鉄華団のメンバーが1人増えました《完結》   作:アグニ会幹部

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お待たせ致しました。
これより一週間、毎日投稿します。

何故って?
()()()()()()()()()()()からです。

いよいよ完結編に入りますが、ノンストップで駆け抜けたいと思います。
ラストスパート、お付き合い下さいませ。


完結編
#55 組織再編


P.D.0325年。

太陽が天頂を越えた頃に、ギャラルホルン最高幕僚長アグニカ・カイエルの独白は終わった。

こうして、アグニカの話は時系列を現在へと戻した。

 

「――とまあ、ここまでが俺がここへ至る経緯だ。アラズ・アフトルとしての俺の行動は鉄華団が良く知ってるだろうから割愛するが、まあMSに乗って暴れたり鉄華団の地球支部支部長としてふんぞり返ったりした訳だ。そして、三日月・オーガスの協力の下で『バエル宮殿』へと辿り着き、今現在ここにいる」

 

セブンスターズ、鉄華団、そして中継のカメラをひとしきり見回した後――アグニカは、手を顔の前で組む司令ポーズを取る。

 

「さて、この話は俺が本物のアグニカ・カイエルだと言うコトを証明する為に始めたモノだったな。話が思ったよりも長くなってしまったが、貴様らはどのような結論を出す?」

 

その言葉で、何人かがハッとする。

どうやら、何人かはこの話が始まったきっかけと目的をすっかり忘れていたようだ。

 

「言った通り、俺はもう真っ当な人間では無い。人工的な電子信号でアグニカ・カイエルの思考と行動を再現しただけの、一種の人工知能とも言えるだろう。それを、貴様らは()()()()? アグニカ・カイエルを騙る痴れ者と断じて、俺を破壊(こわ)すか? 戦うコトしか出来ない破壊者(バケモノ)として、俺を封印するか? それとも――このようなモノに、世界の警察(ギャラルホルン)の改革を可能とする権力を委ねるか?」

 

目を細めて、アグニカはセブンスターズに問う。

そこで、セブンスターズは察する――試されている、と。

 

「その前に、だ」

 

最初に、ラスタル・エリオンがアグニカにこんな質問を投げた。

 

「ギャラルホルンを改革すると言ったな。具体的に、どのような改革を行うつもりだ?」

「…ふむ、じゃあまずはそれを示すか。ここからは完全に私論になる、カメラは外してくれ」

 

全世界にLIVE中継されているらしいカメラを、アグニカはとりあえず排除する。

ここからは普段のセブンスターズ会議となってくるので、意見として出ただけの不確定の情報を流すのは世界の混乱を招き兼ねないからだ。

 

「ではまず、現在のギャラルホルンの組織体制と現状を再認識しよう」

 

そして、アグニカはギャラルホルンの組織図をセブンスターズに見せ付ける。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「これが、現在のギャラルホルンの組織体制だ」

 

主な部署として統制局、警察局、監査局、総務局に加えて地球外縁軌道統制統合艦隊『グウィディオン』と月外縁軌道統制統合艦隊『アリアンロッド』が存在する。

各局の下には小さな科などもあるが、士官学校まで含めたこれら全ての管理運営をセブンスターズと最高幕僚長のみが担っている。

 

「言うなれば『権力集中制』で、人による支配。旧時代における絶対王政に近く、腐敗を招きやすく、汚職が蔓延する組織の典型例だと言えるだろう」

 

こうして図にすると、ギャラルホルンの組織体制が如何に酷いかが見て取れる。

全てがセブンスターズの管轄であるからして、各経済圏の意見は聞き入れられない。

これでは、口が裂けても「民主的」とは言えない。

 

「俺の最大目的は、ギャラルホルンの組織再編だ。権力集中制を取っている現在のギャラルホルンを、権力分立制へと移行する。セブンスターズへの権力集中を分散させ、各経済圏の意見を通して一般市民の意見も組織運営へと反映させたい」

「各経済圏に、ギャラルホルンの運営へ介入させると?」

「介入、と言うのはこの場合不適だろう。言うなれば、参画――各経済圏を、ギャラルホルンの体制に取り込む」

 

そして、アグニカはもう1つの図をセブンスターズに突き付ける。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「これが、300年前に俺が反映しようとした体制案を改良したモノになる。ギャラルホルンを世界の秩序を守る暴力装置ではなく、世界の協調を促す抑止力としたい。権力分立を実現し組織の腐敗を防ぐべく、人の支配ではなく『法』による制限を設ける」

 

組織図は両者とも一部省略されたモノだが、前者と後者の違いは見て取れるだろう。

 

何と言っても、一番の違いは「角笛憲章」と「角笛議会」の存在だ。

 

憲章は組織の最高法規となり、絶対遵守すべきモノとなる。

議会は各経済圏より選出された議員とギャラルホルンより選出された議員の討論の場とし、裁判局への弾劾や運営局の長である最高幕僚長の選出に加え、組織運営案を運営局へと提出するコトとする。

 

抑止力として統制局は戦力を保持し各経済圏に駐留させ、情報局は最高幕僚長の名の下にアリアドネの管理と各経済圏への情報公開や警告を請け負う。

 

この全体を、裁判局が監視、裁判する。

場合によっては処罰まで執り行い、これら全てを人事局が人事するコトで一人一人の能力に合わせた人事を行える。

 

アグニカの考えは、大雑把に言うとこのようなモノとなる。

 

「――つまり。お前の目的は、ギャラルホルンの民主化か」

「その通り。ぶっちゃけ、俺が最高幕僚長として権力を使いたいのはこれを成し遂げたいからだ。それが終わったならば、もう権力に興味は無い。こんなキツい制服なんざ脱ぎ捨てて、鉄華団のメンバーとして好き勝手やってやんよ」

 

そう、アグニカは断言した。

元より、アグニカに権力への執着など存在しない。

 

300年前のアグニ会結成時とて、アグニカは最高幕僚長の権限でセブンスターズの意見を強引に取り消さず結成を黙認(?)したくらいなのだ。

持っていたとしても、アグニカは権力を使用せず他者の意見を尊重し承認するタイプである。

 

そのアグニカをブチ切れさせ、最高幕僚長としての権力を一度ならず二度も使わせようとしている現在のセブンスターズが如何なるモノかは、想像に難くないだろう。

 

「それと、強いて言うなら目的はもう1つ有る」

「もう1つ、ですって?」

「ああ。俺のもう1つの目的――」

 

アグニカは息を吸い込み、マクギリスを指差した上でこう言った。

 

 

「それは、()()()()()()()()

 

 

マクギリスは数秒硬直していたが、ようやくその言葉を理解したらしい。

 

「――何ですと!? 何故ですかアグニカ・カイエル!! 何故、何故偉大なりしスヴァハ・クニギンの意志を無碍にするような暴挙をなさろうと!?」

「んなモン、害悪だからに他ならねェだろうが。スヴァハが最初に言い出してセブンスターズが作った会だったから、狂気を見てみぬフリしながら今まで黙認してたが――ここまで来たら見過ごせん。厄祭戦をもう一度やるためにクーデター起こすような組織を、これからの世界に残す訳には行かん」

 

そう。

アグニカ・カイエルがここにいるのは、アグニ会が起こしたクーデターに乗じてガンダム・バエルを奪還し、全世界へ声明を発表したからだ。

 

クーデターを起こすようなファンクラブを、ファンクラブと呼ぶか――否。

それは尊敬ではなく狂信、愛好会ではなく一種の宗教と言えるだろう。

厄祭戦への回帰を目論むような危険組織を、後世へと残しておくべきではない。

 

「しかし、我々がいなくなったなら誰がアグニカ・カイエルの伝説を語り継ぐのですか!? 我らは既に、アグニカ叙事詩の改訂を行うべく突貫作業を開始しています! 様々なファングッズも売り上げ好調! 悠久に語り継ぐべき…いや、語り継がねばならないアグニカ・カイエルの英雄鐔は脈々と後世へ伝えられています! 我々がアグニカ・カイエルを語らねば、誰がアグニカ・カイエルを語るのです…誰が、アグニカ・カイエルの威光を後世に知らしめるのですか!?」

 

マクギリスが、アグニカに対して熱弁する。

しかし、アグニカはそれをあっさり聞き流す。

 

「んなモン伝えんで良い。元々、俺は英雄などではないのだからな。廃止だ廃止、アグニ会は即刻解散しろ。しないと言うなら俺が潰すぞ、物理的に」

「我々の業界ではご褒美です、ありがとうございます!! むしろ潰して下さい!!!」

「お前らの業界は何かがおかしい。全く、スヴァハもヘンなコト言って逝きやがって…とにかく解散、解散しろアグニ会。今ここで解散を宣言しろ、そして予定調和で解散しろ」

 

アグニ会(アグニカ相手では例外なくドM)会長マクギリス・ファリドの言葉を、アグニカは取り合わない。

かつての経験から、アグニ会とまともに話しては体力を消耗するだけだと分かりきっているからだ。

 

アグニカに強く命令されて、マクギリスはようやく諦めたらしい。

一瞬顔を伏せたが、すぐに上げてこう宣言した。

 

「――現在を以て、アグニカ・カイエルを讃え崇める組織『アグニ会』を解散する」

「そんな、会長!」

「アグニカの意向に逆らう訳には行くまい」

 

ライザ・エンザを抑えながら、マクギリスは懐から油性ペンを取り出した。

そんなマクギリスの右斜め後ろでは、石動・カミーチェが何も書かれていないポスター用紙をセッティングする。

 

「ハハァ…♥」

 

無駄にエロい吐息を立てながら、マクギリスはポスター用紙に油性ペンを押し当てて字を書いて行く。

かなり書き辛そうだったが、数分を経てようやく書き終える。

 

「アグニ会は解散した。今の我らは――」

 

そして、身体を元に戻し――ポスターを背後に、こんな宣言をした。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「新アグニ会だ!」

 

 

『―――』

『………』

『―――………』

『………―――』

 

沈黙。

 

最高のドヤ顔で若干の作画崩壊を起こしつつ「新アグニ会」の設立を宣言したマクギリス・ファリドに向けて、その場の全員が冷ややかな視線を向けている。

 

具体的に言おう。

アグニカは血管を浮き上がらせて眉間を押さえ、アグニ会――いや、新アグニ会の会員を除いた者達はチベットスナギツネのような目でマクギリスを見ている。

 

「――で? アグニ会会長様は、k」

「新アグニ会だ!!」

チッ―――で? 新アグニ会会長様は、この微妙な空気をどうしてくれるんですかねェ?」

 

心底腹立たしそうに舌打ちして、アグニカは新アグニ会会長にそう問う。

 

「何を仰られますか。ここは、全人類が新アグニ会に入ってしまえば済むのです! さあ、この書類に署名を行うのデス!! そして、共にアグニカ・カイエルを崇め奉ろうではn」

「頼む、三日月」

 

アグニカがそう言うやいなや、三日月は拳銃を懐から引き抜く。

そして――

 

 

バンバンバンバン、と言う銃声が会議場に響いた。

 

 

「会長おおおおおおおおおお!!!」

「准将おおおおおおおおおお!!!」

 

石動とライザが、三日月に撃たれた新アグニ会会長に走り寄る。

 

「…これで良いんだよね?」

「ああ。手間掛けさせたな、三日月」

 

大量出血中の新アグニ会会長ことマクギリス・ファリドは、すぐさま集中治療室へと搬送された。

ギャラルホルン本部の治療技術ならば、頭を撃たれた訳ではないマクギリスは普通に助かるだろう。

 

しばらくは寝たきり、だと思われるが。

 

「さて、静かになった所で会議を再開しようか」

「――今のは、恐怖政治に当たるのでは?」

「何故分かった? 多分、あれは俺の過ちの結果だな。あのような狂信を見過ごし、組織の内部崩壊を招いた」

 

迂闊な自身の過失に頭を抱えながら、アグニカは頭を切り替える。

 

「さて、以上が俺の目的な訳だが――俺を最高幕僚長アグニカ・カイエルだと認めるか否か、ここで結論を出せよセブンスターズ。俺とて片付けたい問題が有るのだ、そう猶予は無いぞ?」

 

と、アグニカはセブンスターズに決断を迫る。

その後のしばしの議論を経て、セブンスターズは多数決を取ることとした。

 

議題は言うまでもなく、現在カイエル家のイスに座る男をギャラルホルン最高幕僚長アグニカ・カイエルだと認めるか否かだ。

 

この決断は、今後の世界の体制に大きく影響する。

今まで幾度と無く世界の警察たるギャラルホルンの方向性を議決して来たセブンスターズだが、これ程大きな決定は初めてとなる。

 

ファリド家当主マクギリス・ファリドがアグニカ・カイエルの手で会議場から追い出されたが、新アグニ会会長のマクギリスがアグニカを否定するハズが無いので、自動的に賛成票とされた。

 

「――イシュー家、ファリド家、ボードウィン家、エリオン家、クジャン家、バクラザン家賛成。ファルク家反対。以上の結果から、鉄華団のアラズ・アフトルをギャラルホルン最高幕僚長アグニカ・カイエルと同一人物とする」

 

結果は、6対1で可決。

アグニカの言う権力分立が行われれば、セブンスターズは汚職を通して利益を上げるコトが出来なくなる。

そんな中でアグニカの権力分立を是としたのは、(比較的)若き当主達の意向が有るだろう。

 

イシュー家現当主、カルタ・イシュー。

ファリド家現当主、マクギリス・ファリド。

ボードウィン家次期当主、ガエリオ・ボードウィン。

エリオン家現当主、ラスタル・エリオン。

クジャン家現当主、イオク・クジャン。

バクラザン家次期当主、ディジェ・バクラザン。

 

アグニカの意見を全面肯定しそうな2人目とラスタルに合わせてそうな5人目はともかく、他の4人は現在のギャラルホルンの体制を良く思っていない者だ。

残るファルク家にも次期当主たる者はいるが、今この場にいない為に反対票となったのだろう。

 

「ほう? 思ったより圧倒的になったな? てっきり、1対6で否決されるモノとばかり思っていたが…よし、とりあえずファリド家を除いた各家の意見を聞かせてもらおうか。順番は――議席順としよう」

 

不敵な笑みを浮かべたまま、アグニカはカルタに視線を向ける。

 

「貴方が本当にアグニカ・カイエルかは、私には分からないわ。ついでに言えば、組織がどうであれ私のやる事は変わらない。それでも――今の独裁体制は、変えるべきだと考えるわ」

(正論を振りかざす、か。イシュー家の血筋は、やはり変わらぬな)

 

正論がどんな場でもまかり通るとは思わぬコトだ、とアグニカは心の中で忠告しつつ、ボードウィン家に視点を移す。

 

「成る程。では、ボードウィン家は?」

 

現在ボードウィン家の椅子に座るガルス・ボードウィンは、その後ろに立つガエリオ・ボードウィンに発言権を委ねた。

 

「俺がここに来たのは、マクギリスの暴走を止める為だ。アインを利用し、カルタを利用し、自分の意のままにギャラルホルンを改革しようとしたマクギリスを討つために、ここまで生き恥を晒してきた。だが、かつて士官学校でマクギリスと語った改革論を変えるつもりは無い。ギャラルホルンは腐敗し、権力抗争の温床と成り果てた。ならば、それを改革する必要が有る」

(暴走を止める、ねェ。あのアグみを感じまくってヒャッハーしてる新アグニ会会長を止めようとは、随分とご立派なコトだ。阿頼耶織を見ただけで吐いた奴と同一人物とは思えんな)

 

アグニカは言葉を発する事無く、視線だけをラスタル・エリオンに向ける。

 

「私は別に、現在のギャラルホルンを否定するつもりは無い。如何に腐敗し我欲に塗れようと、秩序の維持と言う存在意義は曲がりなりにも達成されて来た。ただ、それらはアーブラウ代表選挙でのイズナリオ・ファリドとアンリ・フリュウの癒着やアーブラウとSAUの地域紛争で乱れ始めた。それを正す為には、ギャラルホルンの組織改革からの信頼回復が必要となる」

(アーブラウ防衛軍のガラン・モッサと繋がって紛争を膠着状態へと導き、地球外縁軌道統制統合艦隊を陥れようとしたクセによくもほざきやがる)

 

アグニカは心の中でそんなコトを思ったが、顔にも出さずクジャン家現当主に目を向ける。

 

「――では、次はたわk…イオク・クジャンだな」

「…わ、私は――そうだ、私は汚職の蔓延による腐敗など看過出来ん! だから、改革すべきだ!」

(素直に「ラスタル様が賛成したから」と言えば良かろう)

 

冷ややかな視線を残した後、アグニカはディジェ・バクラザンを見る。

 

「現在の世界は腐っていやがる。ギャラルホルンの汚職や政治介入は言うまでもなく、宇宙ネズミやヒューマンデブリがあらゆる所で使い潰されている。そんな非道を、オレは許せねぇ。だから、とりあえずギャラルホルンの改革を通して世界の抑止力としての立場を築き直すべきだ」

(その口調で、考えは正義の味方ですか…いや、単にツンデレなだけか?)

 

怪訝に思いつつ、アグニカは最後にファルク家現当主のエレク・ファルクを見る。

 

「今現在、特に問題は無いように思えますな。確かにギャラルホルン内では権力抗争が起こり、組織は腐敗していると言えるでしょう。ですが、世界の秩序維持は問題無く行われています。この組織の本分さえ全う出来るならば、改革に必要性は感じませんな」

(貴様が利益を上げられなくなるから、か)

 

腐敗の具体例を目の当たりにしつつも、会議の最後の議題としてアグニカは「ギャラルホルンの改革案」を議論するコトとした。

 

アグニカが出した改革案はほぼ変更無く通り、翌日に世界へ発表された。

しばらくは世界が混乱したが、ギャラルホルンの民主化について大きな反対意見は出ることなく、組織再編は順調に行われるコトとなった。

 

 

 

 

2日に渡って行われた、長い長いセブンスターズ会議が終わった。

結果から言って鉄華団メンバーのアラズ・アフトルはアグニカ・カイエルと認められ、最高幕僚長としての権限を取り戻した事となる。

 

そんな俺は、自身の周りから人払いをした上でヴィーンゴールヴの一角にある「バエル宮殿」へ向かっていた。

俺の愛機であるガンダム・バエルは、既に移動させられて改装中の為この宮殿には存在しない。

 

それでいて、何故俺がここへ来たのか。

無論、何の意味も無く来たわけではない。

 

アグニカポイントを500ほど消費し、バエル宮殿のゲートロックを解除する。

どうやって認識して払い落としているかは全く不明だが、アグニカ本人たる俺は∞APを持っているのでAP関連に制限は無いらしい。

 

そのままバエル宮殿に侵入すると、背後でゲートが閉じられた。

侵入する過程でガンダム・ヴィダールが天井を壊したので、今現在は完全な密室とはなっていないが――周囲に人の姿は無い。

 

バエルが置いてあった(ギャラルホルン士官は祀ってあった、と言う表現をするらしい)宮殿の中央へと足を進める。

そこに立ち、バエルを固定していたアームに手を向ける。

 

10,000APが消費され、そのアームが動き始めた。

アームは俺の8mほど下に隠されたコンソールを引っ張り出し、俺の目の前に移動してコンソールを俺に向ける。

 

起動していないコンソールに手を触れると、更に20,000APが消費される。

コンソールに白い光が縦横無尽に走り、やがて液晶画面となる。

 

画面はノイズが掛かって黒くなっている為に機能していないが、そこから中性的な声が発せられた。

 

『人間――いや、もう人間ではないな。300年振りになるか、赤髪の男よ。この私に、如何なる用が有るのだ?』

 

俺は黒塗りの画面を睨み付けつつ、こう返した。

 

「『天使王』ルシフェルが動く可能性が有る」

『―――何?』

 

その声が、少しばかり動揺した。 

構わず、俺はその先の言葉を口にする。

 

 

「スリーヤ・カイエルに造られしMA――『四大天使』ラファエルよ。ルシフェルと合間見える際は、貴様に助力を願いたい」

 

 




オリジナル設定解説のコーナー。

地球外縁軌道統制統合艦隊について。
いちいち「地球外縁軌道統制統合艦隊」って打つのは面倒ですし文字数稼ぎと思われかねないので、「月外縁軌道統制統合艦隊」→「アリアンロッド」みたく通称を付けました。
「地球外縁軌道統制統合艦隊」、通称して「グウィディオン」と呼ぶことにしたいと思います。
通称の由来はケルト神話の英雄「グウィディオン」から来ており、この英雄の姉の名が「アリアンロッド」となっております。


今回は、ギャラルホルンが組織再編へ動き出す歴史の転換点と言える回でした。
あ、マッキーは一命を取り留めたらしいのでご心配なさらず。

後、ギャラルホルンの組織図は私が作ったモノとなります。
色々ガバガバでしょうが、一部省略してるので「ここは省略された所に入るのかなー」と思って目を瞑って下さい。
まあ、完璧な体制なんて存在しないって事で(苦しい言い訳)…すいません許して下さい。

そして、最後に「四大天使」ラファエルが登場。
スリーヤが拾ったモノを元に建造したMAで、バエル宮殿の真下に隠されています。
コイツが一体何者なのかは、今後のお楽しみにと言うコトで。


いよいよ、次回より物語は終局へ向かいます。
次回「内乱の勃発(予定)」。
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