仮面ライダー×仮面ライダー W&ARTHUR NOVEL大戦ブレイク 作:名もなきA・弐
戦闘時はExtreme Dreamを聞きながらお楽しみください。では、どうぞ。
「目が覚めましたか?」
その声と共に翔太郎は目を開けると、見覚えのある天井と女性の顔が見えた。
まだ寝ぼけている彼だったがやがて、ゆっくりと思いだしていく。
ドーパントが出現して、戦っていたら見たことない怪物が出現してそれで……。
そこまで思い出すと急激に翔太郎の意識は覚醒した。
身体を見てみるとあちこちに包帯が巻かれており顔にはガーゼが貼られている。
「…お前が、やってくれたのか?雷華」
「…亜樹子さんも手伝ってくれました、私だけじゃありません」
そう言って「雷華」と呼ばれた女性は顔を逸らした。
『左雷華』……信じられないかもしれないが翔太郎の妻となった女性であり真面目でややツンデレ気質の女性である。
黒いセーラー服のような洋服を着た黒髪ショートが特徴の彼女は起き上がろうとした翔太郎をベッドに戻す。
「…てぇっ!何すんだ!」
「怪我人を寝かせているだけです、黙って寝ていてください」
「だからって」と文句を言いたくなるが彼女の目を見て言葉を濁らせた。
冷たい言葉とは裏腹に彼女は涙をにじませていた。
自分が思っていた以上に心配をさせてしまったのだと少し己を恥じる。
「…悪い。心配かけちまって」
「……バカ」
彼の謝罪に、彼女はそう呟いた。
「ヨ、ヨーマッシュ?」
「妖魔衆だ、所長」
「あぁっ、それが奴らの名称だ」
翔太郎が目覚めた同時刻、自分の部屋とも呼べる隠し部屋のガレージでフィリップは自分たちを襲ってきたドーパントとは違う異形について検索を始めていた。
その際、鳴海探偵事務所の所長『照井亜樹子(旧姓:鳴海)』が聞いたこともない名前に困惑していたが、隣にいた赤いジャケットのイケメン『照井竜』が優しく訂正する。
そんな二人を見て軽く笑うと、ホワイトボードに赤いマジックで「妖魔衆」と書くと、白紙の分厚い本を開きながら表情を引き締めて解説を始める。
「簡単に説明すると、雷華ちゃんのような能力者の血を使って製造された人造生命体だ。非人道的だが少なくともミュージアムや財団Xと繋がっていた情報もなかった」
「それに」と言葉を続けていく。
「奴らはこの世界を『Wの世界』と言っていた。このことから、奴らは別の世界から来た可能性が高い」
「別の世界、か……話が大きくなってきたな」
フィリップの推理に照井は頭を抱える、信じていないわけではないがこれから起こるであろう厄介なことに対して対策を考えているのだろう。
すると、騒がしい声と共にガレージの扉が開いた、翔太郎と雷華だ。
部屋に押し戻そうとしている様子から見ると怪我も癒えていないのに動いている彼を止めようとしているのだろう。
彼女の両肩を掴んで離すとフィリップたちの元へと来る。
「翔太郎君!まだ動いちゃ駄目だって!!」
「心配すんな亜樹子。これぐらいの怪我、日常茶飯事だったろうが」
「今は事情が違うでしょ」
そう、今までだったらこの程度の怪我など何度も負ってきた…それでも亜樹子が彼を窘めたのは言葉の通り事情が違うからだ。
仮面ライダーの妻になった亜樹子だからこそ、雷華の言動が分かる。
戦うのは仕方がない、でも無理をしないでほしい…自分に寂しい思いをさせないでほしい。
彼女の冷たい言葉も態度も全てはその感情の裏返しなのだ。
翔太郎もそれが分からないほど女心に鈍いわけではない…だが何かをせずにはいられないのだ。
「三人とも、話は後だ。翔太郎、無理だと判断したらすぐにベッドに戻ってもらうよ?」
「ああ」
「それじゃあ……『検索』を始めよう」
フィリップの言葉に短く了承した翔太郎に頷くと、目を瞑り両腕を広げた。
『
普段はこの本棚にアクセスすることで事件に関連しているキーワードからその言葉に関連している資料や由来などを検索し事件のヒントを探り当てる。
言ってみればパソコンの検索エンジンと同じであり翔太郎は着眼点のずらし方、亜樹子は発想の柔軟性、照井は冷静な分析力によってフィリップ一人では辿り着けない真実へと導けるのだ。
『キーワードは、「妖魔衆」・「第九座」・「第十座」』
まずは、軽いジャブとして三つのキーワードを入れると本棚の数は減っていく。
しかしそれでも本棚の数は多い。
ここからどう絞り込むか……。
全員が思案していると、照井が静かな声で発言する。
「『情報』はどうだ?」
『……駄目だ。抽象的過ぎてあまり絞り込めない』
「フィリップ君の記憶が確かなら怪物は探し物をしていたんだよね?じゃあ、『仮面ライダー』と『ドーパント』!」
『…少しより本棚は減ったけど、それでも多い』
風と音を感じながら、フィリップはキーワードを入れていくがそれでもはっきりとした答えが出ない。
その旨を伝えると二人は頭を悩ませ始める…それとは対照的に翔太郎は沈黙して妖魔衆のやり取りを思い出していた。
――――『妖魔衆、開発ナンバー009「第九座」…Wの世界への到着を確認』――――
――――『この世界に存在するデータの収集を完了』――――
「……フィリップ。キーワードを追加だ」
その中に引っ掛かる物を感じた翔太郎はフィリップにキーワードを加えることを要求する。
「キーワードは……『Wの世界』だ」
『っ!?ビンゴだ、翔太郎っ!!』
キーワードを入れると、フィリップの目の前で本棚が凄まじい速度で減っていき「BLANK」と表示された白い本を手に取った。
地球の本棚で見つけた地球の記憶の情報をホワイトボードで記していく。
「『ブランクメモリ』?」
「ああ、奴らが情報を収集していたことに合点が行く。あの二体は『ぼくたちの世界にしか存在しない物体』を探していたんだ」
第九座と第十座がこの世界に来た理由……「空白の記憶」を宿したガイアメモリを見つけ、入手することだった。
戦力を整えることも兼ねてだったのかもしれないが、そのために地球の記憶を利用した仮面ライダーとドーパントの情報を集め、地球の記憶を遠回りながら経由することによってブランクメモリへ到達しようとしたのだろう。
そうなると……。
「ぼくのデータを手に入れた時点で奴らは既にブランクメモリの場所へ向かっている可能性が高い」
「じゃ、じゃあ急がないとっ!」
「場所なら検索済みだよ亜樹ちゃん。かつて財団Xの幹部、加頭順の拠点であった工場……CHARMING RAVEN跡地だ」
フィリップがそう締め括ると同時に翔太郎は動き出そうとする。
しかし。
「…雷華」
「……」
雷華が上着の裾を掴んでいたのだ。
その手は震えており、表情は顔を俯けているため分からなかったが恐怖で震えていることが目に見えて分かった。
微かに震える彼女に、翔太郎は優しく抱きしめて彼女に話す。
「必ず、勝つ。それで戻ってくる」
「……」
その言葉を聞くと、無言で離れた。
ソフト帽に手を触れると、目つきが変わる。
「行くぜ、フィリップ。照井」
「ああ」
「止めるぞ、俺たちで」
三人の仮面ライダーが動き出した。
第九座と第十座はブランクメモリの眠る場所に足を踏み入れていた。
マスターからの指令は仮面ライダーとドーパントのデータ回収及びブランクメモリの入手…特にブランクメモリは『あらゆる情報をダウンロードし使用出来る』能力を秘めている。
かつてはブランクメモリの開発にも着手をしていたが特殊なガワで製造されているため、コスト面の都合で一つしか作られず汎用性も見られなかった。
なぜそれが必要であるのかは、明確な自我を持たない第九座も第十座にはどうでも良かった…ただ任務を遂行する、それだけが二体の存在意義なのだ。
現時点で仮面ライダーの力とドーパントの力を入手出来た、後はブランクメモリを手に入れるだけ…。
第十座は傀儡の黒い怪物を呼び出してソルジャー・ドーパントへと変化させて工場の残骸を取り除いていく。
しばらく行動を繰り返していると目当てのメモリが見えた…白い箱で「B」のイニシャルを模ったブランクメモリだ。
『統括局、第一座に連絡。ブランクメモリを発見、これより回収する』
第十座が無機質な声と共に拾い上げようとした時だった。
「「変身!」」
「変っ……身っ!!」
【FANG! / JOKER!】
【ACCEL!】
『『っ!』』
刺々しいデザインの装甲を纏った牙の切り札『ファングジョーカー』に変身したWと、アクセルが攻撃を仕掛けた。
ちなみにリボルギャリーの中には亜樹子と翔太郎の身体、雷華がおり万が一のための保険としていつでも武器を構えている。
第九座はその攻撃を躱し、第十座はソルジャーの一体を縦にして防ぐと距離を取る。
『作戦の遂行の障害となる存在を確認。第十座に仮面ライダーウェザーの起動を要請』
『了解。仮面ライダーウェザーの変身を許可する』
短く言葉を交わすと、第九座は身体の一部を剥ぎ取りロストドライバーとウェザーメモリに情報を組み替えると変身シークエンスに移行する。
『変身』
【WEATHER!】
起動したメモリをロストドライバーにセットして展開しウェザーへと変身する。
【ARM FANG!】
「ウオオオオオオオッッ!!!」
タクティカルホーンを弾きアームファングを生成して斬りかかるがウェザーソードでそれを防ぎ、発砲する。
アクセルも第十座の元に向かおうとするも、ソルジャーたちの圧倒的な数によって押されていく。
無数のソルジャーの攻撃がアクセルを吹き飛ばした。
アクセルが地面を転がる。
「仮面ライダーの勝率0,01%……」
【WEATHER! MAXIMUM DRIVE!!】
「『ぐわああああああああっ!!!』」
ウェザーテンペストによる斬撃がWに直撃し、フィリップの身体へと戻りながら転がる。
リボルギャリーの中から翔太郎が出て隣に立つと同時にフィリップは立ち上がろうとする。
「まだ、だ…!ぼくたちは、まだ終わっちゃいない!」
「そうだな、相棒。俺たちは折れちゃいない…そうだろ照井っ!?」
「俺に質問をするな…だが、俺たちは立っている!」
三人は目の前の敵を睨む、圧倒的な戦闘力を誇示し勝率を提示したと言うのになおも立ち上がり戦おうとする彼らに二体は脚を一歩引いてしまう。
その様子を亜樹子と雷華は見て微笑んでいた、戦況が変わったわけでもない…それでも彼らに対して根拠もない信頼を得てしまう。
それが、街の涙を許さぬ風都の守護者…仮面ライダー……。
そんな彼らと彼女たちの行動を理解出来ない存在がいた。
第九座が変身しているウェザーと第十座だ。
まるで計算外のことが起きたかのように二体は頭を抱えて身体を震わせる。
「『理解不能、理解不能…!!対象の行動及び周囲の存在への反応、何もかもが理解不能…!対象にコードネームの確認を要求する……』」
「俺か?俺は…いや『俺たち』は」
「『ぼくたち』は、二人で一人の探偵で……仮面ライダーさっ!!」
【CYCLONE!】
声を揃えて問い掛けるウェザーと第十座に、翔太郎は不敵な笑みを見せてからフィリップに目配せすると彼はその隣に並ぶとサイクロンメモリを起動させた。
それに続くように翔太郎もジョーカーメモリのプッシュスイッチを押す。
【JOKER!】
「「変身っ!!」」
正面から「W」を形作るように腕を動かすと、まずはフィリップがサイクロンメモリをスロットに装填し、翔太郎がそれを押し込んでからジョーカーメモリを装填してドライバーを展開した。
【CYCLONE! / JOKER!】
風と共に装甲を纏いWへと変身する。
抜け殻となったフィリップの身体が倒れ込むが、その前に亜樹子がキャッチすると安全な場所へと運ぶ。
そして、ウィンディスタビライザーをなびかせながら二体に向けて宣告する。
街の涙を流す悪に対して、永遠に投げ掛け続ける『あの言葉』を……。
「『さあ、お前たちの罪を数えろっ!!』」
「ギイイイイイ……!!対象の排除を続行するっ!!」
左手首をスナップしてから指して放たれたその言葉に感情を剥き出しにしたウェザーは跳躍して足場から降りると一直線に向かって殴り飛ばそうとする。
だが、それを読んでいたWは鳩尾を蹴り、そのまま続けて放った回し蹴りで仰け反らせるとヒートメモリを起動させてヒートジョーカーとなり逆に灼熱のパンチをくらわせる。
「ならば」と判断したウェザーはウェザーソードを召喚しソードモードで攻撃を行うがそれをバックステップで回避するとルナメモリを起動させる。
【LUNA!】
【LUNA! / JOKER!】
ルナジョーカーへのメモリチェンジを行うと金色の腕をムチのようにしならせて攻撃する、再び怯む。
そこをすかさずトリガーメモリを起動させてルナトリガーとなるとトリガーマグナムから追尾弾を放つ。
だが、被弾した箇所から煙を上げながらもウェザーはガンモードへと移行させたウェザーソードを発砲する。
「排除っ!!」
「そう来るのはお見通しだっ!」
【CYCLONE!】
【CYCLONE! / TRIGGER!】
サイクロントリガーにメモリチェンジしたWは氷と高熱、雷を帯びた弾丸を発射しながら突撃するウェザーに向けてマシンガンのように風の弾丸を乱射する。
自分の攻撃範囲へと近づくことに成功したウェザーは持ち手を変えてソードモードへと変えたウェザーソードを振り下ろした。
だが、その攻撃は届くことはなかった。
【HEAT!】
【HEAT! / TRIGGER!】
「『はぁっ!!』」
「ギイイイイイイイイイッッ!!?」
攻撃をする前にヒートトリガーとなったWがウェザーの胴体に高熱を宿した高威力の銃弾を発砲した。
ほぼ零距離で放たれた攻撃はウェザーの身体を吹き飛ばす。
地面に倒れたウェザーに向かってWは走る。
そしてメタルメモリを起動しヒートメタルから繰り出されたメタルシャフトの一撃が丁度起き上がったウェザーの頭部を捉えた。
再び吹き飛ばされ地面を転がるウェザーから目を離さず、すぐさまルナメタルへと姿を変えるとムチのようにしなったメタルシャフトによる打撃を浴びせる。
『翔太郎、スタッグだ』
「オッケー」
【STAG】
ギジメモリを装填してライブモードにしたスタッグフォンをメタルシャフトにコネクトすると、ルナメタルからサイクロンメタルへとメモリチェンジする。
そして、メタルメモリをシャフトのスロットに装填した。
【METAL! MAXIMUM DRIVE!!】
「『メタルスタッグブレイカーッ!!』」
先端からクワガタの顎のような緑色の風のエネルギーが発生すると、ウェザーの腹部を挟んだ。
「ギッ!?ギギギィッ…!!」
呻き声をあげながらも脱出しようとするが挟む力は強くなる一方である。
Wが威力を上げた。
「『はぁっ!!』」
「ガアアアアアアアッッ!!」
爆ぜるように発生した暴風によるダメージがウェザーの身体を蝕んだ。
しかし、ドライバーは多少の皹が入っているものの機能自体に何ら損傷はない。
『やはり、ただの情報だからかメモリブレイクは困難だね』
「だったら奴のボディごとぶっ潰すだけだ!」
サイクロンジョーカーへと戻ったWの言葉と共に、鳥の形をしたガジェットが現れるとそれはウェザーを牽制し、フィリップの身体を取り込むと彼の手元に来る。
そして、閉じたドライバーにセットして再び展開した。
【XTREME!】
ガジェット…『エクストリームメモリ』がドライバーに装填されたサイクロンメモリとジョーカーメモリの力を極限まで引き出すと同時に二人の精神と肉体は一体化した。
触角や両手、両足のリングはX字に、両肩の装甲がW型にそれぞれ変化し、身体の中央のセントラルパーテーションは『クリスタルサーバー』に変わると、緑・白・黒の大きく三色に分かれている。
これぞ、Wの最強形態…『仮面ライダーW サイクロンジョーカーエクストリーム』。
「ここからが本番だぜ?モンスターガール」
アクセルは多数対一と言う絶望的な状況を圧倒していた。
エンジンブレードでソルジャーを斬ると、空いた片手で相手を投げ飛ばすなど体術で圧倒している。
『理解不能!?仮面ライダーアクセルの勝率0,01%…理解不能!』
「生憎、お前のような手合いの奴とは戦い慣れている!!」
ソルジャーの指揮官である第十座に、アクセルドライバーのハンドルを捻ってパワーを上げると攻撃を仕掛ける。
エンジンメモリをエンジンブレードにセットするとエレクトリックで帯電させた斬撃を浴びせる。
第十座を蹴り飛ばしたアクセルは銀色のデバイス『ガイアメモリ強化アダプター』をアクセルメモリにセットする。
「さあ、振り切るぜっ!!」
【ACCEL! UP GRADE! BOOSTER!!】
アクセルメモリの能力を
「はぁっ!!」
『ギイイイイイイイッッ!!!』
ブースターの推進力を利用した勢いから繰り出されるエンジンブレードの一撃は無数にも近いソルジャーたちを一層させていくとアクセルドライバーにある左グリップのレバーを引いてから右ハンドルを捻る。
【ACCEL! MAXIMUM DRIVE!!】
高く上空へと飛ぶと、出力を最大限まで上げたブースターによって加速すると「A」を模した金色の炎を纏った両足蹴り『ブースターストンプ』を発動した。
それが一体のソルジャーに当たると巨大な爆発を起こして周囲の敵たちも巻き込んでいく。
【TRIAL!】
間髪入れずにアクセルは上部に信号機の機械が組み込まれた青のガイアメモリ『トライアルメモリ』をアクセルメモリと交換すると、ドライバーの右ハンドルを捻って『挑戦の記憶』を上昇させる。
すると、シグナルが赤・黄・青と光ると、スーツのカラーも合わせて赤から黄色へ、そして青の形態へと変形した。
頭部はバイザー式のモトクロスヘルメットを模した形状に、全身はホイール部分を除いてバイクフォームの稼働部分に当たる装甲がなくなると音速形態『アクセルトライアル』に強化変身する。
背後から襲い掛かってくるソルジャーの攻撃を高速移動で躱すと、ソルジャー軍団の隙間を掻い潜るように第十座の元に辿り着くと肉弾戦に移る。
自身の攻撃を躱されると背後に回り込んだアクセルによって第十座はソルジャーの押し寄せる波へと叩き落とされる。
それを見逃すアクセルではなかった。
【ENGINE! MAXIMUM DRIVE!!】
エンジンメモリを装填したエンジンブレードでマキシマムを発動させると、トライアルメモリをストップウォッチに似た形態『マキシマムモード』に移行してスイッチを押した。
トライアルメモリを高く投げた瞬間、青い残影と共にアクセルは姿を消した。
『っ!?ギッ!!?』
『ガッ!?』
『ギギッ!!』
最大加速で動くアクセルは周りを囲うように第十座とソルジャーたちに「T」の字を描くような連続蹴り『マシンガンスパイク』と、エンジンブレードによる斬撃『マシンガンスラッシャー』を叩き込む。
反撃と言う反撃も出来ないまま、第十座たちは攻撃をくらうしか術がなかった。
やがて、距離を取ってから移動を止めるとアクセルは落ちてくるトライアルメモリをキャッチしてカウントを止めた。
そのカウントは、「8,7」秒……!!
【TRIAL! MAXIMUM DRIVE!!】
「8,7秒……それがお前たちの絶望までのタイムとゴールだっ!!」
『ギギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッッッ!!!!』
アクセルの背後で第十座と複製ソルジャー・ドーパントたちの絶叫と爆発が起こった。
「「ビッカーファイナリュージョンッ!!」」
「ギィィィ……!」
ソウルメモリ三本とトリガーメモリを専用武器『プリズムビッカー』に装填すると、レーザー砲とも呼べる光線を発射する。
だが、ウェザーは自身の能力である兎をモチーフにした黒い怪物を召喚すると、それに乗って回避する。
縦横無尽に駆けるウェザー……しかし、『今のW』には無意味なことだ。
「翔太郎、ウェザーメモリの特性及び変身者である第九座の全てを閲覧した」
「なら、始めるか!」
【PRISM!】
クリアカラーをしたメモリを起動させてプリズムソードの柄頭にあるマキシマムスロットにセットする。
「排除っ!」
兎の怪物から降りたウェザーがウェザーソードによる斬撃を、黒い兎も体当たりを仕掛けるがプリズムソードとプリズムシールドで両者の攻撃を防ぐ。
【PRISM! MAXIMUM DRIVE!!】
プリズムソードにある赤いスイッチを押すと刀身が虹色に輝く。
「排除っ!排除っ!!排除排除排除排除排除排除排除ぉっ!!!」
二体の怪物の攻撃を物ともせず、Wは攻撃を捌いていくと両者に出来た僅かな隙を狙ってプリズムシールドによる打撃で黒い兎を怯ませるとプリズムソードでウェザーもろとも斬り裂いた。
すぐさま起き上がるも、手に持った武器と近くに転がる使い魔を見て驚愕する。
「っ!!?ウェザーソードと黒兎の重大な破損を確認っ!!修復、不可能……!?」
彼女の言葉通り、ウェザーソードは真っ二つに折れ「黒兎」と呼ばれた怪物も行動不能の状態となっている。
サイクロンジョーカーエクストリームの力の根源は並外れたパワーでもテクニックでもない…情報だ。
地球という巨大なデータベースと直結した彼らはその場の戦闘に必要な情報をリアルタイムで検索、ダウンロードする役割を果たす。
これによってWは入手した情報からその都度置かれた状況に合わせて最も有効な戦術・戦略を導き出して常に敵の動きを察知した上で一手先を行く戦法をとることが可能となるのだ。
データを収集したウェザーもそのことは理解している…だからこそ今までは彼らを圧倒することが出来た。
しかし、基準値以上の戦闘力を見せて圧倒するWと第十座を破壊したアクセルに理解することが出来ないでいる。
それもそうだ、彼らは仮面ライダーの力だけで戦って敵を倒していただけではない。
例え憎しみに囚われても、恐怖に折れてしまっても、自身の運命に翻弄されたとしても…。
彼ら立ち上がり、それを乗り越えてきたのだ。
「ぼくたちは…多くの仲間たちと共に戦ってきた、みんながいたから乗り越えられた。だからここにいる!」
「仮面ライダーだけのデータで戦っている限り、てめぇに勝ち目はねぇんだよっ!!」
二人が叫ぶと、風を宿した右ストレートがウェザーの顔面を穿つ。
地面を転がったウェザーは怒りで全身を振るわせるとドライバーにあるウェザーメモリを取り出してマキシマムスロットに装填する。
【WEATHER! MAXIMUM DRIVE!!】
「破壊っ!対象の消滅を最優先事項とするっ!!!」
全身に、気象の力を纏わせるウェザーに対して、Wはプリズムメモリを起動しマキシマムスロットに装填してドライバーを閉じて再度展開する。
【XTREME! MAXIMUM DRIVE!!】
「「これで決まりだ!ダブルプリズムエクストリームッ!!」」
ウェザーの必殺の跳び蹴り『ウェザーバイディザスター』とWの最強の両足蹴りがぶつかり合った。
最初は冷気・熱気・雷・暴風・豪雨を纏ったウェザーが押していたが……。
「「はぁぁぁぁ……はぁっ!!」」
「ギィッ!?理解不能、理解不能っ!敗北スル確率、何もかもが理カイ不ノウッ!!……ギギュアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!」
Wが身体を回転させて勢いを増すと、ウェザーの胴体を捉えた。
プリズムメモリの強化と極限まで高められたキックはウェザーの身体に皹を入れていく。
最後まで二人の力が理解出来ぬまま、仮面ライダーウェザー…第九座は最後の断末魔と共に爆散した。
着地をし、エクストリームメモリを外すと元の二人へと戻った彼らに変身を解除した照井と亜樹子、そして雷華が駆け寄る。
「終わったぜ。雷華…」
「…当然です」
表情を隠すように翔太郎に抱き着いた彼女に手を回そうとするが…。
「痛ってっ!?」
「ち、調子に乗らないでください!!///」
「えぇー」
いきなり足を踏まれて飛び回っている翔太郎から離れると雷華が指を突きつけて叫ぶ。
頬を赤くしている彼女に翔太郎は「解せぬ」と言いたげな表情を浮かべていた。
その様子を見守っている三人、だが背後からの気配にフィリップが後ろを向いた。
『妖魔衆、開発ナンバー004「第四座」…先方部隊の第九座と第十座の破壊を確認。両者のデータ共有を実行…共有完了。並びにブランクメモリの獲得を完了』
白い大剣を背負った第九座らと変わらぬ異形…第四座が二体の残骸の傍に立っていた。
その後ろには銀色の渦があり、恐らくそこから来たのだろう…手にはブランクメモリを持っている。
「これより帰還する」と言葉と共に第四座は渦の中へと入っていった。
「あぁー!あ、あいつっ!!」
亜樹子が叫ぶのと同時に翔太郎とフィリップは動き出していた…ヘルメットを被りハードボイルダーに跨るとアクセルを蒸かす。
「翔太郎さんっ!」
雷華の声に翔太郎は少しだけ首を向ける。
「俺と、みんなの分の飯を頼むぜ」
「は、はい。じゃなくて…!」
「照井っ!この街のこと頼んだぜ!!」
雷華と照井の返事を聞くことなく、翔太郎はフィリップを乗せたハードボイルダーを発進させて銀色の渦の中へと走って行った。
→KAMEN RIDER ARTHUR…GAME START
アーサー編に続きます。今さらですが第九座と第十座は3DSの『閃乱カグラ2 -真紅-』に登場する怪物たちで本来は言語を使わず唸り声をあげるだけですが原作の黒幕とは違うことを表現するためにガンマイザーやメガヘクスみたいな機械的な話し方と能力を与えました。
ではでは。ノシ