第1話 冒険の始まり
少し明るみを感じる暗い部屋。そこに何故か椅子が2つあり、ぼくと女性が向かい合わせで座っている。
「紅幽魔さん、ようこそ死後の世界へ。あなたはつい先ほど、不幸にも亡くなりました」
「亡くなったとは一体どういうことでしょうか?
今、目の前の女性はなんといったのだろうか。ぼくは聞き間違いであることを期待して、繰り返すように質問をしてみた。
「あなたは階段から転落して亡くなってしまいました」
「えっ?」
やっぱり間違いなどではなかった。なんか、さらにダサい死因というおまけまでついてきたけども…。
「それにしても、階段から転落して亡くなる人って初めて見たんですけど!プークスクス!」
「ウッ、ぼくはそんな情けないことでグスッ、死んでしまったのですか?」
「泣かれるとさすがに困るわね…。そうよ、あなたはそれが原因で亡くなってしまったのよ」
さっきまでぼくの死因を笑っていた女性は、ぼくが泣いているのに気づいた瞬間、あわあわしながらも小さな声でごめん。と一言を添えながら追い打ちをかけてきた。
にしても、階段で落ちて死んじゃうとは一体、ぼくはどれだけドジなたのだろうか…。いや、ここまで来るとドジで済ましていいのかわからないが…。
「じゃあ、ぼくはこれからどうすればグスッ」
「あー!ちょっと待って!亡くなったからって人生終わりってわけじゃないから!」
「本当ですか!?」
「本当よ!女神に二言はないわ!」
「えっ?」
ぼくは亡くなったという事実を受け入れることが難しい状態であったが、目の前の女性の言葉を聞いて一気にそれが吹き飛んだ。にしても、目の前の女性が女神なわけがない。恐らくなにかの聞き間違いであろう。
「えっ?て何よ!?私は水の女神アクアなのよ!女神であるこの私をもっと敬ってもいいのよ?」
どうやら、彼女は本当に女神らしい。だけど、普通の女神は人の死因を笑うのだろうか…。
「続きをお願いします。」
「ちょっと!軽く流さないでよ!?まあ、いいわ!死んだあとには3つの選択肢があるの!まず、1つ目はてんせ(それでお願いします)話が早いと助かるわね!」
もっとぼくが驚くと思ったのか、自称女神はつまらないというような反応をしながら、3つの選択肢を掲示しようとした。だが、ぼくは最初の一個目でいきなり噛み付いた。そして、女神は何故か嬉しそうにしているように見えた。
「話しが早いってどういうことですか?」
「実はね、かくかくしかじかなのよ」
長くなるので要約すると、転生する場所が魔王によってピンチだから、地球の若い死者から魔王を倒すためのものを集めているという。さらに、転生する人には好きなものを1つ持っていく権利があるらしい。
だから、さっき自称女神は食いついて来たことに対して話が早いと口にしたのか。
「それで!持ってくものはなににするのかしら?」
「あ、そ、それは…」
「何よ、いきなり緊張しちゃって!プークスクス!」
「コミュニケーションをサポートしてくれるようなアイテムを…」
「そんなんでいいの!?」
少し、緊張しながらも提案した特典について、自称女神はものすごく声を荒げて反応した。さすがにそこまで否定的な感じで言われてしまうとこれでいいのかと思ってしまう…。
「いいんです!ぼくは生前、コミュ障と名前のせいで友達という友達があまりいなくてウッ」
ぼくは絶対に譲れない意思を示した。
その時、ぼくは思い出したくもない記憶が頭のなかに蘇った。
そうだ、ぼくは親に憎まれているのではないかと疑ってしまうほどに不気味な名前を付けられてしまったのだ。
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「おい、ゆうま!学校で幽霊が出たって噂だけどよ!お前が引き寄せたやつじゃないのか?」
「ぼ、ぼくはそ、そんなことしてないし、できるわけがないよ…」
ぼくが中学生になったばかりのある日、小学校の頃からことある事にいじってきたシャイアンがいつも通りぼくをからかってきた。
「そうだよ!ゆうまは名前がおかしいかもしれないけども、根は優しくていい奴なんだよ!そんなやつが悪さなんてするわけないじゃん!」
そして、学級委員を務めているゆみちゃんもシャイアンと一緒にぼくをからかって…ってあれ?
「あぁ、そうだよな!名前を理由にいきなりこんなことを言って悪かったな!だから、許してくれよな?」
そうだ、シャイアンはゆみちゃんの注意を聞かずにぼくをからかって…ってあれ?
こうやって冷静に思い出してみると、ぼくはなぜ、あんなにもネガティブな方に考えってしまったのだろうかって思ってしまう。
だが、今になって自分を責めてももう遅い。
「あ、う、うん。だ、だ…だよ」
「ゆうま?どうした?まさか、さっきのことを許せないのか?」
「ゆるしてるから、大丈夫だよ。それより、疲れたから帰るね」
その後、ぼくは1週間の間、家の自室で引きこもってしまった。そして、その部屋の中でこんなキテレツな名前をつけた両親を責めていた。
今思えば、なぜ、自分の親を責める必要があったのだろうか?悪いのはすべて、変なところで勘違いしてしまった自分じゃないか。
「おい!父さんと母さんが悪かった!まさか、ゆうまが名前のせいでこんな辛い思いをしているとは…。もし、お前が死んだら、父さんと母さんはどうすればいいのか…」
「そうだよ!ゆうにい!学校のみんなは毎日、私にゆうにいは大丈夫か?って聞いてくるよ!だからさ?そんな、変な風に思わないでさ、また一緒に学校に行こう?」
ぼくが部屋にこもってる間、父さんと母さんとみのるはまた、ぼくと一緒にいたいがために一生懸命励ましてくれた。
なのに、それはぼくの耳にとどくことはなく、そのまま死んでってあれ?たしか、ぼくの死因は階段からの転落で死んだ気が…。
そうだ。ぼくは家族の全員が出掛けてるのを見計らい、冷蔵庫から何か食べ物を物色しようと思って一階に行こうとしたら、階段で1番上の段から…。
ぼくは、一体なんて馬鹿な理由で父さんや母さん、みのるにクラスメートのみんなに償えきれないような罪を犯してしまったのだろうか。
償えるものなら償いたい。
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「もうわかったから!その位おまけであげるから!他に欲しいものはある?ってその顔は思い出しちゃいけない内容を思い出してしまったみたいね。」
「すいません。アクア様。わざわざ自分の記憶を一部消して、自分が苦しまないようにしてくれたのに。」
自称女神…いや、アクア様は先ほどまでのおちゃらけた表情と違い、神聖な女神のような表情になっていた。ぼくはそれを見て、本当にこの人は女神なんだと思わされてしまった。
しかも、アクア様はわざわざぼくの記憶を変えていてくれたのか…。
だけど、ぼくの記憶だけ変えたとしても、地上にいるみんなの記憶を変えるということはさすがの女神でも無理だろう。
「それなら気にしなくて大丈夫よ!」
「けど、ぼくは罪のない人をたくさん傷付けてしまいました。」
「なんのことかしら?あなたは誰も傷つけてないわよ?」
「そんなはずないですよ!あの後、みんなが絶対に自分が悪いんだって責めてしまうに違いありません!それなのに、ぼくはのんきに異世界に転生なんてそんな自由なことはできません!」
そうだ、ぼくだけ楽な気持ちになったとしても、ほかのみんなは一体どんな気持ちになってるのだろうか。異世界に行ってのんびり冒険をするくらいなら、地獄にでもいって拷問を受ける方が何倍もマシだ。
「プークスクス!君は本当に純粋でいい子ね。君に関わっていた子の記憶を全部変えさせてもらったわ!」
「それは、どういうことですか?」
「それはね、君が病んでしまった原因となったことと、君が引きこもってしまったことの記憶を全て消して、ただ単純に君が躓いて亡くなってしまったっていうことにしといたわ!」
「それはそれで、なんか、ぼくがダサい気がしますけども…。でも、これで誰もぼくのせいで自分を責める人はなくなるということですね。本当にありがとうございます!ウッ」
アクア様は一気に雰囲気をぶち壊したあとに、今のぼくにとって1番嬉しい内容を告げてくれた。これで、誰もぼくのせいで気を重くする人はいない。
だが、死んだという事は事実だ。それはそれで、みんなに迷惑をかけてしまうことには変わりない。だが、あんな父さんと母さんはあの時あんなことを言っていたんだ。そのまんま死ぬよりはましだろう。
そして、本当に良かった。という気持ちから涙が溢れてきた。今日、一体ぼくは何回泣くのだろうか…。
「どうしたのよ!急に泣いたりして!?」
「いやー、ぼくは本当にあそこに生まれてよかったなって思いまして。」
そうだ、ぼくはあそこで生まれてとても幸せだったんだ。
「そ、そう。残念だけど、死んだという事実だけは曲げる事はできないのよ。」
「その位ダメだという事は分かってるから大丈夫ですよグスッ、本当に自分はダメな男ですね。」
「そんなことはないわよ。あんな幸せな場所にいて、それに気づいてしまった瞬間に亡くなって悲しくなんない人なんかいるわけないわよ。それに!死後の世界でこんなに麗しい女神様を見ているのだからね!」
後悔をしているぼくに対してアクア様は一生懸命励ましてくれた。
そうだ、これから異世界で同じような仲間と出逢えばいいんだ。
「アクア様、本当に色々とすいません。おかげで自分はこれからどうやって生きていくべきなのかを知ることができました。」
「へぇー。興味深いことを言うわねー。ねぇねぇ!教えてよ!」
「そ、それはですね、前世の時と同じくらい温かい仲間を見つけ、困っている人がいたら迷うことなく救いの手を差しのべる。そんな、勇者みたいなことをやってみたいんです!」
アクア様が無邪気な子どものようにぼくに聞いてきたので、ぼくは恥ずかしい気持ちもあるが、頑張ってアクア様に異世界でやってみたいことを伝えた。
「プークスクス!そんな目標はあー!冗談よ、じょ·う·だ·ん!私はここから常に応援してるわ!あ、そうだったわ!さっき途中で切っちゃったけども、他にも何か特典を上げるわよ!」
アクア様は最初はぼくの目標をバカにしたが、ぼくが泣いているのに気づいて励ましてくれた。
さらに、もう1個特典をくれると言ってくれた。
「あ、すいません。じゃあ、筋力と魔力の強化をお願いしてもいいですか?」
「さすがにそこまで来ると厳しいわね…。まあ、バランスをとれるようにしとけば大丈夫かしら…。その位なんてちょちょいのちょいよ!」
ぼくのむちゃぶりに近い希望に対して、アクア様は長い独り言を言った後に承諾してくれた。
「本当ですか!?あ、でもぼくだけそんな差別をして大丈夫ですか?」
「あなたのことを見ているとかわいそうだと思ったからよ。それに、最初のやつだけだとすぐに死にそうだし…。」
ぼくだけ差別しても大丈夫なのか。と思ったが、過去にこれだけ戦闘で役に立たないものを選んだ人はいないらしい。にしても、ぼくはそんなに変わってるのかな…。
「アクア様、本当にありがとうございます!」
「い、いいわよ、そんなお礼なんて。あ、いいことを思いついたわ!私にそんなに感謝してるんだったらアクシズ教に入ってみたらどう?」
アクア様はぼくにとある提案をしてくれた。
異世界では主に2つの宗教があり、それがアクシズ教とエリス教らしい。アクア様によるとエリス教は強制的な勧誘で信者を獲得している邪悪な集団のため、絶対に近づかない方がいいらしい。そのためにもアクシズ教に入るのが1番安全らしい。
「アクア様。わざわざ勧誘までありがとうございます。現地に行って、良さそうだったら入ってみますね!」
「ちぇっ、残念ね。じゃあ、今から異世界に飛ばすからその魔法陣に乗って絶対に動かないでね!」
アクア様は少し残念にしながら、ぼくを魔法陣の上へと案内した。
「はい!分かりました!」
「じゃあ、行くわ!さあ、勇者よ!願わくは、数多の勇者候補の中から、あなたが魔王を打ち倒すことを祈っております。」
「では、行ってきます!色々とありがとうございました!」
「くれぐれも死なないようにねー!」
「はーい!」
ぼくはアクア様には本当にお世話になった。ないかとは思うが、もし、異世界で会ったら役に立てるように頑張らないといけないな。
「さて、これから有言実行をしていかなきゃいけないわね。エリスー、いるのー?これから忙しくなるわよー!」
「えっ?先輩いきなり何を言い出すんですか!?」
エリスと呼ばれた女性は半ば強引だが、アクアと一緒にどこかへと消えていった。
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「うーん、ここは村かな?」
気がついたら、ぼくは見慣れない村のど真ん中で寝そべっていた。
「ココハコウマノサトデス。」
「そっか、コウマノサトかーってどこから声出てるの!?」
いきなり、Pepperのような声が聞こえ、ぼくは1回反応したが、驚いてしまった。
にしても、さっきからものすごい多くの人がこっちを見ているな。にしても、なんでみんな輝いた目でこっちを見ているんだ?
「ココデス。」
「そんな所になんでこんな機械が…」
「ワタシハアナタノコミュニケーショントボウケンヲサポートスル、アイラブアクアトモウシマス。」
腰のポケットの中にいた機械は親切に自己紹介をしてくれた。
どうやら、ぼくがアクア様に頼んだ、コミュニケーションをサポートしてくれるアイテムはこれらしい。しかし、ロボットに「私はアクアを愛している」という名前をつけるとはなかなか自己主張が強い気がするが…。
「そ、そうなんだ。だったら助かるね。じゃあ、ぼくはこれからどうすればいいの?」
「ソレハワタシモワカリマセン。コウマノサトにトバサレルヒトハアナタガハジメテデスカラ。」
「そっか、僕が初めてなんだ。ってそれやばくない!?」
ぼくのことをつい、サポートしてくれると思って安心していたら、まさか、機械にも予想がつかないことが起こったらしい。
そうして、ぼくの冒険者は始まったのだ。
初めて投稿させていただきました!ほりと申します。最近、小説を書いてみたいと思い、グダグダな内容ではありますが、投稿させていただきました。書いて思った事は、投稿しているみなさんは本当にすごいなと思いました。さて、これ以上書くと媚売ってんじゃねぇーよと思われてしまうので、次の内容に入りますが、まだまだ小説を書くことに関しては初心者です。そのため、内容がうまくかけないことがあり、みなさんを不快にさせてしまうことがあります。だからこそ、暖かい目で見ていただき、アドバイスや感想を感想欄に書いてもらいますと幸いです。
けっこう内容いじくりました!すいません、まだ初心者なため投稿した後に何回も読み直して、ここはもっとよく出来るなーなどといじくっていたら、情景描写の部分はほとんど変わりました。次回はそのようなことにならないようにしますのでよろしくお願いします。
次回!主人公がいきなり決闘!?