とある鎮守府のとある提督の   作:黒羽 暇神

4 / 5
やっと初めての艦娘が増えましたね、やっとと言うほど長くはないと思うかもしれませんが、私としては長かったのです。


第四話 初めての艦娘が着任しました!

今日の提督の朝は少しだけ違った、違いとはランニング途中にきた、鎮守府宛に届いた手紙が来たことである。

ついに手紙!、これはもう新しい艦娘が来るってお知らせじゃないか!、いやまて判断を早め決めつけてしまえば判断と違ったときに対処が遅れてしまう、ここは一度深呼吸をして落ち着くべきだ。

 

よしオーケー落ち着いた、この手紙は艦娘ではなく異動の可能性も無いとは言えない、そんなときに艦娘がなんだと期待していれば心的ダメージは酷かったはずだ、ではこの手紙は朝風呂を終えてやることをすべて済ませたあとに執務室でゆっくりと拝見させてもらおう。

俺は提督だから仕事は執務室で実行するのが様になるってものだし、何よりも手紙ってことは電話よりも重要度は低いってことだろうしな。

ひとまずは朝の日課を済ませてしまうが吉だろう。

 

___________

 

さて日課を終えて風呂にも入った、しかも風呂ではいつもより念入りに体の洗浄を行っていたと自信をもって言えるだろう、やはり期待はそう簡単に引っ込んではくれないらしい。

 

今は執務室にいる、提督専用のデスクにデスクに腰掛けキメ顔を作っている途中だ、俺のキメ顔は世間一般に晒したこともなければ友人知人に曝したこともない、見せつけたあかつきには、『気持ち悪い』の皆からありがたい言葉を賜ることができるであろう。

まぁいい俺のキメ顔などどうでもいい俺は今現在俺が握っている手紙に用があるのだ。

この手紙は正真正銘大本営様から送られてきたものだ、ならば内容はどんなものか、まず俺個人にたいしての手紙では無いだろう、話題にあげられたとしてもそれだけだ、鎮守府関連で言えば一番好ましい内容は艦娘についての情報、好ましい無いようではない場合、資材や優先攻略海域の設定か?あなたの鎮守府はこの海域の攻略または防衛を優先してください…みたいなものか?

だが何であれ仕事には変わり無い、俺が所属してた部隊の目標?みたいなものにはこうある『自らの役目は失敗は死ね、成功は処罰、最高の結果で特別訓練対称』というものだ、つまりは成功では生温い失敗は言わずもがな、最高の結果で更にワンランク上の訓練内容を贈呈される、救いはなかった。

まぁそんなある意味でいい思い出は今は思い出さなくていい、何が言いたいというと思い付く限りの最高の結果以上を上官に提示しなければならないと言うことだ。

 

「何はともあれまずは中身を確認しないとだけどな~」

 

早速中身を確認、手紙の内容は簡潔にいうとこうだ。

 

『今日、艦娘をそちらに送りますので、準備だけしといてください、貴方でも準備くらいはできるでしょう?』

 

もっと細かく色々書いているが、延々と呪詛のように紡がれる俺宛の罵倒をここまで綺麗に纏められたのは褒められてもいいと思う、それに準備ぐらいできるだろとかあるけどこの鎮守府の維持しているのは俺だからね?しかもこんなに容赦の無い罵倒は上官殿が関わってるとしか思えない。

更に言えばこの手紙の艦娘がくる日程は今日だ、準備もクソもないだろうに、せめて明日なら町で茶菓子くらい買えただろうに、茶菓子は揃えてない俺のせいにしても当日に来る予定は完全にわざとだろう。

まぁ良い、ならば俺はできうる限り誠意を持って艦娘をお迎えしよう、執務室で待機するなんて言語道断、初めて入る建物に案内役も無しでは誠意を持っているとは言えない、だが、この手紙には日程は書いてあっても時刻は書いていない、これも上官殿の作戦だろう徹底的に俺を苛めにくるらしい。

 

「いいだろう、時間程度些末なことだ。俺が正門で待ち続けるだけさ」

 

今日は昼飯は抜く覚悟だ当然だ、昼飯を食べているときに来てしまったら俺は気づかずに正門に待機先に来た艦娘は執務室に到着できてももぬけの殻なんてことになりかねない。

それは避けるべきだよって俺はこれから正門にて待機する、なぁに一食抜くなど今更だ。

 

___________

 

さて現在時刻は午後二時を過ぎたところだ、やはりただ数時間立ち続けるだけなら書類仕事よりも遥かに楽だ、更に提督の制服の一部に帽子までついている、これはもはやヌルゲーだ。

それに昨日の電話番よりもあと少しで艦娘に会えると思うと昨日よりも遥かに有意義な時間を過ごしていると確信している、比喩ではなく実際に夢にまで見た艦娘だそれが現実になるそれを考えればこそ待つ理由こそあれば待たない道理もない。

恐らく今の俺は最高の笑顔を浮かべていることだろう、激戦区域の最中救助した避難民の女の子を安心させるために浮かべた時以来だ、あの時はあの女の子は俺の笑顔を見て安心してくれた頭を撫でるのは不躾だったがやってよかったと思っている、俺はあの安心した顔を守るために進んで命を捨てるような作戦に身を投じる理由が増えてくれたと考えている。

 

おっと、物思いに耽っていたようだ、よくよく考えてみるなら俺は上官だ安心よりも先に部下には頼られるべきでなくてはならない、もう少し引き締めた顔で臨もう。

 

「おや、あれは…?」

 

俺の視線の先には小さな人影が見えていた、町の人ではないだろうここに来る理由は少なくとも俺には見当たらない、ならばあれがこの鎮守府の記念すべき最初の艦娘である初期艦か!少しずつだが確かな足取りでこちらに近づいてきている、やはりこの鎮守府に向かってきている、今日は艦娘しか来る予定はないならばあれは艦娘だ心が浮かれすぎてヤバイ、ぴょんぴょんと心がウォーミングアップを始めてしまいそうだ、だが俺は頼れる上司になると決めたのだ無様な第一印象を与える気は元から無い、誠心誠意全霊をもって丁寧な対応を見せてやろう。

艦娘はもう目の前だ、この子は…第六駆逐隊の四番艦である電ちゃんか、端から見てわかるほどに緊張しているなよく見れば足も震えてしまっている。

ここはやはり頼れる上司でいこう、相手を怯えさせないようにやはりここは仏頂面よりも笑顔でいこう。

 

「初めまして俺の鎮守府にようこそ」

 

そして軽く頭を下げる。

どうやら電ちゃんは緊張がまだ解けずにわたわたしているようだ、だが考えてみれば上官に先に頭を下げさせるのは不味かった、ここは友好的にいこう。

手を差し出し握手を求める。

 

「これからよろしく、君の名前は?」

 

恐る恐るだが電ちゃんは握手に応じてくれた、そのタイミングて名前を聞いてみる、そう俺はまだこの子の名前を知らないのが普通だ、いきなり名前を言ってしまっても誤解を解く方法は思い付くが名前とは自分から言うことで自分という存在を証明できる、言い方はおかしいがとりあえずは名乗るという行為はとても大切なことなのだ。

 

「わ、私は…その、い…電、なのです!」

 

少しどもりながらもちゃんと言えている、なんだか凄く癒される。

まぁ次は落ち着かせるための行動だ子供と話すときは同じ目線で話せば結構分かってくれる、そのために俺は少ししゃがみ。

 

「よろしくな電」

 

言いながら頭を撫でる、人間は緊張したときに無意識的に体を触るらしい、落ち着かせるためにやったのだがいきなり初対面の人に頭を撫でられるのは当然気持ち悪いだろう…後で反省もかねて訓練の量でも増やしてみようか。

 

「ごめんな、いきなり頭を撫でて。気持ち悪かっただろ?」

 

そう言って俺は立ち上がり謝罪しておいた、これで後腐れ無いだろう、だが謝罪もなければ電は完全に怒るだろう今も顔を真っ赤にして今にも爆発しそうだ、体の震えはかろうじて押さえ込んでくれているのだろう。

やはり電は優しいらしい。

 

「ついてきてくれるか?鎮守府の案内もかねて色々と話でもしようじゃないか」

 

電は俺の言葉に頷いてちゃんとついてきてくれた、まだ本格的に嫌われてはいないらしい安心できた。

 

___________

 

人通りの鎮守府の案内を済ませたあと俺は電と共に執務室に戻ってきていた。

 

「凄く大きな建物だったのです!」

 

電もお気に召してくれたようだ、でも確かにこの鎮守府は大きいし俺は今でも本当にこんなに大きくて良いとかと思ったりもしたが大きすぎると寂しさも凄いんだよね、俺はあんまり気にしなくなったけど。

前の世界ではそうだった。

まぁそれは置いといて、執務室に来たからには書類仕事だ艦娘が来たときはとある手続きをすることにしているのだ、ソファに座っている電に書類とペンを渡す。

 

「これはこの鎮守府に所属しているって証明書だ、了承するならここに名前を書いてくれるか?」

 

元々電はここに所属するために来ているからか、俺の説明を聞いたあとすぐに名前を書き始めてくれた。

電の名前がちゃんと書いてあることを確認して、電にあるものを渡す。

 

「これはこの鎮守府所属を確認するためのバッチだ、人に見せれる場所ならどこにつけても良い、あともう一つは艦娘寮の電の部屋の鍵だ、てきとうに入り口から一番近い部屋だけど部屋変えたいならすぐに言うように」

 

これで一通りの手続きは終了だ正式に電が俺の鎮守府に所属していることになる、もし危害を加えようものなら俺が正々堂々と味方につくことができる、勿論だが破棄する決定権は電にあるけどな。

 

「さて、電も緊張しすぎて疲れただろう、夕食まで部屋でゆっくり休んでくるといい、夕飯は7時ぐらいに食堂に来れば用意しておくよ」

 

「ありがとうなのです、それではお疲れさまなのです司令官さん」

 

そう言って電は執務室を出ていった、遠慮しないところを見るにきっと本当に疲れていたのだろう、わざわざ遠いところまでご苦労様だ。

さて、俺はついに明日から仕事が増えるのだろう、だかそれも仕方の無いこと、むしろそれは苦ではない艦娘達の安全を思えばこそ苦だとは決して思ってはいけないのだろう。

まぁまずは夕食の時間まで訓練だ、きっと頭を撫でるのはこれから直らないだろうし直す気もない、だが反省はしておこう。

まぁ手始めに訓練のメニューを三倍に増やしておこう、その後に風呂に入り電が来るまでに夕飯を作る時間を確保するためにペースアップも考慮しなければならないから三倍は妥当だろう、さて始めるか…。

 

 

___________

 

「司令官さんに夕飯を作らせてしまい申し訳ないのです!」

 

電が息を切らせながら食堂に突入して謝罪を始めたのは俺が丁度夕飯を作り終えた頃だった。

作り終えた俺のカレーを見ながら本当に申し訳なさそうにする電は本当に申し訳なく思っているのだろう目に涙をためていた、正直飯を作ることは苦ではない、むしろ自分のスキルを高めることのできる絶好の機会だ、その事を素直に電に伝えておくことにしよう。

 

「えっと電、俺は別に気にしてないしなにかを作ることが割りと好きなんだよ、だから気にすんな、わかったらカレー食べて元気だせよ」

 

そう言って電に近づいてカレーを手渡す、手が塞がった電はまだ申し訳なさそうにしているので励ましを込めて頭を撫でておく、手が塞がっていれば反撃できまい。

 

「た、食べるのです!」

 

撫でられた電は顔を真っ赤にして近くの席に小走りで行ってしまった、どうやらまた怒らせてしまったらしい、明日の朝練を追加しよう。

さて電にカレーを渡してしまったので新しく自分の皿にカレーを盛り付けて電の前の席に座る、見ると電は俺が来るまで待っていてくれたらしいカレーには手をつけていなかった。

 

「先に食べててもよかったんだぞ?」

 

苦笑を浮かべながら訪ねてみると。

 

「一人よりも二人で食べたほうが美味しいのです!」

 

どうやら電はイメージ通りの優しい方らしい、「確かにな」と一言返しておいて手を合わせる、それを見て電もつられて手を合わせる。

 

「いただきます」「いただきますなのです」

 

そう言って二人ともカレーを食べ始める、やはりカレーは王道だ子供にも大人にも人気があり、それでいて栄養も自分好みに調節できる。

電も気に入ってくれたようだ。

 

「司令官さんは料理が上手なのです!」

 

「嬉しいことを言ってくれるね電」

 

そうして夕食は問題なく終了した。

だが食器を洗うときに頑なに電が洗うと意見をなかなか曲げなかった、更にはこれからも電が料理を作るとも宣言していた、別に拒む理由もないが自分の趣味としてやろうとも考えていたのであまり譲りたくはなかった、結局はちゃんと経験だと割りきって電に任せることにしたが、交代で俺にもやらせてくれと頼んでおいた、電は良くも悪くも優しい子なのでちゃんと了承してくれた。

 

「それじゃあおやすみ、電」

 

「お休みなさいなのです、司令官さん」

 

きちんと一礼して艦娘寮に入っていく電、と思ったが引き返してきた?

 

「し、司令官さんはどこで寝るんですか?」

 

さすがに艦娘寮では寝れないので本館の方だと伝えると電もついていくと言い出した。

予想するに一人で艦娘寮は寂しいのだろう、部屋の電気は関係ないが廊下の電気は消灯後はいちいちもう一度点け直さなければならない、つまりはスイッチまで暗闇を歩かなければならないのだ、確かに小さな女の子一人では怖いだろう。

仕方ないので了承することにした、別に来ても困ることはないなにせ部屋が余っているのだ、もしくは俺はリビングのソファで寝ればいい。

 

 

 

____________

 

「それじゃあ電はベッド使ってもいいから、おやすみ」

 

「へ?司令官さんはどこで寝るのですか?」

 

不思議そうにしている電に俺はソファで寝るということを伝えた。

 

「司令官さんがベッドを使ってくださいなのです!」

 

「いや、俺は何処でも割りと熟睡できる人だから…」

 

「そういう問題じゃないのです!電が気になるのです!」

 

「でも仮に俺がベッドで寝たら電はどこで寝るんだよ?」

 

「電がソファで寝るのです」

 

それは俺が気にするんだよね、うーん二人とも納得の終わりかたはないものか…。

ここは仕方ない…どうせ嫌われるならとことん嫌われることにしよう。

 

「電、ベッドにちょっと寝転がってみて」

 

「無理矢理押し付けようとしても駄目なのです!」

 

いいからいいからと、電を丸め込めベッドに促す。

そして電がベッドに収まってくれたところで俺もベッドに突入する。

電がなにか言おうと口をパクパクさせているが関係ないここは押しとおると決めたのだ、何かを言われる前に電の頭を胸に抱いて頭を優しく撫でる、もう片方の手では電の背中を一定の間隔で軽く叩いていく、小さな子供をあやすように静かにただただずっと優しく一定に、安心させるために優しく抱き止める、昔上官が俺にやってくれたように後輩が泣いているのを見て上官を思い出しながらたどたどしくやったように。

 

 

気がついたら電は寝息をたてていた、安心してくれたなら何よりだ、俺ももう眠い電には少し悪い気もするがこのまた抱いた状態で寝かせてもらおう、大きさ的にいい抱き枕だ。

 

「おやすみ、電」

 

そして俺も意識を手放すことにした。




電は緊張すると言葉がつっかえるのではなく早口になるってイメージがありますねー
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。