疲れた…。
地球外縁軌道統制統合艦隊って、漢字が無駄に多い名前ですよね。
地球外縁軌道統制統合艦隊、恐るべし。
地球外縁軌道統制統合艦隊って、とても長くて大層な名前ですよね。
でも地球外縁軌道統制統合艦隊って、何故か言いたくなりますよね。
地球外縁軌道統制統合艦隊。
地球外縁軌道統制統合艦隊!
地球外縁軌道統制統合艦隊!!
地球外縁軌道統制統合艦隊!!!
地球外縁軌道統制統合艦隊!!!!
地球外縁軌道統制統合艦隊!!!!!
地球外縁軌道統制統合艦隊の皆様、すいません。
地球外縁軌道統制統合艦隊の話はここまでですので、地球外縁軌道統制統合艦隊の事は気にせず地球外縁軌道統制統合艦隊の本編へどうぞ。
地球外縁軌道統制統合艦隊の皆様、本当に申し訳有りませ地球外縁軌道統制統合艦隊。
マクギリスとガエリオの率いる火星監査部隊は、地球の衛星軌道上にある2箇所のギャラルホルン基地の1つ「グラズヘイムⅡ」に到着した。
「こうして、アイツに会うのも久し振りだな」
「ああ。我々が監査局の特務三佐になり、彼女が地球外縁軌道統制統合艦隊の司令官となってからは、仕事ですらロクに会わなかったからな。実に数年振りか」
雑談をしていると、マクギリスとガエリオはとある部屋に突き当たった。
そこには、地球外縁軌道統制統合艦隊の司令官がいるハズだ。
「どうする? チャイムでも鳴らすか?」
「いや、アポは既に取ってある。突撃するさ」
マクギリスはドア付近のパネルを操作し、ドアを開ける。
「な!?」
「何!?」
そこで、2人が目にしたモノとは!?
「我等、地球外縁軌道統制統合艦隊!!」
『面壁九年、堅牢堅固!!』
「右から2番目、遅れてる! もう一度よ! 我等、地球外縁軌道統制統合艦隊!!」
『面壁九年、堅牢堅固!!』
「右から2番目、場所がズレてる! もう一度よ! 我等、地球外縁軌道統制統合艦隊!!」
『面壁九年、堅牢堅固!!』
「右から2番目、髪が乱れてる! もう一度よ! 我等、地球外縁軌道統制統合艦隊!!」
『面壁九年、堅牢堅固!!』
「右から2番目、服が乱れてる! もう一度よ! 我等、地球外縁軌道統制統合艦隊!!」
『面壁九年、堅牢堅固!!』
「うぅ~ん、カンペキ。良くやったわお前達、休憩にするわ!」
『ははーっ!!』
地球外縁軌道統制統合艦隊の司令官と、その親衛隊の訓練風景だった。
「熱心だな、カルタ」
「ええ、地球外縁軌道統制統合艦隊の私の可愛い親衛隊だもの。熱が入るのも当然y--って、ええええ!? マクギリスに、ガエリオ!!?」
「よう、カルタ。元気だったか?」
その司令官は驚いた後に頬を染め、マクギリスから距離を取る。
カルタ・イシュー。
セブンスターズの第一席イシュー家の1人娘にして、地球外縁軌道統制統合艦隊の司令官だ。
「は、話は聞いていたけれど、思ったより早かったわね」
「そうか? 時間通り来たつもりだが…いや、熱心に訓練をしていれば時間を忘れる事も有るか。アグニカ叙事詩を読んでいたらいつの間にか翌日の昼になっていたなど、良くある話だからな」
「無い。『それは無い』と断言させてもらうぞ、マクギリス。それは無い、断じて」
アグニカワールドに突っ込みかけたマクギリスを、ガエリオは否定によってリアルワールドに引きずり戻す。
いつも通りの光景を微笑ましく思いつつ、緩んだ気持ちを切り換えてカルタは問う。
「…それで、今日は何の要件かしら? 話を聞いた限り、ただ昔みたいに遊ぼうって訳ではなさそうだけど?」
「ああ。そうしたいのは山々なのだが、残念にも今日は地球外縁軌道統制統合艦隊の司令官と話に来たのだ。だが、彼らの前で話せる内容では無い。悪いが、彼らを下がらせてくれないか?」
マクギリスがそう答えると、カルタは休憩中の親衛隊に向き直る。
「お前達、今日の訓練はここまでだ。下がれ」
『はっ!』
「右から2番目、返事が遅い!」
『申し訳有りません!!』
今度こそ完璧にシンクロし、親衛隊は素早く美しく列を整えてカルタの部屋を後にした。
連帯責任、と言うのがカルタ親衛隊の常識である。
「では、本題に入りましょう。地球外縁軌道統制統合艦隊の司令官に、監査局の特務三佐達が直々に頼みたい事とは?」
「クーデリア・藍那・バーンスタイン。この名に、聞き覚えは有るか?」
「聞いた事くらいなら。一時期、セブンスターズの定例会議でも話題となった事が有ったらしいわ。その時期にお父様がよく口にしていたから、少し聞いたくらいだけど」
イシュー家の当主であるカルタの父は今、病床に伏している。
彼が病気で倒れる前のセブンスターズ定例会議に於いて、クーデリア・藍那・バーンスタインの名は議題として上げられた。
火星の政治家ノーマン・バーンスタインの娘。
革命家達をまとめる「ノアキスの七月会議」を成功させ、「革命の乙女」とも呼ばれる火星の希望。
今日、火星の独立運動の象徴とされる存在。
彼女の要求は、「火星ハーフメタル資源の規制解除」だ。
「火星ハーフメタル資源の規制解除がされれば、それを欲する者達が我先にと動き出す。世界の抑止力となり、平和を守る為アグニカ・カイエルとその同胞…セブンスターズの先祖達によって設立された組織であるギャラルホルンとしては、これを許す訳には行かない。だから排除すべきだ、と言うのがギャラルホルンの意向ね」
「良く知っているじゃないか、カルタ。だが、それを邪魔するように『それに協力させて欲しい』と名乗り出た存在がいる」
「…アーヴラウ首長の、蒔苗ね」
それに、マクギリスは頷く。
あくまで戦争に対する抑止力に過ぎないギャラルホルンには、アーブラウと火星の政治的取引を邪魔だてする事は不可能だ。
ギャラルホルンが世界の政治に対してもここまでの影響力を持つようになったのは、治安維持と言う本来の役割に背き疎かにしてまで組織の利益追求に動いたから。
各経済圏に、裏から合法非合法問わず様々な働きかけを行ったからに他ならない。
表向きにはハーフメタル資源に関わって紛争が頻発する恐れが有る、としてクーデリアの地球到着を防ごうとしているものの、クーデリアには強力な護衛が付いている。
「護衛?」
「そうだ。組織名は『鉄華団』。ガンダム・フレームを保有する、雇われ組織だ」
「聞いた事無いわね」
「当然だ。この組織が立ち上がったのは、ごく最近の話。このクーデリア護衛任務が、鉄華団の初仕事だからな」
初仕事…のハズなのだが。
火星の衛星軌道上で戦闘になった際は、ガンダムとは言えたった1機を相手にマクギリスとガエリオは翻弄され、逃亡を許してしまった。
「2人を相手にしながら傷一つ受けず、随伴していた火星支部の司令官を殺してそのMSをほぼ無傷で回収。尚且つ武装まで奪って高速で撤退、追撃をも封じられた--そんな、そんな事が有り得るの?」
「事実だ。クソ、この雪辱は必ず晴らす!!」
ガエリオが拳を握り締める。
マクギリスは変わらないように見えるが、その内にはきっと激情をたぎらせている事だろう。
「ガエリオは、既に義父上と話を付けた。この後我々は地球に降り、ヴィーンゴールヴに立ち寄る。そこで、『バエル宮殿』からキマリスを出す腹積もりだ」
「…! キマリスを!? しかし、あれらは300年の間動態保存されていた貴重なガンダム・フレームよ!?」
「分かっているさ、カルタ。だが、あそこまでコケにされてはただでは済ませない。俺が今まで、何の為に専用機でランスを運用していたと思う? 例えキマリスのグングニールだろうと、使いこなして見せる」
ボードウィン家最大の秘宝と言っても差し支えないキマリスを宮殿から引っ張り出してまで、ガエリオは鉄華団に雪辱を晴らすつもりだ。
「カルタ。君には新型の『グレイズ・リッター』が有っただろう? だが、それでは追い付けないかも知れん。最悪の場合、パイモンを出す事も考えておくと良い」
「…分かったわ。マクギリスとガエリオがそこまで言うなんて、余程でしょうから。でもマクギリス、貴方はどうするの?」
「私は取り敢えず、『モンターク商会』として鉄華団に接触してみようと思う」
モンターク商会。
100年程前から、ファリド家が裏で動く時に使われる名前だ。
これで、手は出揃ったのだが。
「でも、いつも通り
「無論、その可能性も大いに有る。ラスタル・エリオンの手腕は恐ろしいモノだからな。しかし、突破される可能性も大いに有る。我々は、その突破される可能性を考えて動くのみだ。その為の地球外縁軌道統制統合艦隊だろう?」
「勿論よ!」
作戦は決まった。
細部は
その陰でほくそ笑む者がいた事には、どちらも気付いていなかったが。
◇
「悪いな。偉そうな事言っときながら、宇宙海賊なんぞに絡まれてこのザマだ」
「よしてくれ、兄貴。道理の分からねえチンピラが売ってきた、安いケンカだ」
ハンマーヘッドの通路で、名瀬とオルガが隣り合っている。
ケンカを売って来た宇宙海賊、ブルワーズ。
明弘の弟である昌弘がいる時点で、無視出来る存在では無くなった。
「で…どう思う、兄弟?」
「安いケンカだが嘗められっぱなしってのも面白くねえ」
「同感だ。じゃあいっちょ、俺達の道理ってやつを教えてやろうじゃねえか。鉄華団とタービンズに逆らったらどうなるか、思い知らせてやろうぜ」
意見を同じくした2人は、改めて固い握手を交わした。
◇
自分のMSの前で、少年は拳を握り締める。
「何で、今更…!」
遅れて来た自分の兄と、自分自身の非運に憤りながら。
その少年は、とある話を思い出していた。
◇
ブルワーズは、稼働したまま宇宙を漂うエイハブ・リアクターを中心として形成されたデブリ帯に潜むと推察される。
そのデブリ帯では艦内重力も曖昧で、エイハブ・ウェーブの影響も受ける為センサー類も機能しない。
通常の船はアリアドネを経由しながら航行するし、それ以外の船もこのデブリ帯は避けている。
テイワズはこのデブリ帯に独自で通路を発見し、隠密性の高い任務の時には重宝するそうだ。
当然視界は悪くセンサー類も使えない中で、曲芸航行をしなければここは抜けられない。
だが、宇宙ネズミならやれない事は無い。
ブルワーズがデブリ帯にいなかった時の事も考え、ラフタの百里とクタン参型に載せた三日月のバルバトスを先行させる。
航続距離が通常のMSとは段違いな2機を使う事で相手の距離感を狂わせると共に、そちらに注意が向いている間にこちらから奇襲を掛ける。
以上が、鉄華団とタービンズの立てた作戦である。
「この作戦は、個々の頑張りに掛かってるな。気合いを入れて行かないと、失敗するぞ」
「ああ。デブリにぶつかってサヨウナラなんて、笑い話にもならねえ。やってやるぞ、一泡吹かせてやろうじゃねえか!!」
『おう!!』
数時間後。
三日月とラフタが発進し、デブリ帯に突入した。
『ゴミが多くて、何も見えないな』
『気を付けて、三日月。もう、いつ来てもおかしく無いよ』
そんな百里とバルバトスの機影を、哨戒中のマン・ロディが捕捉した。
その報告を受け、カバヤンとクダルはほくそ笑む。
「ネズミが掛かったな」
「ああ。MS隊を出せ!」
「俺も出る。グシオン、準備しろよ!」
ブルワーズのMS隊が出撃し、百里とバルバトスとの交戦に入る。
「オイ、向こうの船はまだ見えねえのか? 斥候が来たって事は、どのみち後からやってくる。それまでせいz」
「さ、左舷より、エイハブ・ウェーブ!! 敵戦艦です!!」
「何だと!? まさか…!?」
余裕を無くしたオークが、左舷を見ると。
敵戦艦2隻が、こちらに向かって来ていた。
「デブリ帯を、突っ切って来たってのかあ!!?」
イサリビとハンマーヘッドから、本命のMS部隊が出撃する。
それが済むと、ハンマーヘッドは更に加速した。
「ようし!
「あいさ! 総員、対ショック用意!!」
「リアクター出力最大、艦内慣性制御いっぱい!」
手慣れた手付きで、ハンマーヘッドの乗員達は準備を整える。
「吶喊!!!」
加速したハンマーヘッドが、ブルワーズ艦の土手っ腹に衝突した。
ハンマーヘッドは減速する事無く進み続け、大型の小惑星にブルワーズ艦を叩き付ける。
『うわあああああああああ!!?』
全身を打ち付ける衝撃が、ブルワーズ艦の乗員達に襲い掛かる。
砂煙を上げながら、ブルワーズ艦は小惑星にめり込んで行動不能に陥った。
『ハハハハハ! 俺らもそうだが、アンタらも大概だなタービンズ! ハンマーヘッドって、シュモクザメの方じゃ無くて金槌の方かよ!?』
「おうさ! こちとら、突撃する為に造られた船なのよなあ!!」
一方、イサリビもブルワーズ艦に接近する。
「俺らも負けてらんねえぞ! シノ!!」
『っしゃあ! 行くぜテメェらあ!!』
『おおおお!!』
イサリビからMW隊が発進し、ブルワーズ艦に取り付く。
「これ以上、好き勝手させるk」
「シノ達は肉弾戦に突入か。よし、こっちはマン・ロディを殲滅するぞ!」
突撃して来たマン・ロディのコクピットを潰してから、アラズはブルワーズ艦に機体を向かわせた。
「逆に奇襲されて、取り付かれちゃってんじゃねえの! どうすんのさ!?」
『ギャラルホルンからの仕事だぞ、こんな所で引き下がる訳にはいかねえ!!』
「んなこたァ分かってんだよ! だからどうすんのさっつってんだよ!」
『とにかく、クーデリアとか言う女を手に入れりゃあ勝ちなんだ! こっちは船に取り付いた奴らの相手をする、お前は外から奴らの船を潰せ!!』
「あいよ! クダル・カデル、グシオン出るよ!」
開いたハッチから、グシオンが発進する。
と、グシオンがハッチから出た瞬間。
「があっ!?」
グシオンは何者かに蹴り飛ばされ、小惑星に叩き付けられた。
やったのはアラズのテルギアで、その側には三日月のバルバトスがやって来ている。
「ようデカブツ、テメェの相手は俺と三日月だ。無駄に足掻いて、無為に死にやがれ」
「アンタら、一体何だってんのよ!!?」
『行くよ、教官。バルバトスに付いて来れる?』
『俺のテルギアを嘗めるなよ。その言葉、そっくりそのまま返してやる。--付いて来れるか、狩猟の悪魔よ』
それだけ言って、テルギアとバルバトスはグシオンとの戦闘を開始した。
◇
『待たせたな、昭弘』
イサリビの格納庫で待機していた明弘に、オルガは通信する。
「悪いな、オルガ。ヒューマン・デブリの俺らなんかの為に、こんな…」
『まだ言ってんのかよ、それ。いい加減、聞き飽きたぜ。確かに、これまでを変える事は出来ねえ。だが、
「ああ。明弘・アルトランド、グレイズ改。出る!」
イサリビから、明弘が発進する。
敵MSのどれかに乗っているであろう、弟昌弘に向かって。
取得アグニカポイント一覧
三日月・オーガス 90AP
クダル・カデル 60AP
ブルワーズのパイロットの皆様 40AP
アラズ・アフトル 10AP
明弘・アルトランド 10AP
アミダ・アルカ 10AP
ラフタ・フランクランド 10AP
アジー・グルミン 10AP
モンターク商会について。
原作では「モンターク商会は100年程前から実在する老舗の商会」との説明が有りましたが、マクギリス・ファリドとの関係は描写されていませんでした。
その後2期で「マクギリスは、娼夫だった所をイズナリオに拾われた」とマクギリスの過去が明かされましたが、ここに不明瞭な点が有ります。
マクギリスが何故、モンターク商会として鉄華団に接触出来たのか。
モンターク商会とマクギリスの間にどんな関係が有ったのかは作品の矛盾点となっており、マクギリス役の櫻井孝宏さんも疑問に思っていたとか。
その矛盾を無くすべく、今作では「モンターク商会は100年程前から使われるファリド家の裏の顔」と言う設定にしました。
あの怪し過ぎる仮面も、ファリド家に代々伝わるモンターク商会として活動する時の当主専用の顔隠し用マスクと言う事で。
なお、ファリド=モンタークと言うのはセブンスターズ内で公然の秘密となっています。
普段のモンターク商会はファリド家傘下の一家が経営&運営しており、表向きは何の変哲も無い老舗商会で実際仕事もちゃんとしています。
こう言う独自設定ですが、ご理解ご了承をお願い致しますm(__)m
ギャラルホルンの動きと、ブルワーズとの戦闘開始でした。
次回で、ブルワーズ編は一応終わる予定です。
気長にお待ち下さるよう、お願い申し上げますm(__)m