鉄華団のメンバーが1人増えました《完結》   作:アグニ会幹部

49 / 72
「GMの逆襲」を思わせるタイトルですね…。
ボツタイトル案は「逆襲のハシュマル」だったり。
シャアかお前は、と思ったのでボツになりました。

毎回の事ながら、出て来るのは駄文である。
いい加減に駄文を何とかしたいものの、私程度の語彙力ではどうにもならないし出来ないと言う。
何故だ!

???「坊やだからさ」

――誰か、私に文章力と語彙力を下さい。


それはともかく、たくさん頂いている機体の案についてです。
ガンダム・フレームの案は、勝手ながら次回更新までを締め切りとさせて頂きます。
展開上致し方無い措置になりますので、ご了承下さい。
それ以外の案は、引き続き活動報告にて募集致します。


#45 ハシュマルの逆襲

私がアグニカと出会ったのは、私が7歳だった時。

その2年前にお母さんはお父さんに愛想を尽かして家を出て行き、私はお父さんの手で育てられる事になった。

 

お父さんは研究しかしないマッドサイエンティストだったので、必然的に家事は私がやった。

出て行く前のお母さんにやり方は大体教えられていたから、そこまで苦労をする事無く済んだ。

強いて言うなら、お母さんと比べて身体が小さかったからやりにくかったくらい。

 

お父さんは毎日、朝早く出掛けて夜遅く帰って来ていた。

そして、夜な夜な理論の見直しをしながら大声で高笑いをする。

「やっぱりあの人おかしい」と思いながら、私は7歳の誕生日を迎えた。

 

お父さんは完全な親バカなので、私に何かめでたい事が有ると研究をサボって祝ってくれた。

マッドサイエンティスト、それで良いのだろうか?

 

そして、お父さんは研究を完成させた。

学会で発表してもまるで理解されなかったらしくボヤいていたが、「そりゃそうだ、あんなメチャクチャな内容じゃね」とは幼かった私も思った。

 

その頃、お父さんは学会でかつての学友…スリーヤ・カイエルさんと会う機会が有ったらしい。

スリーヤさんのお父さんであるプラージャ・カイエルさんは、MSを造った天才科学者だった。

 

お父さんは、スリーヤさんの研究所へ移籍する事になった。

その研究所は地球に有るので、私はお父さんに連れられて地球の研究所…「ヴィーンゴールヴ」へと行った。

 

 

その時、私は初めてアグニカ・カイエルと言う人物を知った。

 

 

ボサボサでありながら手入れされている炎のように赤い髪、透き通るように蒼い瞳、なかなかに整った顔立ち。

そして、私よりほんの数cm程高かった同い年の彼は正面から私を見据えていた。

 

私は、そんな体験が初めてだった。

今までいた研究所では「マッドサイエンティストの娘」などと言われながら白い目でみられ、生まれつき桃色だった現実味の無い髪も有ってか。

私に構おうとする人は、殆どいなかった。

少なくとも、一時期「グレてやろうか」と思った程には。

 

でも、アグニカ・カイエルは違った。

目を逸らす事無く、初対面の私を見てくれた。

 

だから、私もそれに応えたいと思った。

今まで考えてこそいたものの使った事の無かった、初対面の人への挨拶をシミュレーション通りにやってみる事にした。

 

「ねえねえ! キミ、名前は?」

 

自分が出来る最高の笑顔で、名前を聞いた。

彼は一瞬驚いたが、名前を名乗ってくれた。

 

「アグニカ…アグニカね! 私はスヴァハ・クニギン、よろしく!」

 

自分も名乗り返し、握手すべく手を差し出す。

オドオドしながらも、アグニカは手を差し出して来てくれて――

 

「ゴホーン! 仲が良くなーりそうなーのは素ー晴らしいが、まだ早ーい!! お父ーさんは赦ーしませーんよ!!」

 

握ろうと思ったその時、お父さんに阻まれた。

それから、お父さんはアグニカに突っかかった後スリーヤさんと話を始めた。

その間に、私はスリーヤさんの薦めでアグニカに案内されながら施設を見て回った。

 

それから約11年、私はアグニカと一緒に育った。

 

握った手は温かく、お母さんにも褒められた自慢の料理を食べる姿は愛らしく感じられて。

ガサツで、あんまり器用じゃなくて、時々抜けてるけど…いつも私を気にかけてくれて、辛くても私にはいつも不敵な笑顔を見せてくれる。

 

彼が私に取って、特別な存在になったのは――いつだったか。

 

 

 

 

翌日。

ヘイムダルのベルファスト基地では、俺達のバージニア級戦艦1隻と共に宇宙(そら)へ出るメンバーの選定が行われた。

このベルファストを守る戦力を、全て火星へ向かわせる訳には行かないからだ。

 

結果、俺ことアグニカ・カイエルとスヴァハ・クニギンは宇宙行き。

他のメンバーは、日本基地メンバーからカロム・イシュー、アマディス・クアーク、ドワーム・エリオン、ミズガルズ・ファルク。

ベルファスト基地メンバーからフェンリス・ファリド、クリウス・ボードウィン、ケニング・クジャン、リック・バクラザン、クレイグ・オーガス、和弘・アルトランド。

 

以上の12人で、火星へ向かう。

残ったメンバーは、地球を廻ってMAを撃破するチームとベルファストを守るチームに分かれて行動をして貰う事になっている。

 

「じゃあ、出発準備を――」

『総員、第一種戦闘配置! 北極方面より、MAが接近中!』

 

――ですよね。

やっぱり来ちゃうよね、MA。

 

「どう言う事じゃ、この都市は見つからぬハズ…」

「――何か、有るとしか考えられませんが…残留組は、敵の迎撃を頼む! 火星行き組は、出発準備でガンダムを動かせん!」

 

地球へ残る組が、ガンダムを出撃させて行く。

俺達火星組は、ブースターを付けたゲーティアにガンダムを載せた後の為ガンダムを出撃させられない。

 

『敵は1機だが、気を付けろ! 敵は「天使長」ハシュマルだ! 何としてでも、マスドライバーを死守せよ!』

 

ゲーティアを宇宙へ上げるには、ベルファスト基地に建造されたマスドライバーが絶対に必要だ。

それを破壊されれば、火星行きは先延ばしになってしまう。

 

特にMAが多い圏外圏では、行くのが遅れれば遅れる程MAの数は増えてしまう。

月からは今も、新しいMAが出て来ているのだ。

 

「我々はこのまま、出発準備を続ける!」

『了解!』

 

外は仲間に任せ、俺達は火星への出発準備を続ける事とした。

 

 

 

 

『        !!』

 

ハシュマルの口が開かれ、ビームが放たれる――直前。

漆黒の獣のようなガンダムが、ハシュマルを蹴り飛ばした。

 

「MA――殺す」

 

グラシャラボラスはハシュマルへ追撃を掛けようとするも、ハシュマルの超硬ワイヤーブレードに弾かれて宙を舞う。

続いて、ハシュマルにはガンダム達の攻撃が突き刺さる。

 

「おーっほっほっほっほっほっほっほ!! させませんわ、愚かな鳥さん!」

「ね、姉さん…挑発し過ぎると、敵が…」

 

ガンダム・フェニクスとガンダム・ハルファスの攻撃。

その後ろには、日本基地で建造されたガンダム達に加えてガンダム・ブエル、ガンダム・マルコシアス、ガンダム・ストラス、ガンダム・オロバス、ガンダム・マルバス、ガンダム・フォルネウスが控えている。

 

『       !』

 

圧倒的不利な状況の中、ハシュマルはプルーマを生み出しながらガンダム達に吶喊した。

 

 

 

 

ゲーティアの艦長席に座る艦長は、オペレーターから報告を受けていた。

 

「ハシュマルとガンダム、戦闘に入りました」

「そうか。では、出航準備だ」

「――はい?」

 

艦長の言葉に、ブリッジクルーが首を傾げる。

 

「イーモン殿、よろしいですな?」

『――分かりました。マスドライバーの射出準備は完了しています、いつでもどうぞ』

「感謝する」

「ちょ、待って下さい!」

 

副艦長が、艦長に異議を唱える。

 

「この状況でマスドライバーを使うと!? そんな事、墜として下さいと言っているようなモノd」

「ああ、その通りだ」

「では何故、現在出航するなどバカげた事をするのですか! お待ち下さい、しばらくすればカタが付いて安全になります!」

「――それは、何分後だ?」

 

あくまでも安全策を取る副艦長に、艦長は問う。

 

「あのハシュマルが片付くのは、何分何秒後だ? 何時何分何秒、地球が何回回った時だ?」

「…小学生みたいな事を言ってないで、早く中止をして下s」

「答えられぬなら、そんな要求は呑まん。今この瞬間も、ガブリエルはMAを生み出している。MAが1機増えれば、それだけ人間の犠牲も増える。このゲーティアの出航予定時刻は、午前10時32分30秒。今は、午前10時31分46秒。無駄口を叩いているヒマが有るなら、出航準備をしろ。無駄に使える時間は無い」

「しかし、この状況では――」

 

譲らない副艦長に、艦長はこう言った。

 

()()()()()()()? 人類に余力が無い以上、我々が止まる事は赦されない。予定は守る。一刻も早く、ガブリエルを破壊せねばならないのだからな」

 

などと話している内に、ゲーティアはマスドライバーのカタパルトに固定された。

 

「大気圏突破シークエンスを開始します。マスドライバーへの電力供給、異常無し。マスドライバー、点火!」

「ゲーティア、出発!」

 

マスドライバーが動き出し、ゲーティアが基地施設から飛び出す。

 

『     !』

 

それを見たハシュマルは、顔をマスドライバーに向けてビーム砲を開く。

 

「させねぇよ!!」

 

ガンダム・マルコシアスが、巨大な斧を振り上げてハシュマルの頭に叩き付ける。

下に頭を向けさせられたハシュマルは、ビームを吐き出しながらもワイヤーブレードでマルコシアスを吹き飛ばす。

 

「チィ!」

「甘いですわよ!」

 

ガンダム・フェニクスの左手に取り付けられたアーマーが開き、高速振動してハシュマルを穿つ。

 

『       !』

 

ハシュマルの下部からプルーマが飛び出し、マスドライバーの支柱を破壊すべく海上を駆ける。

しかし、そのプルーマは狙撃されて破壊される。

 

「殺す、殺す殺す殺す殺す…!」

 

全身に傷を負ったハシュマルに、目を赤く輝かせたグラシャラボラスが襲い掛かる。

グラシャラボラスはハシュマルの頭を掴んで引きちぎり、テイルブレードで2枚の羽を斬り落とす。

 

『      !!』

 

ハシュマルとて、ただではくたばらない。

2本のアームを上に跳ね上げ、グラシャラボラスを潰そうとする。

そのアームは1本がフラウロスのダインスレイヴに吹き飛ばされ、もう1本はヴァッサゴに破壊された。

 

「死、ねよ――ゴミが」

 

グラシャラボラスの牙が、ハシュマルのコンピューター部を咬み千切る。

 

『    、     ――』

 

機能停止を余儀無くされたハシュマルが最期に捉えたのは――飛行機雲を引き、宇宙(そら)へ上がって行くゲーティアの姿だった。

 

 

 

 

衛星軌道上に飛び出したゲーティアは、ブースターを分離して軌道を修正する。

 

『大気圏突破シークエンス、成功。終了し、火星基地への進路を取ります』

『ああ…皆、よくやってくれた』

 

艦長とオペレーターのやり取りを艦内放送で聞きつつ、俺はヘルメットを外してスヴァハに続いてパイロットの待機部屋から出る。

そして、外が見えるようになっている通路へ行く。

 

「――わあ、凄い…これが、地球なんだ…」

「…らしいな。やっぱり、写真(データ)とは大違いだ」

 

窓の外には、青と白で彩られた星が見える。

何年も核戦争で行われて汚染された後、MAの登場で各地が更地となってなお――全ての生物の母たる地球は、美しく輝いている。

 

俺もスヴァハも、ずっと海上移動研究所たるヴィーンゴールヴで過ごして来た。

マッドサイエンティスト曰く、スヴァハは物心つく前に見た事が有るらしい。

だが、十数年経った今本人は覚えていないとか。

 

『では、予定通りに。バルバトスとグシオンは、コクーン設置の作業を。他のパイロットは、命令が有るまで待機』

 

艦長の指示が、艦内に流れる。

 

コクーンとは、エイハブ粒子の電磁波障害に対応出来るよう造られた長距離通信用の中継機だ。

現在は何らかの外的要因により、各経済圏の設置した通信機器が使い物になっていない。

通信妨害の要因は、恐らくそう言った機能を持つMAによるモノだろう。

 

このような理由から、各経済圏は植民地であるコロニーや火星、他の経済圏との通信を行えない状況にある。

その為、コロニーや火星の被害状況は地球で正確に把握する事は出来ない。

各経済圏は調査隊も送っているが、その殆どが帰って来ていない事から圏外圏がMAの跳梁跋扈する地獄と化している事は想像が付く。

 

このコクーンは、エイハブ粒子の影響を受けないレーザー通信システムであるLCS通信の中継機と言う事だ。

それもただのコクーンでは無く、電子物理を問わず一切の干渉を受けないよう設計された特別製のコクーン。

 

これを大量にバラまき、ヘイムダル独自の通信航路管制システム「アリアドネ」を造りあげる。

それにより、各経済圏の協力と安全な通信、航海を実現するのがヘイムダルの狙いだ。

 

その1機目をこの衛星軌道上に配置する為、今まさにバルバトスとグシオンが作業に当たって――

 

「――スヴァハさん。何ですか?」

「何ですか、って――言わせないでよ…は、恥ずかしい、から…」

 

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

「スヴァハに 背後を取られたと思ったら そのまま抱きつかれていた」

な… ()()()()()()()() ()()()()()()()()() ()() ()()()()()()() ()()()()()()()()

頭がどうにかなりそうだった… 催眠術だとか超スピードだとか

そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…

 

――落ち着け俺、アグニカ・カイエル童貞19歳。

俺はアグニカだ、断じてポルナレフではない。

深呼吸だ深呼吸、煩悩絶つべし。

 

「――すいません、スヴァハさん。童貞の俺には、こんな状況の対処法が分からないんですが」

「…そこは、『どうしたんだ?』って聞く所じゃない?」

「な、成る程。どうしたんだ、スヴァハ」

 

声が上擦っていたが、俺はそんな事を気にする余裕が無い。

鼻孔を刺激するスヴァハの匂い、首筋に触れるスヴァハの髪、背中に当たるスヴァハの胸などの情報を整理出来ずにパニクっている。

 

「――ゴメン、何の理由も無い。ただ、アグニカの存在を確かめたくなったんだと思う…」

「んん? 変な奴だな…俺はここにいるぞ?」

「…うん、分かってる。――でも、怖いんだ。このままだと、だんだんアグニカが遠くなって行く気がして……」

 

――そう、なのだろうか?

距離を取ってるつもりは無いし――むしろ近付きたいくらいなんだけどなあ。

 

すると、スヴァハが俺から離れた。

 

「…ゴメンね、変な事しちゃって。それじゃ――」

 

そう言い残して、スヴァハは俺に背中を向けてパイロットの待機部屋に戻って行く。

 

「―――」

 

無心で俺は右手を伸ばし、スヴァハの左手を握る。

 

「……どうしたの、アグn――」

 

そのままスヴァハを引き寄せ、正面から柔らかい身体を抱き締めた。

――何故そうしたのか、と言われても返答に困る。

ただ、このまま別れてはいけないと言う直感が俺の身体を突き動かしたかのようだ。

 

幸い、スヴァハは嫌がらずに俺の胸に顔をうずめながら腕を俺の背中に回して来た。

 

「―――」

「………」

 

互いに顔を赤らめたまま、無言で抱き締め合う時間がしばらく続いて。

ふと顔を上げたスヴァハと目が合うと、スヴァハはそっと目を閉じた。

 

そして、どちらからともなく顔が近付いて行き――

 

 

「何をしーているんだ貴ー様はああああああああああああああああ!!!」

 

 

――突如、マッドサイエンティストが乱入。

 

「あべし!」

 

俺はマッドサイエンティストの科学者らしからぬ蹴りで吹き飛ばされ、反対側の壁へ叩き付けられた。

 

「ア、アグニカー!?」

『チッ!!』

 

あっれー、おかしいな。

スヴァハのモノともマッドサイエンティストのモノとも違う、何人かの舌打ちが聞こえて来た気がするなー。

 

などと激痛に悶絶しながら思っていると、マッドサイエンティストが近寄って来て俺の襟元を掴む。

そのまま、科学者らしからぬ腕力で俺を持ち上げて突っかかって来た。

 

「何ウーチのスヴァハに手ーを出してるのかーねアグニカ君! 艦ー長に呼ばーれてブリッジーに行こうーと通りがかーったらこーれだ、フザーケているのーかね!? ぶっ殺されーたいのかーね!?」

「いやあの、俺のせいじゃないけど!? 確かに正面から抱き付いたのは俺だけど、最初に後ろから抱き付いて来て胸とか押し当てて来たのスヴァハなんだけど!? あの時ポルナレフ状態になって理性を留めた俺のファインプレー、ちょっとは鑑みて下さいよ!?」

「問ー答無ー用!! 何ーにせよ、今君がスヴァハとキスーしよーうとした事ー実に変わりはなーい! そしーて、それは断ー罪の対象であーる! さあ、お前の罪を数ーえろ!! 何ー回だ、今まーでに何ー回キスしーた!?」

 

やべえ、このマッドサイエンティストったら人の話を聞かない系だ。

怪しい研究の実験動物(モルモット)にされそうだな、非常にマズいぞ。

 

「してない、してないから!」

「ええー、ホントにござるかぁ?」

「煽って来やがる、このマッドサイエンティスト! 本当だ、真実だ! スヴァハは清廉潔白な未使用品です!」

「なーらば良い。使ーわせる予ー定は無いーがな」

 

そう言って、マッドサイエンティストは念を押すように俺を睨んでから手を離した。

 

「――お父さん(悪の科学者)、そこまでにしといた方が良いよ。じゃないと、後10年口聞かないよ」

「すみませんでした、やり過ぎました」

 

マッドサイエンティストが変な所を伸ばす怪しい口癖を忘れて、スヴァハに土下座を敢行している。

父親は娘に勝てない、これは遥か古代より不変な世界の真理そのものである。

 

「だったらさっさとブリッジに行って。艦長に呼ばれてるんでしょ?」

「その通りです。では、さらーば」

 

別れの挨拶を済ませ、マッドサイエンティストはブリッジへ繋がるエレベーターに走って行った。

 

「大丈夫、アグニカ? ゴメンね、ウチの父親(バカ)が…」

「いや、大丈夫だ。ありがとう」

 

しかし、マッドサイエンティストのせいでムードはぶち壊されてしまった。

せっかくのチャンスだったのになあ…。

 

「――フォカロルの改修作業、手伝いに行くか。マッドサイエンティストが抜けたから、埋め合わせないとな」

「う、うん…そうだね」

 

名残惜しく感じつつも、俺達はMSデッキへと向かうのだった。

 

 

 

 

第一コクーンの設置を済ませ、ゲーティアは火星へ向かい出発した。

火星までは、およそ1ヶ月掛かる。

しかし、その道のりの最中には幾つかのコロニー群が存在する。

 

――いや、していたと言うべきか。

 

「――酷い」

「全く、見る影さえ無いな」

 

コロニー群は、完全に壊滅していた。

コロニーのミラーとバラバラになったコロニーの外壁が、その宙域に浮遊するだけだ。

 

「コロニーは構造上脆い建築物とは言え、ここまでバラされているとは異常さが有るな…」

「お前もそう思うか、ケニング。俺も同じ意見だ」

 

ケニングとリックが、漂う残骸達を見ながら意見を述べる。

それを受け、俺はとあるMAを連想した。

 

「――どうしたの、アグニカ。何か気付いた?」

「いや、ちょっと推測を立ててた。この残骸共、おかしな所が有る」

「おかしな所だと? ――ん?」

 

フェンリスが、何やら感づいたようだ。

 

「気付いたか、フェンリス。()()()()()()()()()()()()()だろ、これ。エネルギーの無駄使いと言わざるを得ない。コロニーの住民を殺したいなら、MAご自慢の武装で外壁に穴を空ければそれで事足りる。コロニーをバラバラにする理由が無い」

 

外壁がナノラミネートアーマーだったりする事は無いので、MAなら壊す事は容易い。

ビーム砲は元より、MAの質量なら体当たりを掛けるだけでも破壊出来る。

 

ミラーを全て割り、外壁をバラバラに粉砕するなど徒労や無駄以外の何モノでもない。

 

よって、この凄惨な破壊振りから推測される――犯人は。

 

「『四大天使』――MA、ウリエルか」

「恐らく、な」

 

そうでもなければ、ここまでの破壊は出来ないだろう。

コロニーも各経済圏の植民地なので、防衛軍も駐屯していたハズだ。

それを蹴散らし、コロニーを粉砕したのは「無差別破壊」を特殊能力として持つ「四大天使」――ウリエルの可能性が高い。

 

「戦闘になる、なんて事は――無いわよね?」

「さあな。知っての通り、MAは神出鬼没だ。出現を予想出来るなら、人類はここまで被害を被っていないさ」

 

とりあえず、ここにも「コクーン」を設置する。

コロニーが有るのはラグランジュポイントなので、軌道が逸れる事は無いだろう。

 

そうして、幾つかのコロニー群跡地を巡ってコクーンを設置し。

ゲーティアは火星圏――圏外圏へと侵入した。

 

 

 

 

侵入するや否や、ゲーティアの正面から宇宙戦艦が接近して来た。

 

「…前方より、接近する艦艇が有ります。光信号を発しています」

「光信号だと? …SOS? しかし、あれは――」

 

――ハーフビーク級宇宙戦艦だ。

数は2隻、救援要請をして来ている。

 

ハーフビーク級は、各経済圏の宇宙艦隊で制式採用されている主力級戦艦だ。

各経済圏にはそれぞれ1隻ずつ、宇宙艦隊の旗艦たる超大型戦艦「スキップジャック級」が存在している。

ハーフビーク級はそれより二回り程小さいが、最も建造数の多い戦艦。

MSも積載可能で、装甲も分厚い優秀な戦艦になる。

 

「戦艦から通信です」

「開け」

 

艦長の指示で、通信が開かれる。

ゲーティアのモニターには、科学者めいた人物が映った。

 

「こちら、対MA戦闘組織『ヘイムダル』所属戦艦ゲーティア。艦長の、ルベルト・ノアである。貴艦の情報公開を求める」

『――そうか、お主らが地球からの…私はウィリアム・ウェストコット。「ヘイムダル」火星基地の科学者だ』

 

火星基地の科学者だと名乗った男は、ひとまず合流する事を求めた。

そうして、地球から来たバージニア級はハーフビーク級と合流し状況を説明された。

 

大まかな内容はこうである。

ヘイムダル火星基地「アーレス」は、謎の組織に襲撃を受けた。

3隻建造されていたハーフビーク級の1隻を強奪され、基地は司令室を含めた全域が制圧された。

当時基地にいたガンダムとハーフビーク級2隻で職員は基地を脱出し、ここまでやって来たと言う。

 

もう1人の科学者はその際に殺され、パイロットは数人が捕虜とされ、ガンダムは3機が強奪されたらしい。

 

「――ではまず、基地を奪い返す所からか」

「そうなるな」

「――質問、良いか?」

 

俺は手を挙げ、許可を取ると。

 

「圏外圏での戦況は、どうなってる? 地球から火星に来るまで、一度もMAと抗戦していないが」

 

と、博士に質問した。

 

「この圏外圏では、多くのMSが戦線に投入されておる。ロディ・フレームやヘキサ・フレームを始めとして、ダインスレイヴを使うMSも少なくない。宇宙でのMA戦は、大量のダインスレイヴによる面制圧によるモノが多いからな。地球に比べれば、撃破難度は低くなる。ガンダム・フレームの必要性も、地上程高くない」

 

地上での戦闘はMSによる接近戦、宇宙での戦闘はダインスレイヴによる遠距離戦。

それが、現在の戦闘セオリーである。

 

ダインスレイヴは、ガンダム・フレームが完成する直前に完成した遠距離狙撃兵器だ。

都市、地形への影響が懸念される地上では使われる事がまれだが、その心配が無い宇宙では主戦力となっている。

ロディ・フレーム、ヘキサ・フレームなどの量産機にも装備可能な為、とりあえず数を揃えて面制圧する事でMAを撃破出来る。

 

最も、相手が「天使長」になると撃破は困難。

「四大天使」ともなれば、傷を付けられるかどうかと言った所だが。

 

つくづく、四大天使とは恐るべき敵だ。

 

「とにかく、だ。基地の奪還をしなければな」

 

ドワームが、そう方針を提案する。

異議の有る者は、いない。

 

そうして、アーレスへ乗り込む事が決定した。




オリジナル機体&設定解説。
一気にベルファストのガンダムを紹介し切るので、お覚悟を(すみません)。
活躍はこれから、と言う事になりますが。


ASW-G-37 ガンダム・フェニクス
全高:19.0m
本体重量:30.2t
動力源:エイハブ・リアクター×2
使用フレーム:ガンダム・フレーム
武装:フェニクス・ランサー×1
   フェニクス・アーマー×1
   レールガン×2
概要
ナトリア・デヴリンの専用機。
ガンダム・ハルファスとの同時運用を想定して開発された。
装甲は通常のガンダムより分厚く小回りが効きにくいものの、各所に追加されたバーニアと背部ウイングバインダーにより機動性はかなり高い。
白と赤のツートンカラーに塗られている。
専用武器として「フェニクス・ランサー」と「フェニクス・アーマー」、汎用武器として「レールガン」…別名「ダインスレイヴ」を持つ。
フェニクス・ランサーはレアアロイで錬成されており、斬撃武器もしくは打撃武器として使用可能。
フェニクス・アーマーは僅かな宇宙世紀時代の文献から製作された、超振動破壊兵器。
普段は畳まれて左腕に装備されるが、使用時は4つに分かれて展開し刃を超振動させて敵を粉砕する。
宇宙世紀時代には「アームド・アーマーVN」と呼ばれていたらしいが、攻撃力と振動数はオリジナルのそれに及ばない。
レールガンは両肩に取り付けられており、開幕でダインスレイヴ専用弾頭をぶっ放した後は通常弾頭とフェニクス・ランサーを使って接近戦を行う。
名前の由来は、ソロモン王直属の使い魔「ソロモン七十二柱」に於ける序列第三十七位の悪魔「フェニクス(フェニックス、フェネクスとも)」から。
フェニクスは、大いなる公爵だとされる。
飛鳥さんと赤くて3倍な彗星さんより頂いた案を元に、設定しました。

ASW-G-38 ガンダム・ハルファス
全高:19.0m
本体重量:28.2t
動力源:エイハブ・リアクター×2
使用フレーム:ガンダム・フレーム
武装:ハルファス・ブレード×2
   ライフル×2
   有線式レアアロイブレード×4
概要
エドゥアルダ・デヴリンの専用機。
ガンダム・フェニクスとの同時運用を想定して開発された。
バックパックのウイングバインダーにより高機動を実現しており、その速度はバエルに迫る程。
白と紫のツートンカラーに塗られている。
専用武器として「ハルファス・ブレード」「ライフル」「有線式レアアロイブレード」を持つ。
ライフルはハルファス・ブレードを装備可能で、2丁が標準装備となる。
近接戦時のブレードを外しての戦闘はもとより、ブレードは付けたまま刃を展開する事も可能。
有線式レアアロイブレードはウイングバインダーに4基内蔵されており、阿頼耶織による制御で高速機動する。
原理としては、天使長以上が装備する「ワイヤーブレード」と同様である。
名前の由来は、ソロモン王直属の使い魔「ソロモン七十二柱」に於ける序列第三十八位の悪魔「ハルファス(ハルパス、マルサスとも)」から。
ハルファスは26の軍団を率いる、地獄の伯爵であるとされる。
飛鳥さんより頂いた案を元に、設定しました。

ASW-G-10 ガンダム・ブエル
全高:18.1m
本体重量:31.2t
動力源:エイハブ・リアクター×2
使用フレーム:ガンダム・フレーム
武装:アガリアレプト×1
   マシンガン×2
   アサルトナイフ×4
概要
オーウェン・フレッチャーの専用機。
かつて「ヘイムダル」で運用され、ガンダム・フレームの中でも悪用が許されない機体。
バックパック「アガリアレプト」が印象的な、紫系の色で纏められた機体。
アガリアレプトは8本のサブアームを纏めたバックパックであり、サブアームの先にはビーム砲が内蔵されている。
本体はマシンガン2丁とアサルトナイフ2本、足裏に仕込まれたアサルトナイフ2本だけと言うシンプルな武装となっている。
アガリアレプトには「フォールダウン」なる特殊兵装が組み込まれており、悪用が許されない理由はこの兵装に有る。
フォールダウンは言わばコンピューターウイルスの解析、対応、製造を行えるシステムである。
敵MAの一部が持つコンピューターウイルスに対抗すると共に、敵MAのコンピューターをウイルス感染させる事すら可能となる。
ただし、天使長以上のMAには効果が無い。
悪用されれば全世界が混乱に陥る事も有る為、この機体は常に厳重管理されている。
名前の由来は、ソロモン王直属の使い魔「ソロモン七十二柱」に於ける序列第十位の悪魔「ブエル」から。
ブエルは50の軍団を率いる、地獄の大総裁だとされる。
N-N-Nさんより頂いた幾つかの案を参考に、設定しました。

ASW-G-35 ガンダム・マルコシアス
全高:18.8m
本体重量:38.3t
動力源:エイハブ・リアクター×2
使用フレーム:ガンダム・フレーム
武装:ギガント・アックス×1
   ギガント・パイルバンカー×2
   インコム×2
   サブギガント・アーム×2
   ミスティルテイン×2
概要
金元・カーゾンの専用機。
かつて「ヘイムダル」で運用されたガンダム・フレーム。
背部の翼に似た巨大バックパックと、足に取り付けられた巨大バーニアが特徴。
ギガント・アックスは巨大な斧で、主武装となる。
ギガント・パイルバンカーは、両腕に取り付けられた連打機能付きの巨大パイルバンカー。
インコムは翼に付けられた有線式のファンネル。
弾は実弾方式が取られており、これでプルーマを撃破しながら接近戦に持ち込む。
サブギガント・アームは、翼に内蔵された巨大なサブアーム。
ただ、補助用では無くこれで殴りまくる。
小型バーニアを付けられている他、二の腕にはチェーンソーが外付けにされている。
ミスティルテインは、小型のレールガン。
小型の為ダインスレイヴ専用弾頭は運用出来ないものの、通常弾頭でも充分な攻撃力を持つ。
名前の由来は、ソロモン王直属の使い魔「ソロモン七十二柱」に於ける序列第三十五位の悪魔「マルコシアス」から。
マルコシアスは30の軍団を率いる、地獄の侯爵だとされる。
ツチノコさん、Astray Noirさんより頂いた案を合わせて設定しました。

ASW-G-36 ガンダム・ストラス
全高:18.9m
本体重量:33.7t
動力源:エイハブ・リアクター×2
使用フレーム:ガンダム・フレーム
武装:ストラス・ルークソード×1
   ストラス・ランサー×1
   ガントレット×2
   ティルフィング×2
概要
ドリス・マクソーリーの専用機。
かつて「ヘイムダル」で運用されたガンダム・フレーム。
機体の見た目に大きな特徴は無いが、全身にバーニアが内蔵されており機動力がかなり高い。
ストラス・ルークソードは、剣型と弓型に変化させられる専用武器。
剣型での近接戦は言うまでも無いが、変わった所はやはり弓型になる所。
弓型では試作型ダインスレイヴとしてダインスレイヴ専用弾頭を運用可能な他、ブーメランとして投げる事も可能。
ストラス・ランサーは、フェニクスが持つ「フェニクス・ランサー」と同型の物。
ティルフィングは腰部に接続されたレールガンで、ダインスレイヴ用弾頭が運用出来る。
名前の由来は、ソロモン王直属の使い魔「ソロモン七十二柱」に於ける序列第三十六位の悪魔「ストラス(ストロス、ソラスとも)」から。
ストラスは26の軍団を率いる、地獄の大君主だとされる。
鮭ふりかけさんより頂いた案を元に、設定しました。

ASW-G-55 ガンダム・オロバス
全高:18.4m
本体重量:44.2t
動力源:エイハブ・リアクター×2
使用フレーム:ガンダム・フレーム
武装:ソード・ショーテル×2
概要
雅斗・コナーの専用機。
フレームの露出部分の無い重装甲で有りながら高機動のジ・Oタイプで、乱戦を得意とする。
武装は巨大なソード・ショーテルを2本装備するのみだが、充分な戦闘力を発揮する。
内部温度が上がりやすい為、全身の至る所に排熱用の排出口が配置されている。
排出口と同じく全身にバーニアが有り、高機動を実現している。
悪魔オロバスの誠実さから、対価無しで悪魔の力を最大限振るえる事も高機動の所以である。
名前の由来は、ソロモン王直属の使い魔「ソロモン七十二柱」に於ける序列第五十五位の悪魔「オロバス」から。
オロバスは20の軍団を率いる、地獄の君主だとされる。
パニックさんより頂いた案を元に、設定しました。

ASW-G-05 ガンダム・マルバス
全高:18.0m
本体重量:32.6t
動力源:エイハブ・リアクター×2
使用フレーム:ガンダム・フレーム
武装:ケーニヒス・ティーゲル×1
   セシル&ローズ×1
   クロー×2
   肩部小型ビーム砲×2
概要
ミランダ・アリンガムの専用機。
漆黒と黄金の機体色が特徴的で、MAの破片を再利用出来ないかをテストすべく開発された。
ケーニヒス・ティーゲルはダインスレイヴに加速装置を増設したモノだが、フラウロスのような照準機能を搭載しないので命中率はあまり高くない。
セシル&ローズは専用のダブルピストルで、肩にはビーム兵器が装備されている。
名前の由来は、ソロモン王直属の使い魔「ソロモン七十二柱」に於ける序列第五位の悪魔「マルバス(バルバスとも)」から。
マルバスは36の軍団を率いる、地獄の大総裁だとされる。
一風の陣さんより頂いた案を元に、設定しました。

ASW-G-30 ガンダム・フォルネウス
全高:17.9m
本体重量:34.5t
動力源:エイハブ・リアクター×2
使用フレーム:ガンダム・フレーム
武装:伏龍×1
   臥龍×1
   チェーンマイン×1
   高周波振動ナイフ×2
概要
()(ズー)(シュエン)の専用機。
水中でも使用可能で、装甲は分厚め。
右手の「伏龍」はショットガンで、敵の装甲を傷付ける為に使用される。
左手の「臥龍」は小型のレールガンで、ダインスレイヴ弾頭の運用も可能。
伏龍で敵の防御力を落とし、臥龍で一気に貫く戦法を得意とする。
チェーンマインは最大で20発、高周波振動ナイフはナノラミネートアーマーをも切断可能である。
名前の由来は、ソロモン王直属の使い魔「ソロモン七十二柱」に於ける序列第三十位の悪魔「フォルネウス」から。
フォルネウスは、堕天使の29軍団を率いる侯爵だとされる。
ドラゴンノーツさんより頂いた案を元に、設定しました。

アリアドネについて。
MAによって既存の通信が使えなくなったから、ヘイムダルが独自に設置したと言う事に。
オリジナル設定です。

ダインスレイヴについて。
造られる時期は語られてなかったので、オリジナル設定として決めました。
運用方式については、双葉社より出版されている「機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ メカニック&ワールド弐」での記述を参考にしました。
この本はかなり面白いので、是非とも一度読んでみて下さい(販促)。

ルベルト・ノア
バージニア級戦艦「ゲーティア」の艦長。
名字は作者の趣味ですので、意味は有りません。

ウィリアム・ウェストコット
「ヘイムダル」火星基地の科学者。
名前は魔術結社「黄金の夜明け団」の創始者の1人である魔術師「ウィリアム・ウォン・ウェストコット」から取りました。


今回は書きながら二、三度壁を殴りました。
次回は火星の衛星軌道上にある「アーレス」奪還作戦です。

爆発しろ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。