遅くなった理由を言いますと筆が乗らなかっただけです。ほんと申し訳ない。
考えてる展開を文章に起す力がもっと欲しいです。
マジですぐ書ける作者さんが羨ましい。
このすば勢はキャラが強過ぎて八幡のキャラが埋もれてしまうというのが最近の悩みの種でこれが原因で何度も書き直したりして結果遅くなってます。
更新が滞ってた中でもお気に入りが増えたり感想を言って貰えたのは本当に力になりました。
今後もスローペースながら進めてくのでどうかよろしくお願いします
「……そんじゃ俺は回復に戻るわ」
ガックリ肩を落としセシリーに告げる。
もうせめて、さっさと終わらせて帰ってしまおう。
「あっそういえば来るとき言ってた腕利きパーティーの面々は私が回復させといたわよ!エリス教徒じゃ現状維持が精一杯だったのを、私が頑張ってなんとか動けるレベルにまで回復させてあげたわ!」
「あ、そう。ちなみにそいつらはどこいんの?」
「あっちで帰る準備してるわ!」
誇らしげに言ったその先を見てみると、確かに一組のパーティーが荷物をまとめているようだった。
確かにあれなら追加で俺が回復魔法かけてやるだけで充分そうだな。
「ねぇねぇ、それよりもハチマン君?私は他にもたくさん回復させたし、お姉さん的には褒められてもなにもおかしくないと思うの?」
「ん?あぁすごいね偉いね」
「そんな適当な感じじゃなくって!もっとちゃんと褒めなさいな!」
……鬱陶しい。
「ったく帰りなんか奢ってやるから」
うんざりしながら言うとセシリーは「やった!」と小さくガッツポーズをとる。
現金な奴だよな。ほんともう。
「じゃあ俺は行くから。お前は休んでてもいいけど、くれぐれも揉め事とかは起こすなよ?」
「お姉さんに任せてちょうだい!」
……ほんと任せていいのかしら?
ドヤ顔でサムズアップをするセシリーだが正直、不安でしかない。
まぁでも回復なんてすぐ終わるから大丈夫だよな。
▼▼▼
よし、帰るか。
腕利きパーティーの回復を終え一息つくこともせず、やる気スイッチをONにして帰宅モードに切り替える。
ちなみに俺のやる気スイッチはONにしても帰巣本能が強くなるだけだ。
むしろいつだって帰りたいと思ってるあたり俺のやる気スイッチは常にONなのかもしれない。
やだ俺いつもやる気満々なのかよ。
これはもうちょっとくらいサボっても誰にも文句言われる筋合いなくない?
自分でも酷い理屈だと思うが、今回ばかりは本当にさっさと帰らせてもらいたい。
じゃないとセシリーがなにしでかすか分からないし。
彼女が休憩してたテーブルに目を向けるが、そこには既に彼女の姿はなかった。
……なんだろう、嫌な予感がする。
慌てて教会内を見渡すといつの間にやらセシリーは回復作業に戻っていたようだが……。なにやら回復させた冒険者と揉めているようだった。
……とても嫌な予感がする!
「勘弁!勘弁してくれ!治してくれたのは感謝してるから!」
「ならそれを形で示しましょう!寄付を!アクシズ教団への寄付という形でアクア様に感謝の気持ちを表しましょう!さぁ!さぁ!!」
……うわぁ。
逃げ出そうとする冒険者の腕を掴んでセシリーが迫っていた。
しかもよく見ると、回復した冒険者に逃げられないように中途半端に回復させている。
聖職者とは思えないあくどいやり方だった……。
「そんなに余裕ないんだよ!!装備も壊れちまって明日から土木工事でもしないと冬を越えられないんだ!」
「それなら仕方ないですね……」
「あ、あぁ……悪いな。でも感謝してるのは本当だから……」
そう言った瞬間、セシリーの目が怪しく光った。
「なら!アクシズ教への入信という形で感謝を示しましょう!たとえ借金が国家予算並みにあったとしても拒まないアクシズ教は開かれた教派です!入信書とペンさえあればどなたでも入れます!そして私は今偶然にも入信書とペンを持っているんです!これはもう偶然というより運命ではないのでしょうか!?さあ今すぐ入信を!」
「ヒィっ!!?そ、そっちの方が無理だって!アクシズ教に入ったら親に合わせる顔がねえ!分かった!金なら払う!金なら払うからもう関わらないでくれ!!」
服のいたるところに入信書をねじ込まれ始めていた男は、懐から一万エリスを取り出してセシリーに押し付けると、一目散に逃げ出した。
……そこらのチンピラよりタチ悪いじゃねえか。
まさかコイツ、今までずっとこんなやり方で回復魔法かけてったんじゃないだろうな?
結局、一万エリスを手に入れたセシリーは気を良くしたのか、さっそく次の獲物を見つけそちらに行こうとしたが……。
「なにをやってるのですか貴女は……?」
強張った笑みを浮かべて怒りで震えている教会の責任者さんに掴まった。
「なにって、アクシズ教への感謝を募ってるだけですけど?ダメなの?そっちは大して効かない回復魔法を有料とかにしてるってのに、ちゃんと治した私達がちょっと寄付を集めようとしたら止めるのね?お金に拝んでる神様の名前をつける拝金主義のエリス教徒らしいわ!」
「だ、誰が拝金主義ですか!私達は貧しい人達への配給などで出費をしてしまうので仕方なく有料にしているんです!それにあなたは寄付といっても少額だと満足せずに更にたかっているでしょう!?」
やめて!仲良くして!!
いい歳した女性二人が怒鳴りあう様は見るに堪えない酷さがあった。
……あなた達聖職者ですよね?
「うちの教団はそちらと違って貧乏なんですー!それに配給の資金だってちょろまかしてるに違いないわ!私ならそうするもの!」
「あんたと一緒にしないで!」
あー、誰か止めに入ってくれねえかなぁ。
俺の願いもむなしく、周囲は遠巻きに視線を向けるだけで動く気配はない。
そりゃみんな関わりたくないよなぁ。
しかし自然鎮火していってほしいという願いとは裏腹に、二人はどんどんヒートアップしていく。
……もういっそ、先に帰ってしまおうかな。
「プークスクス!私だって拝金主義のエリス教徒なんかと一緒にして欲しくないんですけど!」
「このカルト集団め!言わせておけばっ!!」
「カルト集団!?おのれ邪教徒の癖して!アクシズ教徒の本気を見せてやるっ!」
ちょっと!?なに取っ組み合い始めてんの!?
▼▼▼
「ったく、仮にも聖職者だろうが。信者に教えを説くお前らが感情任せに怒鳴りあうとかどうなの?」
「うぅ……。ご迷惑をおかけしました」
冷静になった責任者さんが申し訳なさそうに頭を下げてくる。
まぁ、元はと言えばうちのセシリーが問題行動を起こしたのが原因だし、怒鳴り合いになってしまったとはいえ元々挑発したのもセシリーだし……。
というか、よくよく考えると悪いのはセシリーだな。
……当の本人は反省の素振りすら見せてないけど。
「やーい、怒られてやんのー」
「よし、とりあえずお前は正座しろ」
「ちょっと?なんで私がエリス教徒より悪者扱いされなきゃならないの?ハチマン君はアクシズ教徒でしょう!?もっと私を甘やかしてよ!!」
……どうやらこいつは反省するどころか、エリス教徒の方が怒られてない現状が気にくわないらしい。
「痛い!」
殴ってやった。グーで。
セシリーは打たれた脳天を抑えて恨めがましく睨んでくるが、ほっといて話を進める。
「それじゃ俺たちは帰ります。結局迷惑かけることになってしまってすいませんでした」
「いえこちらも助かりました。色々ありましたが手伝って頂いて感謝します」
うん。やっぱりこの人いい人だ。
他所の教会に来て好き勝手やった挙句、喧嘩までした連中なんて追い出すのが普通なのだが、それでもこう言われるとほんと悪いことをしたと思ってしまう。
今度、セシリーを置いて俺だけでもお詫びの品とかを持っていこう。
「うっ、うぅっ……ハチマンくん酷い。お姉さんは悪くないのに、アクア様のために日夜がんばってるのに……」
その頑張りが要らないんだけどなぁ……。
「ほら立てって。もう帰るぞセシリー」
蹲ってグズグズ泣いているセシリーを連れて教会の出入口へ向かう。
門の外に出て振り返り、もう一度頭を下げて立ち去ろうとすると……。
「ぺっ!」
セシリーがエリス教会の中に唾を吐き捨て走り出した。
呆気に取られているうちに彼女は人混みの中へと消えていってしまう。
アイツ逃げやがった!!
【補足説明】
・腕利きパーティー
アクセルの町一番と言われている冒険者パーティー。爆焔3にてめぐみん、ゆんゆんらと共闘。その後アクセルを離れ王都で活動している。