あの日以来、私と九条四席は、良く休憩時間に世間話をするようになっていた。今日どんな事があったかだとか、この後飲みにいかないかだとか、普通の友人の様に話した。毎日が充実していた。こう思ったのは、私がこの男に憑依する前ぶりだ。しかし、そんな毎日も、突然の終わりを迎える事になる。
「それじゃ、今日は流魂町に現れる虚の調査に向かいます」
その日、我々十番隊に、最近、流魂町に現れる虚の調査任務が与えられた。その調査隊には、私のような下っ端と、調査隊の指揮を任された九条四席以下10名だった。
「それじゃ!出発!」
元気な声で九条四席がそう叫ぶと、我々は、白道門から流魂町へと出発した。
虚の目撃現場に着くと、下っ端達による調査が開始される。
「霊圧の痕跡は…確かに虚だが…この霊圧…」
私が、調査機械を片手に1人唸っていると、後ろから九条四席が声を掛けてくる。
「どう?何かわかった事ある?」
九条四席は、私の持った調査機械の画面を見ながらそう尋ねる。
「えぇ、確かにここ周辺に虚の霊圧の痕跡がありますが、普通ならここまではっきり残る筈はないのですが」
「はっきり残る筈がない?」
九条四席は、私の答えにそう聞き返す。
「えぇ、普通ならもっと少ない痕跡の筈なんです…これならまだ、人為的なものと言われた方が納得するレベルです」
私が九条四席の質問にそう答えると、彼女は唸りながら考える素振りをする。
「つまり、何者かがここに虚の痕跡を残したと…そうなると、私達がここに来る事なんて想定内…というか、それが狙い?」
「はい…その可能性が」
私が、九条四席の呟きに同意しようとした、その瞬間。大きな霊圧が現れた。
「愛染様…例の場所に、十番隊の調査部隊が到着。調査を開始した模様です」
薄暗い研究室。そこには、白い隊長羽織を着た三人の男がいた。
「ありがとう要。ギン、あれを彼処に解き放ってくれ」
五番隊隊長、愛染惣右介は、後ろにいた三番隊隊長、市丸ギンにそう言うと、研究室の画面を見る。
「今回の対象は、十番隊第四席、九条実里だ」
「わかりました。それにしても可哀想に…見てくださいよ愛染隊長…あの2人すごく仲がええみたいですけど」
市丸が、愛染の命令を了承しながらも、画面に映った2人の死神を見て言う。
「仕方がない…これも、私達の研究の為だよ」
「あぁ、この人、なんで五番隊なんやろか?十二番隊の方がよっぽど似合っとると思いますわ」
愛染の返答を聞くと、市丸はそう言って、近くの機械を弄る。
「それでは、今からブラックを解放します」
九番隊隊長、東仙要がそう言うと、手元にあるボタンを押した。
重たい霊圧だった。まるで、首を締められるような感覚だった。
私は、突如現れな霊圧に当てられ、その場でうずくまる。
「くっ!」
しかし、九条四席は、なんとか立ち上がり、刀を抜刀する。
「あれは…」
私は、なんとか霊圧を放っている者を探そうと辺りを見渡す。すると、そのには、人型の虚がいた。
有り得ない。幾ら何でもこんな事…尸魂界に…
最上級大虚が現れるなんて…
勝てる訳ない…奴らの戦闘能力は隊長格以上…それに対して、こちらの戦力は、下っ端九人に席間が1人…無理だ…死ぬ…九条四席が…
私は、死に物狂いで踏ん張り、立ち上がる。
人為的なもの…そして、最上級大虚…完全に愛染の差し金じゃないか!
クソッ!!!なんでだ?試作品の虚は、ホワイトだけじゃないのかよ!
いや…そんなの関係ない…そうだよ…そもそも、九条四席だって、元々原作には登場してない。だったら、原作で描かれなかった間に愛染が何もしない?そんな訳無いんだ…
「由嶌君…逃げて」
私がなんとか立ち上がり、考えていると、九条四席が私にそう言う。
「多分、私じゃ勝てない…だから、この事を隊長達に報告して…お願い…」
ダメだ!!!そんなの…貴女はここで死んで良いような方じゃ無い!!!
「その命には従えません…確かに、あの虚は強い、貴女でも敵わないかもしれない。それなら、どっちが殿をしようが、関係無い。ならここは、私が殿をします。だから、今すぐ隊長達の所へ」
私はそう言うと、近くにうずくまってる連中に叫ぶ。
「これより、私が殿を努め、九条四席を逃します!!あなた達は、九条四席の護衛をして下さい!!!」
突然の叫びに、驚く顔をする連中。しかし、なんとか立ち上がった一人が「わかった」と叫び、それと同時に他の連中も立ち上がり、九条四席を連れて離脱する。
「頼む…今だけでいい…今だけで良いから、お前を使いこなす力を…」
私は、他の隊員に抵抗しながら私の名を叫ぶ彼女を見ながら、そう呟く。
そうして、私は叫んだ。
「滾れぇ!!!墨月暈ァ!!!」
私がそう叫ぶと、日本刀の形をしていた私の斬魄刀が、薙刀の形へと変貌する。
私が解放した事を確認すると、虚は、響転を使い、私の後ろから斬りつけてくる。私は、それを何とか防ぐと、距離を取り、斬魄刀を右回転させ、空間を記憶させ、切り取る。
私が消えた事により、虚は辺りを見渡す。私は、その隙に斬魄刀を左回転し、虚の死角に空間を復元させ、斬りつける。
「ハァァ!!!」
私が、虚の背中を斬りつける。
「超速再生は出来ないようですね…良かった」
私は、虚の傷が再生しないのを確認してそう呟くと、虚は手の平に赤い霊圧を固める。
「虚閃か…」
私はそう呟くと、斬魄刀を構え、相手の攻撃を吸収する準備をする。私が構え終わると同時に、虚閃は放たれる。
私は虚閃が接触する少し前に、斬魄刀を右回転させる。しかし、斬魄刀が虚閃を吸収しなかった。私は、それを確認した瞬間、瞬時に瞬歩で距離をとる。
「クッ…」
私はなんとか、瞬歩で離脱するが、私程度の速さでは逃げ切れず、死覇装の上半身が消し飛ぶ。
こいつ…虚の攻撃を吸収出来ないのかよ!お前それでも斬魄刀かぁ!!!
私は、自分の斬魄刀の欠点を知り、一人、斬魄刀に文句を言う。
「仕方ない、空間操作のみで戦うしか…しかし、相手の霊力を吸収できないとすると、空間操作の時間も限られてくる…」
私はそう言うと、斬魄刀を右回転する。また私が消えた事により辺りを見渡す虚、私は死角に空間を復元させ斬りつける。しかし
「なっ!!!」
私の動きが読まれていたのか、私の攻撃を防ぎ、斬魄刀を掴む。すると、虚は私の斬魄刀を掴みながら、虚閃を放つ準備を始める。
「離せ!!!離せぇぇぇ!!!」
私はそう言いながら、虚に殴りかかる。しかし、それは難なく避けられ、私は、虚に腹部を貫かれる。
「ガハァッ!!!」
口から血反吐を吐き出す。
痛い…クソ…ここまでか…あぁ…また貴女と…なんでもない世間話をしたかった…
私が自分の死を受け入れたその時、私は、何者かに突き飛ばされた。
「えっ…」
私を突き飛ばした相手は、九条四席だった。
なんで…貴女が…ここに…
虚は、目の前に現れた九条四席に標的を変え、虚閃を向ける。
「ダメだぁぁぁぁ!!!」
私は手を伸ばす。彼女を救う為、しかし彼女は首を振る。そして
「さようなら…」
その言葉を最後に、彼女は消し飛んだ。
ほぼゼロ距離からの虚閃だ…しかも最上級大虚の…
それを見た瞬間、私の心には絶望が押し寄せた…
私のせいだ…私が強ければ、彼女は死ななかった。
…ざけるな…
なんで彼女が…死ななければならない!!!
「ふざけるナァァァ!!!」
私は自分に対しての怒りで、そう叫ぶ。そして、無我夢中で斬魄刀を振る。その攻撃は、虚の身体を切り裂く。
「何故ダァ!!!何故、彼女が死ななければならない!!」
虚が攻撃してくるが、物理攻撃なら複写でき、それを利用して攻撃する。
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇ!!!」
私の身体はボロボロだった。しかし、それは奴も同じだった。自分でも驚いた。ここまで身体がすんなり動くのは初めてだったからだ。
「殺す…」
私はそう言うと、自分の空間を切り取り、奴の後ろに復元させ斬りつける。しかし、奴もその事を読んでいたのか、私の方に振り向き、私の肩に噛み付く。
私に噛み付くと、虚の身体がみるみる膨張し始める。まさか!私はなんとか離脱しようとするが、身体の無理が祟ったのか動けなかった。そして、私は爆発に巻き込まれた。
私が目を覚ますと、そこは、四番隊の隊舎だった。
「目が覚めましたか?」
私がベットから起き上がると、そこには、四番隊隊長、卯ノ花烈が座っていた。
「はい…お陰様で、ありがとうございます」
私は、卯ノ花隊長にそう言いながら、頭を下げる。
「いえいえ、それが私達の仕事ですから…まだ、傷が完全に治った訳ではありません。ゆっくり休んで、万全の状態になってから退院してくださいね」
卯ノ花隊長はそう言うと、部屋から出て行った。
そして、数日後、私の十二番隊の移籍がけっていされた
なんか思ったより欧許君強くね?書いていた作者も、確認で読んでいて唖然とした。おい、こいつ本当に戦闘能力低いのかよ…