やはり俺の受けた祝福はまちがっている   作: サキラ

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前回はお気に入りと感想たくさん貰えてビックリしました。ありがとうございました。
お気に入り1000件行ったら何か特別編考えましょうかね。次話投稿以外のやり方分かんないんですが。


思わず比企谷八幡は姿を重ねる

 

マッカン飲みてえなぁ……。

 

食事を終え、お茶を啜りながらしみじみ思う。

そういえばこの世界にはコーヒーはあるのだろうか?

酒やお茶、ジュースなどは日本と同じようにあるのだが、コーヒーを見かけた記憶はない。

もしもなかったらマッカン以前の問題だ。糖分が足りないんだけどぉ!!

 

仕方ないのでメニューのデザートを開いてみる。

そこには色とりどりのアイスやケーキ、パフェなどが並んでいた。

というかなんかファミレスのメニューと大差ないな。日本から来たチート持ちの影響だろうか。

 

デザートを選んでいると、目の前に座っていたゆんゆんも食べたくなったのか興味深そうに覗き込んできたので、彼女にも見えるように机の真ん中に横向きにしておいてやる。

ほら、これで見れるでしょ。

 

 

「ん?この横線で消されてる『ところてんスライム』って」

 

「あー……禁制になったんでしたね。そう言えば」

 

 

なぜか遠い目をしてゆんゆんが答える。もしかしてセシリーのように好物だったのだろうか?

そういえば禁制になった時のセシリーの暴虐ぶりはすごかった……。

 

 

「ハチマンさんは甘いものお好きなんですか?」

 

「まあ普通に好きだぞ。甘ければ甘いほどいいな。デザートも人生も」

 

「なんか意味を理解してしまうと悲しくなりそうなので深く聞きません……」

 

「まあ実際は人生とは甘いどころか苦いもので、思い出は甘酸っぱくなく酸っぱいものだからな。デザートくらい甘くなきゃやってられない」

 

「やっぱり悲しい理由だった!ていうか深く聞かないって言ったのにどうして言っちゃうんですか!?」

 

 

共感できる節があるのか、泣きそうな顔になりながらゆんゆんが抗議してくる。

俺としては甘いものが好きな理由を答えただけだったんだけどね?

 

 

「そんな事よりデザート何にするか決まったか?別々に注文するのも店員さんに迷惑かかるし、まとめて頼みたいんだけど」

 

「あっ、ごめんなさい。まだどっちのケーキにしようかなって悩んでて」

 

 

そういや小町もよく悩んでたっけなぁ。なかなか決めきれず結構待たされた記憶がある。

そのたびに『お兄ちゃんは何選んだの!?』なんて聞かれてたっけな。

 

 

「ちなみに参考までだけど、俺はチョコの方を選んだから」

 

「あっそれなら私はチーズケーキの方にします」

 

 

……それは暗にお揃いなんて気持ち悪いから嫌です。なんて意味合い混じってないよね?

大丈夫だよね?そういや小町も結局、いつも俺が選ばなかったやつを頼んでたけど……お兄ちゃん信じていいんだよね?

 

生きていく気力の大半を崩しかねない疑惑が生まれてしまったが、とりあえず頭の隅に追いやりデザートを注文する。

大丈夫、大丈夫。小町を信じろ。たとえ小町を信じられなくとも貯めに貯めた小町ポイントを信じろ。

『ゴミいちゃん』『え、やだよ。なんかキモいし』『バカ!ボケナス!八幡!!』

やべぇ。なんも信じらんねえ。ポイント貯まってるとは思えない言葉のレパートリーなんだけど……。

 

なんて考えてるうちに運ばれてきたケーキを一口頬張る。

うん。やっぱデザートくらいは甘くあるべきだよな。しょっぱくなってた心が癒される。

ふとゆんゆんを見ると、彼女の紅い瞳がちょろちょろと俺のケーキを見ては外れ見ては外れを繰り返していた。

 

 

「なに?こっちも欲しいん?」

 

「ち、違いますよ!めぐみんじゃないんですから!ただもう片方はどんな味がするのかなぁなんて思っただけでっ」

 

 

そういや結構悩んでたっけな。

っていうかめぐみんって何?ピクミンの亜種?でもピクミンは食われる方だよね?

 

 

「そんな気になるなら一口いいぞ。まだ一口しか食べてないし」

 

「いいんですか!?ありがとうございます!そ、それでは……」

 

 

恐る恐るといった感じだったが、嬉しそうにゆんゆんがケーキを頬張り「はわぁ~」と幸せそうな声を上げた。

まぁ気に入って貰えたならなによりだけどさ。

 

 

「あっ!それじゃあお礼にハチマンさんにも私のケーキ一口どうぞ!」

 

「ん。それならまぁ、ありがたく貰っとく」

 

 

お礼というなら断るのも失礼だしな。

うん、なかなかうまい。いい甘さだ。

 

 

「えへへへ、なんだかこういうのってお友達同士みたいですよね?」

 

「……いや、知らんけど」

 

 

ゆんゆんは嬉しそうに言うが、残念ながらこちらにはソースがない。

いや、雪ノ下と由比ヶ浜あたりはやってた気もするな。でもなんかあいつらはキマシいというか既に友達の関係超えちゃってた気もするけど。

……うん、深く考えるのは止めとこう。なんかほら、アレだし。

 

妙な気恥ずかしさを誤魔化すために再びケーキを食べようとすると、またもゆんゆんが物欲しそうな目でこちらを見てきた。

 

 

「……そんなに気に入ったんなら、このケーキ全部食べていいぞ」

 

「えっ!?で、でもそしたらハチマンさんのデザートが」

 

「いや、俺は味を知りたかっただけだし、もういいから」

 

 

というかそんなに見られたら落ち着いて食えないし。

でも、そういえば小町にも結局俺の分のケーキをやったりしてたんだよな。

ん?ひょっとすると小町の事だから、俺の分のケーキを貰うのを見越して別のケーキを頼んでいたのかもしれない。

我が妹ながら小賢しいな。でも悪い気になれない兄属性が悩ましい。小賢しいのに可愛いってマジ小町こざかわいい。

 

皿を渡すと、申し訳なさそうにお礼を言ってからゆんゆんは嬉しそうに食べ始めた。

 

……やっぱり普通な女の子だよなぁ。

 

買い物の時とかも何度か思ったが、ゆんゆんは少しぼっちを拗らせてるだけで根は普通の女の子なのだ。

正直、小町と大差なく感じる時もある。まぁ一部分は小町どころか大町なんだけど。

 

 

「……別に言いたくないなら言わんでいいけど、ゆんゆんはなんで冒険者になろうと思ったんだ?」

 

「えっ?その、たいした理由じゃないんです。私って族長の娘だから次期族長として見聞を広めることも大事かなって。あと里ではあんまり友達出来なかったけど、里の外なら出来るかなぁなんて」

 

 

……前はともかく後の方は知らなくていい情報だった。

同じ中学の奴が進学しない高校を受けた受験生かよ。

おいおい、それどこのナニタニくんだよ。

 

 

「そういや一緒に里から来たって子はどうしたんだ?先にパーティー見つけてしまったとか?」

 

「あっいえ、あの子は例の上位悪魔討伐のために仲間を集めてるんです。私は知らない人に話しかけられないんで」

 

 

……会話の節々に悲しい情報が入ってくる。

それにしても仲間集めね。セシリーと回復させた連中の殆どは、上位悪魔にビビってたというのに熱心な奴だ。

 

 

「ずいぶんとやる気なんだな」

 

「……そういうわけじゃないんです。ただちょっとした事情があって」

 

 

何気なくこぼした言葉に、ゆんゆんは目を逸らし言い淀んだ。

 

……知ってる。これは厄介ごとのパターンだ。

そう言えば前にも『巻き込んでしまって』なんて言ってたし関係者なんだろう。

というか同じパーティーメンバーが偶然にも関係者とか運悪すぎない?

スタンド使いが引かれ合うくらい理不尽。ぼっち同士で引かれ合っただけなのに。

 

 

「……はぁ、何があったんだよ?」

 

「えっ……いいんですか?」

 

「本音を言うとめんどくさそうな案件だから聞きたくないんだけど、もう乗り掛かった舟だからなぁ」

 

「……正直そんな理由は聞きたくなかったです」

 

 

ゆんゆんは呆れたように僅かに苦笑し、深呼吸をしてから再び口を開いた。

 

 

「上位悪魔の狙いはあの子なんです」

 

「……その一緒に里からやってきた子ってことか」

 

 

こくりとゆんゆんは首を縦に振る。

なるほど。数少ない友達が狙われてるとなっては、ゆんゆんの性格からしてほっとけないんだろう。

 

 

「何やったか知らんけど、悪魔に目をつけられるってのも災難だな」

 

「いえ、正確にはその子の飼ってるペットの子ネコなんですけど」

 

「いや、待ってくれ。全然分からん」

 

 

……その悪魔はもしかして雪ノ下さんだったりするのかしら。

あいつネコ大好きフリスキーさんだし。それにほら、姉は魔王やってるし。

 

 

「私もなんで狙われてるのかよく分からないんですけど、なんでも昔仕えてた主人を探してて、その匂いがネコからするらしいんです」

 

 

……なんだそりゃ。

ここ最近ギルドを大騒ぎさせていた元凶が、まさかそんな理由で出没していたとは……。

いい迷惑にもほどがあるだろ。

 

思わず溜息を吐くと、ゆんゆんが申し訳なさそうに頭を下げてきた。

 

 

「ごめんなさい、私達の事情なのに巻き込んでしまって。あ、あのっ……ハチマンさんは元々無関係ですし無理に付き合ってもらわなくても……その、大丈夫なんですよ?」

 

「……別に。俺だってギルドの連中に依頼されたし。それにパーティーだからな。仕事の範疇でもあるし仕方ねえよ」

 

 

なんでか分かんないけど、仕事って言われると普段は絶対にしない事でも結局やる事になるんだよね。むしろ面倒な事でも、仕事仕事と言い聞かせれば不思議とやれてしまうまである。

ほんとなんでだろうね。

 

 

「…………ありがとうございます」

 

 

いや別に感謝されるような事じゃないでしょ、仕事なんだし。

 

 

「……と言っても、実際討伐に行くことになるとは思わないけどな」

 

「えっ?それって?」

 

「いや実は、昨日カエル狩り終えてからエリス教会に負傷した冒険者の手当に行ってだな?そん時、魔剣使いと腕利きパーティーを全快させてたんだよ。今頃はそいつらが悪魔討伐行ってるから、俺たちの出番なんてたぶん来ないぞ?」

 

「…ほんとなんですか?」

 

「嘘ついてどうすんだよ。回復させたらまた討伐行ってくれるって話だったし、そっちの方が楽だからな。だから色々準備してたとこ悪いんだけど、たぶん無駄になっちゃうぞ」

 

「いえ……。それなら良かったです」

 

 

ほっと胸を撫でおろすゆんゆん。

経緯はどうあれ友達が悪魔に狙われていたんだ、今まで気が気でなかったのだろう。

ともあれ、俺達に出来るのはもう朗報を待つくらいのものだろう。ちょうどギルドにいるんだしな。

 

すると突然、ギルドの扉が勢いよく開いて男性冒険者が駆け込んで来た。

 

 

「た、大変だ!魔剣使いと腕利きパーティーがやられたぞ!!どっちもこの前以上の重症だ!!」

 

 

……もうやだ、この世界。

 

 

 




今回はゆんゆん回ですね。
ゆんゆんは泣き顔が印象的ですが嬉しそうにしてる顔が一番可愛いと思います。
今回で割と第一章の終わりが見えてきた感じですかね。
あと3、4話くらいで終わるかと思います。
そしたら第一章完結記念で特別編挟んで第二章といった流れで進めていこうと思います。
第二章ではようやくあの人達と本格的に絡んでいきます。

それでは感想評価お待ちしてます。
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