(…人間など、醜い争いをするだけ。
とても愚かな存在。守る価値など無い生物。
…今までずっとそう考えてきた。
…あの少女に出逢うまでは_______…)
~数日前~
「ザマス、自分の立場をわきまえ、人間を暖かい目で見守り、そして育むのだ。それが、我々界王神の役目なのだからな。」
「………はい。」
シュンッ
「…着きましたよ、ビルス様。」
「ビルス様!?」
「…ご無沙汰しております。」
「今日は、どういったご用件で?時の指輪なら全て揃っていますが…」
「いえ、今回はそのようなご用件ではないのですよ。少し紹介したい人がいましてね。」
「紹介したい…人?」
「おい、挨拶して良いぞ。」
「………はい。ビルス様。」
そう言うと少女は、ザマスとゴワスの下まで寄ると、ひざまずいた。
「ゴワス様、ザマス様………お目にかかれて光栄でございます。」
「何もそこまでかしこまることはないですよ、顔をあげてください。あとその体勢も…」
ゴワスがあわてる。
「た、立ってもよ、宜しいでしょうか!?」
助けを求めるような眼差しを何故かザマスに向けてくる。
「………構わぬ、立て。」
…スッ…
少女の立つ姿はとても様になっていた。
肩まで伸びた桃色の髪に、マリーゴールドの髪飾り。
目を開けば澄んだ空の色が見える。
少し幼さを感じさせる顔立ちではあったが、少女の礼儀正しさから大人の雰囲気が感じられた。
背丈はザマスより5cmほど低く、何かを見据える様な眼差しで二人をとらえている。
「あのさ、君、自己紹介は?」
ビルスが少女に言い放つ。
「へ?自己紹介………あぁっ!忘れてました!申し訳ございません!」
前言撤回。少しも大人の雰囲気を感じられない。
「………ったく、変なところで大人ぶって、良いから自己紹介して。」
「申し訳ございませ………」
「謝る暇があったら?」
「はい!…自己紹介させていただきます!私は華音です。華麗の華に音と書いてかのんと読みます!宜しくお願いします!」
そう言うと華音は礼をした。
つられて二人の神様も礼をする。
「ま、こいつ悟空とは違うからね。馬鹿は馬鹿だけど。」
「実は…身寄りがなくて私達のもとで華音さんを生活させていたのですが、最近忙しいので、かわりにそちらで生活させていただこうと思いまして。」
ウィスが説明する。
「別に構わないのですが、何故ここに?」
「別に人間に頼んでもよかったんだけどね、そこのザマスに人間をもっと知って欲しくてね。人間は人間でも、悟空よりはマシな人間だから。」
「あ、ありがとうございます!…ザマス。」
「ありがとうございます。(あのサイヤ人と違うタイプでも、人間は人間だ!ふざけるな!結局は同類、消滅すべき生物なのだ!)」
ウィスが続ける。
「それで、華音さんの不可解な能力についても説明しなくてはいけませんね。」
「あぁ、そうだったね、忘れてたよ…。めんどくさいからウィス説明して~。」
「…はい。実は華音さんは、相手の瞳を見つめるだけで、考えていることが分かるのです。あと、心の曇り具合も分かります。…その能力を、気持ち悪いなどと批判はしないで欲しいのです。…心が弱いので。」
「勿論そのようなことはいたしません。」
「…でさ、ザマスの人間嫌いは少しでも改善されたわけ?華音!」
「え?あ、はい!何ですか?」
「こいつの心を読め。今の会話聞いてただろ。」
「あ、はい。…ザマス様、失礼いたします。」
華音は真剣な顔でザマスを見つめた。
(なんて綺麗な顔…はっ!いけないいけない!ちゃんとしなくちゃ…!?ザマス様の心、どうしてこんなに曇っているの?人間が嫌い?消滅すべき生物?なるほどね…改心するどころか悪化してる…)
「華音!どう?こいつの心。」
「………正義感に満ち溢れていて、とても清んだ心をしています。…言うこと無しですね。」
「目線そらしながら言うな、絶対嘘だよ。神に嘘をつくとはいい度胸だな?」
ザマスが口を挟む。
「人間、怒らぬから本当の事を言え。神に嘘をつくほうがよっぽど駄目だ。」
「…本当の事を申し上げると、ザマス様の心は、とても曇っています。正義感に満ち溢れているのは本当です。でも、その正義感ゆえに、醜い争いを行う人間を嫌うようです。…悟空さんのことは、神に拳をふるう傲慢な人間と称し、改心するどころか悪化してるようです。…すみません。」
「………構わぬ、事実だからな。」
「まぁ、アイツの態度には僕もムカつく時があるからね。…あ、華音。お前は手合わせしないのか?」
「と、とんでもないです!神様と手合わせするなど、そんな無礼なこと出来るわけ無いじゃないですか!」
「悟空はやったけど。」
「いや、あの人のせいで地球がほr…」
「華音さん!少しお喋りが過ぎますよ…」
ウィスが慌てて口をを挟む。
「どうされましたか?」
ゴワスが訪ねる。
「いえ、こちらの話です。」
ビルスが華音に耳打ちする。
「おい、ザマスには話してもいい、でもゴワスには絶対に話すなよ?絶対だからな!」
「どうしてです?」
「分からないのか?自分の弟子が未来の地球を滅ぼす悪の化身と化してるなどと知ったら…後は分かるよな?」
「あぁ、はい。理解しました。」
「で、華音は手合わせしたくないの?」
「とても遠慮しますf(^_^;」
「つまんないね、じゃあ、帰るとするか。」
「…長話が過ぎますよ、ビルス様。では、宜しくお願いしますね。」
「はい、お任せください。」
こうして、界王神界での華音の生活が始まった。