横島忠夫の人理焼却案件   作:てばさき

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だいぶ短め。
次でプロローグは終わりです。
仕事が一段落すれば週一更新は終わるはず。



リポート5.幕開けは花火のように3

「さて、それじゃ私もそろそろ行くとするよ」

 

レイシフトなる、横島の知らない単語を含んだアナウンスが流れると、レオナルドはそう言って立ち上がった。

 

「あのー、結局俺はどうなるんでせうか?」

 

既に力関係を理解し、下手に出ることにかけては世界有数の経験を誇る横島は、もはや全面降伏の様相で言った。

 

「ここで待ってればいい。何、安心したまえ。騒ぎにはなってるだろうが、君のしたことが深刻な影響を出したかと言われればノーさ。カルデアはそう柔な施設じゃない」

 

レオナルドは会ったとき同様の魅惑的な笑みと共に返して出ていった。

 

「……不思議な美人だったなー」

 

取り残された横島は、そう呟くと持ち込んでいたリュックサックから衛星電話を取り出す。

取り敢えずの状況を、美神へと伝えるためだ。

 

『はい、美神除霊事務所ですけど?』

 

コールもほぼなく、美神の声が聞こえてくる。

 

「あ、美神さん! 横島っす!」

 

『……あんた、密輸船のブツをパクって逃げたでしょ』

 

あ、これ目の前にいたら先に拳なやつだ、と横島は感じた。

 

『補填と現地警察への根回しに、いくら掛かったか知りたい?』

 

「お、俺も必死だったんすよ!? 不可抗力ですって!」

 

『ほー、口ごたえするのね?』

 

「みか──」

 

『東京湾で浮かぶか沈むか、考えておきなさい』

 

ガチャ、ツー、ツー、ツー

 

「………………あかん、確実に殺られる」

 

脳裏に浮かぶ自分の末路に、背筋が寒くなるのを感じた。横島は半泣きになりながら再度電話をかける。

 

『はい、美神除霊事務所です』

 

「美神さん美神さん美神さん! 俺が悪かったんでどうか寛大なご処置をー!!」

 

『あ、横島さんですか!?』

 

しかし、電話口から聞こえてきたのはおっとりとした優しげな声。

 

「お、おキヌちゃんか!? 美神さんは!?」

 

『えーと、なんかコンクリート買いに行くって今出ていきましたけど……』

 

「沈める気満々じゃねーかって違う! なんか、美神さんから聞いてない? このままだとワケわかんないまんま海底に沈んでまう!」

 

『特には……あ、でも一つだけ』

 

おキヌの声は、どこか棒読みで、

 

『えーと、過去へれいしふと? するなら、必ずえーれーと契約しろ、と』

 

「は、はぁ? 何のこっちゃ一体……レイシフトって、さっき、放送で言ってたやつか? えーれーってのはわかんないけど、それが?」

 

『そうしないと、死ぬそうです』

 

「え゙」

 

『あ、もう切らなきゃ、横島さん、どうかご無事で!』

 

ガチャ

 

後には、沈黙だけが残った。

 

………

……

 

「……ご自分で伝えればいいじゃないですか」

 

電話を置き、おキヌが振り返った先には、美神が椅子に座ったままそっぽを向いていた。

 

「ふん、あんな丁稚がどうなろうが知ったこっちゃないわ。なんで私がそこまで世話焼かなきゃなんないわけ?」

 

「横島さんに伝えるために調べたんでしょうに」

 

「戻ったらどのみち折檻よ。死なれたら怒りのやり場に困るじゃない」

 

(素直じゃないなぁ)

 

おキヌは苦笑いを浮かべつつ、茶でも淹れようと台所へ向かう。

一体同じようなことが何度あったのか。

それは予定調和のような、美神除霊事務所の光景であった。

 

………

……

 

そして、物語はようやく幕開けを迎える。

その瞬間を待ち望む者達が集うカルデアにおいて、いくらかの異物を混入したまま、人理救済を銘打つプロジェクトが、ついに始まろうとしていた。

 

 




CCCコラボ始まりますねぇ。
みなさん準備はお済みですか?(石的な意味で)

クロスオーバーではそのキャラが言いそうな台詞を考えるのに苦慮します。
なんか不自然あったらご免なさい。
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