やはり俺の受けた祝福はまちがっている   作: サキラ

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大変お待たせして申し訳ありませんでした。仕事が忙しくて時間が全然ないため今後も不定期になります。
さて今回ですが内容は削除した中とほぼ一緒です。ほんとは下はゆんゆん視点で進めたかったのですがあまりにも短くなったので一緒にすることにしました。




上位悪魔と決闘を!下

 

気を引いてくれていた二人と合流すると、ゆんゆんが嬉しそうに駆け寄ってきた。

最上位破魔魔法を撃ちこんだ箇所には土埃が立ち上っている。

 

「やりましたね!ハチマンさん!」

「そっちが上手く気を引いてくれてたからな。俺はなんもしてねえよ」

「でも作戦考えたのってハチマンさんじゃないですか?」

 

いや、だとしても本当に褒められるべきは他の三人なのだ。

ゆんゆんの魔法がなかったら、上位悪魔は二人を敵として見ていなかったかもしれないし、ダクネスが攻撃を受けてくれていなかったら、そもそも戦いにすらなっていない。クリスの拘束スキルのタイミングが完璧だったからこそ、二人は無事なうえに俺の魔法も当てられたのだ。

それに俺の魔法は転生特典だしな。俺自身の力で為した事なんて何一つありゃしない。

 

「……そんな事より残りの魔力はどのくらいだ?」

「えっ?だいぶ消耗しちゃいましたけど、マナタイトはまだたくさんありますし問題ないと思いますよ?」

「そっか、なら少しマナタイト分けてもらっていいか?俺、魔力量少ないし」

「あっはい、どうぞ」

 

ゆんゆんから幾つかマナタイトを受け取る。

 

「大丈夫かとは思うけど、怪我とかしてねえよな?なんなら回復魔法使うけど」

「あ、いえ大丈夫です。ダクネスさんが守ってくれたので」

 

そうか、それなら安心だ。

ダクネスにも礼を言っとかないとな。

 

「なら俺はダクネスを診てくるから」

 

短く礼を言いダクネスの居る方へ向かう。

ダクネスもなにやらクリスと談笑しているようだった。

 

「お疲れさん。体の方は大丈夫か?」

「ん?ああ堪らなかったぞ!どれも今までに受けたことのないくらい強力な一撃だった!」

「お、おう。そうか。……一応聞いておくけど回復魔法はいるか?」

「バカ言うな!そんな事したら余韻が消えてしまうだろ!!」

 

……バカ言ってるのはアンタの方だ。

 

「まぁそんだけ元気ならいらんよな」

「くっくうっ……!なんだその蔑むような目は!?くっそう!ただでさえ身体はボロボロだというのに、そのうえ心まで責めるというのか!だがしかし私は負けはしない、負けはしないぞお!!」

「ヒール」

「あぁ!?なんてことを!!?」

 

問答無用で回復魔法をかけてやる。

どうやら重症なのは頭だったようだ。もう手遅れかもしれないけど。

 

涙目になって項垂れたダクネスをほっといて、上位悪魔の居た場所から隠すようにクリスに近づき、そっと耳打ちする。

 

「……悪いけどこっそり敵感知使ってみてくれ。一応、俺の背中で隠してはいるけど出来るだけ気づかれないようにな」

 

まさか。と言いたげな表情を浮かべたクリスだったが、こくりと小さく頷き目を閉じる。

再び目を開いた彼女は、いつになく真剣な表情でゆっくりとこちらを見てきた。

 

……まぁそんな予感はしてたんだけどね?

なにせ俺の幸運は最低ランクなのだ。いかに相性のいい強力な魔法といえど、駆け出し冒険者がレベル差も大きい魔王軍幹部クラスの上位悪魔を相手に、一撃で倒せるなんて都合のいい展開なんか端から期待しちゃいない。

 

左手に持ったマナタイトの一つが砕けている。どうやらさっきの回復魔法の魔力消費を肩代わりしてくれていたらしい。

それならば……!

 

「『エクソシズム』!」

 

振り向きざまに、未だ晴れていない土煙の中に破魔魔法を打ち込む。

その途端、左手に握った中級魔法用のマナタイトが砕けた。

回復魔法といい破魔魔法といい、一番下位の魔法だというのに、プリーストの魔法はコスパが悪いらしい。

 

「チッ!気づいてやがったか!!」

 

煙の中から慌てて上位悪魔が飛び出してくる。

いや、巨体の至る所から煙を上げているのを見ると、中からという表現はあまり正しくないのかもしれない。

 

「なっ!?アレを受けて生きてるだと!?」

「そんなっ!?直撃ですよ!?」

 

ダクネスとゆんゆんが驚愕の声を上げている中、しれっと最後尾に移動する。

決してビビって隠れた訳じゃない。本来プリーストは支援職なのだ。

見た目完全に女性を盾にしちゃいるが、最後尾に下がるというのは冒険者として正しい行動なんだ。

 

「ワイヤーも千切られてるな。大方俺達が油断したところを襲うつもりだったんだろ」

「へっ、卑怯とは言うなよ?そっちだって散々不意打ちかまして来てんだからな?まぁやり返す間も無く見破られるとは思わなかったが。……ったくどっちが悪魔だってんだ」

 

いや、そんなこと言う気は毛頭ないけどさ。さすがに正真正銘、本家本元の悪魔さんにそれ言われるとショックなんだけど……。

 

「はぁ?卑怯?悪魔の癖に何言ってんのさ。悪魔なんて人間に寄生するアンデッド以下の寄生虫の癖に。ハチマンくん気にしなくていいからね?寄生虫の駆除の仕方なんてなんだっていいのよ」

 

お、おう……。

クリスのフォローがおっかない。

というかそれ、俺の人間性へのフォローにはなってないよね?むしろ傷口抉られてんだけど?

俺の人間性って寄生虫レベルなのん……?

 

「あ?誰がなんだって?もう一度言ってみろ。坊主」

 

ブチッ……と何か大切なものが切れてしまったかのような音が聞こえた気がした。

恐る恐るその音が聞こえたかもしれない方向を見ると、ハイライトの消えた目をしたクリスが何かを確認するかのように顔を下に向け、微動だにせず固まっている。

嫌に重い沈黙がのしかかり、耐えかねたように冷や汗が一筋背中を伝った。

 

「『バインド』ッ!!」

 

いきなりクリスが拘束スキルを放った。

鉄製のワイヤーがうねりながら上位悪魔に向かい勢いよく飛んでいく。

 

「またそれか!そう何度も掴まるわけねえだろ!」

 

しかし上位悪魔は警戒していたのか、直ぐに横に跳びワイヤーを躱す。

躱されたのを見たクリスは、間髪入れずに腰に差していたダガーを抜いて上位悪魔に切りかかろうとした。

 

「お、落ち着けクリス!!」

 

咄嗟にダクネスがクリスを羽交い絞めにして止めに入る。

 

「ダクネスどいて!そいつ殺せない!!」

 

振り払おうと暴れるクリス。

ステータス的にはクルセイダーのダクネスの方が上なはずなのだが、怒りで我を忘れてるクリスは今にも振りほどきそうになっていた。

 

「ゆんゆんっ!クリスを抑えるのを手伝ってくれ!!」

「は、はいっ!クリスさん落ち着いてくださいっ!ひ、ひぃっ!ごめんなさい!ごめんなさい!!」

 

ダクネスに助けを求められ加勢に入ったゆんゆんだったが、クリスに物凄い目つきで睨まれ、泣いて謝りながらもなだめ始める。

まだしばらく暴れ続けるかに思えたクリスだったが、ゆんゆんが入ってきて少し経つと思いのほかすんなり大人しくなった。

しかしその目は酷く濁っている。

 

「……おい、どした?大丈夫か?」

「サンドイッチされた……。大きかった、柔らかかった……」

 

え?そんなに?

万乳引力の法則に逆らえず、視線が自然に三人の胸に向かっていってしまう。

くそう!乳トン先生め!異世界でも大活躍じゃねーか!

鎧の上からでも一目見てわかる大きな双丘。

ローブの上からでもはっきりとわかる見事な双丘。

……見渡す限りのアクセル大平原。

 

 

「……ほらアレだ。女性の魅力というのは一部分でだけで語られるべきでないと思うし、やっぱり全体のバランスこそ重要だと思うから気にすんなよ」

「そ、そうだよね!いい事言うじゃんキミ!」

 

うん。その台詞言った人も関東平野だったんだけどね?

 

「あ、あの、とりあえず陣形を組み直しませんか?お話し中に邪魔しちゃって悪いんですけど、その一応戦闘中ですし……」

 

そうだね、そういえばそうだったよね。

ゆんゆんに言われて再び上位悪魔に向き合うが、当の悪魔は気まずそうにポリポリと角を掻いて微妙な表情を浮かべ口を開いた。

 

「……お前らさっきの空気でよくもまぁ続ける気になるよなぁ」

 

おい、やめろ。俺だってこうしててなんか恥ずかしいんだからな?

呆れたように言う悪魔の言葉に概ね同意できてしまう。

なんというかもう戦う空気じゃないのだ。このままなんかなし崩し的に解散とかならないかなぁ……。

 

「フッ……舐められたものだな。聖騎士(クルセイダー)聖職者(プリースト)を前に悪魔が見逃してもらえると本気で思っているのか?」

 

そんな空気も読まずに不敵な笑みを浮かべ剣を構えるダクネスだが、あなた自分が攻撃当てられない事を忘れてませんかね?

そしてなぜか知らんが、俺も見逃さないメンツに入れられてしまっている。

 

「……いや正直俺としてはもうこの町に近寄らないってなら見逃しても構わないんだけど?」

「「はぁ!?」」

 

嫌な予感を感じつつも、そう言うと食って掛かってきたのは案の定クリスとダクネスの二人だった。

 

「ちょっとハチマン君!自分が何言ってるか分かってるの!?悪魔滅ぼすべし!聖職者の基本でしょ!?それなのに事もあろうか悪魔と取引しようだなんて!背教者だって言われちゃうよ!?」

 

なにそれ言われたい。背教者と言ってもアクシズ教徒だからな。

むしろ言われた方がお得な気がする。

 

「えっと、ハチマンさん。それだとちょむすけちゃんが狙われたままなんじゃ……」

 

ちょむすけ?……あぁネコのことか。

確かゆんゆんと一緒に、紅魔の里からやってきた子の飼っている子ネコが狙われてるんだったな。

 

「まぁそれもこの町に今後近寄らないってなら安心していいだろ。その猫がアクセルから出ていかない限りは問題ないしな」

「ま、まさか本気で悪魔と取引しようと言うのか!?約束を守る保証なんてないんだぞ!?」

 

その時は仕方がない。改めて対策を考えないとな。

しかしそれでも悪魔が再びこの町付近に現れるまでの時間は稼げるはずだ。

それまでにレベルも上がってるだろうし、もっとマシな戦いが出来るはずだ。

なんにせよこのままじゃ……。

 

「おい、聞き捨てならねえな?悪魔にとっては契約や取引は絶対だ。むしろお前ら人間の方が踏み倒したり誤魔化そうとしたりするだろ。まぁどっちにしろその話には乗れないんだがな」

「……理由を聞かせてもらえるか?」

「シンプルだぜ?その条件は飲めない。俺はウォルバク様を探しに来てんだ。ようやく手がかりを見つけたってのに、手出し出来なくなったら意味ねえだろうが」

「いいのか?猫違いかもしれねえのに。こっちには破魔魔法がある。次は拘束してゼロ距離から撃ってやってもいいんだぞ?」

「逆にそこまで自信満々ならなぜ交渉なんか持ち出す?お前の提示した条件は、ここで俺を倒せりゃなんの問題もなく解決するはずだ。つまりそっちにはこれ以上戦闘を続けたくない理由があんだろう?……見た所駆け出し冒険者の寄せ集めって感じだし、継戦能力に不安ありってところか?」

「……」

 

……しまった。完全に墓穴を掘ってしまった。

思わず黙り込んでしまうと、悪魔の口角がニヤリと吊り上がる。

 

「それに見逃すわけには行かねえ理由がもう一つある。そこのお前だ。見るからに駆け出し冒険者だってのに、最上位破魔魔法を使いやがった。たまにいるんだよ、そういう神に選ばれたかのような才能の持ち主が。そういう危険分子は出来るだけ早く摘んどかねえと、後々脅威になりやがる」

 

……マジですか?

 

「よし、今日は引き分けってことで互いに手を引かないか?そっちも消耗してるだろうし、こっちもお前の言うとおりこれ以上やり合える自信がない。今日だけ互いに手出しはしないって条件ならどうだ?」

 

なにやら冷たい視線を仲間から送られている気がするが、そんなの知ったことではない。

なんで標的になってんの?俺のチート能力なんて最近登録されたプリーストに既に超されてんのに……。

あのくそ女神、なにが祝福だ。もはや完全に呪いじゃねえか。

 

「……お前、俺の言ってたこと聞いてたか?」

 

むしろちゃんと聞いてたからこそ、この提案をしているわけだが。

俺としては何とかこの場を切り抜けて……。

 

「どうせ夜にでも町から出ていこうって算段だろ?」

 

……おっしゃるとおりで。

 

「それに俺が消耗してる?確かにその通りだけどよぉ……忘れてないか?」

 

上位悪魔が大きく腕を振り上げる。

その見覚えある動作に、緩んでいた空気が強引に引き締められた。

 

「さっき邪魔されたからなぁ。もう一発くらいは撃てるんだぜ?」

「させません!『ライトニング』!!」

 

咄嗟にゆんゆんが中級魔法を放つも、悪魔は大きく後ろに跳び魔法を躱す。

……マズい、奴の攻撃を邪魔しようにもこの距離だとこちらの魔法は届かない。

 

「言っとくがこっちは射程圏内だぜ?『インフェルノ』!!」

 

腕を振り下ろす悪魔の姿が一瞬だけ目に移り、すぐに視界の全てが炎に埋め尽くされた。

まるでそれは火の濁流。灼熱の嵐が全てを焼き尽くしつつ目前へと迫ってくる。

 

「みんな!私の後ろに隠れろ!!なんたる熱量……耐えきってみせる、耐えきってみせるぞおおお!!」

 

無理だ。この状況で興奮している変態(ダクネス)は本当に耐えきりそうなのだが、炎に飲み込まれたらいくらアレを盾にしてもゆんゆんやクリスが無事でいられるはずがない。

……なら一つしか方法はねーじゃねーか!

意を決して、身体を大の字にして受け止めようとしているダクネスの前に出る。

 

「な、何をする気だハチマン!?いいから私の後ろに隠れてろ!私は大丈夫だ!というか正直楽しみで仕方ないんだ!邪魔しないでくれ!!」

 

バカなこと言ってるのは無視だ。右手を前に突き出し支えるように肘を左手で固定する。

ここを凌ぐにはプリーストのあの魔法しかない。

これまで散々苦労させられたんだ!せめてこの魔法くらいは役に立たないと本気で駄女神扱いだからな!

 

「分かってんだろうなアクア!『リフレクト』ッッッ!!」

 

声の限りに叫び魔法を発動させる。

リフレクト。

聖職者専門のスキルで、相手の魔法を跳ね返すことの出来る魔法なのだが……。

 

「ぐっ!?がっ……ァァァアアアア!!!」

 

業火が光の壁に触れた瞬間、飲み込まれこそしなかったものの凄まじい熱量が手のひらを襲う。

熱い。熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱いッ!!!

 

受け止めた右手に、みるみるうちに火傷が広がっていく。

熱さが激痛に変わるのは一瞬だった。

 

「ッッッーーーー!!」

 

歯を食いしばり、支える左手に力を込める。

ここで引くわけにはいかない。

痛みがなんだ?自身へのダメージなんて後でいくらでも治癒できる。

転生チート?実力じゃない偽物の力?そんなものは百も承知だ。

それでもここを凌がなければ、ここに居る全員が炎に飲まれる。

だったら幾らでも縋ってやるッ!!

 

どれほどの時間が過ぎたのだろうか……。

一瞬の出来事だったのかもしれないが、腕を焼かれる痛みがその時間を異常なまでに長く感じさせた。

視界を覆っていた業火は晴れ、元々草原だった焼け野原からは煙が立ち上っている。

だらんと腕を下す。右腕はもはやまともに力が入らず、支えていた左手にも火傷は広がっていた。

 

意識が朦朧とする中、何を言ってるかは定かではないがゆんゆんの声が耳に入ってくる

よかった……どうやら無事らしい。後はこの腕を治療しなくては……。

 

「驚いたぜ。……まさか上位魔法すら防ぎきるとはな」

 

……唐突に底冷えするような低い声が頭上から浴びせられた。

危険信号が全身から発せられ意識が強引に呼び戻される。

 

しまっ……っ!

 

鳩尾に、車に轢かれたかのような衝撃が突き刺さる。

聞いたことのない音が体の中から響くのと共に、意識は闇へと消えていった。

 

 

▼▼▼

 

 

何が起きたか分からなかった。

 

ホーストに鳩尾を殴られたハチマンさんがボールのように吹き飛ばされる。

5,6メートルほど離れた地面に落ちたハチマンさんは、そのままピクリとも動かない。

そこに完全にとどめを刺そうとホーストが迫っていき――。

 

「っ!させません!!」

 

咄嗟に我に返り特大の『ライトニング』を撃ちこむ。

 

「チッ!!」

 

避けきれないと判断したのかホーストは後ろに大きく跳んで魔法を躱す。

続けざまに『ファイアボール』『ブレイド・オブ・ウインド』を連続でいくつも撃つも全て躱されてしまった。

だけど、もともと当たれば御の字。結構魔力を使ってしまったけど、狙い通りに上位悪魔を引き離すことが出来た。

今のうちに!

 

「ハチマンさん!しっかりしてください!ハチマンさん!!」

 

すぐさま駆け寄って体を揺するも反応はない。

だけどヒュー……ヒュー……と力ない呼吸はしている。

よかった……辛うじてだけどまだ生きてる……!

 

「……マズいよ。このままだと手遅れになる!」

 

だからこそクリスさんの一言が重くのしかかる。

そうだった。一命を取り止めてはいたとはいえ瀕死なんだ……。

すぐにでも回復させないと……!

 

「ダ、ダクネスさん、聖騎士でしたよね……?回復魔法は覚えていませんか……?」

「すまない。魔法への適性はほとんどないんだ。本当に申し訳ない」

「……教会に連れていってプリーストの子に回復してもらうしかないね」

 

クリスさんの言う通りだ。事は一刻を争う。

今すぐにでも教会に連れていかなきゃいけないのだけれど……。

 

「逃がすと思ってんのか?駆け出しの町の連中に連日襲われ、しかも毎回取り逃してるとあっちゃ俺のメンツに関わる。その男よりも自分の身の安全を心配すべきだと思うがなぁ?」

 

ホーストから発せられる威圧感が増す。

確かにこの状況は絶体絶命だ。ホーストは本気で一人も見逃すつもりはないらしい。

それでも、絶対にハチマンさんをこのまま見殺しになんてできない。

 

……だってハチマンさんはやっと出来た私の仲間だから。

 

「クリスさん、ダクネスさん。ハチマンさんの事お願いします」

 

驚いた様子の二人。でも今は言い争ってる暇はない。三人を庇うようにホーストの前に立つ。

正直すごく怖い。上位悪魔と言われるだけの圧倒的な威圧感の前に無意識に体が震えだしている。

 

「ダ、ダメだ!クルセイダーの私が残る!耐久力のある私が残った方が長く引き止められるはずだ!」

「ダクネスの言う通りだよ!それにあなたは魔法使いでしょ!?一撃でも喰らうと危ないんだよ!?」

 

二人の言う通りだ。私はダクネスさんのような耐久力なんてないし、クリスさんみたいに拘束系のスキルも持ってない。足止めだけを考えると私より二人の方が向いている。だけど……

 

「それだとハチマンさんが間に合わなくなるかもしれません。私より体力も敏捷性も高いお二人が教会に連れていってください」

「けどそしたらゆんゆんは!」

「私なら大丈夫です!」

 

震える声で精いっぱいの強がりを言う。

私だってバカじゃない。今の私に決定打になるような魔法は使えないし、残った魔力もほとんどない。勝ち目のない戦いだって事くらい分かってる。

それでも……!

 

「我が名はゆんゆん!!紅魔族のアークウィザードにして中級魔法を操る者!いずれは紅魔族の長となる者!ここは私に任せて二人は早く行ってください!!」

 

そうだ。私はいずれ紅魔族の長になるんだ!

……だから絶対に、かっこ悪い姿なんて見せられない!

 

 

 




ゆんゆんはやるときはやってくれる子です。だけどサブタイトルが何よりのネタバレになっちゃってるという不憫な子です。
次の更新は一週間前後に。ではまた
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