鉄華団のメンバーが1人増えました《完結》   作:アグニ会幹部

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--僕はね、定期更新をしたかったんだ。

前回までのあらすじ
マルバ、生きとったんかワレェ!


#10 タービンズ

「あー…あの、クソ社長? とりあえず、1回落ち着け」

『やかましい、この恩知らず野郎が!! MSのコクピットでへばってたテメェを雇って、食わせて来てやったのは誰だと思ってる!? 何当たり前のようにガキ共の味方してんだ!? 何当たり前のようにタメ口だ!? 何当たり前のように「クソ社長」って呼んでんだ!? 今すぐガキ共を脅して、船を俺に返すなら許してやるぞ!!』

 

アホな事を言うマルバに、アラズはこう返す。

 

「うるせェなあ、クソ社長。あれから10年も経ってるのに、まだ引きずってんのかアンタは。確かに、俺はアンタに雇ってもらった。それは感謝してる。だが、この10年間俺は社畜として働いて来た。それ故にCGSは成り立ち、アンタは甘い汁を啜れたんだろ? アンタは俺の命を助けた。俺はアンタに富を与えた。恩をチャラにするには充分だと思うがな」

『ッ…!』

 

切り返しに詰まるマルバを捨て置き、アラズはその後ろにいる白スーツの男に話し掛ける。

 

「クソ社長の後ろの兄さん。アンタもヒマでは無いだろう? もっと建設的な話をしたいんだが」

『何スルーしてんだテメェは!! 良いからさっさと俺に船をk』

『ちょっと退いとけ、オッサン』

『あ、ああはいすいません』

 

白スーツの男に言われ、マルバはそそくさと画面外へ下がって行く。

同時にアラズも、オルガの後ろまで下がる。

 

『アンタ、なかなか話が通じそうじゃねえか。俺の名は名瀬・タービン。「タービンズ」って言う組織の代表を務めている』

「『鉄華団』代表、オルガ・イツカだ」

『何が鉄華団だこの野郎!』

 

マルバが突っかかるが、名瀬はそれを追い払う。

 

『退いとけっつっただろ、オッサン。で、さっきコイツと話してたアンタは?』

「『鉄華団』の1人、アラズ・アフトルだ。MSに乗るくらいしか能の無い男だよ」

 

どこがだ、とブリッジにいる全員は思う。

ひとまず、ここに至る経緯を名瀬は話し始めた。

 

名瀬・タービンとマルバ・アーケイは、以前仕事上の付き合いが有ったと言う。

たまたま立ち寄った火星のバーで久々に再会した所、マルバは酷くボロボロだったとか。

 

そこで愚痴を聞いた所、ギャラルホルンと揉めて困ってるとマルバは言った。

タービンズの上層組織であるテイワズの後ろ盾が有れば、ギャラルホルンも手を出せなくなる。

 

ので、手を貸そうかと言う話になったそうだ。

 

名瀬・タービンの率いるタービンズは、テイワズ直参の組織である。

組織の規模はまだまだ拡大の余地が有るものの、名瀬はテイワズ代表のマクマード・パリストンと親子の杯を交わしている。

 

「さ、最悪の展開だよ! テイワズまで敵に回したらおしまいだ!」

「さて、これをチャンスに変えられるかどうか…お前の手腕次第だぞ、団長さん」

 

アラズの耳打ちを気にせず、名瀬は話を続ける。

 

『手助けの駄賃は、CGSの所有物を全部ウチで預かるって事で纏まったんだがな。調べてみたら、書類上CGSは廃業。全ての資産は鉄華団とか言うのに移譲されていやがる』

「…つまり、アンタはマルバから取り上げ損ねた分を俺らから取り上げる為に来たと」

 

オルガは名瀬を睨み付けるが、当の本人は肩をすくめる。

 

『まあまあ、そう構えんな。ギャラルホルンとの戦闘は、この目で見させて貰った。ガキばかりの組織にしては、大したモンだ。資産の返還にのみ応じてくれれば、悪いようにはしねえよ』

「と、言うと?」

『ウチの傘下で、もっとまともな仕事を紹介してやる。命を張る必要の無え、真っ当な仕事をな。ま、アンタらも結構な大所帯らしいから全員一緒、とは行かねえが』

『何をバカな事を! 俺に逆らう汚えガキなんぞ、皆殺しにして然るべきd』

 

襟を掴まれ、クソ社長退場。

 

「--悪いな、タービンさん。アンタの要求は呑めない。俺達には、鉄華団としての仕事が有る」

「あ、あの! 私は彼らに、地球までの護衛をお願いしています!」

 

と、後ろでやり取りを見ていたクーデリアが言う。

すると、名瀬は頭を抱える。

 

『アンタがクーデリア・藍那・バーンスタインか。お嬢さんの件はどうにも複雑でな…マルバの資産って扱いだし…』

「欲張り過ぎだろ、あのクソ社長。ヒューマンデブリと言い子供達への『阿頼耶織』手術と言い、しまいには依頼主まで資産扱いか。クソだな」

『…? ちょっと待て、アンタ今何つった?』

 

アラズの独り言に、名瀬が反応する。

 

「欲張り過ぎだろ、あのクソ社長。ヒューマンデブリと言い子供達への『阿頼耶織』手術と言い、しまいには依頼主まで資産扱いか。クソだな」

『…ヒューマンデブリに、阿頼耶織だと?』

「ああ。そこのクソ社長はな、ヒューマンデブリやら行き場の無い子供達やらを集めて、阿頼耶織手術を受けさせた。麻酔も何も無いまま、な。そして生き残った奴らをこき使った。1日3食食わせてやってただけでもマシだろうが、それ以外は酷いモンだ。体罰やら何やらを平然と行ったし、ギャラルホルンとの戦いでは捨て石にして自分だけ逃げる始末。止められなかった俺にも非が有るだろうが、少しばかりやり過ぎでは無いか?」

 

アラズのその言葉を受けて、名瀬はマルバを睨み付ける。

 

『テッ、テメェフザケんなよアラズ! んなデタラメ、通ると思ってn』

「じゃあ、これでどうだ!?」

 

マルバの言い訳を遮ったのは、アラズではなくオルガだった。

 

オルガは上半身の服を脱ぎ捨て、背中をモニターに見せ付ける。

それに続いて、三日月やビスケットなどのブリッジにいる鉄華団全員が上半身の服を脱いで背中をモニターに向ける。

 

 

その脊髄の部分に、機械が埋め込まれているのがはっきりと見て取れる。

 

 

『…なあ、マルバ。アンタはアイツらを宇宙ネズミだと言ったな。だが、こればかりは俺も見過ごせないぞ』

『ク、クソ…このゴミ共め、覚えてr』

『悪いが、コイツを拘束してくんねえか?』

『あいよ!!』

 

屈強な女達が動き出し、10秒と経たずにマルバは拘束された。

 

『それと、ラフタを戻してくれ』

『…名瀬、アンタ』

『ああ。アイツらの話、聞いてやろうじゃねえか』

 

 

 

 

それから1時間後。

鉄華団の「イサリビ」と、タービンズの「ハンマーヘッド」は合流。

ハンマーヘッドの艦長室で、会合が行われる。

 

「マルバは、ウチの資源採掘場に放り込む。今回かかった金は、アイツの身体で返して貰うさ」

「そちらに預けた話です、お任せします」

「良い処置だな。悪いが、『お前が子供達にやらせていた重労働、その苦しみを知れ』と伝えてくれ」

「了解」

 

オルガとクーデリア、名瀬とその右腕アミダ・アルカの前に紅茶が運ばれて来る。

女の手で。

 

「…この船、女性しかいませんね?」

 

と、オルガが聞く。

 

ブリッジにいたのは女、MSデッキにいたのも女、MSに乗るのも女である。

男女比が激しすぎる船世界一だろう。

 

 

「そりゃそうだ。ここは、俺のハーレムだからな。この船の乗員は、全員俺の女って訳だ」

 

 

「……………………は?」

「全…員……?」

「奥さん…なの、ですか……?」

 

三者三様に、それぞれ固まる。

 

俺のハーレム。

全員俺の女。

 

名瀬・タービンは、そう言い切った。

 

「まあ、そう言う事だな。後は、子供が5人くらいか。全員俺のかわいい子供だよ。ま、腹違いだが」

「ガチハーレムじゃねェか、このヤ●チン野郎め」

 

アラズが、交渉して貰う側とは思えない暴言を吐いている。

しかし、名瀬はそれを否定する気は無いらしい。

それどころか。

 

「アンタ、そう言う経験無いタイプか?」

 

などと問い返す始末。

対して。

 

「んな訳無いだろ、有るわそんくらい。ただ、その相手は死んで久しいけどな」

 

先程暴言を吐いたとは思えない目で、アラズはそう返していた。

この会話に付いて行けてない子供達は、全員未だに固まっている。

 

「ゴホン。いい加減、下らない会話をしてる場合じゃねえな。仕事、だろ? 鉄華団の団長さんよ」

「あ、ああそうでした」

 

名瀬の声で先程の会話の理解を放棄し、オルガは返事をする。

それを受けて、名瀬は話し始める。

 

「ギャラルホルンとの戦いで、お前らの力は見せてもらった。何が望みだ?」

「…こちらのクーデリア・藍那・バーンスタインさんを地球に送り届けたい。その案内役をお願いしたいんです。後、もう1つ。俺ら鉄華団を、テイワズの傘下に入れて貰えないでしょうか?」

 

オルガの申し出を聞く間、名瀬は紅茶を口に含む。

そして、笑みを浮かべながら言う。

 

「成る程。テイワズなら、ギャラルホルンに対抗する為の後ろ盾になるって訳か。良いぜ、オヤジに話を通してみる」

「『オヤジ』って…お父様の事ですか?」

「いや、オヤジってのは俺らテイワズのボス、マクマード・パリストンの事です」

 

クーデリアの質問に、名瀬はそう返答する。

 

「…アンタそういや、クソ社長の資産がどうとか言ってたな。あれ、クソ社長が欲張ったってだけじゃなかったのか?」

「あー、それ何だがな。どこまで話して良いのか俺には計りかねるんだが…とりあえず、詳しそうなそこのアラズとやら以外の奴に問題だ。お前ら、ギャラルホルンに付いてどう思う?」

「どうって…クソデカイ軍隊だろ? 良く分かんねえけど…」

 

とユージンは答える。

間違ってはいないが、満点回答では無い。

 

「作られたのは300年前。『ガンダム』を駆って厄祭戦を終わらせた人達によって設立され、その後も強大な軍事力を保持して戦争が起きないよう4つの経済圏を外部から監視する組織です」

「満点だ。だが、今はそれを各経済圏が重荷に感じ始めている。ギャラルホルンはすっかり腐敗して、自分達の利益追求に走ってるからな。で、そこに現れたのがクーデリア・藍那・バーンスタインだ」

 

火星の革命家達を纏め上げる「ノアキスの七月会議」を成功させた革命家。

まさに時代のヒロイン、革命の乙女。

 

「だが、今の所は辺境の独立運動家だ。それがギャラルホルンの目を潜り抜け、独自に地球経済圏のトップの1人と会談する。もしそれが実現すれば、歴史に残る一大事だ。ギャラルホルンの支配体制を、根底から揺るがし兼ねねえ程にな」

「…それと資産の話に、一体何の関係が?」

「ここから先はオヤジに聞いてくれ。ま、俺如きが扱える存在じゃねえって事さ、そこのお嬢さんは」

 

ビスケットの質問に、名瀬はそう返す。

オルガ、クーデリア、ビスケット、ユージンは解せない様子だ。

 

たった1人、アラズだけは頷いているが。

 

 

 

 

と言う事で、テイワズのボスであるマクマード・パリストンと交渉する事が決まった。

これから鉄華団は、タービンズと共にテイワズの本拠地である「歳星」に向かう。

 

歳星は、古代に於ける木星の中国名。

即ち、テイワズ=チャイニーズマフィアだ。

 

この交渉如何で、これからの方針が決まるだろう。




マルバさん、お疲れ様でした。

全然戦闘が無いですね…。
ここからしばらく、具体的に言ってブルワーズが出て来るまで戦闘無しな可能性も有りますね…。
後しばらく、平和(?)な話ですがお付き合い頂けると嬉しいです。

どうせ、物語の後半は戦闘がいっぱいですしおすし。


次回、いよいよテイワズの本部「歳星」へ。
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