響け!オーボエカップル   作:てこの原理こそ最強

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第16話

 ー翌日ー

 

 みぞれの体調はすぐよくなって本人も大丈夫とのことだ。しかしオレはもうあの音を2度とみぞれに聞かせたくないと思った

 

 今日は気持ちを切り替え練習に臨んだ

 

 ♪〜♪〜♪〜

 

「はい、Lからのフォルテッシモ音が濁らないようにしてください!」

 

『はい!』

 

「スネアーはロールだらしなくならないように」

 

「はい!」

 

「では本日の練習はここまでにします。明日からはお盆休みに入りますがその後すぐ合宿です。体調管理にはくれぐれも注意して風邪など引かないようにしてください」

 

『はい!』

 

「ヘックシュ!!」

 

「注意してくださいね」

 

 \はははは!!/

 

「はい…」

 

 指導する立場の人が何やってんだか…

 

「では合宿の予定確認するからパートリーダーはいつもの教室に集まってくださーい」

 

 お盆か…

 

「みぞれはお盆どっか行くのか?」

 

「…特にどこも行かないけど」

 

「どっか行くか?」

 

「…行きたい」

 

「決まりだ!」

 

 休みに彼女とデート、充実してるぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー休みー

 

 せっかくの休みだしみぞれとデートをします!みぞれとデートをします!!大事なことだから2回言いました

 

「どこ行きたい?」

 

「ハルが行きたいとこでいい」

 

「そっか。室内入れるとこがいいよな…あっ!」

 

「…?」

 

 オレはいいところを思いついたのでみぞれの手を握り連れて行く

 

「…水族館」

 

「静かだし、涼しいし、いいだろ?」

 

「うん」

 

 チケットを2人分買い中に入る

 

「おぉ!」

 

「…」

 

 久々に来たけど案外イケるな!みぞれも目をキラキラさせている

 

 その後も水槽ごとに足を止め中を見ながら館内を楽しんだ

 

 帰りの電車はまだ夕方なためか人は少なかった

 

「今日は楽しかったな」

 

「うん」

 

「また行こうな」

 

「うん」

 

「合宿の準備できてるか」

 

「…まだ」

 

「手伝おうか?」

 

「大丈夫」

 

 そして今日はオレが降りる駅の方が先に来てしまう

 

「ホントに送らなくて大丈夫か?」

 

「…大丈夫」

 

「じゃあまた合宿でな」

 

「うん」

 

 電車の扉が閉まり発車する。みぞれはオレが見えなくなるまで手を振り続けていた。可愛かったです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー合宿日ー

 

 お盆休みはあっという間に終わり2泊3日の合宿が始まった

 ホールは広く充実した合宿になりそうだ!

 

 練習は着いて早々例のホールで行われるようだ。いつもの音楽室とは全然違うから自ずと興奮してしまう

 

 ガチャ

 先生がドアを開けて入って来た

 

「では練習を始める前に皆さんに紹介したい人がいます。どうぞ」

 

 ガチャ

 昇さんの声でドアが再度開きすごく綺麗な(みぞれには劣る←超バカ)女性が入って来た

 

「今日から木管楽器を指導してくださる新山 聡美(にいやま さとみ)先生です」

 

「新山 聡美といいます。よろしく」ウフッ

 

「木管!」

 

「よっしゃ!」

 

「超美人じゃん」

 

「さすが滝先生」

 

「えっ!そういうことなの!?」

 

 彼女さんかな?

 

「木管だって」

 

「…よかったね」

 

 あれ?みぞれさんご機嫌斜め…?

 

「午後は木管は第2ホール、パーカスと金管はこちらで練習します。新山先生は若いですが優秀です。指示にはきちんと従うように!」

 

「優秀だなんて、褒めても何も出ませんよ?」

 

「いえいえ、本当のことを言っているだけです」

 

「まぁ!滝先生にそう言ってもらえて嬉しいです」

 

 何これ、彼氏と彼女の戯れですか…?

 

「なになに!?」

 

「マジなやつ!?マジなやつ!?」

 

 先生たちの会話で起きたざわめきが収まるのは少し時間がかかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー夕食ー

 

 その後午前は全体、午後は指示があった通りに別れ練習をした

 ちなみに夕食はカレーだ

 

「いやーなかなかキツかったな」

 

「…そうだね」

 

「もう一回が何回続いたよ」

 

「10回以上かな」

 

「さすが滝先生が連れ来た人だよね」

 

「スパルタが2倍に…」

 

 テーブルを挟んで座っている来南先輩と美貴乃先輩も木管だから新山先生のスパルタ練習を共に乗り越えた仲間である

 

「先輩大丈夫ですか?まだあと2日ありますよ?」

 

「…ヤバいかも」

 

「これはこれで辛いね…」

 

「とか言いつつ練習こなす先輩さすがですよ」

 

 オレの最後の一言に笑顔が戻る先輩2人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー夜ー

 

 さすがに男女で同じ部屋になることはできなかったのでみぞれとは別々の部屋になってしまった

 

 みぞれから連絡があって今は外で得意の音ゲーをやっているとのことだったからオレはその隣でぼーっとしている

 

「…よく無音でできるな」

 

「…慣れれば簡単」

 

「それ音ゲーじゃなくね?」

 

「そう?」

 

 そんな会話をしていると襖のような扉が開く音がした。そこから出て来たのは黄前さんで手すりにもたれかかってイヤホンを耳にした

 

 ♪〜

 

 おいおい音漏れしてるぞ。ていうかこの曲…

 

 少しするとみぞれは手をとめ手すりの下の隙間から黄前さんの足をつつく

 

「ひゃっ!鎧塚先輩!と春希先輩」

 

「よっ」

 

「その曲やめて。嫌い」

 

「あ、すいません!」

 

 黄前さんはすぐ曲を止めてくれた

 

「先輩達はどうしてここに?」

 

「リズムゲーム。眠れないから…」

 

「その付き添い」

 

「どうぞ…」トントン

 

「はぁ…」

 

 そしてみぞれはオレがいるのとは反対側の椅子を叩きながら黄前さんを招く

 

「…」

 

 そして沈黙…

 

「ねぇ、コンクールって好き?」

 

「え?」

 

「私はそんなに好きじゃない。結局審査員の好みで決まるでしょ?」

 

「…でもそれは仕方ないかなって、思っちゃってます……」

 

 みぞれはゲームを一時中断して黄前さんの方を向く

 

「仕方ない?たくさんの人が悲しむのに」

 

「すみません…」

 

「こーら、言い方悪いぞ?」

 

「…ごめん」

 

 オレはみぞれの頭に手を乗せて言う

 

「私はそういうのはあまり好きじゃない」

 

「…じゃあ、鎧塚先輩はどうして続けているんですか?」

 

「ハルがいるから」

 

 みぞれは今までにないくらい間を空けずに答えた

 

「ハルが隣にいてくれたから続けられた。でもコンクールはあまり好きになれない…」

 

「そうですか…」

 

 そこで会話は終わり、黄前さんは自室に戻った

 

「…ごめんねハル」

 

「なにが?」

 

「楽しくないってわけじゃないの。でもコンクールでいい成績残そうとは頑張れない」

 

「まぁオレもだいたいおんなじようなもんだよ。オレはみぞれとやりたいからやってる」

 

「私もハルが一緒だから」

 

「じゃあこれからもそれでいいんじゃない?そのうちいい成績残すことが嬉しいって思えるときがくるさ」

 

 オレはそう言いながらみぞれを抱き寄せる。みぞれもオレの背中に手を回す

 

「オレらはオレらのペースでやっていけばいいよ。実際それでいい音出てるしな」

 

「…うん。ありがと」

 

「じゃあそろそろ戻りな。さすがに寝ないとヤバいぞ?」

 

「…」

 

 みぞれを離すと下を向いたまま黙っている

 

「…ハル」

 

 みぞれはオレの顔を見上げ何かを要求しているように見える。オレは瞬時にその意図に気づいた。そしてみぞれの唇に自分の唇を合わせる

 

「…///」

 

 離してみぞれの顔を見るとこの暗さの中でもわかるくらい真っ赤になっている

 

「じゃあ戻りな」

 

「うん、おやすみ///」

 

「おやすみ」

 




そして、次の曲が始まる
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