太陽のような君へ   作:こやひで

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訪問

六月も過ぎ夏休みまであと半月ほどになった。

一学期も終わりということで俺の学校も維織の学校も期末考査が近付いてきた。

胡桃も編入試験のために必死に勉強中だ。

 

「維織、この問題分かる?」

「えっ?え~と、、、これは仮定法の文ね。If it were not for A の構文を使うのよ」

「あ~なるほど、ありがと。悪いな、集中してたのに」

「本当よ。少しは自分で考えなさい」

「・・・はい」

 

また問題に集中しだすと今度は胡桃が質問している。

 

「いーちゃん聞いてもいい?」

「なに?ああ、これは平方完成して頂点を求めるのよ」

「ど、どうやるの?」

「こうやって、、、こう。これで頂点のx座標とy座標が出るの」

「あっ、分かった!!ありがと、いーちゃん。私も聞いてばっかりでごめんね」

「良いのよ。分からないことがあったらなんでも聞いてちょうだい」

「うん、ありがと」

 

『・・・態度が全然違うな』

 

維織は有名な進学校である西ノ宮高校で一年生の時からテストの順位一位を守り続けている。

「凄いな」と言うと「勉強しかすることがなかっただけよ」と特に自慢気もなく言っていた。

しかし期末考査が三日後に差し迫った日、いつものように胡桃の病室で三人で勉強をしていると思わぬ来客がやってきた。

 

コンコン

 

『祐子さんかな?』

 

「はい」

 

ガラガラッ

 

「お邪魔します」

 

入ってきたのは宮本先生だった。

 

「先生?どうしたんですか?」

「話だけでなく栗山と白瀬にも二人にも会っておこうと思ってな。テストを作り終えて時間ができたから来たんだ。あと駒井がちゃんとテスト勉強しているかのか確認も兼ねてな」

「心配しなくてもちゃんとやってますよ。え~と、この二人が前話した-」

「白瀬維織です。よろしくお願いします」

「く、栗山胡桃です。お、お願いします」

「京峰高校の教師で駒井の担任の宮本だ。よろしく。テスト前の忙しい時期に来てしまってすまないな」

 

先生はそう言いながら二人の顔をじっと見る。

 

「ふむ。確かに駒井が言っていた通り可愛い二人だな」

「えっ!?ひーくんが!?」

「本当ですか?」

「ああ。前に二人のことをどう思ってるんだ?と聞いたんだ。そうしたら二人共可愛い子ですってな」

「か、関係ない話をしないでくださいよ!!あれは先生が可愛いか?って聞いてきたんでしょ!!」

「でも可愛いといったのは事実だろ?」

「うっ・・・。ま、まあ、それは事実ですけど」

 

俺が動揺している横で胡桃と維織はもじもじと照れている。

 

「ひーくんが・・・可愛い。えへへ」

「博人が私に可愛い。ふふっ」

 

だんだん恥ずかしくなってくる。

 

「も、もうその話はいいですよ。本題に入ってくださいよ」

 

ニヤニヤしている先生に訴える。

 

「そうだな。面白い駒井も見ることができたことだし本題に入るか」

 

先生は真剣な顔になる。

 

「駒井からある程度の話は聞かせてもらった。二人は夏休み明けにうちに編入あるいは転入することを考えているんだよな?」

「はい」

「は、はい」

「それに関して二人にはいくつか質問がある」

 

先生は胡桃の方に身体を向ける。

 

「まず栗山は身体の方は大丈夫なのか?今はリハビリを頑張っているみたいだが」

「は、はい。今のところは定期検査でも異常はありません。リハビリのおかげで鉛筆も持てるようになってきました」

「そうか、それは良かった。あとは・・・元々重い病気を患っているとも聞いたが」

「そっちの方も今は大丈夫です。無理をしなければ悪化することはありません」

「分かった、ありがとう。身体に気を付けながら編入試験の勉強を頑張ってくれ」

「は、はい!!ありがとうございます!!」

 

次は維織の方に身体を向ける。

 

「白瀬は今西ノ宮高校に通っているんだったな」

「はい」

「京峰学校に転入したいということ言っていると駒井から聞いたがうちの高校に来るということは学校としての偏差値がかなり下がってしまうがいいのか?」

「はい。私は勉強するために西ノ宮高校に進んだわけではありませんから」

「人間関係はいいのか?」

「私はあの学校に友達は居ません」

「えっ?そ、そうなのか」

 

この維織のはっきりとした発言にさすがの先生もたじろぐ。

 

「だから堂々と言うことじゃないって」

「仕方ないじゃない。事実なのだから」

「そうなのかもしれないけど・・・」

「大丈夫よ。私には大切な人が二人いるから。それだけで十分よ」

「私もいーちゃんのこと大切だと思ってるよ」

「ありがとう」

 

維織は時々こっちが恥ずかしいことをさも当たり前のように言う。

 

「まあ、仲がいいことは良いことだ。駒井の言っていた通りだな」

「・・・まあそうですね」

「話を戻そう。白瀬は転校したい旨を担任には伝えたのか?」

「はい。しかし、引き留められました」

「当たり前だ。そんな理由で簡単に転校なんてできるわけないだろ」

「でも私は諦めないわ。何と言われようとも納得してもらうしかないもの」

「転校するには学校長の許可もいるからな」

「できるだけ早く済ませます」

「まあ、話が進んだら駒井を通じて教えてくれ」

「はい」

「じゃあこれ以上いても邪魔になるだろうから私はこれで失礼するよ。勉強頑張ってくれ。栗山は身体も大事にな」

「はい。ありがとうございます」

 

先生は病室から出ていく。

 

「・・・宮本先生ってなんかひーくんのお母さんに似てるね」

「そうね。私も少し思ったわ」

「・・・そうかな?まあ少しだけ似てるかもな。さて勉強を続けようぜ」

「うん」

「そうね」

 

一週間頑張って勉強したおかげで俺もテストで良い点数を取ることができた。

維織も無事一位を守り切ったらしい。

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