第六特異点F 聖杯戦争都市 冬木   作:ミーラウ

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離れ離れの森

―カルデア 管制室―

 

「よし、全員揃ったみたいだね」

 

 ロマンが人数確認を済ませ、職員たちを配置に着かせる。

いよいよだ。何度もレイシフトを経験しているが、この瞬間だけは慣れない。

心臓の鼓動が早くなり、呼吸が荒くなる。初めの頃から比べれば幾分かマシにはなったが、やはりこの瞬間は恐怖心が出てきてしまう。

しかし、そういった感情をすべて押し殺して気持をリセットする。

カウントダウンが始まった。三秒後に俺は特異点Fにレイシフトする。

 

「3、2、1、0、レイシフトスタート」

 

瞬間、俺の意識は浮遊感と共に暗闇に消えた。

 

―――――――

「……ん」

 

 暗い。目が覚めた俺が最初に抱いた感想はそれだった。

 

「ここは……?」

 

 取り敢えず自分が何処にいるのか知るため、月明かりを頼りに周りを見回してみる。

周りには鬱蒼とした森が広がっており、灯りは全く無い。

どうやら俺は何処かの森にレイシフトしてしまったようだ。

周りを警戒しながらどうしたものかと思案していると、前方からかすかに見覚えのあるシルエットが二つ、こちらに向かってくるのが見えた。

 

「あん? ありゃマスターじゃねえか?」

 

「何!?…! マスター! 無事か!?」

 

「エミヤ! クー・フーリン!」

 

こちらに歩いて来たシルエットの正体はエミヤとクー・フーリンだった。

取り敢えずこれで突然敵に襲われても対処出来そうだ。

と、そこで気になったことを聞いてみた。

 

「そういえば、イリヤやアルトリアたちは? 一緒にレイシフトしてきたんじゃないの?」

 

「あぁ、そうだ。本来なら全員が同じ場所に転送される筈なのだが、トラブルか何かで皆バラバラになってしまったようだ」

 

「そっか…」

 

「まぁ、恐らく全員それほど離れてはいない。そのうち合流出来るだろう。それよりも今はロマンと連絡をとってここが何処かを把握するべきではないかね?」

 

「そうだね」

 

俺はエミヤの提案に賛同し、カルデアとの連絡を試みた。が、何度試しても繋がる気配は無く、只々時間が過ぎていく。そんな状態に業を煮やした俺は取り敢えず周りを散策してみることにした。

 

「―――それにしても、何処もかしこも同じ様な木ばっかりで迷いそうだ」

 

「あぁ、そうだな。先ほどから暫く歩いているが、まだ森が続いている。どうやらここはかなり広い森のようだ」

 

「あーあ、こりゃあ、あいつら探すのも骨が折れそうだぜ」

 

そんな会話をしながら散策していると、エミヤが遠くに何かを見つけた。

 

「ん…? あれは……人間だ! 人間が多数のサーヴァントに襲われている!」

 

「何だって!? 急いで助けなきゃ! クー・フーリン!」

 

「おうよ! しっかり掴まってろよ!」

 

俺は彼の肩に手を回し、しっかり掴まる。それを確認した瞬間、クー・フーリンはとてつもない速さで移動し始めた。

全身にとてつもない風圧が掛かるが、魔術礼装のお陰でかなり弱まっているので気にする程では無い。そうして、数秒の内に目的の場所に着いた。

そこでは一人の青年が黒いローブに身を包んだサーヴァントたちが襲われそうになっていた。

 

「コイツは…! ハサン!? どうして――いや、考えるのは後だ。ランサーは右の二体を! アーチャーは遠くにいるあの三体をたのむ!」

 

「おうよ!」

 

「了解!」

 

 指示を受けた二人はすぐさま行動を開始する。

まず、ランサーは青年に気を取られ完全に無防備だった一体にローキックをかます。そして、続けざまに他の一体を手にした朱槍で貫いた。

青年を取り囲んでいたハサンは突然の襲撃に反応出来ずに一瞬でランサーに掃討される。

一方、アーチャーはハサンたちとの距離を一瞬で詰め、一番近くにいた一体を手にした中華剣で切り裂いた。その光景を目の当たりにした他の二体はすぐにその場から逃げようと飛び上がるが、時すでに遅し。アーチャーが投擲した二刀に切り伏せられ消滅した。

 

「…よし、終わったみたいだ。お疲れ様、二人とも」

 

「おう、お疲れさん。にしても随分と貧弱な奴らだったな。」

 

「あぁ、不意をつかれたにしてもかなり反応が鈍かったな。それに様子も少しおかしかった。まるで操られているような…」

 

「ちょっ、ちょっとあんたたちなんの話してるんだ?」

 

ハサンたちについて話していると不意に後ろから声を掛けられた。

振り向くと先ほどハサンたちに襲われていた青年が困惑した様子でこちらを見ていた。そういえばすっかり青年のことを忘れていた。取り敢えず怪我はないかを聞いて、その後にこの青年をどうするかを決めよう。そう思い俺は質問をした。

 

「あ、すいません、気にしないでください。それよりも大丈夫ですか?怪我とかしてません?」

 

「あ、あぁ。あんたたちが助けてくれたお陰で怪我はないよ」

 

「そうですか。なら良かった…」

 

俺はホッとして胸を撫で下ろす。真っ暗なので青年の顔はよく見えないが、笑っているようだ。

 

「あ、そういえば自己紹介をしてなかったな。俺は衛宮士郎。助けてくれてありがとな」

 

「な―――!」

 

「エミヤ…? それって、もしかして――」

 

「……なんでさ」

 

俺たちの特異点探索は思わぬ人物との邂逅から幕を開けた。




どうも皆さまミーラウです。
いやーついに始まりますねーぐだくだ明治維新!
始まるの中旬とか言ってたのに全く中旬じゃなかったですね。
今回も茶々の宝具Lvを5にして、再臨素材もゲットして終了したいです。
さてさて、本編では士郎が登場。
この士郎はロンドンの時計塔を出た後の士郎になってます。もしかしたらあのあかいあくまも出てくるかも?
ではまた次回!
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