英霊―――アルトリア・ペンドラゴンは焦っていた。
戦況は五分五分。いや、数で有利な分、ハサンたちに分があるというべきか。
彼らはアサシンとはいえど、れっきとしたサーヴァントの一人。大人数でかかれば、少数のサーヴァントなら倒せるほどの力を発揮できる。
特に彼らのコンビネーション能力は目を見張るものがあった。
「シャアッ!」
「くっ!」
絶え間なく襲い来る無数の暗殺者たち。
敵に休息の隙など与えまいと、影の英霊たちは次々とアルトリアたちに襲いかかる。
見事なほど統率のとれた高速のヒットアンドアウェイ戦法によって、最初は拮抗していた戦況も気づけば二人の劣勢という形に変わっていた。
一度傾いた戦況をもう一度傾けるというのは難しい。ましてや、相手がサーヴァントとなれば尚更だ。
どんどん自分たちが追い込まれていくのを感じながら、アルトリアは尚も必死に戦いつづける。
いつか救援が来てくれると信じて。
しかし、その希望を打ち砕くようにアサシンたちの攻撃は苛烈さを増していく。
「キャッ!」
「イリヤさん!」
「イリヤスフィール! ぐうっ!」
そしてついに終わりの時がやってくる。
アサシンたちの攻撃に耐えきれなくなったイリヤスフィールが膝をついてしまった。
こちらの魔力はあと僅か。もうイリヤスフィールには魔力障壁を張る魔力も残っていない。
彼女を助けに行こうとしても、他のアサシンがそれを許さない。
まさに四面楚歌。
どうあがいても助かる道が見つからない。
もはやここまでか―――と、諦めかけたその瞬間。
とてつもない速さで森の奥から二つの人型がこちらに突っ込んでくるのが見えた。
「オラァ!」
人型の内、一つが勢いそのままに襲いかかろうとしたハサンへ飛び蹴りをぶちかます。
飛び蹴りをモロに食らったハサンは数メートルふっ飛んだあと、静かに消滅した。
突然の襲来にアサシンたちは様子を伺う。だが、そんなことは気にも止めず、二人の襲撃者の一人が口を開いた。
「ふう、二人とも無事みたいだね。良かった良かった。立てる? イリヤ」
アルトリアたちの様子を見て、ホッと安堵した表情をみせたのは、彼女たちのマスターだった。
「なっ、マスター!?」
「マスターさん!? なんでこんなところに!?」
こんな激戦地に姿を現した自らのマスターに驚愕するアルトリアたち。
こんなところに居ては真っ先に狙われるのは必然だ。
そんな危険を冒してまでここに現れた理由を、彼は涼しい顔で口にした。
「だって、二人が心配だったから」
アルトリアは絶句した。
何を言っているんだこのマスターは。
「ははっ、驚いたか? 最近来たお前さんたちは知らなかったかも知れんが、こいつはこういう奴なんだよ。自分の危険を顧みず、人を助けようとする究極のお人好し。それがこの"藤丸立香"だ」
呆然としていた二人にもう一人の襲撃者―――クーフーリンはそう声をかけた。
……なんて馬鹿なマスターなんだ。
彼はマスターの役割というのをわかっているのか?
なんだか呆れを通り越して笑いすらこみ上げてくる。
でも―――
「――悪くないですね」
たまには、こういう馬鹿なマスターもいいかもしれない。
「マスター」
「なに?」
「勝ちましょう。この戦い」
「…おうとも!」
聖剣を強く握りしめ、大地を踏みしめる。
魔力は十分、気持ちも万全。
今の私は今まで以上の戦いを繰り広げられるだろう。
今こそ形勢逆転の時。
「さぁ、決着の時だ!」
聖剣に選ばれし騎士王は高らかにそう宣言し、反撃の狼煙を上げた。
どうも皆さん、ミーラウです。
リアルの都合、イベント周回、その他諸々の事情で執筆出来ない状況が続き、気づけば投稿するのにかなりの間が空いてしまいした。
今後も不定期ではありますが、書きつづっていきたいと思っているので、お付き合い頂ければ嬉しいです。
さて、話は変わって本編。
今回からアルトリアとイリヤが合流して、合計4人のサーヴァントが集まりました。
え? エミヤと士郎はどこに行ったって?
それは次回のお楽しみです。
ではまた次回!