いい朝だ、いつも提督の朝は早い。
今日の起床時間は午前4時、そして朝起きて準備運動をして鎮守府の本館の外周をてきとうにランニングする。
軍人の性なのか朝から運動をしなければなんだか気持ち悪くなる程度には習慣になってくる。
ランニングを軽く流した次は筋トレだ、ちょうどいいことにこの鎮守府には訓練室がある、これは昨日鎮守府にある施設を一通り見て回ったから覚えている。
訓練室には軍人目線で俺が見ても満足するほどに器具が揃っている、艦娘目線からすれば使うかどうか怪しいところだが、まぁ深く考えるのは面倒なのでここでも軽くトレーニングをすませる。
移動時間を考えなければランニングとトレーニングで一時間だ。
さらに訓練室の近くには剣道場に弓道場もあった、さらには射撃場も…、弓道場ならまだわかるが他のは艦娘には必要あるのかと首を傾げるが…剣道は趣味でやらないとも言えないが射撃は…?
まぁあるに越したことはないのでそれぞれでまた適当に体を動かすことにした。
さすがに一日程度では体は鈍らないだろうが安心できる要素が増えるならそれが良いだろう。
さてすべての朝練が終えたところで時間は午前7時、三時間しか訓練をしてないが今は上官も上司もいない、自分のペースで良いだろう、それにこれからは自分で朝食を作らねばならない今から作り始めたとしては朝食としては遅いだろうが誰も咎める者はいない、イメージとして頭に浮かぶのはニートという単語だがこれは仕事なんだと言い訳をしておこう、それを咎めるものはいないのだから。
さて、今日は朝食が遅れてしまっているし簡単なものですませるしかないが…やはり朝食で簡単なものと言えばトーストか、パンをトースターで焼くだけの簡単な料理だ後はパンにバターやらジャムやらを塗りたくる作業もあるが細かいのは考えなくても良いだろう、パンもバターもあることは昨日で確認済みだトースターがあることも勿論確認した上での判断だ。
早速パンを取りだしバターを塗る、そう言えば切れ込みを入れておくと柔らかくなると聞いたことがある、物は試しにと包丁を取りだしパンに切れ込みを入れ折角だともう一度バターを塗る。
そしてトースターにパンをぶちこみ後は見守る、久し振りにトーストを作るから見続けなければ不安になってしまう、そうトースターはしっかりと焼けたことを知らせてくれるがなんだが側にいないと聞きのがしてしまいそうで不安になるのだ。
「なにせトーストどころか料理も久しぶりだからなぁ」
思えば俺は提督になる一週間ほど前まで一年間にも続く遠征に出ていた、その遠征の間まともな飯は当たり前に食べられず旨くなるように改良される一昔前の栄養だけを考慮されたくそ不味いレーションで飢えを凌いできていたしそのレーションでさえ毎日三食なんて食えるはずもなく一日二日飲まず食わずなんてのも当たり前だった。
正直なところそんな遠征は地獄だったし、超弩級の危険地帯が遠征先だったので毎日生きた心地がしなかった、まぁその時の指揮官の人がが優秀な方だったから奇跡的に重傷者はいても全員五体満足で死傷者はゼロだった、部下を捨て駒にする奴が指揮しているんだったら、一年もかからなかっただろうが自分の同期も参加していたのであの指揮官には本当に感謝してもしきれない、だが地獄だったことには変わらず思い出しただけでも涙がこぼれやがる…。
俺がそんなことを考えているとトースターが「チーン」と焼きあがったことを俺に知らせてくれた、タイミング的には俺に手でも合わせてくれたのかと思うほどだったが…、まぁ何はともあれ無事に焼けたトーストを口に含み噛みしめ味わう、昨日も思ったがやはり飯を食べると生きているんだと実感できる、それに俺が作る料理とも呼べない拙い料理を美味しく感じれるのはあのレーションのお陰だろう、あの地獄の日々は良くも悪くも少なからずこれから暫くの間の俺の生活に影響を及ぼすだろう。
さて飯を食べ終わって気づいたが俺は訓練をした後風呂にはいるのを忘れていたために少し汗臭い、この程度俺は気にしないが今は戦場ではないしいつでも入れるのだ、ならば入るに越したことはない。
それに昨日は自室の備え付けの風呂に入っていたので鎮守府本館の大浴場は未体験なのだ。
一応男湯女湯には別れているがこれからも男湯に入るのは俺だけだ、つまりは大浴場を毎日貸切状態、これはもう入るしかないだろう。
何を隠そう俺は元々風呂は好きな方なのだそれも当然と言えば当然、今は違うとはいえ軍に入るよりも昔は元の平和な世界で暮らしをしていたからには日常生活は嫌でも好きになる、生きているだけで死ぬ危険が無い生活を一部を除いて多くの軍人は欲しがる、そうでなければ軍に所属してまで平和な世界を求めたりはしない。
少なくとも俺はそう思っている。
まぁ今はそんな御託はいい、さっさと風呂に入るとしよう。
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風呂に入ってだいぶさっぱりして最高に気分がいい嗚呼日本人とは斯くあるべきだ。
まぁいい、さてこれですることがなくなってしまった、別にこれから訓練を再開しても良いが風呂に入った直後には流石に勘弁したい何故にさっぱりして気分がいいというのにまたべたべたした一日を過ごさなければならない、訓練を再開するにもあと一時間はゆっくりしたい、今の俺を上官が見れば俺の首をネジ切る勢いで顔を叩かれるが今はいない、いない者にとやかく言われる筋合いはない。
そのとき俺に電流が走る、引っ越した者にはやらなければならない日本人の道徳心的儀礼があることを思い出した。
そう挨拶回りだ、日本人は新しい土地に来たのならば最低限隣人には挨拶するのが常である、これを怠った場合隣人どころか奥方様の井戸端会議からどんどん人に伝わっていって地域から除け者にされてしまう場合がある、勿論考えすぎなのは理解しているが悪事千里を走るとはよく言ったものだ、いつかは上司共に悪評が伝わってしまうだろう、すると俺は提督として適任してないと判断されこれからの自由な生活が失われてしまう、いつかは無能だと判断され解任されるにしても今ではない、できるだけ長い間提督を続けたいそれこそ艦娘に会うまでは!
俺はささっと身だしなみを整え提督としての制服を見にまとい出発の準備を整え自前の車に乗り込んだところで気づいた。
「挨拶回りには土産持参だったー!」
そう引っ越しと言えば引っ越し蕎麦、これは古臭いがちゃんとした日本人らしい理由があるが、蕎麦じゃないにしても何かを持参しなければならない。
せめてなにか町の人に何かしら好印象を持たせるような持参品だ、俺はこういうものは一度もしたこと無いがやはり無難なものが良いだろう、そうだな俺が貰って嬉しいもので考えてみようそしてそのなかでも世間一般として喜ばれそうなものを選べ、そしてその中から鎮守府にあって配れそうなほどあるものと言えば……米?
そうだな米が無難か、日本人の主食は米だし食料は明日を生きるための糧になる、俺ならば貰って嬉しくないなんてとうてい言えたものではない。
早速俺は本館と車を数周して米を車の荷台に積めた。
勿論未開封の袋のままだ。
「それじゃ、出発するか」
一人でバタバタやっていたが、まぁこれはこれでいいものだまさにやっと独り暮らしを始めることができて慌てながらも楽しんでいる高校生のようだ。
若く見られるのは嫌いではないしそもそも若い、落ち着きの無い高校生と言われたら流石に気にはするだろうが怒りはしない、その程度の分別はわきまえている高校生上がりの大人見習いだと自覚していた。
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さてと町に到着したな、一番近くの町に来るには片道車でおよそ20分ほどだった正確にはもう少し短い距離なのだろうがどちらにせよ遠いか近いか微妙な距離だ。
さて早速だが手当たり次第に近くの家から…家は限りなく多いしお世話になりそうな店とかに挨拶をしていくことにしよう。
せめて詰め込んだお米をすべて配るまでは帰らないでおこう、できるだけ多くの店に顔を売っておきたい、軍人としてではなく一般人として関わりたかったがいつかはばれるのでそうもいかないからな。
この町はなかなか栄えているようだ、近くにはデパート等もあるし若者向けのカフェなども営業している、しかしその傍ら昔ながらの商店街もデパートに負けず劣らず盛況らしいなんとも不思議な光景だが個人的にはデパートも商店街にもどちらにも良いところがありそのどちらのいいところが好きなので大変嬉しい。
だが、今回は挨拶回りに来ているのでデパートでは無理だろうし顔を売るには商店街のほうが適している、迷いなく第一週目として車から五、六袋米を持って歩き始めることにした。
米をすべて配り終える頃には日は傾くどころか既に沈みかけていた、話したがりなおばさんを始めいろいろと話し込んだせいで米の数に見合わない時間を使ってしまったようだ、近くの自販機から珈琲を買って飲み始める無糖も嫌いではないが今は微糖の気分だ。
今度は休日にでも町に来てみよう、今日は一応引っ越しの挨拶回りとしてきたがそれでも提督として、仕事として近隣住民の信頼を得ようとして来たのだと捉えられてもおかしくないだろう、そう思うのが自然だし当たり前だ、だから次に来るのはこの提督の服ではなく私服を着てまだ行っていないデパートに行くのも良いだろう。
飲み終えた珈琲をゴミ箱にぶちこんで車を発進する。
今日は後は鎮守府に戻って寝る準備をしてそのまま寝るだけの簡単なお仕事だ、提督としての仕事は出発前に確認しておいた、やはり今日もなかったし言ってしまえば艦娘が着任するまで俺は休日だ、強いていうなら俺の仕事は鎮守府の管理人だ、掃除したり中庭に植えてある木や草花に水を与えたりだ。
それもすべて既にこなしている、水を与えるのはランニングついでに、諸々の掃除は朝食を済ませ風呂に入る間に済ませている。
俺は頼れる上司として艦娘に会いたい、間違ってもクソ提督とか言われたりして無能っプリを晒す駄目な上司になんかなるきはない、無いったら無いのだ。
以前艦娘はいないもよう
提督は車を二台所有しており一台は私的用、もう一台は少し大きめの仕事用です。