鉄華団のメンバーが1人増えました《完結》   作:アグニ会幹部

11 / 72
お待たせしてしまいました、申し訳有りませんm(__)m

今回も戦闘回です。
色々な独自設定も出て来ますが、それは後書きで記載します。


#08 鉄則

自分専用のシュヴァルベ・グレイズのコクピットに座りながら、マクギリスはブリッジと通信する。

 

「あの機体、あまり見ない機体だな。データベースとの照合、出来るか?」

『距離は有りますが、エイハブ・ウェーブの固有周波数は拾えています。…照合結果、出ました。…? これは?』

 

コクピットのモニターに、結果が送られて来る。

そこには、「GUNDAM FRAME ASW-G-08 GUNDAM BARBATOS」と言う表示が出ている。

 

「--『ガンダム・フレーム』だと?」

『「ガンダム」…厄祭戦時代、ギャラルホルンの最高幕僚長「アグニカ・カイエル」も乗ったとされる伝説のMSの名前ですね。それが何故、こんな所に有るのでしょうか? マッチングエラーでは?』

「…いや、必然かも知れんぞ。その名を冠する機体は幾度と無く歴史の節目に姿を現し、人類史に多大な影響を与えて来た。ガンダムに乗って世界を変えたのは、何もアグニカ・カイエルだけでは無い。アグニカはあくまで、その中で最も新しく…そして、最も偉大なだけだ」

 

マクギリスは笑みを浮かべ、こう続ける。

 

「火星の独立を謳うクーデリア・藍那・バーンスタインがそれを従えている。これは、なかなかに面白い。船は任せるぞ」

『は!』

「では…マクギリス・ファリド、シュヴァルベ・グレイズ。出るぞ」

 

そして、青く染められたマクギリス専用シュヴァルベ・グレイズが出撃した。

 

 

 

 

「あれか。ああもおかしなかわされ方をすれば苛立つのも分かるが、ガエリオ機の照準システムに異常は見られない。機体の問題と見るのが妥当だな」

 

ガエリオのシュヴァルベ・グレイズはランスを振り回して攻撃を仕掛けているが、バルバトスはそれをスレスレでかわしている。

 

「姿勢制御プログラム特有の回避パターンは見られない。まるで生身のような重心制御が、回避動作を最小限に留めている。『阿頼耶織システム』は、空間認識能力の拡大を謳ってアグニカの祖父である科学者プラージャ・カイエルが設計し、それをガンダム・フレームの開発者であるアグニカの父スリーヤ・カイエルが実現化して機体に組み込んだ事で知名度が向上した。その為に、他のフレームにも使われるようになったモノだったか」

 

シュヴァルベの強化されたセンサーでバルバトスを捕捉し、「アグニカ叙事詩」の一節を思い起こしながらマクギリスは冷静に観察する。

 

ライフルを構え、バルバトスに照準を合わせて引き金を引く。

 

「!」

 

マクギリス機に気付いたバルバトスは、間一髪でそれを回避する。

 

「ほう、あれをかわすか。動きにも隙が無い…ガエリオ、回り込みを頼む」

「了解だ!」

「来るか」

 

 

 

 

一方、三日月のグレイズと鹵獲したグレイズを収容した鉄華団の船「イサリビ」では。

現在、高速離脱作戦を考案中だった。

 

「ビスケット、あれは使えねぇか?」

 

と言って、オルガはモニターに映る小惑星を指差す。

資源採掘用に、火星の衛星軌道に乗せられた小惑星だ。

 

「あっ…使うってまさか!」

 

オルガの提唱する作戦とは、小惑星に船のアンカーを打ち込んでスイングバイし、そのまま火星の重力から脱して最大戦速でギャラルホルンの船を撒く…と言うモノだ。

 

これに、ビスケットも賛同する。

 

「でも、それをやるにしても問題は離脱方法だ。船体が振られた状態での砲撃は、当てに出来ない。誰かがMWでアンカーの接続部に取りついて、直接小惑星の表面を爆破するとかしか無いけど…」

「ねえビスケット、それってMSで出来ないの?」

 

三日月の質問に、ビスケットは首を横に振る。

 

「MSだと大き過ぎて、アンカーの勢いが殺されちゃうんだ。バルバトスならアンカーに追いすがって爆破してから船に掴まる、何て事も出来るかも知れないんだけど、あの『グレイズ』とか言うMSにそこまでの機動性は無いからね」

「成る程なー。その自殺行為を誰がやるんだ?」

「そりゃ、勿論--」

 

シノの言葉を受けて、オルガが立ち上がろうとするが。

 

「テメェは座ってろ」

 

と、ユージンがオルガを静止した。

 

「…まさか、お前がやるつもりか?」

「ああ。俺らに黙って、勝手に船まで用意しやがって。たまには俺にも仕事させろ!」

 

数分後。

 

「ユージンの出撃準備、完了です!」

「さて、鉄華団の門出だ。景気良く、前を向こうじゃねぇか!」

「アンカー、射出!」

 

アンカーがイサリビの正面装甲の右下から撃ち出され、小惑星を捉える。

そして、そのワイヤーの上をユージンのMWが走る。

 

その瞬間にエンジンを吹かし、アンカーを軸として船を急速回頭。

 

「今だ!」

「ユージン!」

「おうよ!!」

 

ユージンはMWの主砲を斉射し、アンカー近くの小惑星の表面とアンカーの接続部に仕掛けた爆弾を起爆させる。

 

アンカーはその勢いで引き抜け、MWはそれに必死でしがみつく。

イサリビは最大戦速のまま、ギャラルホルンの船の真横を通り過ぎにかかる。

 

「主砲、撃て!」

 

イサリビとギャラルホルン艦は、ゼロ距離での撃ち合いに。

 

「続いて閃光弾、撃て!」

「うらァ!」

 

イサリビから閃光弾が放たれ、ギャラルホルンの船からの砲撃が緩む。

 

その隙をついて、イサリビは突破に成功した。

 

「よっしゃあ!!」

「ユージン機、回収完了! 後はアラズさんのバルバトスだけです!」

「発見しました! 現在、MS3機と交戦中!」

 

 

 

 

「ふっ!」

「はああ!」

 

マクギリスとガエリオが、挟み込んでの同時攻撃を行う。

ガエリオ機はランスを構えて突撃し、マクギリス機はワイヤークローを左腕から射出する。

 

「よっ!」

 

バルバトスは始めに飛んで来たワイヤークローを上に移動する事でかわし、次に突撃して来たガエリオ機のランスまで避けた。

更に、すれ違いざまに回転しながら右手に持ったバトルアックスでガエリオ機の背中のスラスターを叩き斬る。

 

「な!?」

「ガエリオ!!」

 

そのスラスターは暴発し、ガエリオ機の動きが止まった瞬間にバルバトスは左手のバトルアックスを振り上げる。

マクギリス機は接近して狙い撃とうとするものの、ガエリオ機が射線に重なっている。

 

「く…!」

「おのれ…!」

 

マクギリスとガエリオの舌打ちを知る事も無く、バルバトスはバトルアックスをガエリオ機に振り下ろす--

 

「!」

 

直前。

しばらく傍観していたクランクのグレイズが動き、バルバトスに吶喊して来た。

両腕を失ってなお、クランクは抗う。

 

「--最後まで、『軍』と言う縛りには逆らえ無かったか。その為に、わざわざ命を落とそうとはな」

 

アラズは感情の籠もらない声でそう吐き捨て、クランク機が吶喊(とっかん)して来る方向に左手のバトルアックスを振る。

 

「ぐh」

 

その攻撃はクランク機のコクピットに直撃し、搭乗していたコクピットごとクランク・ゼントを叩き潰した。

 

「!」

「な…」

「ク…クランク二尉イイイイイ!!!」

 

それはまさに、刹那の出来事だった。

クランクは断末魔を上げる事も無く、あっさりとその命を散らした。

 

「ッ…マクギリス!」

「--分かっている!」

 

マクギリス機とガエリオ機が、バルバトスに突撃する。

 

「ふん」

 

アラズは冷徹な目で搭乗者と操縦席を失ったグレイズを見下ろし、それをガエリオ機に向けて蹴り飛ばした。

ただでさえスラスターの片方をやられているガエリオ機は、それをかわす事が出来ずに衝突する。

 

「がはッ!」

「はあッ!」

 

マクギリス機はそのガエリオ機の横を突破し、バルバトスに向けてバトルアックスを振り下ろす。

マクギリス渾身の一撃は呆気なくかわされ、バルバトスの側を通り過ぎる瞬間にその機体の頭を右手のバトルアックスで両断された。

 

「バカな、()とガエリオをいとも簡単にあしらうなど…!」

 

マクギリスとガエリオは、ギャラルホルン士官学校の主席と次席である。

その期のトップであり、専用機を貰える程優秀な2人が、たった1機のMSに傷を付ける事すら出来なかったのだ。

 

「…来たか、イサリビ」

 

イサリビが、最大戦速で戦闘宙域を通過する。

バルバトスは腰の後ろに付けられたアタッチメントに右手のバトルアックスを接続し、そのまま右手でイサリビに掴まる。

 

「では、最後に攪乱だ」

 

左手に持ったバトルアックスを左側の背中のアタッチメントに接続させ、イサリビに掴まる手を右手から左手に瞬時に入れ替える。

開いた右手で背中に付けられた滑空砲を構え、マクギリス機とガエリオ機に向けてそれを撃つ。

 

「く…!」

「ぐ…!」

 

マクギリス機とガエリオ機は瞬時に盾を構えてその砲撃を受けるが、これで盾に付けられたワイヤークローの投射が封じられた。

バルバトスも弾が尽きたようで、砲撃を終了する。

 

その時、イサリビは既に戦闘宙域からの離脱を完了していた。

 

「待て!」

「…落ち着け、ガエリオ」

 

マクギリスは両腕両足を無くしたアイン機とコクピットを潰されたグレイズを回収しながら、ガエリオを諫める。

 

「だが…!」

「気持ちは分かるが、もう遅い。今から全速で追いかけても、どうせ撒かれるだけさ。それよりも、今は今後の火星支部について考える時だ。コーラルは死に、我々が後釜にと考えていた者も死んだ。この期を持って火星支部を改変する為にも、今は優秀な司令官の選定をしなければならない」

「………ッ!! この屈辱は決して忘れんぞ、鉄華団…!!!」

 

歯を食いしばりながら、ガエリオは鉄華団への報復を宣言する。

その側にいたグレイズのコクピットで、アイン・ダルトンは同じように歯を食いしばっていた。

 

(だが、あの「ガンダム・バルバトス」の力--どうにも引っ掛かる。いくら「阿頼耶織システム」で機体に直結していても、ああも我々が翻弄され遊ばれるモノなのか? プラージャが設計し、スリーヤが作った阿頼耶織が画期的なシステムである事は明らかだが…だからと言って、ああも自然な動きを可能と出来るのか?)

 

とマクギリスは疑問に思ったが、阿頼耶織に詳しくない以上はデータベースでも調べるしか無い。

「アグニカ叙事詩」にも、阿頼耶織の細かなメカニズムなどは書かれていないのだ。

 

 

 

 

母艦に戻ったマクギリスは、部下達に呼び出された。

何でも、珍妙なカプセルが届いたとか。

 

「特務三佐、こちらです」

「どれだ?」

 

そのカプセルには、閉じ込められていた上に今なお転がされているパンツ一丁の男。

男は後ろで手を縛られており、その餓鬼にも似た出っ張った腹に何かが書かれている。

 

「『お前らの仲間らしいから、お前らでけじめをつけやがれ』との事ですが…何の事でしょうか? 特務三佐、何か心辺りg」

「ふはは…ふははは、ははははは!!」

 

マクギリスは、珍しく声を上げて笑い出した。

一頻(ひとしき)り笑った後、放してやれと言って交渉を持ちかけたのは、もはや言うまでも無いだろう。

 

--トドの明日は、ファリド家次期当主の右腕となる日だった。




アグニカポイント新規取得
マクギリス・ファリド 10AP


クランク二尉…お疲れ様でした。
そして、アイン君のメンタルが…。


アグニカ祖父とアグニカ父の名前は、本作オリジナルです。
また、アグニカ祖父が「阿頼耶織」を設計してアグニカ父が完成させたのもオリジナル設定となっています。
ただ、ガンダム・フレームを開発したのがアグニカ父である事は公式です。


次回はいよいよ、タービンズの皆様が登場…?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。