鉄華団のメンバーが1人増えました《完結》   作:アグニ会幹部

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まず第1話…プロローグなのですが、早速設定改変有りです。
どこにあるかは、後書きにて。


CGS編
#01 謎の男


「…何だこりゃ」

 

それを見て、クリュセ・ガード・セキュリティー社長のマルバ・アーケイはそう呟いた。

 

クリュセ・ガード・セキュリティー…通称CGSは、立ち上がったばかりの会社である。

つい最近本部施設の建設に着手して、労働力として沢山の行き場のない子供達を雇用した所だ。

 

農場も開拓途中で、仕事もまだ無い。

本部施設の建設費用に私財の大半を投げ打ったので、最近の食事内容は酷いモノだったりする。

 

そんな、まだまだこれからな会社の社長である彼が、砂漠の中で何を見たかと言うと。

 

「…マルバ、こりゃあ…」

「…ああ。モビルスーツだ」

 

モビルスーツ。

300年もの昔に開発された、白兵戦専用の大型機械だ。

 

マルバは砂漠を超えた先に有るプラントに行く途中で、それを発見した。

 

MSは顔までしか見えていなかったが、明らかにボロボロだった。

 

「どうする、マルバ?」

「どうするも何も…とりあえず掘り出して、本部に運ぶしかないだろ。それに、本当にMSなら『エイハブ・リアクター』を積んでるハズだ。わざわざ本部施設に発電所を建設する手間が省ける」

 

エイハブ・リアクター。

MSや艦船、スペースコロニーの動力に使用されている相転移炉だ。

発明者の「エイハブ・バーラエナ」にちなんで、この名が付けられたとか。

物理的な破壊は不可能とされるほど耐久性が高く、稼働中は半永久的にエネルギーを生み出し続ける。厄祭戦後の世界ではギャラルホルンのみが製造技術を独占している為、希少価値が高い。

他勢力は厄祭戦時代の残存兵器に搭載されていたリアクターをレストアして使用しているのが殆ど。

回収困難となって稼働状態で宇宙に放棄されたリアクターも存在し、エイハブ粒子が発する疑似重力によって高密度のデブリ帯を形成する原因となっている。

また、リアクター内の真空素子が相転移して生成される「エイハブ粒子」によって発生する磁気嵐「エイハブ・ウェーブ」の影響で、地球では都市部への持ち込みが禁止されている。

 

エイハブ・リアクターが有れば、本部施設の建設費が安くなる。

食事も、多少マシになるかも知れない。

 

マルバは本部施設に戻った後、手の空いた子供達を砂漠に向かわせ、MSを掘り出す事にしたのだった。

 

 

 

 

そして、その角とツインアイを持つMSは何日かかけて掘り出され、本部へと運ばれた。

現在、そのMSはモビルワーカーの整備場に転がされている。

 

「マルバ。これ、中に誰かいるみてえだが」

 

モビルワーカーの整備長であり、マルバの古い友人でもあるナディ・雪之丞・カッサパは、そう言うのだが。

 

「オイ、これは埋まってたんだぞ? 何で中に人がいるんだ?」

「んな事俺に聞かれてもなあ…どうする? 300年前から埋まってたなら、パイロットは間違い無く死んでるだろうが…一応、埋葬くらいはしてやるか?」

「ああ…そうだな。死体がパイロットに残ったままのMSとか、不気味だしな…雪之丞、コクピットを開けられるか?」

「開けるくらいなら、何とかなるさ」

 

そう言って雪之丞はコクピットの近くに行き、幾つかの導線をMSに繋げる。

そして、手元のパネルを操作する。

 

「よし、開くぞ」

 

雪之丞が操作を確定すると、プシューと言う音がしてコクピットが開かれた。

 

「さて、何が出て来るかな」

 

そう言いながら、マルバはコクピットを覗き込む。

白骨死体が転がっている光景を想像していた…のだが。

 

「…おーい、どうした?」

「……見てみろ、雪之丞」

「? ……こいつぁ…!?」

 

 

そこには、1人の男がいた。

 

 

身長が180cmを越えていて、火星のように赤い髪を持つ長身の男。

不細工と言う訳では無いが、美形と言う程でも無い顔立ちをしている。

どこの組織の物か分からない、白と青のパイロットスーツを着ている。

そして、そのコクピットの隅には1つのトランクが置いてある。

 

だが、何より驚くべき事は。

 

「……阿頼耶織が、動いてやがる…」

 

そんな外見が細かく分かってしまう程、男には傷が無い。

そして、「阿頼耶織システム」がまだ動いているのだ。

 

阿頼耶織システム。

厄祭戦時代のMSのコクピットに採用された有機デバイスシステムだ。

本来は宇宙作業機械の操縦用に開発されたが、MSの性能を限界まで引き出す目的で軍事転用された。

パイロットの脊髄に埋め込まれた「ピアス」と呼ばれるインプラント機器と操縦席側の端子を接続し、ナノマシンを介してパイロットの脳神経と機体のコンピュータを直結させる。

それにより、脳内に空間認識を司る器官が疑似的に形成される。

これによって、通常はディスプレイなどから得る情報がパイロットの脳に直接伝達され、機械的プログラムに縛られない操作が可能となるのだ。

端子の埋め込みは複数回行うことも可能で、回数を重ねる程伝達される情報量も増加する。

 

それが動いていると言う事は。

 

 

「生きて、いやがるのか…!?」

 

 

脳がまだ機能している。

即ち、この男がまだ生きている事を表しているのだ--。

 

 

 

 

「…んん……」

 

俺が目を覚ました時、バルバトスのコクピットハッチは開かれていた。

 

「おう、気が付きやがったか」

 

そのコクピットを、ガタイが良く肌の黒い男が覗き込んでいる。

その男が手元のパネルを操作すると、背中の阿頼耶織が外された。

 

「ここは…?」

「クリュセ・ガード・セキュリティー…通称CGSの本部だ。お前のMSをうちの社長が発見して、ここまで連れて来たんだよ。出られるか?」

 

そう聞いて来たので、俺はハッチに手をかけて外に出る。

 

「……色々聞きてえ事はあるんだが、その前にだ。俺はナディ・雪之丞・カッサパ。ここで整備長をやってる」

 

と、その男は名乗った。

自己紹介をされたのだから、ここは仕返すのが筋だろう。

 

「俺は…アラズ。アラズ・アフトルだ。なあカッサパさん、幾つか質問して良いか?」

「良いぞ。ただ、社長室への移動途中で構わねえか?」

「ああ、感謝する」

 

それから、そのカッサパさんに色々な事を聞いた。

 

今はP.D.(Post.Disaster.)313年。

あの「厄祭戦」から約300年が過ぎた時代。

世界は治安維持組織「ギャラルホルン」によって監視され、4つの経済圏による分割統治に移行していた。

しかし、長きに渡る平和の中でギャラルホルンは当初の理念を失い腐敗。

その余波は、一般民衆にも差別や貧困という形で蔓延した。

生活難から過酷な労働に就くストリートチルドレンや、人身売買される「ヒューマンデブリ」といった孤児達が数多く存在していると言う。

 

「ありがとう。俺の境遇については、社長室で話した方が良いよな?」

「あ…ああ」

 

そして、カッサパさんと共に社長室に入る。

 

「マルバ、例のパイロットが目を覚ましたぞ」

「おう…って、うおおおお!? 何で普通にお前の後ろで立って歩いてるんだ!? 不用心過ぎるぞ、オイ!!」

 

マルバと言うらしいその社長は、俺を見るなり慌てふためき銃を向けて来る。

 

「社長、落ち着いて下さい。俺がアンタらに敵対する気なら、とっくにMSで暴れてるよ。俺は寝起きで右も左も分かんないんですよ?」

「何故貴様に馴れ馴れしく『社長』などと呼ばれねばならんのだ!? マルバ・アーケイだ、アーケイさんとでも呼べ!」

「落ち着けマルバ、こいつは悪い奴じゃなさそうだしな」

 

カッサパさんの言葉で、アーケイ社長は落ち着いたらしい。

俺を睨んでいる事に変わりは有りませんでした、悲しいです。

 

「…それで、貴様は何故あのMSに乗っていたのだ? 何故、生きてるのだ?」

「とりあえず、俺が生きてる理由は簡単ですよアーケイ社長」

 

そして、パイロットスーツの前チャックを胸より下まで開ける。

 

「…それは…!」

「見ての通り、俺はただの人間じゃない。昔、戦いで体がブッ壊れてしまってな。それから、こんな感じだ」

 

昔、戦いで体の大半を失った。

それを機械に変えていたおかげ…せいで、死なずに済んだらしい。

 

「1つ目の質問についてなんだが…どうも、記憶が混濁してるらしいんだ。全然思い出せない」

「…まあ、あんな状態だったなら仕方ないかも知れんな」

「じゃあ、思い出したら言えば良いんじゃねえか? いつか思い出すだろ」

 

カッサパさんの言葉に頷く。

すると、アーケイ社長は次の質問を投げて来る。

 

「じゃあ次だ。覚えてないなら良いが、あのMSは何だ?」

「あ、それならさっきまで繋がってたから分かる。あれは『ASW-G-08 ガンダム・バルバトス』。『ガンダム・フレーム』の1機だ」

「「!?」」

 

ガンダム・フレーム。

厄祭戦末期、ギャラルホルンの前身組織が開発したフレームの1つ。

通常のMSでは1基のみ搭載されるエイハブ・リアクターを2基搭載しており、現行MSをも凌駕する出力を発揮する。

反面、2基のリアクターの並列稼働が技術的に困難を極めた事から、総生産数は72機にとどまった。

コクピットブロックはフレームと一体化しており、パイロットの生残性に優れる。

終戦から約300年後の現在では26機の存在が確認されているが、当時の資料の多くが失われている為に整備やパーツの調達が難しく、満足な稼働状態の機体は少ない。

 

「リアクターは無傷だが、パーツの大半は落ちてる上に機体のあちこちに砂が入ってやがる。あれを戦場に出すのは無理だ。せいぜい、動力源くらいにしかならない」

「……そんだけでも充分だ。本部施設の動力源に使いたいしな」

「構わない、好きに使ってくれ。後、コクピットブロックはもう使えないぞ。モニターとかひび割れてるし」

 

バルバトスのコクピットは、一目で「使えない」と分かる程に酷い状態だ。

モニターはバッキバキにひび割れてて、レバーも一部が壊れているようだし。

 

「ところでアーケイ社長、お願いがあるのですが」

「何だ?」

 

そんなアーケイ社長に、俺は頭を下げてこうお願いする。

 

「この『CGS』に入れてくれ。と言うか雇って下さいお願いします」

「………はあ!?」

 

唖然とするアーケイ社長に、頭を更に深々と下げて自己アピール。

 

「何でもしますから、お願いします! MWの操縦とか整備は勿論、経理とかの仕事もやれますから! お願いします社長! 金無いんです!!」

 

そう。

行くアテも無く、金も無い。

とりあえず雇って頂かないと、何も出来ないんすよ社長!!

 

「……はあ、分かった。お前を雇ってやる。名前は?」

「ありがとうございます、社長! 俺はアラズ・アフトルって言います。よろしくお願いします!!」

 

やったぜ。

 

「じゃあとりあえず、雪之丞と一緒にMWの整備頼む。後、ガキ共の訓練も頼みたい。MSに乗ってたんだから、アイツらをしごいてやってくれ」

 

と、最初の仕事が早速回って来た。

 

 

 

 

こうして、俺はCGSの社員になった。

それから10年後。

 

かなりの大企業になったCGS。

子供達が集まった「参番組」の訓練を、俺は任される事になった--




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アラズ・アフトル 90AP


バルバトスの発見について。
公式の設定だと、発見時からコクピットブロックは無くなっていたらしいですが、登場にあたってそこを変えました。

ちなみに、「アラズ・アフトル」は本名では有りません。

次回はミカ達が出て来る…ハズ。
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