ロクでなし魔術講師と無限の剣製   作:雪希絵

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ありがとうございます!

また、高評価&コメント付き評価を下さった皆様、感想を下さった皆様、本当にありがとうございます!

嬉しすぎて、何度も読み返してしまいました

これからも頑張っていきますので、ご意見や感想などをくださると、とても嬉しいです!

よろしくお願い致します!


セリカとルイス

(ったく……講師としてグレンが来るのは知ってたけど、さすがに驚くぜセリカ姉……)

 

数年前、道具屋を訪れたセリカは、ルイスの才能を見つけ出し、自分の弟子にすることを勧めた。

 

ちょうど、グレンの相手になる人物を探していたそうだ。

 

その際、ルイスはセリカの見た目から彼女のことを『セリカ姉』と呼ぶことにした。

 

後々、授業中にセリカがそんな年齢に収まらないことを知ったが、結局そのまま呼んでいる。

 

その呼び方が気に入っているのか、ルイスが呼ぶと彼女は笑顔で答えてくれるのだ。

 

しかし……。

 

「今ばかりはその笑顔に腹が立つぜ、セリカ姉……!」

「どうどう。そんな怖い顔をするな、ルイス」

 

場所は学院内に設置された、教授室という名のセリカの私室。

 

愛弟子に『セリカ姉』とお気に入りの愛称で呼ばれ、にこにことしているセリカに対し、ルイスの方は既にキレ気味だった。

 

「なんでっ!あんな状態のやつ!講師に仕立て上げたんだよ!?」

 

理由はもちろん、あまりにも酷いグレンの態度である。

 

まず、授業の内容が壊滅的だ。

 

そもそも最初は『眠いから』などという理由で自習にしようとしていた。

 

システィーナが殴り、ルイスが得意の投擲で教科書を顔面にめり込ませたことでどうにか授業を始めたが、これが酷いものだ。

 

だらだらと教科書の内容を読み上げ、だらだらと黒板に理解不能な文字を書き、まただらだらと教科書を読む。

 

おまけに、生徒の質問にも『わからない』で一蹴。

 

さらに、システィーナとルミアによれば、女子更衣室にまで入って来たという。

 

これをダメ講師と言わずして、何をダメ講師というのか。

 

(後者はおそらくわざとじゃないんだろうが……前者は問題だろ!明らかに!)

 

というか、ルイス個人的には後者の理由でぶん殴りたい。

 

だが、ここはそれを堪え、明らかに問題のある授業中の行動を咎めているのだ。

 

グレンを溺愛しているセリカは、自分の目の前で自分に向かってグレンの悪口を言われると、それはもう恐ろしいほどに怒る。

 

しかし、ルイスもセリカ同様、グレンのことはよく理解している。

 

彼がここまでひねくれた理由も、彼が魔術が嫌いになった理由も。

 

「……たしかにな、あいつにまともに魔術講師をやれなんて無茶だろう」

「教員免許ないしな」

「それ、昨日グレンに私が言ったセリフなんだがな……。まぁいい」

 

そこで立ち上がり、窓を開ける。

 

心地よい風が室内に舞い込み、セリカの金髪が風に揺れる。

 

「私はな、あいつには前を向いて欲しいと思っているんだ。グレンがあんなことになったのは、私のせいみたいなものだからな……」

「その責任を取って、あいつを立ち直らせようってことか?」

 

そう言い、ルイスはセリカの隣に立つ。

 

その空色の瞳で、セリカの真紅の瞳を見つめると、セリカは少し寂しそうに笑う。

 

「まあ、そういうことだ。老婆心ってやつだよ」

「……はあ」

 

ルイスはため息をつきながら、黒髪を掻く。

 

困った時の彼の癖だ。

 

「……安心しろよ、セリカ姉。これくらいのことで離れていくようなやつじゃないさ。もちろん、俺もな」

 

目をそらし、少し照れくさそうにそう言うルイスに、セリカは面食らったような顔をする。

 

そして、今度は心から嬉しそうに笑った。

 

「そうだな。ありがとな、ルイス」

「……おう。じゃ、じゃあ、腹減ったから行くよ。また後でな、セリカ姉」

「ああ、また後でな」

 

頷き、ルイスはそそくさと部屋から出る。

 

そんなルイスの様子を、セリカは微笑ましそうに見ているのだった。

 

─────────────────────

 

食堂にたどり着き、ルイスは注文をとる。

 

「ベーコンのクリームパスタと、オニオングラタンスープ。それと、日替わりサラダと地鶏の香草焼き、揚げ芋添え。デザートに苺タルト。全部大盛りで」

 

ルイスはかなりの大食いだ。

 

グレンも痩せの大食いと呼ばれるほどに食べるが、ルイスはそれ以上に食べる。

 

しかも、近頃はよく身体を動かすため、拍車がかかっているのだ。

 

しばらく後、木製のお盆に載せられた料理を受け取り、キョロキョロと辺りを見回す。

 

「ルイス!こっちよー!」

 

すると、システィーナが窓際の席で手を振っているのが見えた。

 

頷き、ルイスはそこまで歩く。

 

「ごめんな、遅くなって」

「いいわよ、気にしなくて。教授のところに行ってたんだから」

「アルフォネア教授はなんて言ってたの?」

「……まあ、少なくとも辞めさせる気はないだろうな」

 

昼休み前、セリカに話を聞きにいく際、

 

「グレンをどうにか出来ないか、セリカ姉に頼んで来る」

 

と、2人に言っていたのだ。

 

ちなみに、ルイスはセリカの弟子であることを、システィーナとルミアだけは知っている。

 

そのため、二人の前では『セリカ姉』、それ以外の前では『アルフォネア教授』と呼んでいる。

 

「まあ、辞めさせることはないでしょうけど、あの態度だけは問題よね!」

 

そう熱弁しながら、机を叩いて立ち上がる。

 

あまり大きな音ではないが、付近の生徒は何事かと振り向いている。

 

「ま、まあなぁ……」

「落ち着いて、システィ。ご飯中なんだから、あんまり騒ぐと美味しくなくなっちゃうよ?」

「そ、そうね……。今は考えないようにするわ」

 

そんなシスティをルミアがどうにかなだめ、三人は食事を始める。

 

ルイスは早速サラダに手をつける。

 

チーズの入ったドレッシングのかかったレタスを頬張り、シャキシャキとした食感を楽しむ。

 

すかさずナイフで切った鶏肉を口に含み、弾力のある肉に歯を立てる。

 

焼いたことによる香ばしい油が口の中に広がり、思わず頬がほころぶ。

 

「うん、やっぱり美味いな」

「ここの食堂のご飯、美味しいよね」

「本当。量も多くて助かる」

「それをさらに大盛りにしてるのによく言うわ……」

「そう言うシスティが食べなさ過ぎなんだよ」

 

言いながらシスティーナの前の皿を見る。

 

そこにあるのは、薄くジャムを塗っただけのスコーンが二つだけ。

 

ルミアはシチューにサラダ、パンと比較的しっかりと食べているのに対し、これは少なすぎるだろう。

 

「いいのよ。私は……」

 

その時、

 

「失礼」

 

一応の断りを入れて、ルイスの隣にグレンが座る。

 

「あ、貴方は───!」

「違います、人違いです」

 

更衣室での騒ぎはどこへやら。

 

ぬけぬけとそんなことを言いながら、グレンは鶏肉を薄くスライスし、揚げ芋とサラダと一緒にパンに挟み、頬張る。

 

「うめぇ……。なんつーか、この大雑把さが実に帝国式だよな……」

 

ポタージュを啜り、しみじみとそう言う。

 

そんな様子に、システィーナは負のオーラを生産し、ルミアは苦笑い、ルイスに至っては『後で殴ろう』と逆に無表情である。

 

沈黙の続く気まずい食事風景……になるかと思われたが、そうはならなかった。

 

「あの、先生って、たくさん食べるんですね。ルイス君もたくさん食べますけど。食べるのお好きなんですか?」

 

ルミアが、グレンに積極的に話しかけたからである。

 

「おお、食べることは俺の数少ない娯楽の一つだからな」

「おかげでセリカ姉にはかなり嫌味を言われてたけどな」

 

もちろん、グレンと元から知り合いであるルイスも参加する。

 

「アルフォネア教授と先生はお知り合いなんですか?」

「知り合いも何も、セリカ姉はグレンの保護者だよ」

「えっ?そうなんですか?」

「まあ、そんなとこだ」

「だから、俺とグレンは知り合いだったんだよ」

「もう六年くらい経つか」

「そうだなぁ……」

 

言いながら、ルイスはグレンの皿を見る。

 

「ん?グレンなんだその豆」

「私も気になってました。凄く美味しそう」

「お、わかるか?この時期学園にキルア豆の新豆が届くんだよ。食べるなら今が旬ってわけ」

「そうなんですか?それじゃあ、今度食べてみますね」

「おう、マジおすすめ。なんなら、今一口食ってみるか?」

「えっ……?」

 

そう言うグレンに驚いたのは、ルミアではなくルイスの方だ。

 

「いいんですか?私と関節キスになっちゃいますよ?」

「ふん……ガキじゃあるまいし」

 

グレンは皿をルミアの方に差し出す。

 

ルミアはそこにスプーンを入れ、嬉しそうに豆を頬張る。

 

そんなルミアの様子に口元に笑みを浮かべるグレン。

 

ルミアの人当たりの良さと柔和な態度は、グレンのひねくれた心をも溶かしたようだ。

 

「しかし、お前は食べなさ過ぎだろ」

 

すると、不意にグレンがシスティーナの皿を見て、そう言った。

 

先程のルイスと同じだ。

 

「余計なお世話です。私はあんまり食べると眠たくなるので、お昼は軽く済ませているんです。……もっとも、この後先生の授業だったら、もう少し食べてもいいと思いますけど」

「……回りくどいな。言いたい事があるならはっきり言ったらどうだ」

 

グレンの声が少し低くなる。

 

それを感じ取り、システィーナは少し怖気付いたが、それでも毅然として言い放つ。

 

「分かりました。この際はっきり言わせて貰いますけど……!」

「あー、もういい。皆まで言うな」

 

システィーナの言葉を途中で遮り、グレンがおもむろにキルア豆の皿にスプーンを入れる。

 

そして、何を勘違いしたのか、システィーナのスコーンの皿に、ちょこんと一粒の豆を置いた。

 

「お前も食べたかったんだろ?まったく、嫌しんぼめ」

「ち、違います!私は……!」

「代わりに、そっちも一口寄越せ」

 

思わぬ勘違いに顔を赤くして否定するとシスティーナ。

 

しかし、そんなものは華麗に無視し、グレンはスコーンにフォークを刺すと、そのまま一口で丸々食べてしまった。

 

「あ!ちょっと何してるんですか!?」

「何って……まあ、等価交換?」

「ど・こ・が等価なんですか!」

「うわあああ!暴力反対!?」

 

そのまま二人はフォークとナイフで、テーブル越しにチャンバラを始める。

 

周りの生徒の何事かという痛い視線の中、ルミアはただ苦笑いだった。

 

ちなみに、ルイスはルミアの関節キスの話の辺りから、完全にフリーズしていた。

 

余談だが、後々グレンはルイスに、明らかに当初以外の感情が込められた、かなりシャレにならない威力で殴られたという。




セリカが可愛い……!

アニメの喜多村英梨さんの声がハマり役過ぎて、耳が幸せです

私にとってはセリカが女神で、ルミアが天使です
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