ボクはみんなと違う
そう感じるようになったのは小学生の高学年のころだろうか。第二次性徴期に入りクラスの男子が男らしく成長していく中ボクは中性的な顔立ちで背も低く、声もすこし意識するとまるで女性と聞き間違えるほど高い。
それから時が経ちボクは中学生となりある程度自由になることができた。そのとき偶然地方のミニイベントに出演していたでアイドルの子たちを見ることとなった。そしてボクは感銘を受けることとなった。
【可愛い】と。
そこからは女の子の可愛さに目覚めだんだんと女の子の真似をしていくようになった。
それから半年もしないうちに女装もしはじめメイクもはじめた。元々中性的な顔立ちに加え160cmに満たない身長はますます女性に見える要因だった。
普通ならば女装が趣味だというのは隠すだろうがボクは普通ではないので堂々とカミングアウトした。いや、それだけでは収まらず文化祭では女装してダンスまで披露した。
こんなおかしな趣味をしてるボクだけどクラスメイトとの仲は良く、男子とは女装して擬似デートをしたり、女子とは普通にガチデートしたりした。
ちなみにボクはバイじゃなくてノーマルだからね。
そんなこんなでおかしくも面白い中学生活をしていた3年の冬休み。受験勉強もそこそここなしながらいつものように女装をして街の中心で遊んでいるといきなり見知らぬ男の人に声をかけられた。
ナンパかなって思い面倒くさそうにでも少しだけワクワクしていると、
「アイドルになりませんか?」
「フェッ!?」
変な声が出てしまったのは仕方ないことだろう。
「アイドルになりませんか?」
「いや、2回言わなくてもわかりますよ。」
「では、こちらを。」
そう言って男の人は何かを渡してきた。というか名刺だった。そこに書かれていたのは、
「み、美城プロダクション!?!?」
驚くのも無理はない。美城プロダクションは老舗の芸能プロダクションではあるがアイドル事業についてはまだまだ若手である。しかしながら、モデル出身である高垣楓や城ヶ崎美嘉をはじめとアイドルたちが短期間の内で売れていった。今では日本のアイドル界の中枢を担っているプロダクションである。
しかし、美城プロダクションには男性アイドル部門があると言う話は聞いたことがない。新しく作るという可能性もあるがそれならばボクをスカウトする理由が見当たらない。
ならばスカウトマンがボクのことをスカウトする理由など1つしかない。
結論にたどり着いたそのとき、ボクの口もとがニヤっとなってしまったのは仕方ないことだろう。