ルシフェルさんこわひ
二艦隊決戦の仲裁に向かうギャラルホルン使節団は、最大戦速で戦闘宙域へと進んでいた。
「メリビットさん、後どんくらいだ?」
「はい、2時間程で隅の艦を射程圏内に捉えます」
「ふむ――」
使節団旗艦たるイサリビのブリッジ。
オルガの座る艦長席の後ろで、パイロットスーツに着替えたアグニカは、オペレーターをするメリビットに残り時間を問うた。
それから、アグニカはしばし考え込み。
「クタン参型、持って来てるか?」
「ああ、一応な」
アグニカのその質問に答えたのは、副艦長席に座るユージンである。
答えを聞いて、アグニカは不敵な笑みを浮かべる。
「ナーイス。じゃあ、ちょっと借りるぞ」
「おう…って、アラズさんアンタまさか」
「決まってんだろ、オルガ。突撃だよ、突撃。先に戦闘宙域へ飛んでくわ」
さも当たり前のように、アグニカはそう言った。
そのセリフを受けて、鉄華団の面々は心配半分呆れ半分の表情を浮かべる。
アグニカはこう言ったのだ――「単騎であの戦場へ突入して、両軍を黙らせる」と。
「教官、本気?」
「勿論だ。有言実行、ってのが俺のモットーでな」
「待ってくれ、それは許可出来ねえ」
突撃を宣言したアグニカを、オルガが制止する。
「以前までならともかく…今、アンタはこの仕事の依頼人だ。依頼人は守り通すのが俺らの筋ってモンだ、単独で突撃させる訳には行かねえ」
「オイオイ、困りますなあ。依頼人の要望にはお答えしてもらわねば。それに、俺がやられるとでm」
「団長命令だ、行くな」
「――ぐぬ」
団長権限を使われて、アラズは押し黙る。
ギャラルホルンのアグニカ・カイエルであると同時に鉄華団のアラズ・アフトルでもあるため、彼はオルガの団長命令には逆らわないのだ。
律儀である。
「…オルガ。それって、教官の安全が確保出来れば良いんだよね?」
押し黙ったアラズの横にいた三日月が、オルガに確認を取る。
「――ああ、そうなるな。でも、どうやって確保するんだ? 戦艦の足じゃ、クタン参型には追い付けない。バルバトスなら追い付けるかも知れねえが、推進剤が切れちまうだろ」
「簡単だよ、オルガ。教官の乗った奴にバルバトスが引っ付けば良い。教官だけで行くより遅くなっちゃうだろうけど、このままイサリビに乗って行くよりは時間を短縮出来る」
「…それだ、三日月。それならオルガの団長命令を突っぱねられる」
「オイ」
団長命令を突っぱねられる策を提案した三日月と、アグニカは握手をかわす。
その光景を見つつ、オルガは頭をかき。
「――分かった、行ってくれ」
「ちょっと、団長さん!?」
驚愕するメリビットを傍目に、オルガは三日月を見据えてこう言った。
「ただし、万に一つの間違いも許されねえ。頼んだぞ三日月、アラズさんを守れ。何が何でもな」
「うん、任せて」
「さ~あさあ行こうか三日月、事態は一刻を争う。40秒で支度しな、愚図は嫌いだよ! あ、メリビットさん。他の艦によろしく伝えといて」
途中でオバサン声を出しつつ三日月の背中を押しながら、アグニカはイサリビのブリッジを後にした。
「――り、了解です」
「…メリビットさん。今言っても遅えと思う」
「相変わらずだよな、アラズさんは。ギャラルホルンの一番偉い奴になっても、全く変わりゃs」
『出撃準備完了!』
『速ぇなオイ!?』
ブリッジにいた全員が驚愕を露わとする。
さっきアグニカが三日月と共にブリッジを後にしてから、1分も経過していない。
だが、当然ザ・ワールドを使った訳ではない。
第五魔法でもないし、キング・クリムゾンの仕業でもない。
アグニカは即時出発出来るよう、おやっさんこと雪之丞に予め頼んでバエルを用意させていたのだ。
なお、クタンとバルバトスの用意はおやっさんのサービスである。
おやっさん有能。
『そんな訳で行ってくる、追いつき次第援護頼む』
『おう、気をつけろよ』
『勿論』
イサリビのオルガ達と挨拶し、バエルはイサリビに牽引される状態となっているクタン参型の上部、その左右前方に付けられたグリップを両手で握る。
同じように、背部ではバルバトスがクタン参型にしがみつく。
『あれ、入って行かないんだね』
『ああ。後1機乗れそうだが、あまり乗ると速度が落ちるし』
要するに、クタン参型をベースジャバー代わりに使うのである。
ゲタとして用いるコトで、機体の推進剤を使わず戦闘宙域まで移動出来る。
『じゃ、10カウントで行くぞ。おやっさん、1になったらパージしてくれ』
『おう』
『じゃあ、カウントするよ』
そして、三日月がカウントを開始する。
10から始まり、9、8、7と進む。
『3、2、1』
『よっ』
イサリビから、クタン参型がパージされる。
それを受け、アグニカは正面モニターに映し出された点火ボタンに指を添える。
『0』
『出撃!』
アグニカがボタンをタッチすると、クタン参型のブースターが点火される。
初っ端から最高速度で出発したクタン参型は、一瞬でイサリビを追い越して宇宙へと飛び出した。
◇
グウィディオン艦隊とアリアンロッド艦隊が激突する戦場。
怒りに打ち震える最高幕僚長アグニカ・カイエルが向かって来ているなど知る由も無い彼らは、好き勝手に戦っていた。
『ラスタル様、この私に出撃の許可を! 逆賊マクギリス・ファリドを潰す許可を!』
「――マクギリスは今、ヴィダールが相手をしている。出撃は許可するが、お前の仕事はガンダム・アスモデウスの撃破ではない」
『は…では、何を』
「『フェンリル』だ。グウィディオン艦隊の旗艦を叩き潰せ。ガンダム・プルソンと言う戦力は、そちらに回す。良いな?」
イオクからの了承の返事を確認すると、クジャン家のハーフビーク級戦艦「フギン・ムニン」がグウィディオン艦隊へと進路を取った。
それを見据え、ラスタルはブリッジの副艦長にこう言った。
「私も、最後の仕上げに向かう。艦は任せたぞ」
「は! ご武運を!」
アリアンロッド艦隊の旗艦たるスキップジャック級戦艦「ファフニール」のブリッジから、ラスタル・エリオンは姿を消した。
そのまま、ラスタルはMSデッキへと足を運んだ。
「ヤマジン。準備は完了しているか?」
「ああ。アンタが持ち出して来たベリアルも、ダインスレイヴ隊の方も準備は出来てる」
報告を受け、ラスタルはヤマジンからパイロットスーツを受け取る。
「よし。では、出撃だ。言って分からぬ子供には、手を出して分からせよう」
その頃、戦場の中心ではマクギリスの操るガンダム・アスモデウスと、ガエリオの操るガンダム・キマリスヴィダールが死闘を繰り広げていた。
『うおおおおお!!』
キマリスがドリルランスを構え、四方八方から襲い掛かる高速機動でアスモデウスを翻弄する。
しかし、その程度の攻撃でアスモデウスを仕留める事は出来ない。
『フッ、気合いが有る割には随分と慎重だな? 貴様が気合いを入れようと、その機体を動かしているのはアイン・ダルトンだ。自己犠牲の無い力で俺を倒そうとは、全く片腹痛いな!』
通信で煽りつつ、マクギリスはアスモデウスでキマリスの攻撃を正確に落とし続ける。
対するキマリスは、アスモデウスの正面からドリルランスを突き出す。
それを、アスモデウスは槍の柄で受け止めた。
『あらゆる者を利用し、謀ってその地位に就いた男が!』
『ああそうさ。だが、それがどうした?』
『ッ、貴様!』
ドリルランスの先端が回転し、槍の柄と火花を散らす。
やがて回転に押され、アスモデウスの手から槍が取りこぼされた。
その隙を付き、キマリスは左膝のドリルニーをアスモデウスに突き出す。
突き出されたドリルニーは、アスモデウスが右腕のカギ爪を展開させてキマリスの膝関節を貫いた事で勢いを失い――アスモデウスに勢い良くドリルを蹴り飛ばされ、根元からへし折れて宇宙へと飛んで行った。
『ぐう!』
アスモデウスは右肩の装甲を展開し、キマリスに向けてスラッシュディスクを放つ。
放たれたディスクはキマリスの盾に弾かれたが、その隙を付いてアスモデウスは背部のレールガンを前面に展開し――ダインスレイヴ弾頭を撃ち出す。
『がっ!?』
キマリスは盾を展開していたが、流石にダインスレイヴを防ぎきる事は出来なかった。
盾の向きを調節する事で本体への損傷は避けたが、衝撃に耐えられず盾が分解し本体から外れる。
『さらばだ、ガエリオ!』
アスモデウスが放り出された槍「ヴァナルガンド」を左手で回収し、穂先をキマリスに向ける。
『ッ、まだだ!』
キマリスは外れた盾を掴み取り、ドリルランスに備えられた発射装置にダインスレイヴ弾頭を装填してアスモデウスに向ける。
アスモデウスが槍を突き出すのと、キマリスがダインスレイヴを放つのはほぼ同時だった。
『がッ…!』
『チ、小癪な…!』
アスモデウスの槍がキマリスの右腕を貫き、キマリスのダインスレイヴがアスモデウスの背部右側のレールガンを破壊する。
キマリスは右手から零れたドリルランスを左手で回収しようとしたが、ドリルランスはアスモデウスに弾き飛ばされて彼方へと消える。
アスモデウスはドリルランスを弾いた後、横凪ぎに槍を振ってキマリスの胸部装甲まで弾く。
胸部を損傷しながらもキマリスは刀を引き抜き、アスモデウスに斬り掛かる。
その一撃を、アスモデウスは槍の柄で受ける。
『お前だけは…ッ!?』
『む?』
キマリスは鍔迫り合いを中断し、上昇してアスモデウスから離れる。
「アイン?」
怪訝に思い、ガエリオはアインの宿るコクピットの機材を見る。
それからモニターを見た時、アインが退避した理由を察した。
「ラスタル…!」
『何をするか、ラスタル・エリオン!!』
その光景を見て、マクギリスも思わず叫ぶ。
アスモデウスの見据える先には――1機のMSと、その後ろで発射態勢を取るダインスレイヴ隊が在る。
『伏兵を紛れさせる必要もなかったな。――ガンダム・アスモデウスより、ダインスレイヴの発射を確認した。それに伴い、これより報復を行う』
ダインスレイヴ隊を率いるのは、「ガンダム・ベリアル」に乗るラスタル・エリオンだ。
ベリアルのコクピットで、ラスタルは腕をモニター越しにアスモデウスへ突き付け――
『ダインスレイヴ隊、放て』
と、号令を下した。
ダインスレイヴ隊の構えるダインスレイヴが、その銃身を回転させ――ダインスレイヴ弾頭が、アスモデウスに向けて放たれた。
『――!!』
なまじ優秀であったが為に、マクギリスには分かってしまった――
その場で呆然とするアスモデウスに、ダインスレイヴ弾頭が迫り――
ガガガガガガガガキイン!!! と言う幻聴を、その光景を見た者の誰もが聞いた。
音が伝わらない宇宙空間だと分かっていても。
見た者がその光景を瞬時に説明するには、そのような擬音を用いるしかなかった。
行われた事は、書き記せばこれだけの事だ。
その何者かは飛来するダインスレイヴを恐れず、アスモデウスとダインスレイヴ弾頭の合間に入り込み――
そんな、常人には理解が遅れる程の所業。
それが出来る者は、この世界にただ1人しか有り得ない。
『――アグニカ・カイエル…』
ガンダム・バエルを操り、厄祭戦を終わらせた伝説の英雄――即ち、アグニカ・カイエルのみだ。
クタン参型でトバして来たバエルは、最高速度でアスモデウスとダインスレイヴ隊――ベリアルの間に割り込んだのである。
『全軍、戦闘を終了せよ!!』
バエルはグウィディオン艦隊とアリアンロッド艦隊の全てに通信回線を開き、そう命令を下した。
『最高幕僚長、アグニカ・カイエルが命じる!! 全軍、戦闘行動を終了せよ!! これ以上戦うと言うならば、アグニカ・カイエルの名の下に叛逆者として粛清する!!』
ダインスレイヴを叩いてなお傷1つ付かないヴァルキュリア・ブレードを掲げながら、アグニカは通信で叫んだ。
それを受け、全軍は速やかに停止する。
「粛清する」と言われた事よりも、あのガンダム・バエルとアグニカ・カイエルを畏れる一心から戦闘行動を終了したのだ。
『アグニカ・カイエルだと――? 何であれ、ラスタル様の邪魔をする者は私がt』
なおも戦おうとしてフギン・ムニンより出撃したイオク・クジャンの操る「ガンダム・プルソン」が、ガンダム・バルバトスルプスレクスのテイルブレードに弾き飛ばされる。
バルバトスはそのまま飛び、バエルの近くで止まる。
『速すぎるよ、教官。バルバトスを置いて行くなんて』
『ああ、いやすまん。グウィディオン艦隊の司令官が死にかけてたからな、流石にそれはまずいだろうと』
たわけが為す術もなく吹き飛ばされる光景を見て、僅かに残っていた戦意が全軍から消え失せた。
それを受け、バエルは掲げた剣を下ろす。
『さて――言い訳を聞かせてもらおうか、両艦隊の司令官殿? とりあえず、他の奴らがこっち来るまでに釈明を終えろ。リミットは――1時間ってとこか』
若干の殺意を乗せた言葉で、アグニカはマクギリスとラスタルを威圧する。
もはや、誰の目から見ても明らかだった。
アグニカ・カイエルは現在、ブチ切れている。
『俺は今、少々機嫌が悪くてな。ウソ吐きや捏造をせず、ただ真実のみを話した方が身の為だぞ? そのような事をされたら、腹いせにテメェら全員斬り捨てかねん』
(CGS時代の模擬戦で、参番組全員から一斉攻撃されても教官は怒らなかったのに)
バエルの側で巨大メイスを構えるバルバトスのコクピットで、三日月はとある一幕を思い出し…アグニカを怒らせたギャラルホルンに呆れていた。
それからピッタリ1時間を掛けて、マクギリスとラスタルは釈明を行った。
文字通り命懸けの釈明が終了した頃、イサリビとホタルビ、ラタトスクにグリムカンビ、ヨルムンガンドが戦場へと到着。
ホタルビからガンダム・グシオンリベイクフルシティと
奇しくもセブンスターズのガンダムと、他のガンダムも勢揃いした形となった時――
『――!』
『……教官』
突如、アグニカは目を見開いた。
それに続いて、三日月も反応する。
『全軍に告げる、即座にこの宙域から離れろ!』
『…アグニカ、それはどういう――』
『最高幕僚長が繰り返す、今すぐこの宙域から離脱しろ!!
アグニカの鬼気迫る叫びを受けて、各艦隊は反射的に退避行動を開始する。
それに先んじて、アグニカはバエルを動かして艦隊の退避方向とは反対の方向へ飛んだ。
『教官!?』
『来るな、三日月! お前達はそのまま退避!』
命令通り退避行動を始めたは良いが、何故こんな事をさせるのかと疑問を抱く者が現れたその瞬間。
彼方より血のように赤い光が飛来し、戦場を蹂躙した。
『うわあああああああ!!』
その深紅のビームはあまりに太く、各艦隊の15%ずつが呑み込まれて一瞬で消滅する。
分厚いナノラミネートアーマーで守られているハーフビーク級戦艦が、為す術無く蒸発する。
『ッ!』
バエルもまた、ギリギリの所で赤いビームを回避する。
ビームはしばらく照射されていたが、やがて細くなって消えて行った。
そこで、アグニカは考えついた仮説が正しかった事を確認した。
このビームを撃った者が確実に大損害を出させたいなら、アリアンロッド艦隊の旗艦「ファフニール」か、グウィディオン艦隊の旗艦「フェンリル」を狙うだろう。
しかし、その2隻は狙われなかった――それは何故か。
敵は、アグニカ・カイエルを狙った。
各艦隊の15%ずつしか焼き払われていないのは、艦隊とは逆方向に飛び出したガンダム・バエルを照準したからではないか。
アグニカを狙い、かつこのような大破壊を行える存在――そんなモノ、この世界にただ1つしかいない。
『…アグニカ・カイエル。これは――』
掠れた声で行われたマクギリスの質問に、アグニカは確信を持って返す。
『「天使王」、ルシフェル――』
あの最後にして最強のMAが、動いたのだ。
300年前の借りを返し、人類に引導を渡す為に。
◇
グウィディオン艦隊とアリアンロッド艦隊の戦闘宙域から、何十万キロと離れた宇宙空間。
そこには、1つの「宇宙要塞」が在った。
2基の粒子加速器に細長い砲身が挟み込まれた、男性のアレに似た形をした巨大ビーム砲。
宇宙の巨大な建造物など、コロニーくらいしか無いこの世界で――それはあまりにも異形であり、異物と言えるだろう。
『かわしたか。まあ、あくまで牽制程度だが』
その要塞には、分離させたMAのパーツがあちこちに張り付いている。
言うまでもなく、それは――「天使王」ルシフェルである。
『この「カイラスギリー」を持ってして、被害をあそこまで抑えさせるとは――やはり面白いな、あの人間は』
ルシフェルの張り付く宇宙要塞の名は、カイラスギリー。
かつての宇宙世紀、ザンスカール帝国が建造した宇宙要塞であり――その主砲「ビッグ・キャノン」の威力は、コロニーレーザーを上回ると伝えられる。
『さて、いよいよ本番だ。天使と人類の最後の戦いを、これより始めるとしよう』
ルシフェルのパーツが要塞より離れ、合体してMAの姿を取る。
そして、先程のバエルと同等の速度で戦闘宙域へと進攻を開始した。
◇
「天使王」ルシフェルが、グウィディオン艦隊とアリアンロッド艦隊の展開する宙域に向けて移動を開始したとアグニカは報告を受けた。
その速度は圧倒的で、敵がこちらを射程圏内に捉えるまで1時間と掛からないとも。
最も。
あのような巨大ビームを撃っている時点で、敵は既にこちらを射程圏内に捉えており――ただ、油断されていると考える事も出来るだろうが。
『どうするの、教官』
「―――」
ガンダム・バエルのコクピットで、アグニカ・カイエルはしばし考え込み。
『決まってるだろう。
と、結論を下した。
『危険です、アグニカ・カイエル。我らは些か消耗が激しい――このような状況であれと戦うなど、ただの自殺行為だ』
『ではどうする? 目下人類の最大脅威が現れている中で、無様に撤退してその行いを容認しろと?
そもそも、ルシフェルはこちらに向かって来ているのだ。
今更、一体どこに撤退しようと言うのか。
『だが、別に後ろ向きな要素ばかりじゃない』
『――って言うと?』
『グウィディオン艦隊とアリアンロッド艦隊が勢揃いしている、この状況だ。今ここには、ギャラルホルンの戦力の大半が揃っている事になる』
全体を見ると30%が蒸発しているものの、その数は変わらず見る者を圧倒する。
『条約違反とは言え、ダインスレイヴも持ち出されている。勝率0%って訳じゃねェ』
『―――つまり…』
『やるしかねェだろ。各機の整備が終わり次第、出撃させて迎撃態勢を取らせろ! それと、ダインスレイヴ隊はこのポイントに集合させておけ!』
そして、バエルはイサリビへと向かう。
推進剤を補給し、「あれ」を装備する為に。
アグニカポイント新規取得
アグニカ・カイエル 590AP
三日月・オーガス 90AP
昭弘・アルトランド 90AP
ノルバ・シノ 90AP
カルタ・イシュー 60AP
ディジェ・バクラザン 60AP
トリク・ファルク 60AP
ラスタル・エリオン 60AP
イオク・クジャン 60AP
オリジナル設定解説のコーナー。
ルシフェル
全長:221.3m
本体重量:不明
動力源:不明
武装:頭部ビーム砲×1
腹部高濃度圧縮ビーム砲×1
翼部拡散ビーム砲×8
超硬ワイヤーブレード×45
ダインスレイヴ×16
プルーマ×∞
カイラスギリー×1
特殊機能:自己再生、自己進化
搭載機:不明
概要
「天使王」と称される、最強のMA。
巨大な翼を8枚持ち、翼、胴体、頭部のそれぞれを本体から分離させて独自稼働させる事が出来る。
また、動力源はエイハブ・リアクターでないらしいが、何で動いているかは全く分からない。
腹部に取り付けられた高濃度圧縮ビーム砲から放たれる一撃は、宇宙世紀時代の「コロニーレーザー」にも匹敵する。
また、「カイラスギリー」なる要塞を制御出来る。
カイラスギリーは、かつて「ザンスカール帝国」が初めて建造したとされる宇宙要塞。
その主砲「ビッグキャノン」の破壊力は、コロニーレーザーを遥かに凌駕する。
大量のプルーマを製造可能とし、8枚の翼にはダインスレイヴが2基ずつと拡散ビーム砲が1基ずつ、更にワイヤーブレードが5基ずつ。
胴体にはワイヤーブレードを5本と高濃度圧縮ビーム砲を持ち、頭部にもビーム砲を備える正真正銘の鬼畜最強兵器。
特殊機能は「自己再生」と「自己進化」。
デビルガンダムで言う、ガンダムゴッドマスターに該当する存在(このネタが分かる人は何人いるのだろうか)。
と言うか、存在自体が反則。
それもこれも、隠されたMSが原因となる。
ビームの色も特徴的で、通常が桃色であるのに対してルシフェルのビームは黄色である。
名前の由来は、熾天使ミカエルと同等の力を持っていたとされ、多くの文献で語られる大天使「ルシフェル(ルシファー、ルキフェルなど表記揺れ多数)」から。
後に魔王サタンと呼ばれるようになる堕天使で、ルシフェルと言う名は「明けの明星」と言った意味を持つ。
カイラスギリーについて。
この「カイラスギリー」は、機動戦士Vガンダムに登場したモノとなっております。
∀ガンダムの小説版と漫画版には「カイラス・ギリ」なる兵器も登場していますが、こちらはちょい派手さが足りないかなと感じた上、月面に大規模な建造物を置く必要が有るためボツ案となりました。
ダインスレイヴを避ける所か撃ち落とすアグニカ、恐るべし。
そして――皆様お待ちかね(?)、最終決戦の始まりです。
「天使王」ルシフェルさん、カイラスギリーのビッグ・キャノンを戦場へと撃ち込んでしまいました。
もうコイツどうすりゃ良いんだ、と思われるでしょうが、幾つか布石は打ってあるのでご心配なく。
次回「アグニカ・カイエル(予定)」。