真・恋姫で地味ヒロインの妹してます   作:千仭

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戦闘シーンがうまく書けたかどうかが分からない。

とりあえず書いてみたので

感想などあった気軽に書いてください。

それに何か違和感やアドバイスをくれると助かります。

それではよろしくお願いします。


蜀の皆さんとの邂逅~星編(3)+α~

練兵場

 

 私と子龍殿がそこに着いた時、そこには一人も鍛錬している兵はおらず、閑散とした光景が私たちの目に映る。何時もは姉さんの部下たちが鍛錬に励み、兵たちの熱気と武官の怒号がある見慣れた体育会系の光景はそこにはなかった。

 

「子龍殿はどの得物を?」

 

 私が訓練用の木でできた木剣や槍サイズの棒の前で得物を、戦斧をかたどった私専用の物を手に取りながら子龍殿に聞く。

そして子龍殿は一本の木槍を選ぶと何度か軽く突いたり、振ったりして重さや大きさを確かめ始め、それと同じようにいくつかの木槍を確かめると結局一番はじめに選んだ木槍を今回の得物として選んだ。

 

「ちょうど良い物はありませんが、今回はこれでよいでしょう」

 

 そして私達は互いに練兵場の中央に行き、少し距離をとって対陣する。私は戦斧の切っ先を後ろ向け、子龍殿は直槍のように切っ先を私に向けてお互いに武器を構える。

 

「ふむそれでは、始めようか」

 

「うむ」

 

そう言った子龍殿の間合いへと私は踏み込んで単純な太刀筋でいくらかの突きと薙ぎを仕掛ける。

 

中心線、肩、腕、首、太腿、脛、彼女の動きを確かめるように順番に仕掛けていく。

 

 それに対して彼女はいとも簡単に私の戦斧に木槍を合わせ、捌き、無駄な動きなく避ける。その動きには長年の鍛錬と実戦を繰り返した動きが見てとれ、一切の隙も無駄もなく洗練されていた。そしてそれらを何合か繰り返して私は趙子龍の技術を確認すると仕掛けることをやめる。

 

「ほう、さすがだな」

 

「フフフ、貴殿も今の動きだけでわかるとは………私も良い武人に出会いました。それでは次はこちらから行きますぞ」

 

「ああ、来い!」

 

 そして彼女は私の間合いへと真っ直ぐと踏み込んで来る。その踏み込みは私が今まで見たことがないほど早く、鋭かった。そして無造作に突きを繰り出した子龍殿の木槍に対して私は何回か回避をすると、そのうち回避することを無理だと判断し、途中から全てを戦斧の柄で弾く。

 

速い!これが趙子龍の神槍か!

 

 それに続いてさらに鋭い突きを繰り出す彼女の木槍を避けることはせずに一定の距離を取りながら柄で捌いていく。なぜなら無理に避けようとするとその避けた先に子龍殿の木槍が突いてくるイメージが鮮明に脳裏に写ったからだ。そして回避し続けた先には最後にその槍についていけなくなった私が体勢を崩し、その木槍に貫かれる事になると勘が告げる。

 そしてその連続で繰り出された木槍を一合、二合………二〇合くらいを捌ききったあたりで彼女は突くのをやめた。

 

「今のを全て捌きますか、なかなかやりますな」

 

「これでも鍛錬は毎日欠かさなかったからな。当然と言えば当然だろう………それにこれぐらいできなければ我が隊は率いられない」

 

私がそう言うと彼女は木槍を構えなおして光惚の笑みを浮かべた。

 

「そうですか。では………そろそろ小手調べは十分ですかな?仲珪殿」

 

 その笑みは”まさかここで終わるとは言いませんね?”と言っているような気がした。それに対して私も同じような笑みを”まさか”という意味を乗せながら浮かべると彼女はさっきよりも深く、そして恋する乙女のような笑みを浮かべた。

 

………選択、間違えたかもしれない。やってから気が付きました、死んだらどうしよう。

 

 私はそのことを思考の隅に投げ捨てる。やってしまったことは仕方がない。これをより生産的に考えなければと思考を再開する。=通称現実逃避

 

「もちろんだ子龍殿。次からは全力で行かせてもらう」

 

 すぐさま思考を目先の戦闘にと切り替える。ちょうどよく温まった体全体に徐々に氣を練って流し込み、内氣功を発動させる。そうすると私の身体から湯気のようなオーラが徐々に湧き出て淡く薄桃色に輝きだす。

 それに対して彼女の全身からも同じようにオーラが出てきて薄水色になって輝きだした。そしてお互いの闘気が練兵場を包み込み、ぶつかり合って霧散していく。

 

「……………………」

 

「……………………」

 

 数秒か、あるいは数分か。どれだけの時間が経ったか私にはわからなかったが私と彼女の睨み合いという名の探り合いは続いた。私も彼女も仕掛ける機を探り合うが私は徐々にじれったくなっていく。

 そして私の額から一滴の汗が練兵場の地面に落ちていき、地面の石がそれを弾いた瞬間、彼女は一瞬の速さで仕掛けてきた。

 それを紙一重で戦斧の柄で捌くと木槍は私の顔のすぐ隣を通りすぎ、その余波で私の髪が数本宙へと舞う。そして私の柄と子龍殿の木槍の接触点が擦れて焦げた臭いがすると同時にチュン!と銃弾が地面をはじくような音が私の耳のそばでする。

 

おま、ちょっ、めっちゃはええええええ!!

 

 それさえ実感する時間を彼女は与えることなく連続で突きを繰り出してくる。それをさっきと同じように柄で捌いていくが徐々にそのスピードに圧倒され始め、所々にかすり、徐々に後退する。私の耳もとではさっきと同じようなチュン!という音が幾度も聞こえてきて、そのあまりの速さに戦慄を覚える。

 

チッ、このスピードを何とかしなきゃならない!

 

 私は意を決してその木槍の連続突きの中で、氣を腕に込めて筋力を上げていく。そして十分に氣が腕に廻ったところで彼女に隙ができ、木槍を大きく弾いて距離をとる。

 

 彼女はその力に抗うことなく、むしろそれを利用して数メートル後ろに大きく跳びながら後退すると同時に私は戦斧を構えて間合いを詰める。

 

 そして彼女が着地する前に、私の力と氣を込めた戦斧を空気を引きちぎりながら横一閃に薙ぐ。私の戦斧の刃(木)が空気を引きちぎってブォン!と音を立てながら空中にいる彼女に吸い込まれていくように近づく。

 

いくら趙子龍でもこれは避けられない!この勝負、私がもらったぁ!!

 

私がそう思った瞬間に彼女は驚くべきことを私の目の前でやってのけた。

 

 それは自らの木槍を地面に突き刺して身を空中に浮かせ、一瞬の停滞を生み出し、彼女を支えている木槍を私が戦斧でそのまま弾くとその力を利用して空中で回転し、カウンターを放ってきたのだ。しかもそのカウンターは彼女の力ではなく全てが私の力をそのまま利用したもの。その力は例え防いだとしても十分に相手を吹き飛ばせるほどの力が込められていたもの、いや私が込めたもの。

 

趙子龍の神槍まじパネェ!

 

 その必殺のカウンターが私にスローモーションで迫って来る。私の全身からは汗が吹きだし、そのあまりにも馬鹿げた技術の高さとそれをやってのける精神力の高さに全身に鳥肌が立つ。

 

 本物の英雄の力を肌で、この全身で感じた私は気がつかない内に自然と恍惚の笑みを浮かべいた。彼女と私は刹那の時間、目が合い、その表情を見ると彼女もまた私と同じように笑っていた。

 

 そして私は今、戦斧を放った後で身体が硬直している。その硬直から私は意志の力でなんとか抜け出し、無理やり身をひねって地面に転がりながらも回避する。

 

 そしていくらか転がった後、急いで体勢を立て直して顔を上げるとそこには彼女の木槍の切っ先が私の鼻先の数センチ前に突きつけられていた。

 

「……私の勝ちですかな?」

 

「ああ、まいった。私の負けだ」

 

 私がそう言うと彼女は木槍を降ろし、空いている方の手を私に差し伸べた。私はその手を躊躇なくとると彼女は私をまるで子供を立たせるような軽さで私を立たせた。

 そして私はあることに気が付いた。私は全身から汗が出て、肩で多少息をしているのに対して彼女はまったく息が乱れていない。

 

これが今の私と彼女との差か。

 

「すまない」

 

「いえ、気になさらずに」

 

 私は息を整えると今の模擬戦はどうだったかと彼女に聞いた。そうすると彼女は少し何かを考え、口を開いた。

 

「仲珪殿は今回のような戦いは初めてですかな?」

 

「ああ、今まで子龍殿のような相手とはやったことがなかった」

 

 今までの私の相手は北の匈奴や羌族の相手していなかった。氣を扱う相手の将軍なんて相手にしたこともなかったし、むしろ私からこんな簡単に一本を取れる奴なんていもしなかった。

 

「それが今回の手合せにおいて勝負を分けた理由なのです」

 

「それはどういうことだ?」

 

私が疑問の目で彼女を見ていると焦らすことなくあっさりと私の問いに答えた。

 

「今回の手合せにおいて仲珪殿は何を感じていましたかな?」

 

「………ただただ疾い、それだけだが」

 

だって槍先なんてほとんど見えなかったし、連続の突きもその疾さに圧倒されてただけだし。

 

「そこです。私の槍に対して仲珪殿はただ疾さのみを感じていました。私の場合はというと如何にしてあなたを倒すかを思考し、どのように決めるかを考えていました」

 

そういうことか。実際の戦闘に加えて頭の中ではより細かな戦力分析が必要なんだな。しかもそれをあの展開の速い間にやらなきゃいけないなんて随分と難易度のハードルが上がったな。

 

「そうか………確かに私はそこまで考えていなかったな。ん?それでは私が弾いたときの動き、あれは私を誘ったのか?」

 

 私が彼女を弾いて大きく後退させる時の隙は今考えると随分と呆気なかったというか、彼女があんなに簡単に隙をさらすはずはない。

 

「正解です。あれはわざと私が隙を作りました。まあ、あの後の一撃は予想外に強烈でしたが」

 

「そうか、ありがとう。これで私はまだ強くなれることが分かった」

 

「それを聞けて何よりです。ですがそれを鍛えるには至難の業だと思いますな」

 

何故だ!?それじゃ、あんたみたいな人外に会ったときの死亡フラグを回避できなじゃないか!!

 

「なぜだ?」

 

「これほどの短時間で濃縮した経験はそう簡単にはできないのです。はっきり言って今回の私の勝利は経験の差ですからな。そうそうこのような濃密な時間は取れないでしょう」

 

「確かにな、私と同等の力を持つ武人はこの幽州にはいないからな。姉さんは普通だし、青怜は腹黒いだけだ」

 

 私は幽州でできないのならもうできる所はまずないと考えた。というかそんなに強い人なら今頃どこかに仕官してそれなりの地位にいるはずだ。そんな人物が幽州みたいな所まで来る必要はないと思う。ここから南には洛陽や陳留などの大都市があるのにこっちにくる意味がない。

 ここにいる姉さんの武力は内氣功を少し使えるだけで将軍としては普通だし、国境の砦に青怜は武力ないけどその代わりに腹黒いし。

 

良質な馬だけが取り柄だからな、ここは。

 

「なら今のうちしかありませんな?仲珪殿」

 

 そう言って彼女は再び木槍を構え、挑発的な笑みをうかべる。それに対して私も同じような笑みを浮かべて再度戦斧を構える。

 

「そのようだな。なら私の限界まで付き合ってもらうぞ!」

 

そして再度薄水色の閃光と薄桃色の軌跡が練兵場の中を駆け巡った。

 

 

公孫賛居城 執務室 桃香side

 

 私が白蓮ちゃんの居城を訪れると門番の人が私たちを白蓮ちゃんのところに通してくれた。結局あの後にご主人様のぼおるぺん?を質屋で売ったらそれなりのお金になって偽装義勇兵を雇うことができた。

 そんなことを考えながら私たちは案内の衛兵についていく。そして今まで廊下で見た扉で一番大きく、立派な部屋の前で衛兵は「伯珪様はこちらです」と言い、頭を下げてどこかに行ってしまった。

 私が扉を開くとそこには竹簡の山と格闘している白蓮ちゃんの姿がそこにはあった。その姿は私が同じ私塾を卒業してから変わらない姿だった。

そして白蓮ちゃんが入って来た私を見ると今まで格闘していた竹簡と筆を投げ出してこっちに来る。

 

「桃香!久ぶりだな~♪」

 

「白蓮ちゃんも久しぶりだね~♪」

 

そう言って私たちは三年ぶりの再開を分かち合う。

 

「私塾を卒業して以来だから三年ぶりぐらいか?元気そうで何よりだ」

 

「そっちこそ元気そうで何よりだよ。それにいつの間にか太守様にまでなってるし、すごいよ~」

 

私が白蓮ちゃんをそう褒めると彼女は顔を少し赤くし照れて笑っている。

 

「いや~私もまだまだだよ。この地位はまだ通過点みたいなものだから。それに内の妹も色々とうるさいし」

 

「そうなの?さすがは白蓮ちゃんだね」

 

うん?今白蓮ちゃん妹って言ったよね?いたの、妹。

 

「ねえ、白蓮ちゃん。白蓮ちゃんって妹いたの?」

 

「ああ、いるぞ。身内にはやさしいけどそれ以外にはきついのが」

 

「へ~、それ聞いてるだけだとすっごく真面目な子を想像するんだど」

 

 そう聞いた私は白蓮ちゃん似ている眼鏡をかけているような子を想像する。想像してなんだが合うのがとっても楽しみになってきた。

 

「ああ、基本的には真面目だ」

 

「やっぱり?」

 

そして二人してその場で笑いあった。しばらく二人して笑い合っていたらふと白蓮ちゃんが私に

 

「今まで何をしていたんだ?連絡が取れなかったから心配していたんだぞ?」

 

と質問してきた。それに対して私がためらうことなく答える。

 

「えっとね、人助けしてたの」

 

「うんうん、それで?」

 

「それだけ」

 

それを聞いた白蓮他ちゃんの目が点になり、口も少し開いていて呆けている。

 

「………………へ?」

 

「………………ん?」

 

 私がさも当たり前のように答えたことによって白蓮ちゃんは固まってしまった。そしてしばらく無言の時間が流れて白蓮ちゃんが復活すると少しだけ俯いてプルプルと震え始めた。

 

「なななななな、なーにやってんだ!?!?桃香は!?」

 

「きゃッ!?」

 

 なぜかいきなり白蓮ちゃんが私に向かって爆発した。その白蓮ちゃんの怒声は恐らくこの城の隅々まで届いたかもしれない。それほどに大きな声だった。

 

「だってぇ~」

 

「だってもへったくれもない!!」

 

 そう言いながら私の肩に手を置きながらズイッと顔を近づけてきた。そして何かに納得したか、はたまた諦めたのか大きなため息を私の目の前でする。

 

「まあ、桃香だから仕方ないか」

 

「む~白蓮ちゃん、それはひどいよ?」

 

呆れたような目で私を見てくる白蓮ちゃんがそこにはいる。

 

「だって桃香だし。それで?今日は何しにここに来たんだ?」

 

「あ、うん。白蓮ちゃんの所で義勇軍を集めてるって話をきいて手伝おうかと思って」

 

 私がそう言うと白蓮ちゃんは何かを思い出すように唸っていて、さっき報告で聞いたことを今思い出したようにハッ何か気が付いたようだった。

 

「あ~確か何人か兵を連れてきたんだって。で?何人が本物なんだ?」

 

そう言っていとも簡単に私たちが本当は兵隊さんをつれてきていないことを白蓮ちゃんに見抜かれた。

 

「え、えっと~、実はここにいる私達だけなの」

 

「………………へ?」

 

 私の言葉を聞いて再び白蓮ちゃんの目が点になって呆ける。そしてまた呆れたように額に手を当てながら盛大に大きなため息をついた。

 

「で、でもでもでもでも愛紗ちゃんと鈴々ちゃんは凄く強いんだよ。それにご主人様は管輅ちゃんお墨付きのあの天の御使い様なんだよ?」

 

「桃香、頭でも打ったのか?たかが管輅の占いででた天の御使いなんているはずもないだろ」

 

「ほ、本当だもん!」

 

「まあ、桃香が言うなら本当かもしれないが」

 

 白蓮ちゃんはご主人様を足のつま先から頭のてっぺんまでじろじろと見つめている。どうやらご主人様をどのような人間なのか値踏みしているらしい。

 

「な、何?」

 

その視線に耐えられなくなったご主人様が白蓮ちゃんに思わず2~3歩後ずさる。

 

「なんかそれっぽくないんだけど」

 

う~、本当なのに~。

 

「そんなことないよ?ほら、ご主人様の背中の方から後光だって出てるし」

 

 そう言って私はご主人様の白く光っている制服に指をさす。その制服は窓から入ってくる光でまるで後光が出ているようだった。それに対して白蓮ちゃんはまたじっくりとご主人様を見定める。

 

「いや、物理的にだろ」

 

うう、確かにそう思うけど。

 

「とりあえず俺が桃香達に天の御使いなんて呼ばれている北郷一刀だ。よろしく頼むよ、公孫伯珪さん」

 

 そう言ってご主人様は白蓮ちゃんに頭を下げた。それに対して白蓮ちゃんも同じように挨拶と自己紹介をご主人様たち三人にする。

 

「ああ、私の姓は公孫、名が賛、字が伯珪、と言う。桃香が北郷達に真名を預けているなら私も白蓮という真名で呼んでくれても構わない。それに桃香の友人は私の友人でもあるからな」

 

白蓮ちゃんがそう言うと次に愛紗ちゃんが自己紹介を始める。

 

「私の姓は関、名が羽、字は雲長と言います。我が主が真名を許されているのなら、私の愛紗とういう真名もお受けとりください」

 

「鈴々の姓は張、名は飛、字は翼徳、真名は鈴々なのだ!よろしくお願いするのだ!!」

 

「ああ、人材不足だったからな。愛紗と鈴々二人のような武人は歓迎する。」

 

 そしてやっとここにいる私たちの自己紹介が終わると後は事務的な話を交わす。私たちの扱いや部屋、軍を率いた経験があるかなど細かなところまで白蓮ちゃんは聞いてきた。その政務に慣れた姿は今まで見たことはなく、やっぱりすごくなったと私は感じた。

 

「う~ん、愛紗と鈴々の力が分からないな。妹と同じような感じはするんだが」

 

「そうなの?」

 

「ああ、でも私にはわからん」

 

「じゃあ、会いに行けばいいんじゃないか?」

 

そうご主人様が言うと白蓮ちゃんもうなずいて政務中に終わった竹簡を文官に渡した。

 

「そうだな、ちょうど妹の他に紹介したい客将もいることだしな。じゃあ、行こうか」

 

そして私たちは白蓮ちゃんの妹がいるという練兵場へと向かった。

 

 

 

練兵場 一刀side

 

 俺たちが練兵場に着いた瞬間、俺は目の前の光景に信じられずにただただ唖然としていた。横を見ると白蓮と桃香たちも同じように唖然としている。

 

よかった、俺だけじゃないのか。

 

 俺だけが見ている光景じゃないことが分かると再び目線を練兵場へと向ける。そこにいるのは薄水色の髪をした女性と白蓮と同じような髪の薄桃色をした女性が模擬戦をしていた。それもものすごく速く、それでいて力強かった。

 

「なあ、あれが普通なのか」

 

 俺が同じ様に唖然としている白蓮に聞くと白蓮は疑うような目でこっちを見ながら力なく、それでいて何かに呆れた様に答える。

 

「そんなわけあると思うのか?北郷」

 

 俺はその答えを聞いて心底安心する。この世界での将軍の基準があれならどうやったって俺は一瞬で死ぬ。間違いなくあっけなく死ぬ。

だって薄水色の女の子が槍を突けば空気を突き破りながら閃光になるし、もう一方の薄桃色の女の子が戦斧を振れば空気を引きちぎっているような音がしてこっちまでその風がきて俺たちの髪を揺らす。逆に薄水色の子が地面すれすれで槍を振れば地面を削りながら軌跡を描くし、もう一方の子も戦斧を振り下ろせば地面にクレーターができる。しかも常人の俺の目でも追いつけないぐらいものすごく速く動きながら。

 

「す、すごいね、白蓮ちゃんの妹ちゃんは」

 

口元を引きつりながら桃香そう言うと

 

「ああ、そうだろ?」

 

 と白蓮もやや口元が引きつりながらも何かに諦めたように答えた。その姿には、会社から帰ってくるサラリーマンのような疲れと問題児に振り回される教師の辛さを足して二で割ったような姿だった。

 

 それに俺は仲間がいることに安堵しつつもあの軍神である関 雲長こと愛紗の方を向くと彼女は一瞬も目を離さないよう食い入るようにあの二人の模擬戦を見ている。

 

「愛紗、あの二人はどうなんだ?」

 

「…………………………」

 

「愛紗?」

 

「…………………………まずい、鈴々!!」

 

「おうなのだ!!」

 

 そう言うと愛紗と鈴々は手に持っていた青龍偃月刀と丈八蛇矛を構えて二人の間に同じような速さで向かっていった。

 

 なぜ?と聞く前に俺は練兵場の二人から今まで感じたことのない莫大な闘気が感じられた。どうやら二人は本気の決めに入ったらしい。莫大なエネルギー?を纏った槍と戦斧がスパークを放ちながら重なろうした瞬間、愛紗が槍の子を鈴々が戦斧の子の必殺の一撃を受け止めた。

 

轟音が響き、衝撃波が練兵場に広がった。

 

 

 

黒蓮side

 

 あの後、しばらく彼女との手合せを続けていた。彼女の所々のアドバイスのおかげで今になってやっとまともに打ちあえるようになった。

そして今、私たちは鍔迫り合いしている。お互いに槍の切っ先と戦斧の刃を地面に向けながら押し込まれないよう氣を込め続ける。私と彼女の氣がぶつかり合ってスパークを生み出して、莫大な氣が私達の間でせめぎ合う。

 

「くぅ、そろそろ…終わりにしよう、か!」

 

「うむ、そう…です、な!」

 

 そして私たちは距離をとって自らの身体に残る氣のほとんどを手にしている武器に送り込む。そうする氣を送り込まれたそれぞれの武器が激しく光輝き、スパークを生んで辺りを闘気で包んでいく。

 

一瞬の静寂と莫大な闘気が練兵場を支配する。

 

そして私たちは互いに必殺の一撃を持ってぶつかり合おうと一直線に踏み込んだ。

 

 

趙子龍が地面を削りながら一陣の蒼い閃光と化す。

 

 

それに対して私も空気を切り裂きながら赤い軌跡を描き、戦斧を振り下ろす。

 

 

 蒼い閃光と赤の軌跡が交差しようとした瞬間に何かが私たちの間に割り込んできた。私はその異物を気をとられてしまい、一瞬流し込む氣を止めてしまった。

 しかし私はそのまま戦斧をその異物に振り下ろすと私の一撃に耐えられなったのか粉々に戦斧は砕け散った。それは彼女も同じようで突いた槍の切っ先から粉々になっている。

 

 私はその異物から距離をとるとありったけの殺気を込めて割り込んできた者達を睨む。そしてできるだけ低く抑揚のない声でその異物たちに割り込んだ理由を聞く。

 

「貴様らどういう理由があって我らの手合せに割り込んだ。ことによってはただでは済まさんぞ」

 

 私がそう言うと趙子龍の槍を止めた黒髪の女の子がこっちにやってきた。その女の子を見た瞬間、またも趙子龍と同じような驚きが私の思考を一瞬固まらせた。そして黒髪の少女から少し視線をずらすと私の戦斧を止めたと思われる小さな少女がいる。

 

今度は関雲長か。それにあのちっこいのは張翼徳。

 

「大事な手合い中に横槍を入れてすまない。しかし貴殿らはこの後賊の討伐に行くのではないのか?それなのに今のようなことをすれば怪我だけじゃすまないぞ?」

 

そう言われて私と子龍殿は同時に目を合わせ、少し考えた後同時に口を開いた。

 

「「問題はない(ですぞ)」」

 

 そう言うと姉さんは黙って私に近づいてきて、これ見よがしに大きなため息をつくと思いっきり握った拳を私の頭に振り下ろした。

 

「問題あるわ!!」

 

「いたッ!」

 

 そして次に子龍殿の目の前まで行き、同じよう殴る。しかし、私がやられたことを見ていた趙子龍殿はあっさりとそれをかわして姉さんから距離をとった。

 

「たく、お前らは一体何やってるんだ?」

 

「ただの手合せだ。姉さんこそ何し来たんだ?」

 

「ああ、紹介したい奴がいてな」

 

 そう言って黒髪の少女たちに指をさすと一人ひとり私に名前を言う。いや、自己紹介しなくとも知ってるんだけどな。

 

「あの黒髪が関雲長、その隣の小さい子が張翼徳、であのぽわぽわしてるのが私と同じ私塾出身…」

 

「ああ、劉玄徳か、ん?あの黒髪の男は?」

 

私が北郷一刃のことを聞くと姉さんは少し苦笑いをしながら説明してくれた。

 

「桃香曰く、あれは管輅の占いででた天の御使いらしい」

 

「あれがか?」

 

つーか天の御使いとかマジで無責任な発言だな、おい。

 

「そうらしいけど」

 

 私はとりあえずこの世界でハーレムを作る変態の目の前まで歩いていき、じっくりと足元から頭のてっぺんまでまじまじと見る。それに対して北郷は後ろに後ずさった。

 

結論、ただの一般人だな、冗談抜きで。これで乱世を終わらせるなんて笑わせるな。でも本当に終わらせるからなお気に入らない。

 

 とりあえず反応を見たかったのと軽い八つ当たりの意味を込めて内氣功の瞬発力を高めたパンチを顔面のすぐ横に繰り出してみた。私がそうすると近くにいた関雲長と張翼徳、劉玄徳が慌てて身を乗り出してこっちに向かってくる。

 一方の北郷はというと少しだけ反応はしたがそれだけだった。たしか剣道かなにかやってたはずじゃ…でもこれだけしか反応できないのにハーレム作るなんて死ねばいいのに。

 

「貴様!我らが主に一体何をする!?」

 

「そうなのだ!!」

 

 私と北郷の間にさっきの黒髪の少女とちっこい少女が入って来た。その二人の手には青龍偃月刀と丈八蛇矛を持って威嚇している。

 

「ああ、すまんな。天の御使いなんて仰々しい名前だって言うから何か特殊な力でもあるのかと思って」

 

「あるはずないだろ、北郷はただの人だ」

 

そう姉さんは額に手を当てながら私の頭を軽く叩く。

 

「そうなのか?それは悪いことをした。本当にすまない」

 

いや、知っててわざとやったんだよ。コイツがあんなリア充になるからちょっとした憂さ晴らしに。

 

「あ、ああ、気にしなくていいよ。俺の名前は北郷一刀、桃香たちには天の御使いなんていわれてるけど本当はただの学生だ。よろしく頼むよ」

 

「私の姓は公孫、名が越、字が仲珪という。先ほどは本当にすまなかった。こちらこそよろしく頼む」

 

これが恋姫の主人公、北郷一刀と私がであった瞬間だった。

 




武将の内氣功はデフォルトで搭載。

主人公の強さは将軍クラスの中の上くらい?を考えています。

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