東方異戦線   作:albtraum

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好き勝手にやっています。

それでもいいという方は第四話をお楽しみください。


東方異戦線 第四話 剣士

 

「うわぁぁぁぁぁっ!!?」

 私は情けない悲鳴を上げながら逃げ出そうとしたが、殺気にビビッて硬直した体を動かすのは至難の業で、左方向から襲い掛かって来た子供の反対方向に一歩だけしか逃げることができず、その子供に私はすぐにおつかれてしまう。

 考えもなしに右方向に背を向けて逃げた私は、せめて左方向を見ながら逃げればよかったと今更思う。襲い掛かってきている人物に背中を見せるなんて、襲ってくださいと言っているようなものだ。

「死ね!!」

 薄暗い森の中でも、持っている武器で切り付けることあできるほどの至近距離であれば、さすがにその人物の姿も確認できる。

 水色の綺麗な髪に、髪の毛と同じ色彩の瞳、自分の色を強調するかのような水色の服に背中の肩甲骨の辺りに左右に三つずつ浮いている合計六つのひし形の宝石に似た物、そこまで見れば私を襲ってきている人物はすぐに思い当たる。

「…チルノ…!?」

 私が呟いた時、チルノが空気中の水分を魔力で凍結させて作り出したのか、能力で何もない場所から作り出したのかはわからないが氷を生成し、私の服や皮膚なら簡単に切り裂くことができるぐらいには切れ味のありそうな剣に加工して切り付けてきた。

 チルノに背を向けていた体を半回転させてチルノの方を向き、切られそうになっていた顔をガードするように前腕を前に突き出すと、手首寄りの部分を氷の刃で切り裂かれてしまう。しかし、私の歩幅と四分の三程度の身長もないチルノの歩幅は十センチ以上の差があり、何とか離れられた分だけ軽傷で済んだ。

 氷で作られた刃はとても冷たくてひんやりしており、結晶の見た目通りのツルっとした質感である。

「いっつ……!!」

 チルノに切られた部分から血が流れ出し、ポタポタと赤い水滴が地面に垂れてシミとなっていく。

 傷口を右手でしっかりと押さえて止血しながらチルノから距離を置き、魔力での傷の再生を促進させる。

 だが、チルノも回復はさせる気はないらしく、魔力を背中からわずかに放出して加速をしながら私に向かって飛んできた。

 そう何度も何度も攻撃を許せばこっちのみが持たない。チルノがこっちに到達する前に私は短い詠唱を早口で唱え、魔力で自分に加速の加護をつけて後方に飛びのいた。

 チルノの簡易的な加速では私の超加速に追いつけないらしく、チルノの進んだ距離の二倍以上の距離を同じ時間で進み、私はこっちに来ようとしているチルノに向けてレーザーを放ちたいが、どこを撃つか迷う。私がいる世界といろいろと違う部分があると困る。万が一チルノを殺してしまい。仇討ちなんてされたら洒落にならない。

 ここはチルノを殺すのではなく。行動不能にさせてそのうちに行きたいところだ。

 足を撃ってもチルノは基本的に空を飛んで移動するため、足への攻撃はあまり意味をなさない。ならば空を飛ぶために微妙な魔力調節を行っている、あの六つの結晶の羽を撃ちぬくことにした。

 手先に魔力を集中し、一直線に突っ込んできているチルノに向けてレーザーをぶっ放す。

 ソフトボールぐらいの太さのレーザーがチルノに向けて直進し、肩の上からわずかに見えていた氷の結晶のようなものを撃ちぬく。

 と思った矢先、チルノは体全体を回転させて地面に背中を向けるようにして空を飛び、自分がいる位置を上昇させて私のレーザーをかわした。

 魔力を放出することでさらに加速して私に向けて先端が鋭くとがっている氷の弾を散弾銃の散弾のように飛ばしてくる。

 レーザーを撃つために手に送っていた魔力を無理やりカットしてレーザーを消し、横に飛びのくと氷の弾丸は服を掠りはした物の、私の体を貫いたものはなく。そのまま直進して地面に焼き突き刺さった。

 まるでクナイが壁に刺さったかのような音と共に、十五センチほどの氷の弾丸が三分の二ほどまで地面や木の幹にめり込んでいる。

「…なんつう…威力だ……!」

 これが自分に刺さっていたと思うと背筋が凍る。

 改めて認識の低さに私は自分自身のことを罵りたくなった。私が自分の世界にいたころ、弾幕勝負でも異変で戦っていても感じたことのなかった殺気をこいつは感じさせたのだ。だから、私がいた世界と同じ感覚で戦っていれば、私は妖精にすら殺される。

「…っ……くそ……!」

 体を魔力で強化し、チルノから逃げようと全力で走り出した。

 逃げることができなくても、とにかく仕切りなおさなければならない。このままの流れで戦えばいずれチルノに殺される。

 長距離を移動してチルノの仲間に出くわすことだけは避けたいが、そんなことは言っていられない。

 背中から魔力を放出して簡易的な加速を使い。チルノから一気に距離を引き離す。

 何かマジックアイテムを使いたいところではあるが、今日は弾幕勝負をする予定なんかはなかったから、道具なんて都合のいいものは持ってきていない。

「魔理沙!!逃げんなちきしょーー!!待ちやがれー!!」

 チルノが結晶の羽で魔力を調節してこちらに向かって加速しながら飛んでくるが、魔法を唱えてさらに加速する私には追い付くことはできないらしい。

「お前はナイフを持っている相手に襲われて、襲ってきた相手が待てって言ったら待つのか馬鹿野郎!!」

 私は叫んでから走ることに専念しようとしたが、チルノから発せられているわかりやすい殺気ではなく、鋭くて細い線のような感じ取ること自体が奇跡的と言える殺気を何とか感知した。

「っ!!」

 スライディングをするようにして自分の頭の位置を低くすると、私が走っていた時に両サイドに生えていた木があり、その木の幹の私の首とちょうど同じ高さの位置に、何かに切り付けられたような切れ込みが入ったと思った直後、直径が四十センチ以上はある木の幹が木片をまき散らしながら一刀両断された。

「…なぁ…!?」

 ドォォォン

 と地面に倒れた木が地震のように地面を衝撃で揺らす。

 振動や木の枝と葉っぱに影響を受けて足をもつれさせながらも、今も周りを冷却しながら私を追ってきているチルノから逃げ出そうとした。

「…っくそ……いったい誰が!?」

 チルノが私に攻撃してくるということは妖精が異変になんかしらの形で関与しているのは間違いないだろう。

 しかし、木の幹をやすやすと両断するような妖精は普通いるか?こっちでは知らないが、私がいた世界では木の幹を切断するような妖精はいなかった。この世界の妖精はこんなに強いのかと戦慄しながら走り出していると、たくさん生えていて視線の行き届かない木の陰から私を攻撃するために、ある人物が顔をのぞかせた。

 その人物の顔を見て木の幹をどうやって両断したのかを納得した。

「今更驚くことがあるかしら?私に切れない物はあんまりないのはあなたも知っていることでしょう?」

 




たぶん明日も投稿すると思います。
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