それでもいいという方は第十二話をお楽しみください。
「…」
啖呵を切って挑発したはいいが、いったいどうやって文に攻撃をするか。正面からやりあっても私に勝ち目はない。
「文!…椛を一人で戦わせていいのか!相手はあの霊夢だぞ!」
私がそう言って注意を自分からそらさせ、攻撃するための隙を作ろうとするが、文は冷静なまま背中から生えている黒い翼を羽ばたかせ、こちらに高速で向かってきた。
「…っ!」
手に魔力をため、レーザーを文に向けて放とうとしたが文の方が断然動きが速く。私が文に向けていた手を掴んでくる。
「魔理沙、私や椛は死ぬ覚悟はできています…でも…なんだか、あなたの目を見ていると覚悟なんてないように見えますね」
天狗の握力に腕の骨が砕かれたと思うほどの激痛が電撃のように走り、腕がしびれて力が入らず、使い物にならなくなってしまう。
「あ…!?…うぐぁっ…!!」
私が叫びながら抵抗をしようとするが、文が私のことを振り払うように手を離し、その場で回転して勢いをつけて私の脇腹に回し蹴りを食らわせてきた。
「か…ぁ……あがっ……!!?」
体がすごい速度で動いているのだろう。視界が文に紅魔館から運ばれた時のように流れていき、私が放つレーザーぐらいのスピードは出ているのだろうか。蹴られた衝撃で上下左右がどの方向なのかが全く分からず、私は地面に転がり落ちてしまう。
地面の土をまき散らしながら私は頭と手足や背中を交互に打ち付け、土だらけになりながら転がっていく。
「…っ……!…くそ……!!」
私が呟いたとき、すさまじい速度で動く体に比例して目で追うことが困難な速度で動く視界で、半分が地面に埋まっている巨大な岩石が向かう先に見えた気がした。
しかし、それは気がしたのではなく本当にそこに岩は存在していたらしく、私は転がる勢いを殺すことができずにそのまま岩に突っ込んだ。
ベギャッ!!
後頭部を勢いよく巨大な岩に打ち付けた。
私の頭を中心にして、パッと赤い花が咲いたようにも見えるように、後頭部から打ち付けた岩に血が飛び散る。
でも、頭蓋骨が砕けたり脳漿を岩にぶちまけずに済んだのは、かろうじて魔力で体を強化していたおかげだろう。
しかし、それでも後頭部をぶつけた衝撃と痛みが同時に襲い掛かってきて、私は頭を抱えて地面をのたうち回る。
「いぎ……ああああああああっ!!」
情けない声で叫んでいた私の傍らに、文が静かに羽を広げて減速しながら舞い降りてくる。
転げまわっていた私の頭を文が踏みつけ、地面に私のことをグリグリと押し付けながら静かにつぶやいた。
「……魔理沙さん、いつものように圧倒的な力で…私たちのことをねじ伏せないのですか?」
文の足を掴んで自分から引き離そうとしている私に、彼女はさらに踏みつける力を強めながら呟く。
「…この…足をどけてくれたら…そうしない理由を教えてやるぜ…!」
言いながら文の私を踏んづけてくる足を押し返そうとするが、明らかに文の方が力が強くて足がピクリとも動かず、それどころかさらに強い力で私の頭を踏み始める。骨がゆがむような異音が私の頭に響き始め、これ以上はやばいと本能が語り掛けてくる。
「お断りさせていただきます……それじゃあ、死んでください」
文が私を踏み殺そうとしたとき、私は彼女にバレない様に詠唱していた魔法を自分自身にも効果があるように発動させた。
「私は魔法使いだ……物理的な攻撃方法は苦手なんだよ!」
半重力魔法、発動。
文が踏みつけていたことによる頭への圧力が消え、私たちの体が宇宙空間にあるように浮き上がり始める。
「これは…!?」
私たちだけでなく周りの石ころなど、地面などに固定されていない物が宙に浮き始め、私は近くを浮き上がってきた岩石を何とかつかみ、それを文のいる方向に向けてぶん投げた。
体を魔力で強化してても飛ばせるかわからないぐらいの重量はありそうな巨石が、無重力状態に慣れていない文の腹に直撃し、私から離れていく。
「がはっ…!?」
私も物を投げたは反動で後方にゆっくりと体が移動をした。
そうしていると岩を当てられた文が、半重力魔法が作用している範囲から出てしまい。地面に落ちるのを確認しながら私は魔法を解除し、霊夢が私を投げた方向に向けて走り出した。
霊夢が私をこっちに投げたということは、何か目的があったということなのだろう。
「逃がしませんよ!」
すぐに立て直した文が物の数秒で私のもとに追いついてしまい。霊夢に投げられた時のように右側を並走している。
「っち…!」
私は舌打ちをして魔法を発動するための詠唱を走りながら済ませて再度、半重力の魔法を発動させた。
さっきよりも強い半重力を自分の隣の空間、文と自分の間に半重力の空間を作り出す。
かなり強めの奴を発動させたことで竹や大きな土の塊、埋まっていた岩石なども浮き上がり始め、文と私の間に土などのカーテンが出来上がる。
「…こざかしいですね…!」
文が大量の鎌鼬を私に飛ばしてくるが、どの攻撃も私に届く前に岩や土、竹を切り裂いてそこで止まる。
さらに私と文の間をかなりの長い距離で半重力の空間を作っていたため、少しは文の攻撃を走りながらでも効率よく避けていられるだろう。
「このまま突っ切らせてもらうぜ…!」
私が体を魔力で強化して全速力で走ろうとした。だが、
「そうですか、じゃあ少しだけやり方を変えてみることにしましょう」
「…え…?」
文は取り出したスペルカードに大量の魔力を流し込み、カードに書き込んでおいた回路を起動させた。
パキッ!
文がスペルカードを右手に持っているオレンジ色で紅葉の葉をつなげたような芭蕉扇のようなもので叩き壊すと、魔力を流されて変質化した紙がガラスが割れるような小気味いい音を響かせながら砕け散る。
「風符『天狗道の開風』」
多分明日も投稿すると思います。