響け!オーボエカップル   作:てこの原理こそ最強

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大学生活3

 

 

参加者も揃いいよいよ響子主催のホームパーティがスタートした

 

「みなさま、本日は遠いところお越しいただきありがとうございます。心ゆくまでお楽しみください。それではグラスをお持ちください」

 

響子からの最初の挨拶とグラスを持つよう促され全員飲み物を持った

 

「子供達の輝かしい未来に、乾杯」

 

『かんぱーい!』

 

響子の音頭に千紗の元気な声が響き渡った

 

「じゃあ響子さんのところにご案内します。オレも話したのは今日が初めてなんですけど」

 

春樹は早速自分の親とみぞれとその両親を連れて響子の元を訪れた

 

「響子さん」

 

「あら堺くん」

 

「紹介させてください。オレの母親の堺 恵里です。そしてみぞれのご両親です」

 

「はじめまして、堺 恵里です。本日は本日はお招きいただきましてありがとうございます。夫は残念ながら休養で欠席ですが」

 

「鎧塚みぞれの父、雄三です。こっちは家内の」

 

「静香と申します。本日はご招待いただきまして誠にありがとうございます」

 

「はじめまして、芹澤 響子です。春樹くんとみぞれさんには姪の直美が大変お世話になっております」

 

「いえ、ウチの息子こそお世話になってます」

 

「娘は友達作りが苦手でして。そんな娘に入学早々友達ができたことがそれはもう嬉しかったんですよ」

 

「お母さん...」

 

「オレ達は行くかみぞれ」

 

「うん」

 

「じゃあ母さん、オレ達向こう行ってるね」

 

「はいはーい」

 

「飲みすぎないように。じゃあ響子さん、また後ほど」

 

「えぇ。ありがとう」

 

既に盛り上がってきた大人達の会話に居づらくなってきた春樹とみぞれは挨拶をしてその場を離れた

 

「戻ってきたのね」

 

「子供の惚気大会が始まりそうだったから抜けてきた」

 

「なるほどね。それは賢明な判断だわ」

 

「ともかく待たせた。自己紹介しようか」

 

親達元を離れて直美達と合流した春樹とみぞれは同じくその場にいた千紗達と向き合った

 

「オレは堺 春樹。オーボエをやってる。そんで恋人の鎧塚 みぞれ」

 

「よろしく」

 

「まさか君達と会えるとはね」

 

「オレ達のこと知ってたのか?」

 

「高校吹奏楽をやってて君達2人のことを知らない人はいないさ。僕は上条 朔太、ホルンをやっているよ」

 

「私は穂村 千紗!直ちゃんの親友!」

 

「親友じゃないし」

 

「えー!?なんでっ!?」

 

直美との関係性を親友と豪語した千紗だったが直美に真っ向から否定された

 

「僕はエレン・セイ。サックス奏者だよ」

 

「成島 美奈子。あなた達と同じくオーボエ吹いてる」

 

「エレン・セイって確か父親がプロサックス奏者の」

 

「父さんを知ってるの?」

 

「会ったことはないけどな。噂には聞いてたよ。それと君が成島さんか」

 

「なに?」

 

「中学のとき全国で君の演奏を聞いてからぜひ会ってみたかったんだ。こんな縁で会えるとは思ってなかったけど」

 

「まさかあなたみたいな有名人からそんな風に思ってもらってるなんてね。光栄だわ」

 

「同い年なんだしそんなかしこまらなくてもいいだろ」

 

「成島さんは中学の頃から君達をライバル視してたみたいだよ」

 

「ちょっと!余計なことは言わないで!」

 

「ライバル?」

 

「なるほどね」

 

初対面とはいえ他のメンバーよりも美奈子とはやけに距離を感じていた春樹。自分としては仲良くしたいが本人にその意思がないのなら仕方ないと思うことにした

 

「みんなはどこに進学したんだ?」

 

「僕とエレン、成島さんは東京の音大。千紗ちゃんも東京だけど僕達とは違う大学だよ」

 

「穂村さんだけ?」

 

「うっ...」

 

「穂村さんは高校からフルート始めた初心者だったんだ」

 

「3年間で全国で恥ずかしくないほど腕は上げたんだけどさすがに推薦が取れるほどにはね」

 

「だからあれほど勉強の方も頑張ってねって言ったのに」

 

「すみません...」

 

「へー。初心者で始めて全国か。相当努力したんだな」

 

「すごい、穂村さん」

 

「鎧塚さん!優しい!」

 

歓喜のあまりみぞれに抱きつきそうになった千紗をさすがにそれは許されないと春樹が止めた

 

「なんで直美と界人はこっちに?」

 

「近年関西の勢いが凄まじいって聞いてね。だからこっちにしたわけ。それと東京だと実家から近いから」

 

「僕は」

 

「直美に引っ張られて、だろ?」

 

「ちょっと春樹。その言い方だと私が無理矢理連れてきたみたいじゃない」

 

「違うのか?」

 

「...。悪いとは思ってるわ」

 

「そうなんじゃねーか」

 

「でもそのおかげで僕の進路も決まったし。感謝してるよ」

 

「当然でしょ」

 

「直ちゃん変わってないようで安心した!」

 

久しぶりに会えたことと向かいの直美の強気な性格が変わってなくて嬉しい千紗であった

 

「堺くんと鎧塚さんはいつからオーボエを?」

 

「私は中学から」

 

「オレは小学5年から。その前にもいろんな楽器触った結果オーボエに落ち着いた」

 

「そう」

 

「他の楽器ってことはフルートも?」

 

「やったぞ。しっくりこなくて中級者コース終わってすぐ辞めちゃったけど」

 

「そーなんだ」

 

「それでも堺くんの腕前なら千紗ちゃんよりも上かもねー」

 

「嘘でしょ!?」

 

「高校3年間一生懸命頑張った人に勝てるわけないだろ」

 

「えっ?ふふん!」

 

「ドヤ顔しないの。それが普通なんだから」

 

「そういう成島さんはどうなの?ガッツリ同じ楽器じゃん」

 

「私は...」

 

「ちょっ、穂村さん」

 

「音楽なんて、比べるものじゃない」

 

みぞれの最後の一言でその場がしーんとなってしまった

 

「余裕がある人はいいね」

 

「余裕があるというかコンクールとかに興味ないんだよね」

 

「へー。意外だね」

 

「やっぱりそう思う?みんなから言われるんだよね」

 

「じゃあなんで」

 

「続けてるかって?そりゃみぞれの演奏間近で聴き続けたいから」

 

「は?」

 

「私も」

 

演奏を続けてる理由に理解できない朔太達は全員揃って首を傾げた

 

「この2人、お互いの演奏を間近で聴きたいがために音楽続けてるらしいのよ」

 

『えー!』

 

「そんな驚くこと?」

 

「別にそれだけが理由じゃないけどな。最大の理由がそれってだけで」

 

「それでも変だよ」

 

「変だ」

 

「変だねー」

 

「変なの?」

 

「まぁ別にわかってもらおうとは思ってないさ。音楽続ける理由なんて人それぞれだし」

 

「私は別に気にしない。実際上手いし2人とも」

 

「直ちゃんが素直に他人を褒めるなんてね」

 

「界人だってわかってるでしょ」

 

「もちろん」

 

「2人がそんなに言うなんて。草壁先生が聞いたらどんな反応するのかな」

 

「草壁?」

 

「あれ、堺くん草壁先生知ってるの?」

 

「いや、同じ苗字の知り合いがいるだけだ。別人かもしれないし。ちなみに名前は?」

 

「草壁 総二郎。学生時代東京国際音楽コンクールの指揮部門で2位になって将来を嘱望された指揮者だった人」

 

「あーマジかー」

 

「ハル、それって」

 

「あぁ。間違いなく総二郎さんだな」

 

「草壁先生と関係が!?どういう関係!?」

 

「おーどうした上条くん」

 

春樹とみぞれが朔太達の恩師、草壁 総二郎と知り合いだとわかった朔太がぐいぐいと2人に詰め寄った

 

「昔会ったことがあるんだよ。それから仲良くしてもらってね。と言っても時々連絡を取り合うくらいだから」

 

「そ、そっか」

 

「なんだ?どいうこと?」

 

「朔太は恋のライバルなの」

 

「恋のライバル?」

 

「千紗ちゃん、まだ諦めてなかったんだ」

 

「当然。今の大学でも草壁先生以上の男の人と会ってないし」

 

「男の人に恋?」

 

「みぞれ。今はいろんな恋があるから」

 

「そう」

 

「春樹ー」

 

「あれ、どうしたの母さん」

 

いろいろ話をしているところに恵理がやってきた

 

「私にも紹介してよ」

 

「いいけどオレ達もさっき自己紹介し合ったばっかだぞ」

 

「それでもいいのよ」

 

「ならいいけど。ごめんみんな、こちらオレの母親で堺 恵理。楽器経験はないけど昔から音楽鑑賞が好きでいろんなクラシックを聴いてるよ」

 

「はじめまして、春樹の母の恵理です」

 

「わー美人」

 

「あらホント?嬉しいわー」

 

「これが美人か?」

 

「なんか言った?」

 

「イイエナンデモ」

 

「恵理さん、美人で大人っぽいよ?」

 

「ありがとーみぞれちゃん!そうだ、みぞれちゃんのご両親が2人呼んでたわ。あと直美ちゃんと界人くんも」

 

「私達もですか?」

 

「えぇ。お話してみたいんだって」

 

「わかった。ごめんみんな。少しの間この酔っぱらいの相手を頼む」

 

「酔っぱらいとは失礼ね。まだそんな酔ってないわよ」

 

春樹とみぞれ、直美と界人の4人はその場から離れてみぞれの両親の元へ向かった

 

「お待たせしました」

 

「呼び出してすまないね」

 

「いえ。紹介します。大学で知り合った友人の芹澤 直美と檜山 界人です」

 

「芹澤 直美です」

 

「檜山 界人です」

 

「お初にお目にかかるね。みぞれの父の鎧塚 雄三と妻の静香だ」

 

「はじめまして。今日はぜひ2人とお話がしたかったの」

 

「ありがとうございます。みぞれさんのオーボエは大変素晴らしくいつも刺激をいただいいています」

 

「あら嬉しいわ。でもそんな堅苦しくなる必要はないですよ」

 

「2人の話は娘からも春樹くんからも聞いている。今度の演奏会は私達も楽しみにしているよ」

 

「ありがとうございます」

 

直美の言葉に続いて界人も頭を下げた

 

「時に界人くん。失礼を承知で聞きたいのだが、以前ラジオをやっていたことはないかな?」

 

「あ、はい。少しの期間でしたけどよくご存じですね」

 

「やはりか」

 

「ラジオ?」

 

「この人、一時ラジオにハマった時があってね?その時に聞いてたMCの声と界人くんの声が似てるって聞かないのよ」

 

「そうなですか」

 

「まさかこっちの人も聞いてたなんて驚きです」

 

「いやーあのラジオはおもしろかった。まさかこんな形で会えるとは思わなかったのでね。もう終了してしまったとはいえ感謝を伝えたかったのだよ」

 

「ありがとうございます。サダキチ達も喜びます」

 

界人が高校の1年時不登校となっていた原因とも言えるラジオ番組。なんとそれをみぞれの父である雄三は毎日のように聞いておりこれまたすごい偶然の出会いとなった

 

「こっちの生活にはもう慣れたかしら?」

 

「そうですね。叔母がよくしてくれているので特に困りごとなどはありません」

 

「それならよかったわ。地元が恋しくなってない?」

 

「それこそ大丈夫ですね。むしろ今の方が生き生きしてるかもしれません」

 

「あらお強いのね」

 

「界人くんはどうかな?もし困ったことがあるのなら」

 

「僕も大丈夫です。学校でも帰ってきてからも3人に置いていかれないよう練習しないといけなくて。逆に時間が足らないくらいです」

 

「なるほど、いい心がけだ。もう知っているかと思うがみぞれと春樹くんの家に防音室が備わっている。いつでも使うといい」

 

「ありがとうございます。既に利用させていただいてます」

 

「私もです。大変助かっています」

 

「よかったわ。これならもう少し広く造ればよかったわねお父さん」

 

「そうだな」

 

「いや十分ですよお義母さん。家では練習できないなんていう人もいるんですから」

 

一般的な家庭に防音室が備わっている方が稀であり、あるだけで他の人よりも練習時間にかなりのアドバンテージがあると感謝が絶えない春樹だった

 

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