第六特異点F 聖杯戦争都市 冬木   作:ミーラウ

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会議

―カルデア 会議室―

 

「それではこれより第一回カルデア緊急会議を始めたいと思う」

 

 会議室には先日の襲撃による被害を免れたアルトリア(剣)、クー・フーリン(槍)、エミヤ(弓)、メドゥーサ、メディア、小次郎、イリヤとマスターである俺、フジマルとロマン、ダヴィンチちゃんが集まって会議が開かれていた。

 

 と言うのも先日のRの襲撃によりマシュを始めとするサーヴァント大半の消失、それに伴うカルデアの戦力の大幅低下、それに加えて新たな特異点の出現と、一気に問題が出てきて、これは何かしらの対策を練らなくては! ということになりこの会議が開かれることになった。

 

重苦しい空気の中、一番前に座っていたロマンが事態の説明を始めた。

 

「皆も知っていると思うけど、先日の襲撃の後に新たな特異点が観測された。時代は2011年。場所は日本の冬木市。――いや、特異点Fと言ったほうがいいかな」

 

「特異点F…」

 

特異点F。この聖杯探索(グランドオーダー)の始まりの地。そして所長と最後に過ごした場所でもある。

ここは今までに二回訪れた事がある、俺達にとっても因縁浅からぬ場所だった。

 

「今回はこの特異点Fにレイシフトしてもらう。といっても前回のように炎上したりはしていないから、そんなに手間取りはしない筈だ。…多分」

 

ロマンの少し不安そうな顔にこちらまで不安になってくる。しかし、そんな表情はすぐに消え、話は次の話題えとシフトした。

 

「全員モニターに注目してくれ」

 

 ロマンはそう言って、手に持っていたリモコンを操作してモニターに一枚の画像を写し出す。

写し出された画像に写っていたのはカルデアから消失する寸前のRの姿だった。

 

「先日カルデアに襲撃を仕掛けた張本人、Rだ。まず、彼――いや彼女の正体は皆も知っている通りこのカルデアの所長、オルガマリー・アニムスフィアだ」

 

ロマンが沈痛な面持ちで話す。そんなロマンに向かってエミヤから一つの質問が飛んだ。

 

「待った。君が言っているそのオルガマリーだが、その人物は私達がここ召喚される前に死んでいると聞いている。ならば、何故死んだはずの人物がカルデアに襲撃を仕掛けてきたんだ? そもそもその人物は本当にオルガマリー所長なのか?」

 

 この発言に周りのサーヴァント達もうんうんと頷く。この件については俺も同じ疑問を持っていた。

 

 あの時。特異点Fで所長はカルデア爆破事件の犯人であるレフ・ライノールに確かに消滅させられた筈だ。

なのにその所長がこのカルデアに現れ、襲撃してきたとなれば誰もが『この所長は偽者なのでは?』と考えるだろう。

短い沈黙の後、ロマンはおもむろに話し始めた。

 

「――結論から言おう。彼女は正真正銘、オルガマリー・アニムスフィア本人だ」

 

「ほう。では彼女が本物であるという根拠は?」

 

「根拠はこれだ」

 

そう言ってロマンは二枚の紙を取り出し、机の上に並べた。

二枚の紙は何かの成分表のようなものになっており、よくわからない物質名が羅列されていた。

 

「これは事件の後に襲撃された場所から採取された髪の毛のDNA鑑定をした結果のグラフだ。このグラフとカルデアに記録されていたマリーのDNAと照合した結果、完全に一致した。つまり彼女は正真正銘、オルガマリー・アニムスフィア本人だ」

 

「そうか…遺伝子が完全に一致しているとなると、本物だと言わざるを得ないな」

 

エミヤは少し残念そうな顔でそう返答した。

すると、先程まで沈黙を貫いていたクーフーリンが会話に割り込んできた。

 

「へっ! あの嬢ちゃんがどんな奴だろうが俺たちの敵だってことには変わりねぇんだ。俺にとってはどうでもいいことだぜ」

 

「然り。拙者たちは主どののサーヴァント。故に相手がどのような者であろうとも拙者たちは全力で相手をうち果たすのみでござる」

 

「…うむ、まぁそうだな。彼女の思惑がどうであれ聖杯を使って特異点を作ったのならば明確な我々の敵だ」

 

エミヤたちが言っていることは正論だ。

彼女は聖杯を使い、特異点を作り出した。その時点で彼女は完全に俺達の敵だ。

 

だが。

俺は所長を倒すことに何とも言えぬ嫌悪感を抱いていた。

 

「それで次の問題だが、彼女が持っていたあの鎖だ」

 

そんな俺をよそにロマンは会議を進行させる。

次の話題になったのは所長が襲撃時に持っていた鎖についてだった。

 

「あの時撮影された映像から鎖を解析しようとしたんだが、全く上手く行かなかった。彼女の宝具なのか、そうじゃないのか。正体は全く分からないままだ」

 

「ふむ…そうか」

 

エミヤは残念そうな顔でそう返した。

 

「…うーん、取り敢えずこれで今回の議題は終了かな。じゃあこれで今回の会議を―――」

 

「ちょっと待ったー!!」

 

ロマンが会議を終了しようとしたその時、会議中は全く喋っていなかったダヴィンチちゃんが突然待ったをかけた。

 

「…いきなり何だねダヴィンチ女史?何か話でも?」

 

呆れた顔でエミヤが尋ねると、ダヴィンチちゃんは満足そうな顔で話し始めた。

 

「フッフッフッ…よくぞ聞いてくれた!実はだね、新しい魔術礼装を開発したんだ。まぁ、今回の礼装はサーヴァント専用なんだけどね」

 

「…ほう?」

 

興味を惹かれたのかエミヤは眉を吊り上げ、腕を組んで話を聞く。

 

「それじゃ、新しい魔術礼装のお披露目といこうか!」

 

そう言ってダヴィンチちゃんが取り出したのは何枚かの古びたカードだった。

表面には英霊のクラス名とその象徴である絵が描かれており、一見すると何の変哲も無いただのカードだった。

が、それを見た瞬間にイリヤが突然大きな声を出した。

 

「――あー! それって!」

 

「フッフッフッ、イリヤちゃんは知ってるだろうけど、このカードはただのカードじゃない! 何しろ、英霊の力を秘めた凄いカードだからね!」

 

「なっ…英霊の力を秘めているだと!? どういうことだ!?」

 

「良い反応だ! よろしい、説明してあげましょう! このカードはクラスカードと言って、使用すると自分自身の体を触媒にして英霊の座にアクセス、そして本質を座にいる英霊と置換するんだ。まぁ、要するに、使うと英霊の力を借りる事が出来るカードってことだね」

 

ダヴィンチちゃんは簡単に言っているが、結構とんでもないことをやっている。その証拠にエミヤが呆然とした顔で固まっていた。

 

「な、なんてとんでもないもの作ってるんだ!? と言うかどういう経緯で作ったんだ!?」

 

「いやー、それが偶々と言うかなんと言うか。実は前にイリヤちゃんがこの礼装の話をしてくれて、それがきっかけで作ってみたいなーと思ったんで、クロちゃんに頼んで、体の中にあるクラスカードを調べさせてもらって、そのデータを基に作ってみたんだ」

 

「……はぁ、君は本当に毎回とんでもないことをしでかすよね」

 

「…心中、お察しするよ。Dr.ロマン」

 

やれやれという感じで頭を抱えているロマンをエミヤは同情の目で見ている。

そんなロマンをよそに、ダヴィンチちゃんは得意気に胸を張ってドヤ顔でこちらを見ていた。

 

「…取り敢えず今回の会議はこれで終了とさせてもらう。この後、3時間後にレイシフトを開始するから、各員準備しておくように。あと、ダヴィンチちゃんは後で医務室に来るように。では、解散!」

 

その声で皆席から立ち上がり、会議室を後にしていく。

 

いよいよ特異点探索が始まるのだ。

待っていてくれ、マシュ、皆。必ず助け出してみせる。

そう固く誓い、俺は会議室を後にした。




ということで今回は準備回です。
今回出てきたサーヴァントカードはプリヤに出てきたあれと全く同じものになります。使用者はほとんどイリヤになりますかねー。
次回はいよいよレイシフト回!
懐かしのあの人が出てくる…?
ではまた次回!
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