、お前なら知ってんだろ? この前黒曜で骸達と戦った時。その時に俺と戦った、金髪の男を()()()()()時だよ」

 

「それを当たりめえにやってのけた俺に、ツナ達がどんな顔して見てきたか。あの場にこそいなかったけど、お前なら知ってるんじゃねえか?」

 

 白蘭は、きっと無意識だったんだろう。真っすぐ見て逸らさないままでいた視線を、夢の俺の問いかけを聞いて少しだけだが逸らす。

 本当に、それは気づくかどうかっていうもの。だけど面と向かって話し合ってる相手に、それが気づかない訳がねえ。それが分かっただろう夢の俺にとって、白蘭がしたのは何よりの答えに違いなかった。

 

「……あの後ビアンキの姐さんにも言われたよ。『気をつけろ』って。やり過ぎないようにじゃねえよ。きっと、()()()()()()()()気をつけろってこった」

 

 あの人はよく分かってたんだ――そう悔やむみてえに溢しながら、躊躇うみてえに視線を戻してきた白蘭を見た。多分何気ない、無意識の仕草で傷つけてきた白蘭に対して。そんな罪悪感に駆られてるだろう、青い顔した白蘭と合うよう視線を寄越した。

 

「でも、ダメだった……!!」

 

 二人の視線がかち合う。白蘭と俺との間でかち合って、その刹那に夢の俺は口を開ける。怯えるみてえな表情の白蘭を気にもしねえで、そのまま叫び声を上げた。それはきっと、咆哮に近かいぐらいに大きな声。静まり返ってた道場中に、聞こえねえ所なんてねえだろってぐらいに響き渡った。

 

「きっとあいつらは変わらずに、いつもみてえに接してくれる! あいつらが黒曜の後から逃げてる俺なんかを、一月経った今でも朝から晩まで探してんだ! そのぐらい、ずっと一緒にいた俺が一番知ってる!!」

 

「だけどダメなんだ! ()()()()()()()()()! 俺の手は、もうどうしようもねえぐらいに血まみれだって! もうあいつらのいる世界に――俺なんかがいていいはずがねえんだって……!!」

 

 白蘭からは言葉が出なかった。出せていなかった。言葉も出ねえぐれえに口を半分だけ開けて、何かを言おうとしてはやっぱり閉じた。全くではねえと思う。だけど、ここまで思い詰めてたとは思ってなかったんじゃねえんだろうか。

 そう考えてたら滴が、また首元を伝いながら落ちてく。けどそれは、首元から出た赤い滴何かじゃあなかった。それは夢の俺の両目から、ゆっくりと流れ落ちていく透明な滴。それがシャツにまた新しい染みを作るたび、夢の俺の声はどんどん落ち込んでいく。それに感じるわけもねえのに、なんでか俺まで目頭が熱くなってる気がした。

 

「……けどあの毎日を知った俺には、もう裏にすら戻れる気がしねえ。なによりあんな顔見ちまったら……もう、ただの一人も切れるはずねえのな」

 

「だから……決めちまったんだわ。でもお前にだけは……伝えときたかったことがあったから。だからほんとに(わり)いんだけど、後ほんの少しだけ……こんな俺に付き合ってくれよな」

 

 言いながら夢の俺が、刀を握る手に力を込めたのが分かった。それに気づいたのか白蘭は、もう俺の言ったことも気にしねえで走り出す。真っすぐに青白い顔をした必死の形相で、止めるよう叫びながら俺の方へ駆け出してきた。

 それに夢の俺は、言ったことを破った白蘭にもう何もしなかった。はじめみてえに言葉で圧をかけることも、握る刀を向けて脅すこともしなかった。ただそのまま、なんの心配もねえぐらいに穏やかな表情。その表情で、自分を心配してくれている白蘭を見ていた。

 

 でもって俺は、もうそんな二人に対して何もしなかった。実際何が出来るってこともねえんだけど。ただそんなことを抜きにしても、二人に対して何一つしようとも思わなかった。だけど、それは別にどうでもよくなったからってわけじゃあ決してねえ。

 何もしねえで、全力で夢の中の俺を止めようとする白蘭を見てた。何もしねえで、また最後に口を開けようとする夢の中の俺の動きを感じてた。何もしねえで、そんな二人を頭ん中に必死で焼き付けようとしていた。

 

 そりゃなんでって――。

 

 

 

「お前と過ごせて――嬉しかったんだぜ」

 

 二人(親友たち)を、ずっと見ていたいと思ってたから。

 

 

 

 それだけ聞こえて、また目の前が真っ暗になってく。それに今度こそ起きるんだと分かって、駄目もとでスクアーロにもう少しだけ休憩を頼もうと決めた。多分だけど今剣を持っちまうと、震えて握れないような気がしたから。

 ついでにその間、小僧辺りに相談にでものってもらおうと思う。やっぱもう、流石にただの夢だとは思えねえんだわ。

 

 そうやって現実で目を開こうとした時――。

 

「■■■■■く■■」

 

 誰かの声が、聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 第2ラウンド――そう現実の白蘭が言った通り、まだ戦えねえ俺らを置いてツナ達二人の戦いが始まった。場所は変わらねえ。ツナのX(イクス) BURNER(バーナー)で少し地形は変わっちまってるけど、そんなこと気にもしねえで白蘭が襲い掛かってきたから。

 ただ俺たちは、始めこそまた始まった戦いに心配はしてなかった。一緒に戦えねえことに申し訳なさはあっても、多分ここにいる全員がそんな風には思ってなかったように思う。実際そう思っちまうぐらいには、さっきまでのツナと白蘭との戦いは圧倒的。パワーアップしたツナのやつに、白蘭は誰の目から見てもついて行けてなかった。

 

 ――だから、俺たちは余計無力感に苛まれた。

 

「くっ……!」

 

 白蘭に吹き飛ばされてうめき声を漏らしたツナ。そんなツナに向かって、獄寺達がツナの名前を叫んだ。応援ってわけじゃねえ。それは正真正銘の、ツナへの心配から出て来た叫び声。

 そんな声が、耳を澄ます必要もねえぐらいにそこら中から聞こえて来る。当たりめえだけど、俺も当然その中の一人。白蘭と戦うツナに向かって、傷ついて倒れそうなツナに向かって声が無意識に出た。心配してねえ筈のツナへ、みんながみんなそうしてた。

 

「どうしたんだい綱吉君? なんだかさっきよりも遅くなったんじゃないかな?」

 

 片膝つきながら立ち上がろうとするツナに、白蘭がそんな風に煽りながら近づいていく。一度目の戦いみてえに、翼みてえなのを広げながら空を飛んでるわけじゃねえ。しっかりと一歩ずつ、ゆっくりとと踏みしめながら近づいていく。

 それは本当に、さっきまでの追いつめられてた白蘭には見えねえ。夢の事もあって元から違和感はあったけど、そのせいで余計にまた別人に思えた。

 

「……どうしちまったんだ」

 

 気づいたら声が俺の口から洩れてた。でもってすぐに、その馬鹿やった口を自分の手まで使って閉じる。考えてたのは多分全員一緒なんだろう。だけど、それを言っていいはずがなかった。少なくとも炎を使い切って戦えもしねえような俺なんかには、今も必死に戦ってるツナに言っていいいはずがなかった。

 だからこの漏れた言葉に、周りからの反応は期待してなかった。むしろ場違いでもいいから、この戦いが終わった後に怒鳴り散らされれば――なんて自分でも思ったぐらい。だからまさか、返事が返ってくるとは思わなかった。

 

「俺と、同じなのか……?」

 

 聞こえて来たその呟きは、俺の立ってるすぐ隣から。ついさっき俺と一緒に、襲い掛かってきた白蘭を見たツナにまた下がってるよう言われたそいつ。言われて渋々と遠巻きに戦いを見守ることにした、まだ戦うには怪我の多い獄寺から聞こえて来たもの。

 その聞こえて来た呟きには、どこか驚きと疑問が混じっていたように思う。でもってその呟きから察したことに、冗談だと思いながら戦いを続ける二人をもう一度注意深く見る。その時は丁度、立ち上がったツナの一撃が白蘭の腹に突き刺さったところ。それに一瞬、注意するのを忘れて歓声を上げかけた。

 

「これで、どう――」

「うん。今のは悪くない拳だった――よっと!」

 

 腹に一発まともに貰いながら、だけどそんなものなんて気にもならねえ。そう言いたいみてえに、同じようにツナの腹を殴ってまた数メートル先に吹き飛ばす。上げかけた俺たちの歓声は、すぐに起こったその白蘭の反撃にかき消えた。

 

 だけど、今のやり取りで理解した。

 

「あいつ、大空以外の炎が使えんのか……!?」

 

 ツナの拳が腹に決まる直前、見えたのは腹回りに薄くだが見覚えのある水色。それも実際にツナの拳が当たった腹の部分、そこには迸る様に緑が見えた。もっとよく見れば、所々破れた服の隙間から見える肌。そこにはある筈の、一度目の戦いで負っている筈の傷が一切見当たらなかった。

 でもってそんだけあれば、さっきからツナが押されてる理由が嫌でも分かる。ツナの攻撃は全部雨の炎で鎮静され、残ったなけなしの威力も炎の中で一番硬い雷の炎を纏って防御。それで負ってしまった傷だって、晴の活性で治していたんだろうこと。

 

「――大空の炎所有者は、その他全ての炎を扱うことができる」

 

 そうして驚いてる間に、また聞こえて来た呟き。それは静かになった一度目の戦いの終わり、その様子を見に来た入江から。

 

「でも確か、それは無名の学者が提唱した一説に過ぎなかったはずなんだ。なのに、いつの間にこんな実践で使えるようにまで……いや、それ以前になんで――」

 

 入江は他の俺たちと比べて、純粋に驚いてるみてえに見えた。俺たちも驚いてることには違いない。それは白蘭の知る筈もなかった新しい技に、それがパワーアップしたツナを軽く捻るぐれえの熟練度に。

 ただ入江の驚きは、それも踏まえてなお冷静だったように思う。だからか目の前で起こってる、ツナの劣勢に焦る俺達には見えねえものが見えていたんだろう。

 

「なんで、今なんだ?」

 

 俺の時とは違って、その呟きには誰も答えようとはしなかった。全員が入江の声なんて聞こえてないみてえに、ただ近くにいた俺みてえな奴だけがそれを拾っただけで何も言わない。

 入江の言葉に反応しようとするには、少なくとも俺にはその入江が言ってる意味が分からなかった。ただそれ以上に、攻撃の時に嵐の炎の分解まで使いだした白蘭。その戦いに、ツナの事を心配してどうしても目を逸らすことが出来なかった。

 

「大丈夫かい綱吉君?」

 

 それは、白蘭がツナに向かってかけた言葉。思ってもねえだろうことはよく分かる。声をかけるその少し前、ツナの横っ面に嵐の炎を纏った蹴りを叩きこんで分からない筈もなかった。

 だけどそんな茶番みてえなことを、呻くツナを気にもしねえで白蘭は続ける。それはもしかしたら、本当にそう思ってるんじゃないか――そう考えちまうぐらいに、むしろ行き過ぎたように俺は聞こえた。

 

「でもね、いつかのボクもすごく痛かったんだよ」

 

「君は知ってるはずもないだろうけど、あの時はまだ全然扱い切れてなかったからさ。君がボクに撃ち込んだ全力のX BURNERは、どう間違っても笑えないぐらいに痛かったんだ」

 

「だからさ、これぐらい構わないだろう? 君からの拳を、雨の鎮静と雷の硬化で無力化したって。僕の拳に、嵐の分解を混ぜながら殴り飛ばしても。そのせいで君が死んでしまったとしても。たとえそのせいで――」

 

 白蘭は淡々とツナに話しかけていた。微笑みながら、気安く、世間話でもしてるみたいに何気なく言葉を続けている。言ってる通り、少なくとも俺には訳の分からねえ言葉を。だけどだからこそ、それが本心から言ってるみてえでなにより怖かった。

 夢の俺が自殺しようとするのを、必死の形相で止めようとしてくれた夢の白蘭と比べて。姿かたちはどう見ても同じなのに、どうしても別人にしか思えねえ白蘭が怖かった。

 

 声が聞こえるぐらいとは言っても、白蘭の場所からはそこそこ離れている。なのになんでか、震え出した体が止まらなかった。しかもそれは、見えた限り俺以外にも何人か。夢を見たってやつは、あの雲雀さんすら少し震えていたように見えた。

 怖い。チョイスで初めて直接会った時や、一度目の戦いの時なんて目じゃねえ。それぐらいに、視線の先にいる白蘭が怖かった。だけど、ただ怖い訳でもなかった。怖いと同じか、それ以上に感じる物がこの白蘭にはあった。無意識に体が震えてしまうのも、もしかしたらそのせいかもしれない。

 

 

「この世界(物語)が滅んでも、構わないだろう?」

 

 

 そう言って白蘭は、はじめと同じように嗤う。心底楽し気に、さも愉快だと俺たちを嗤っていた。

 ただ当たり前だけど、俺たちは全く笑えねえ。それどころか俺はそんな白蘭を見て、いつかの夢と比べてどこか哀しかった。


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