「あれは・・・」
雪ノ下雪乃の目線には、スーツの上に白衣を着た女性がいる。
「ああ、俺も大分解ってきたぞ。あれは独身のフレンズだろう?」
「あ、貴方!?今なんてことを・・・!?」
雪ノ下雪乃が、世界の終わりを予知した預言者の様にガタガタと震えだした。
「え?だから独身のフレンズって・・・ん?」
「おい、今誰か独身って言わなかったか?」
まるで、ヒグマの様な威圧感を出しながら、白衣を羽織った女性が迫ってくる。
「か、彼女は教師のフレンズ、平塚静先生よ。結婚できない事を気にしているから、独身なんて言ったら最後、彼女を止めれる者はいないわ。早く逃げるわよ!」
「お、おう!」
「独身、独身って、いい加減にしろ!!!オラァ!!!」
平塚先生が、もの凄い気迫で迫ってくる。
「おい、逃げ切れるのか!?」
「ええ、大丈夫よ。平塚先生はヘビースモーカーのフレンズだから、すぐに息切れを起こすわ」
「そ、そうか。ん?息切れ?」
「ぜぇ、ぜぇ、ごほっ、ごほっ」
「お前も体力ないんじゃないのかよ!?」
走り始めて数秒。雪ノ下雪乃が既に息切れを起こしていた。
まずい、これは絶体絶命。
「くっ、平塚先生は!?」
「はぁ、はぁ、くそ、逃げるなお前ら・・・うぐっ」
息切れを起こしていた。
「お前らなぁ・・・」
息切れを起こした雪ノ下雪乃を抱えて、なんとか前に進む。
身体が密着するせいで、雪ノ下の胸が腕に当たってしまう。
小さめだった。
「うっ、まさか貴方とこんなに密着するなんて、屈辱だわ」
「じゃあ、置いて行っていいか?」
「それは嫌よ」
意外とワガママな雪ノ下雪乃であった。
「あそこよ、あの木まで行くのよ」
「木?わ、わかった」
雪ノ下に言われるまま、近くの木へ向かう。
「さぁ、木に登るのよ。早く!」
「は!?木に登る?」
「木に登って、平塚先生の怒りが収まるのを待つのよ!」
雪ノ下は枝を伝って、木を登っていく。
「お、おい。お前」
「何かしら、早く上りなさい」
「いや、その制服で木に登ると、パンツが見えるぞ」
「はっ・・・!?そんなところを見ているなんて、貴方は変質者のフレンズなの?気持ち悪いわね」
木から飛び降りる雪ノ下雪乃。
「貴方が先に登りなさい。早くしなさいよ、まさか木も登れないの?本当に何も出来ないフレンズなのね」
「わかったよ」
雪ノ下に「早くしなさい」とぺちぺち叩かれながら、俺は木に登る。
俺に続いて、雪ノ下も木の上へ登った。
「ふぅ、これで一安心だな」
「まだよ、木にしっかり捕まっていなさい」
「え?なんでまた、うぉおお!?」
ドン、という音と共に、木が大きく揺れる。
平塚先生が、木を拳で殴りつけているのだ。
「あ、危ない!!!」
落ちそうになった俺の手を、ギリギリの所で雪ノ下が掴む。
「うぅ・・・」
だが、雪ノ下の力では、いつまでも俺を掴んでいる事は出来ないだろう。
「雪ノ下、俺の事はもういい」
「それもそうね」
「いや、切り替え早すぎでしょう?少しは躊躇するとかしないんですかね」
雪ノ下は、あっさりと俺を手を離す。
大した高さじゃないので、落ちても大した事はなかった。
ちなみにこの後、平塚先生にめちゃくちゃ怒られた。