召喚に成功したようだが召喚されたのは・・・・・・
◆◇◆
~星降の塔
【side:レム】
何が起きたのでしょうか・・・・・・?
私、『レム・ガレウ』はひどく困惑しています。私は自身に課せられた宿命に抗うべく、ここ『星降の塔』の祭壇で召喚の儀式を行い、強力な召喚獣を喚び出そうとしました。
「ね、ねぇ・・・・・・何かすごい事になってるんだけど・・・・・・?」
……まあ、儀式の際変なエルフと一緒にやることになってしまいましたが今は目の前の状況です。
本来、召喚の儀式で呼び出される召喚獣は一体が基本。それが常識でした。ですが、今目の前にいる召喚獣は三体。
一体は人型で恐らく『
もう一体は・・・・・・なんでしょう?ゼリー状の球体がそこに鎮座しているのですがスライム種でしょうか。私の知識にこのような種がいた覚えはありません。
そして最後の一体は、一言で言えば骸骨でした。立派な漆黒のローブに頂辺にいる宝玉を咥えた七匹の蛇が特徴の黄金の杖を持っています。見た目から察するにリッチ種・・・・・・それも上位に位置すると思われます。
……それにしてもあれから立ち込めるどす黒い赤色のオーラが人間の苦悶の表情に見えるのですが・・・・・・気にしないことにします。気にしたらダメな気がします。
とにかく、召喚の儀式に成功した以上召喚獣なのは確かでしょう。さっさと隷従の儀式をしないと
「うぅ・・・・・・あの骸骨さっきからこっち見てるんだけど大丈夫だよね?大丈夫なんだよね?」
言わないでください、見ないようにしてるんですから。視線からは敵意を感じませんが慎重に行きましょう。まずは混魔族の男性からです。そこの骸骨と違って眠っているので好都合です。立ったままだったら届かなかったでしょうし・・・・・・
「あ、ちょっと!抜けがけはずるい!!」
……うるさいエルフですね
◇◆◇
【side:モモンガ】
……なんだこれは?
俺、『モモンガ』こと『鈴木 悟』は目の前の状況が飲み込めずにいる。確か俺はDMMO―RPG『ユグドラシル』のサービス最終日に、その最後を飾ろうと拠点である『ナザリック地下大墳墓』の玉座の間で連れてきたNPC達と、仲間たちと作り上げたこのギルド武器『スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン』と共に、ユグドラシルの終わりを見届けるはずだった。
そして、終了時刻深夜0時まで後10秒というところで明日の事を考えながらカウントダウンを始め、カウントが0になった時にそれは起こった。玉座の間の景色から一瞬で青空が見える祭壇、恐らく塔の上か。そんな場所に変わったのだ。そして目の前にはエルフと思われる少女と猫耳・・・・・・いや豹耳か?まあ、それを生やした獣人の少女がいた。何だかこっちを怯えた表情で見てるが
一瞬、『ユグドラシルⅡ』が始まったのかと思ったが運営からの告知もなかったし、仮にそうだったとしても記念すべきオープニングがこれというのもひどいの一言に尽きる。そして苦情を出そうにもコンソールが開かず、これではGMコールはおろかログアウトもできないクソ仕様。
……訳が分からない、一体何が起きたと言うんだ。考えが纏まらない中、目の前の少女二人に動きがあった。横で寝ている男性に近づいていく。近づいている途中、エルフの少女のたゆんたゆんの胸に一瞬視線が泳いでしまう
……何故か仲間の一人である翼人族の彼が小躍りしている幻覚を見たがきっと気のせいだ。あ、二人揃って彼にキスしちゃったよ
(情報が足りなさすぎるな。余り気が進まないが、彼女達がチュートリアルキャラである事を祈るしかないか)
NPCに話しかけるなんてイタい人にしか見えない行動だがここは割り切るしかない。俺は意を決して彼女達に話しかける
「えーと、すみません。そこのお二方、少しよろしいでしょうか?」
「ひゃっ、うそ!?喋った!?」
「・・・・・・っ!?驚きました、言葉を話す召喚獣がいるなんて」
……あれ?喋っただけで驚かれてる?ていうか召喚獣?
「あー・・・・・・いまいち状況が把握できてないので詳しい事情を聴きたいのですが・・・・・・とりあえずここはどこなのでしょうか?」
「・・・・・・ここは『星降の塔』といい、召喚獣と契約するための『隷従の儀式』を行う為の場所です。そして貴方は私、『レム・ガレウ』が喚びだした召喚獣のはずですが」
「違うし!あたしが喚びだしたんだよ!!あ、あたしは『シェラ・L・グリーンウッド』っていうの」
……つまり俺はこの女の子達に召喚獣として喚びだされた、と。何だか一昔前に流行ったラノベ見たいな展開で突拍子もないが、状況としては何となくしっくり来る。
先ほどからごうごうと吹きすさぶ風の感覚、空に浮かぶ雲にその上から照らす太陽の光。電脳法で五感を制限されているのに現実に等しい感覚を感じている以上、≪ユグドラシルⅡ≫という結論はあり得ない(ホントはBANされるか試したいけど流石に見ず知らずの女の子に対してそんな事する度胸はない)
まあ仮にマジでゲームだったら「クソシナリオ乙」とスレ立てしてやるところではあるが。
そうなってくると魔法って使えるのか?俺は死霊系
……うん、詠唱時間、効果範囲、
《
……あれ?俺の装備が鑑定された?どういう事だ?今度はエルフの少女の服を鑑定してみよう。
ふむふむ、身体能力強化に魔法耐性・・・・・・他にもまだあるな。大体【伝説級】といったところか。
魔法は確かに発動したがなんでそこの男性には通らなかったんだ?考えられる事と言えば・・・・・・・
「・・・・・・どうやらあなたが強引に私の召喚を乗っ取ろうとしたせいで、不具合が生じてしまっているようです」
「違くない!?あたしが先にこの場所を見つけたんだよ!?ここなら魔力が高まって異世界の魔王だって呼べるって思ったんだもん!」
……いつの間にか喧嘩に発展してるし・・・・・・ていうか俺魔王として呼ばれたの!?いやまあノリノリで魔王RPしたことあるけどさぁ・・・・・・
「あー・・・・・・・君たち、喧嘩は「くだらん争いはやめるがいい!貴様らは今『ディアヴロ』の前にいるのだぞ」」
仲裁に入ろうとしたらいつの間にか起き上がっていた隣の男性が一喝していた
◆◇◆
【side:ディアヴロ】
目が覚めたと思ったら女の子にキスをされていた。
夢かと思ったがどうやら違うらしい。肌を撫でる風の流れ、寝そべっている床の冷たさ、キスされた頬に残るリアルな唇の感触。どれも夢にしては生々し過ぎる。
俺、『坂本 拓真』は視界から外れた少女達の背後に見える空を眺めながら今の状況を確認すると、どうやら寝るまでやっていたファンタジーMMO―RPG『クロスレヴェリ』で使っていたアバターの『ディアヴロ』の姿のようだ。装備もそのままである。
そして今いる場所も覚えがある。『星降の塔』という、クロスレヴェリにおいて不遇職とまで言われている『召喚師』が呼び出す『召喚獣』を手に入れる場所だ。
……この状況から察するにどうやら俺はこの二人の少女に召喚獣として召喚されてしまったようだ。それも隷属の儀式といういかにもな儀式を終わらせて。
……一瞬、こんな可愛い女の子達に隷属させられるのもありだなと思ってしまったがそんな考えを振り払う。
魔王は女の子ごときに屈したりしない!
そしてちゃんと隷属してるか確認する為に女の子達が俺に命令してくる。だが、命令を聞いてはいるものの身体が勝手に動くとかそういう強制力は感じなかった。そして業を煮やしたのか女の子二人が言い争った後、互いに武器を取り出し、一色触発の状態となる。
喧嘩を止めなくては。そう思い、声を掛けようとするが止まってしまう
……あれ、女の子に話しかけるってどうするんだっけ?
お、落ち着け!素数を数えて落ち着くんだ!
はっ!そうだ、ごくごく最近女の子と会話できたこの経験なら行ける!
「あー・・・・・・・君たち、喧嘩は「くだらん争いはやめるがいい!貴様らは今『ディアヴロ』の前にいるのだぞ」」
なんか隣で誰か止めに入ろうとしてたけど気にしない!魔王はそんな些細な事気にしない!
それよりも二人がピタリと動きを止めた。よし!これならいける!
「俺は無益な争いは望まぬ。羽虫同士の潰しあいなど目障りだ・・・・・・故に!貴様らに命ずる。仲直りの握手をするがいい・・・・・・笑顔でな!」
……なんて偉そうな事言っては見たけど聞いてくれるかなぁ
「誰が・・・・・・こんな胸に栄養の偏ったエルフと―――!?」
「はぁ!?悪いのはあっちなんだから、あのちっこい豹人が謝るまで許さな―――!?」
……おや、二人の様子が・・・・・・?
お互いに瞼がぎこちなく閉じられ、口角もピクピクと痙攣しながら上がっていく
そしてお互いに一歩、歩みだすとレムは抗戦間近で握っていたクリスタルを左手に持って空いた右手を差出し、シェラも同じく構えていた弓を下して右手を差し出すと握手をする
……すごく嫌そうな笑顔という不思議な表情だったが、こちらの命令通りに二人は笑顔で仲直りの握手を交わしてくれた
直後、二人の首に黒い光がまとわりつくと、『ガチッ』という音とともに首輪が付けられた
「これは・・・・・・『隷従の首輪』!?」
「嘘!?なんで!?これがつくのは召喚獣の方じゃないの!?」
「・・・・・・確かに『隷従の首輪』をかけるための『隷従の儀式』を行いましたが」
ん?そういえば俺に『隷従の儀式』行ったんだよな?確か今装備しているのって・・・・・・
「あの、ちょっといいですか?」
「む、なん・・・・・・!?」
装備を確認しようとしたら隣から声をかけられ、横を振り向くと漆黒のローブをまとった骸骨がいた
こわっ!?ていうかめっちゃ近い!?う、うろたえるんじゃぁない!魔王はうろたえない!!
「・・・・・・見たところリッチの上位種か?」
「えーっと、
「・・・・・・もしや、貴様もプレイヤーか?」
「おお、もしや貴方もでしたか!」
どうやら同じプレイヤーのようだ。よかった、ボッチでも心細かったんだよなぁ。まあ顔には出しませんけど!!
……というかプレイヤーでそんなキャラ選択できたっけ?
「それで、なんだか大変な事になってますけどあれは一体・・・・・・」
「ああ、どうやら俺に儀式を行使しようとしたようだがこの俺の『魔法反射』によってあいつらに跳ね返ったようだ」
「あー・・・・・・それでですか。
「・・・・・・『魔法反射』とは、凄まじい能力ですが・・・・・・こんなこと、私は認めません」
「あたしだって!召喚獣に隷従するなんて嫌だよ!?」
……なんだかかわいそうになってきたな。だが、『クロスレヴェリ』における『隷従の儀式』とは設定説明で出てくる単語であって、プレイヤーが好きなように行使できる魔法じゃない。それ以前に解き方なんてものも、設定をかなり読み込んだ俺ですらわからないのだからお手上げだ
どうしようか悩んでいると、今度は別の声がかけられる。確かそっちにはスライムっぽい水の球体がいた気がするが
「お二人さん。ちょっとその首輪見せてもらってもいいかな?」
そこには薄っすらと青みがかった銀髪の女性・・・・・・いや声音からして男性か?いかにもな
……ていうか誰?
◇◆◇
【side:リムル】
さて、なんだかえらい事になってるようだが現状整理だな。
俺こと『リムル=テンペスト』は『
そしていざ、門を発動したはいいが何かしらの”力”が門に干渉してきたのだ。俺の相棒たるアルティメットスキル『
そして気が付けばエルフと獣人の少女たちが何やら言い争いをしており、『
これはどういうことかというとシエル先生が言うには
≪どうやら少女達があちらの男性に儀式魔法を行使したところ、男性が装備している指輪に付与されている『魔法反射』効果によって儀式魔法が跳ね返り、自身にその効果が及んだようです≫
なんともえっぐい効果である。話を聞く限りじゃそこにいる男と骸骨は少女達に召喚されたらしく、おそらく俺もその召喚の儀式に巻き込まれた形で召喚されたようだ。まあ俺も隷従させられるなんてゴメンだし、自業自得と言えば自業自得だがかわいそうなのも事実である
それに、貴重な情報源となる現地住民。恩を売っておいて損もないだろう。そういった下心もあって話しかけやすいように人型になって声をかけた訳なんだが・・・・・・
「えっと・・・・・・誰?」
「・・・・・・変ですね。人が上がってくる気配はしませんでしたが」
「うぉい!?ちょっとは気にしろよ!お前たちが喚んだスライムだよ!!」
そう突っ込んだ直後、証明するために一度スライム体へと戻る
「なんと・・・・・・ディアヴロの魔法反射能力にも驚きましたが、こんな能力を持ったスライムは初めて見ます」
「ほう・・・・・・変わった種だな」
「プルプル!ぼく、わるいスライムじゃないよ!」
「「ぶふっ!?」」
「「???」」
おや、この俺渾身(?)のギャグにディアヴロと名乗った男と骸骨が噴き出した。
・・・・・・もしかして
そう思い、もう一度人型へと戻る
「あー、そこの角生えたお兄さんと骸骨さん。ちょっとこっち来て」
「え、あ。はい、構いませんが・・・・・・」
「くっ、一体なんの用だ?」
少女二人の首輪については一旦おいといて、ちょっと離れたところへ二人を誘う
こうして、世界の壁を越えた魔王たちのファーストコンタクトはなったのであった。
どうも、短編ではお世話になりました。ヤマネコクロトです
試しに書いた短編の評価が思ったよりよく、お気に入りしてくれた方もいたようなので連載してみる事にしました(一体何か月かかったのか(吐血))
原作の設定に関しては読み返してはいるものの抜けてるところがあるかもしれませんがその時はご容赦願います
更新も遅いかもしれませんが感想の返信も合わせてエタらないよう頑張りますので暖かい目で見守ってください
2017/04/05追記 やっべぇスキルうろ覚えすぎててシエル先生の事勘違いしてた・・・