やはりスマホだとやりにくいね…
vsエヴァと言ったな?
あれは嘘だ
夜空に満月がぽっかりと浮かんだ日に、事は始まった。
なんのことはない、惚れ薬だのドッジボールだの図書館だの、圧倒的なまでに面倒事を引き起こしてくれた愛すべき未来の義弟(仮)と学園が、またも厄介事を抱えて飛び込んできた………ただそれだけのことだ。
なんでや!僕なんも悪いことしてへんやろ!
現実逃避もそこそこに、記憶の整理の意も含めて、現状とそれに至るまでの過程を語らせていただくとしよう。
原作通り、という言葉に甘えさせてもらうが、例によって例のごとく、エヴァンジェリン・アタナシア・キティ・マクダウェル嬢ことエヴァちんが吸血事件を起こしはじめたのがつい先日。
『そう言えばそんな時期だったねー』みたいな感想を抱きながら、今夜が満月であることに気付いたのが数時間前。
そして。
将来の義弟こと、ネギ・スプリングフィールドが、頭の良さそうな毛玉を連れて、切羽詰まったように訪ねてきたのが、数分前の事であった。
「アニキ一人じゃダメなんだ。茶々丸ってパートナーを連れてて、勝ち目がねぇ!」
ふーん、そうなんだ。すごいね!
で、それと僕となんの関係があるというのか。
「旦那(?)はアニキの護衛なんだろ?」
そう言えばそうでしたね。
なんでも、一般人のアスナを巻き込むのを渋ったネギくんを見て、この毛玉がさも名案だと言わんばかりにここに連れてきたのだとか。迷惑千万極まれり。
「事情はわかったよ。でも、エヴァをそんなに警戒する必要はないと思うよ。初号機じゃあるまいし」
はっきりいって、僕としては原作通り進んでいただいた方が色々と捗るので、今回はパスさせてもらいたい。
死人出す気ないみたいだし。学園内だし。他の魔法先生いるし。
想い人の形見を殺しはしないだろうし(多分)。原作的に。
何よりもあんなロリ型クリーチャーと戦いたくなんかないし。
なんて事を思った僕は、やんわりとネギくんを宥めていたのだが、完全にこれは悪手だった。
「……行こう、カモくん。時間の無駄だよ。シオンなんか頼る方が間違ってるよ」
痺れを切らせたのか、肩を怒らせながら、ネギくんは出ていってしまう。
うーん、この頃の子供が考えてることはわからんなぁ。
『なんで信じてくれないんだ!』みたいな感じなのかな?
………ん?
ふと、視界に映ったのは、星が先っぽについた杖的なサムシング。
「えっ」
あれって、ネギくんの初心者用の杖だよね?
確か、エヴァちんと決着つけるとき使ってたような記憶があるんだけど……えっ?
落としたの?
不味くない?
詰んでない?
「ネギィィィイッ!?カァムバァッック!!」
慌てて追いかけるも、既にネギくんの姿はなく。
気付けば桜の並木通りまでさ迷い歩いており。
つい先程停電し、現在にいたる。
「……いやいやいやまさかまさかまさかエヴァちんの興味はネギくんに向いてるからねこっちにはこないって戦闘の最中にひょっこり現れてこいつを使え的なエイダウォンポジをかっさらえばいいんだって」
死亡フラグなんかたってないよ。
あ、靴紐が切れた……。
にしても、街灯がついてないと星がよく見えるなぁ……あれ、北斗七星の近くになんか一際輝く星が……テーレッテーって死兆星やないか!?
ふと、何かが羽ばたいたような。
そんな音が、絶賛逃避中の僕の思考を現実へと引きずり出した。
「…不審な魔力を辿ってみれば、確か……ぼーやの護衛だったか?」
あっ、声可愛いですね。
ギギギと動かしたくもない首を動かして背後に眼を向けると。
黒いマントを靡かせた金髪ロリが、不敵な笑みを浮かべながら。
闇の福音。
悪しき音信。
通り名こそ数あれど。
エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルその人が、悠然と存在していた。
だが待てよ?
冷静に考えて、彼女の目的はネギくんなんだから、僕のような小者の相手なんかしないはず。
死亡フラグ回避余裕でしたね、これは勝つる。
「ぼーやとの勝負に首を突っ込まれたら興醒めだな。前座として相手してもらおうか?」
アカン。
この人『時代は医学より暴力を必要としている』とか言っちゃう人だ。
ただでさえ戦いたくなんかない相手なのに、準備も録にできていない。
はっきりいって最悪もいいところ、初戦の相手くらい選ばせて欲しいものだ。
『アレ』は実践するには早すぎる。
数少ない手持ちでなんとかできるのだろうか?
ネカネたん、都会は恐いところだったよ…
【ネギ】
正直な心境を語るなら、僕はシオンの事が、実のところあまり好きではなかった。
家族として認めていないわけではない。
ずっと一緒に暮らしていたし、仲も悪いわけではない。家族としての愛情だって感じている。
でも、僕にはどうしても納得できない事があった。
僕らの村が焼かれたあの日、シオンはネカネお姉ちゃんやアーニャのお母さんを助けたのだという。
お姉ちゃんに言い付けられて、(本人も含め)誰にも話してはいないが、それ以上に僕が信じていなかったので、どのみち誰にも話すことはなかっただろう。
だって当たり前じゃないか。
昔から、シオンは魔法を何故か上手く使うことができなかった。身体だって強い方じゃない。
そんなシオンが、どうやってあの恐ろしい悪魔と戦うというのか。
悪魔をやっつけたのは、父さんだ。
僕達を助けてくれたのは、父さんだ。
なのに、アーニャもお姉ちゃんも、シオンの事をとても信頼している。
父さんじゃなくて、シオンを。
嫉妬…だと思う。
でも、それでも僕は納得できなかった。
エヴァンジェリンさんの事でも、最初から僕はシオンに期待なんかしていなかった。
どうせ断るに決まってる。シオンには何もできないんだから。
案の定、そうなった。
初めからわかっていたのに。
期待なんかしていなかったのに。
つい、僕は酷いことを口走ってしまった。
「ネギ?大丈夫? これからエヴァちゃんをとっちめにいくんだから、シャキッとしなさいよ」
「あ…すいません、アスナさん。結局、巻き込んでしまって…」
「まぁまぁアニキ、姐さんは理想的な戦力だぜぃ!シオンの旦那より上かもしれねぇ!」
「ガキがこんなところで意地はったって可愛くないのよ。私が来たくて来たんだから」
「…うん。お願いします、アスナさん!僕はあの人に勝たなきゃ!」
「そーこなくっちゃな、アニキ!じゃあ、仮契約をば………ッ!?」
轟音。
僕もアスナさんもカモくんも、皆が一様に同じ物を見上げていた。
天を真っ赤に染めるような火柱。
「あれは、桜の並木通りがある場所……か?」
「……エヴァンジェリンさんがいるかも知れません、行ってみよう」
果たして、そこにエヴァンジェリンはいた。
彼女だけではない。
「ありゃあ、シオンの旦那か……?」
「うそ。あの人ってあんなに強かったの?」
縦横無尽に空中を駆け巡り、漆黒の夜空を閃光で彩る2つの影。
その片方は、紛れもなくシオンだった。
本気になったエヴァンジェリンさん。
遠目に見るだけで暴力的なまでの脅威だとわかる。
では…それを『圧倒』しているシオンはなんだ?
そして、何故シオンがエヴァンジェリンさんと戦っているのだろう?
………シオンは僕の護衛だ。
そのシオンが戦う理由は、まさか…。
酷く嫌な予感がする。
僕は、とんでもない間違いをしてしまったのかもしれないーーー
なんか思ってたのと違う。
まあ、気楽に書きゃあいいよね!
ついでに決闘日記のほうですが、なんとか続きはできたものの、投稿するかは微妙なラインです。
なんか納得がいかないというか、これじゃない感がぱねぇ。
そうなんだ、すごいね! のポーズ
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