今日もまた鳳は俺の部屋に遊びに来ている。当初の目的はどこへやら今では普通に相談以外の世間話をしたりするほどの仲となった
おかげで鳳は俺のことを映司と呼ぶようにはなった
「映司、あんたいつまでそっちで呼ぶつもりなの? もう鈴でいいから、というか呼びなさいよ」
ジト目でこっちを見てくるので
「…………鈴」
嫌々ながら言ってみると
「うむ、よろしい。よく出来ましたね~♪」
まるで我が子を褒める母親のような感じで頭を撫でてくる鈴
「お前は俺の母親か」
撫でてくる手をはねのける
「映司がどうしてもって言うなら考えてあげるけど?」
楽しそうに聞いてきたので
「断固拒否だ!!」
あたしが最初に彼-神谷映司-に抱いた感想は不思議な奴というものだった
一夏と同じで女子に媚びへつらうわけでなければ、大きな態度をとるわけでもない。一夏はそういう性格だからと知っていたのだが、映司の場合はそれがわからないのでまずそのように感じてしまった
しかしあたしが一夏と喧嘩し、落ち込んでいるところを映司は気にかけてくれた。それだけでも嬉しかったのだがあいつはあたしが話し出すまでいちいち言及せずに待っていてくれた
映司は無関係なのにあたしのために協力までしてくれることとなった。
結果としてあたしは神谷映司はお人好しという印象となる
そんなあいつにあたしは気を許してしまい最近では何かと部屋を訪れるようになった
今日だってこうして訪れてしまったわけだし
(明日は映司となに話そうかな?)
そんなことを考えていたら
――――――――――トクン
(あれ?)
胸の鼓動が少し高まった
一夏がどうしたら許すことが出来るかもちろんきちんと考えている。しかし最近はどちらかと言えば映司のことばかりを考えるようになってしまったわけで
とあることが頭の中によぎるが
(ま、まさかね~…………)
にわかに信じられない、いや信じたくなかった
(あたしが映司のことを…………)
今日も放課後一夏の特訓をするためアリーナに向かう
篠ノ之とセシリアはISスーツに着替え中なので俺らだけで先に向かうと
「遅いわよあんた達」
鈴が腕組をしながら俺らを持っていたみたいだ
「鈴? どうしてお前が?」
「映司あたし決めたの」
「へぇ~、言ってみぃ」
「ふぅ~、よし! 一夏!!」
「は、はい!!」
いきなり呼ばれたのか姿勢がピシッとなってしまった
「今回はあんたが反省すればすべて許してあげるわ」
(おお~。あいつ、ずいぶんと妥協したな。最初なんか許せるかどうかなんて言ってたのに)
鈴が折れて一夏に歩みかかろうとしたのを素直に感心している
「ええっと~、なんのことだ?」
「「はぁ!?」」
まさかの一夏の返答に俺と鈴は驚きの声が出てしまった
「あんたね! あたしを怒らせて申し訳なかったなーとか、仲直りしたいなーとか、考えないの普通!!」
「いや、そう言われてもな…………」
一夏の煮え繰り返らない態度に
「あ、あんたね!!」
鈴が今にも一夏に飛び掛ろうとしたが俺を一目見るなりそこで留まり
「ッ! ………………もういいわ。とりあえず、あんたはあたしに謝りなさいよ」
「だから、何でだよ! 約束か? それだったらちゃんと覚えてただろうが!」
「あっきれた。まだそんな寝言言ってんの!? 約束の意味が違うのよ、意味が!」
言い争う二人のボルテージが上がり
「じゃあこうしましょう!来週のクラス対抗戦、そこで勝った方が負けた方に何でも一つ言うことを聞かせられるってことでいいわね!」
「おう、いいぜ。俺が勝ったら説明してもらうからな!」
「せ、説明は、その…………」
そこで鈴がしりすごんでしまった
「なんだ? 止めるなら止めてもいいぞ?」
「誰が止めるのよ! あんたこそ、アタシに謝る練習しておきなさいよ!」
「なんでだよ、馬鹿」
「馬鹿とは何よ馬鹿とは!」
言い争いのレベルが一気に下がってしまった。だが次の瞬間一夏は言ってはいけないことを言ってしまう
「うるさい、貧乳」
ドガァァァァンッ!!!
いきなりの爆発音、そして衝撃で部屋全体がかすかに揺れた。見ると、鈴の右腕はその指先から肩までがIS装甲化していた
参考書曰くあれは部分展開だが実際に目にしたのはこれで始めてだ
ちらりと音のしたほうを見ると、直径三十センチほどのクレーターができている。普通のISでは滅多にこうはならない
「い、言ったわね…………言ってはならないことを、言ったわね!」
「り、鈴。あのな――――――」
「今回ばかりは許せない! あんただけは絶対に!!」
一夏に鋭い目つきで睨みつけ去って行く
「お、おい!」
一夏は鈴を呼び止めようとしたがそれを無視した
「はぁ~、おい一夏。ここは俺がなんとかするからお前はセシリア達が来た後特訓を始めろ」
「で、でも」
「お前が悪いことは分かっているよ。でも今お前が追いかけた所であいつが相手をすると思うか」
「…………」
「それにもうすぐクラス対抗戦だろ? それに集中しろというのは酷かもしれないが今はそうしろ、いいな?」
「あ、ああ」
とりあえず鈴を追うことにした